呪雄奇譚   作:ぴりもに

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第10話「邂逅・2人のトカゲ(後編)」

 

屋敷のエントランスで、私とタケルくん……ゴーストは2匹のトカゲと対峙していた……緑色のアマゾンJrと、赤色のアマゾンアルファ……

 

「キキキキーッ!!」

 

アマゾンJrは獣のように四つん這いになって床を爪でガリガリ引っ掻いたかと思うと、私が召喚した眼魔に噛みつき、そのまま首を噛みちぎってしまった。

 

「さーて、俺もやるか……雑魚ぐらい……」

《バイオレント・スラッシュ》

 

アルファはベルトのハンドルを捻った。すると両腕の鋭い刃が展開し、もう一体の眼魔を空中に殴り飛ばし、そのまま拳とともに斬撃を連続で繰り出して細切れにしてしまった。

 

「雑魚じゃこんなもんか。次は……」

「本場だー!」

「“本丸“な。」

 

アマゾンJrは腰を深く落とし、再度私達に襲いかかった。鋭い爪を振りかざし、斬り掛かってくる。ゴーストは剣を取り出し攻撃を防いだ。しかし、逆にアマゾンJrは剣を掴み、身体を空中へ上げ、そのまま背後に回った。

 

「クロコダイルスロー!!」

 

アマゾンJrはゴーストの肩と脚を掴み、そのまま回転させながら空中へ投げ飛ばした。まるで、クロコダイルが獲物を仕留める時に使う「デスロール」の如く。

 

「タケルくん!」

「よそ見すんなぁ!!」

 

タケルくんの方に意識が向いた間に、アルファは私に殴りかかってきた。体術など関係ない乱暴な突き……私は腕を交差させて防ぎ、そのまま地面に倒れながら巴投げでアルファを投げ飛ばす。

 

「っ!おじちゃん!」

 

投げ飛ばされたアルファを見て、アマゾンJrはゴーストを踏み台にしてアルファの方へ飛んでいく。するとアルファの腕を掴んでそのまま空中で回転……

 

「いけーっ!!」

「おらぁっ!!」

 

回転の勢いをつけてゴーストの方へアルファを投げ飛ばし、アマゾンJrは私の方へ襲いかかってくる。

 

「うわっ!?」

「くっ!」

 

攻撃と同時にポジションチェンジ……この二人、相性がいい……!想像以上の敵だ……

 

「おいおい……もうちょい本気出せよ……」

 

 

────────────────────────

 

「……やっぱり……」

 

その頃、食堂で食事をしていた市長の部下の一人は、あることを調べていた。その結果……

 

「細川なんて秘書……いなかった……秘書協会には登録されてないし、誰も細川という人を知らない……なら、あの人はいったい……」

 

詳細が謎だらけの細川……それを探るとなると時間も手間もかかる……だが、今できることは市長に進言して、少しでも細川から距離をとってもらうこと……いざ、市長に知らせようと足を進めようとした。だが……

 

「うっ……!?」

 

その時、部下の足はなぜか動かなくなってしまった。まるで、何かに足を取られたかのように……そして、背後に感じる気配……自分に危機が迫っている。逃げたい。早くしなければ……なのに身体が動かない。

次の瞬間、目の前に白い閃光が走って……

 

 

 

────────────────────────

 

「はぁ、はぁ……やるな……」

「オイラ楽しくなってきた!本気でやるぞ〜!」

「ウッソ……」

「まだ余力を残してるのか……!」

 

こちらはもう疲れ切ってるというのに、アマゾンJrとアルファの方はまだまだ余力が残ってるようだ……ならば、とタケルくんはグレイトフルに変身した時に使ったベルトを取り出した。本気を出すようだ……

 

「そこまでだ!」

 

その時、階段の方から男の大声が聞こえてきた。顔を向けると、そこにはライダースーツを着た黒髪の男と、金髪の男が立っていた。

 

「マコト兄ちゃん!アラン!」

「久々だな、タケル……」

 

タケルくんの反応から察するに、あの2人が友人のマコトとアランらしい。

2人の姿を見るなり、アマゾンJrとアルファは変身を解除した。

 

「ちっ、もう終わりかよ。」

「トウジおじちゃん、腹減った〜」

 

タスクと甚爾は元の姿に戻ると階段を登っていく。

 

「タケル、上がってこい。話をしよう。そちらの人も。」

「うん!」

 

タケルくんは階段を駆け上がっていく。私もその後に続く。

上に上がり、私たちは奥にある広い部屋に通された。たくさんの椅子が大きなテーブルを囲んでいる……おそらく会議室だろう。

私達がそれぞれ好きな席に座ると、後に続いてマコトとアランも席に座った。

 

「来てもらったのは他でもない……天草四郎のことだ。」

 

最初に口を開いたのはアランだった。それに続いてマコトが口を開く。

 

「天草四郎は、奴はもう英雄ではなく呪霊だ……いや、怨念の化身と呼んでもいいだろう。自身と同じ、怨念を抱き、この世への未練を持ったまま死んだ魂を生き返らせた……細川ガラシャ、本田忠勝、宝蔵院胤舜……そして倒されたはずの眼魔……ここまではいいな?」

 

マコトの言葉に私達は頷いた。

 

「だが、奴はもう一人蘇らせた……歴史に名が残る剣士……宮本武蔵と並び、かの柳生十兵衛の父……柳生宗矩……」

 

柳生宗矩……聞いたことがある。柳生十兵衛の父親で、徳川家康に仕え、関ヶ原の戦いで活躍した。さらに剣豪としての腕前だけでなく、「活人剣」を説き、政治の世界でも活躍したことで知られている。

 

「宗矩が蘇ったとなれば、戦いはさらに厳しくなるだろう……もし、向こうが大群で来るなら、こちらも多勢でいく。」

 

アランはそう言うと端末である映像を見せた。それは、訓練を受けている眼魔達だった。

 

「こんな日が来てもいいように厳しい訓練を受けさせている。タケル、必要なら好きに使ってくれ。」

「ありがとう、アラン!」

「さて、後は今後どのように動くかだが……」

 

今後のことを話そうとしたその時、

 

「あれ、テレビが変!」

 

タスクが声を上げた。タスクは難しい話に飽きたのか部屋の壁際に置いてあるテレビを見ていた。

だが、写りが悪いのか砂嵐状態になっていた。

 

「マコト兄ちゃん、ここ電波通ってるの?」

「ああ……微弱だが、地球のテレビが映るらしい。」

「大丈夫かぁ?タスク〜」

 

タスクの様子に甚爾は立ち上がり、テレビに近づいた。

 

「そういえば……あの2人って何者?」

「一人はタスク•ハワード……子どもだが、仮面ライダーに変身できる。今は夏休み中で世界中を飛び回ってるらしい。もう一方は伏黒甚爾……魂だけの状態で眼魔界を彷徨っていたんだが……同じく魂だけの状態で彷徨っていたもう一つの魂が合わさった結果……仮面ライダーとしての変身を身に着け、蘇ることができた……らしい。イゴールの話だとな。」

 

マコトが説明していると、甚爾はテレビの様子を見たかと思うと、手で叩き始めた。

 

「こういうのはな、叩けば直るんだよ。おらっ!」

 

テレビに甚爾の手が叩かれた瞬間、砂嵐がなくなり映像が流れ始めた。

 

「すごい!なおった!」

『臨時ニュースです。今日の午後3時頃、住宅街に熊が出没する事態が発生しました。被害者多数、被害者の中には熊の保護を訴えていた方もいました。』

 

テレビ画面にニュース映像が流れ、私達は固唾を飲んで見守った。

 

「熊か……眼魔界にはいないから分からないが、そんなに危険なのか?」

「うん……人間の食べ物とか食べちゃうと、その味を覚えて街に出たりするんだ。」

 

タケルくんが説明している間に、ニュースはさらに続いた。

 

『なお、熊が出没した住宅街には熊が生息するような森はなく、警察はどこから現れたのか専門家とともに調査を進める方針です。』

 

……なぜだか分からないが、とてつもなく嫌な予感がする。熊と今回の天草騒動……関連はないはずなのに、何者かのハードパワーを感じてしまう……

 

───────────────────────

 

「オンシラバハルヤソワカ……オンシラバハルヤソワカ……」

 

ダムの建設で廃村となった集落……そこにある寺で天草は呪詛を唱えていた。その傍らで、雄輝はヘビの抜け殻や昆虫の足などを火の中へくべていた。

 

「四郎様……四郎様の魔術で熊が街で暴れたようです。」

「そうか……上手くいったようだな。宗矩殿も邪魔者を始末してくれたようだし……」

 

天草は床に描いた魔法陣の上で呪詛を唱え、自らの魔術で森に生息する熊を操って街へ移動させ、人々を襲わせた……

 

「これで、四郎様の目的は達成されましたね!この世の人間を地獄へ……」

「否、まだだ……こんなものではまだ足りぬ……もっと見せてやろう……地獄を……!!」

 

 

 





じゅじゅさんぽ「教育に悪い?」

「よぉ、来たぞ恵〜」
「クソ親父ぃぃぃ…!」

何の脈絡もなく教室に来た甚爾に、伏黒は歯ぎしりを立てた。その様子にハラハラしている虎杖と釘崎……それに対しタスクは楽しそうにしていた。

「おっ、そうだ。タスク〜、お菓子持ってきてやったぞ。」
「やった!」

甚爾が持ってきたポテチに飛びつき、タスクは美味しそうにポテチを食べ始めた。

「タスクはかわいいなぁ〜、お前もこれぐらい可愛げがありゃあいいのに……」

甚爾はタスクの頭を撫でながらチラリと伏黒の方を見た。

「悪かったな、可愛くなくて……!」

伏黒はそう言って不貞腐れたが、タスクは楽しそうに喋り始めた。

「おじちゃんね、とってもいい人!オイラがお菓子食べたいって言ったら、キラキラ光る看板のお店行って戦ってくれたんだ〜!」
「キラキラ光る場所……?」
「えっとね……パチンコって言ってた!それから、馬とか自転車がいっぱい走る場所に連れてってくれた!そこでご飯ごちそうしてくれた〜!」

タスクの言っていることを整理すると、甚爾はパチンコや競馬、競輪で勝った賭け金でタスクにお菓子や食べ物を奢ったということ……
それを知った伏黒は……

「教育に悪いッッッ!!!」
「親でもないお前が教育語るなよ。」
「アンタに言われたくないわ!!」

そこから親子喧嘩が勃発し、皆はそれを見るしかなかった……


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