呪雄奇譚   作:ぴりもに

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第4話「猛将・最強現る」

 

我は本多平八郎忠勝……主君・徳川家康殿に仕え、蜻蛉切を携えて戦うこと50数回……一度として傷を負うことなし……

天下泰平を決める関ヶ原の合戦で殿は勝利し、我は齢63にてこの世を去った……今は魂のみとなって現世を彷徨っている……

 

目を伏せると見えてくる……稲姫(いな)……我が娘よ……女がてらに武芸に勤しみ、我と共に戦陣を突き進んだ……

そんな稲姫も、真田信之と契りを結び……子と共に健やかに生きているだろう……

 

もはや、我に思い残すことはなし……殿、我も今行きましょう……!

 

「本当にそれでよろしいのですか?」

 

何奴……!

 

「……あなた様の隠れた欲望を感じ取り、馳せ参じました。」

 

馬鹿な……この後に及んで我に望みなどなし!我、事において後悔せず……このまま成仏しようと我が生涯に後悔の二文字は……!!

 

「主のことを気にすることなく、戦いたいんのではございませんか?本田忠勝殿……」

 

此奴……我が心中に、奥底に眠らせていた思いをいともたやすく……!!だが、その通りだ……この世には、現世には、我以外にも強者はごまんといる……そやつらと戦わずして、何が「戦国最強」……!!何が「徳川に過ぎたるもの」だ……!!

今一度、武士(もののふ)と戦う力を……!!

 

「さすがは本田忠勝殿……それでこそ天下無双の名に恥じぬ……」

 

声の主が姿を現した……女子(おなご)のような顔の男と、着物の女が1人……

 

「某は天草四郎……こちらは細川ガラシャ様……魔界より、あなたをお出迎えに参上しました。」

 

我は、もう一度……戦えるのか……蜻蛉切とともに……!!

 

「あなたの執念こそ、魔界転生への鍵となるのです……」

「申されませ……ただ一言、“無念“……と。」

 

………無念……!!

 

「古き骸を捨て、蛇はここへ蘇らん……!」

 

おお……なんと、温かい……これこそが、生の証……!!我は、蘇ったのか……!!

 

─────────────────────────

 

あの本田忠勝が私達の目の前にいる……ただ槍を持っただけでこの威圧感……押し潰されてしまいそうだ……

 

「どうした、来ぬか……貴様ら……それでも日ノ本の武士(もののふ)か!!」

 

次の瞬間、忠勝は槍を勢いよく横に振るった。すると強力な風圧と衝撃波が発生し、私とタケルくんを吹き飛ばした。

 

「くっ!なんて力だ……槍を振るっただけで……」

「近距離が無理なら……ビリー・ザ・キッド、頼む!」

 

タケルくんは別の眼魂を取り出し、ベルトに装填し、レバーを引く

 

《カイガン!ビリー・ザ・キッド!》

《百発百中!ズキュンバキューン!》

 

黒いパーカーから西部劇のガンマンを思わせる帽子がついた茶色いパーカーに変わり、両手には銃が装備される。

タケルくんは遠距離から二丁拳銃で忠勝を攻撃……だが、通じていない。弾丸は確かに直撃してるが、怯んでる様子もないし、そもそもダメージを受けている様子もない……

 

「その程度か……仮面ライダーとやら……」

 

銃弾の嵐を受けながらも、忠勝はゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

「生温いわッ!!」

 

槍を地面に向けて振るい、叩きつけると同時に地面を砕く。すると地面から先端が尖った石柱が隆起し、私達に向かって襲いかかる。

 

「呪霊操術!」

 

私は槍眼魔を召喚し、盾代わりに私達の前に立たせた。しかし、次の瞬間には槍眼魔は石柱に刺されて消滅した。

 

《オメガインパクト!!》

 

タケルくんは槍眼魔が消滅したと同時に二丁拳銃を合体させてライフルに変え、必殺の一撃を発射した。

 

「フンッ!!」

 

しかし、忠勝はそれを槍ではじき落とす。

強すぎる……さすがは「戦国最強」と謳われただけはある……このままでは……

 

「こうなったら……夏油さん!」

「ああ……!」

《ダイカイガン!!》

 

私とタケルくんは二人同時にベルトのレバーを引く。

 

《オメガドライブ!!》

 

私達は背後に紋章を浮かばせ、同時に跳び上がる。

 

「ハァァァァァァ!!」

「ダァァァァァァ!!」

 

足にエネルギーを纏わせ、忠勝に向かって飛び蹴りを繰り出した。次の瞬間、ズドンッ!!という音とともに蹴りが忠勝の胸に直撃した……だが、忠勝は微動だにしない。

 

「なに……!?」

「こそばゆいわ……ダアッ!!」

 

忠勝は私達二人を殴り飛ばした。

 

「うわっ!?」

 

地面に転がった私達に向かってすかさず槍を振るってくる。私達は急いで立ち上がってかわそうとするが、槍の攻撃を一撃、二撃と受けてしまう。

 

「ぐうっ!!」

「うああっ!!」

「なんと弱い……これが今の日ノ本の武士(もののふ)か……ムゥゥゥゥン!!」

 

忠勝は全身に赤黒いオーラのようなものを纏わせると、それを槍へと移動させる。

 

「蜻蛉切の一撃を……喰らうがよい……!!ハァッ!!」

 

勢いよく槍を突き出し、赤黒いオーラを光線のように放った。

 

「マズイ……!!」

 

私は呪力を使って目の前にバリアのように壁を作る。タケルくんも見様見真似で壁を作って光線を防ぐ。

 

「うっ…ぐぐぐ……!!」

「くぅぅぅ……!!」

 

なんとか攻撃を防ぐが……だんだん壁にヒビが入ってきた。そして次の瞬間、壁が破壊されてしまった。

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

私達は直撃は免れたものの、物凄い衝撃波と光線の熱によってダメージを受け、吹き飛んで地面に転がった。

 

「強い……!」

「まだ……これからだ!!」

 

タケルくんは諦めず立ち上がり、赤と黒で染められた眼魂を取り出し、ベルトに装填し、レバーを引く。

 

《カイガン!ブースト!》

《俺がブースト!奮い立つゴースト!》

《ゴー!ファイ!ゴー!ファイ!ゴー!ファイ!!》

 

タケルくんの黒いスーツが炎の如き赤いスーツに変わり、その上に炎のような装飾がついた黒いパーカーが着せられ、変身完了。

 

「命……燃やすぜ!!」

「まだ立ち上がるか……その度胸、見事!!死力を尽くしてくるがよい!!」

 

タケルくんの立ち上がる姿を見て、忠勝は感服したようで槍を構え直した。

タケルくんはベルトから炎のような剣を取り出し、構える。

 

「いざ……参るっ!!」

 

両者、互いに駆け出し武器を構えながら突進する。

 

「うおおおおおおおおお!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

互いに武器を振るい、ぶつかり合う……その瞬間、2人の足元で爆発が起きた。

 

「うわっ!?」

「ぬうっ!?」

 

その爆発にひるみ、2人は構えたまま横に顔を向けた。そこには、女性に見える顔立ちの男に、着物を着た女性、頭を剃り槍を持った僧兵が立っていた。

 

「天草殿……!!」

 

忠勝の言葉に、私とタケルくん……離れたところで見ていた里香子ちゃんと雄輝も驚いた。

あれが、天草四郎……それとその仲間達……

 

「天草殿!これは武士(もののふ)同士の戦い!邪魔立てはいくら天草殿でも……!!」

「忠勝殿。」

 

抗議しようとする忠勝を、天草は静止する。

 

「彼らの実力は未知数……ここで戦い続けるのは得策ではありません。」

「ですが……!」

「せっかく宝蔵院胤舜殿が新たに加わったのです。ここであなた様の体力を消耗してほしくないのです……どうか、ご理解のほどを……」

 

天草はそう言うと、真ん中に紫色の石が入った金色の腕輪を取り出した。それを見た途端、忠勝はたじろいだ。

 

「……!!承知いたした……」

 

私の直感だが、あの腕輪は呪具……おそらく、あの呪具を使って忠勝を抑えつけているのかも……

忠勝は素直に天草に従い、矛を納める。

 

「……また会おう。」

 

タケルくんに向けてそう言い残し、忠勝は天草の後ろへ下がる。

すると、天草はこちらを見てニヤリと笑う。

 

「お初にお目にかかる、仮面ライダーとやら。某は天草四郎時貞。」

「妾は細川ガラシャ。」

「本多平八郎忠勝なり!」

「……宝蔵院胤舜……」

 

復讐鬼、悲劇の美姫、戦国最強、槍の鬼才……歴史に刻まれた偉人4人がこの場に集結した……

 

「天草四郎……!あなたはいったい何をしようとしてるんだ!?」

「……地獄。この世に地獄絵図を描くことが私の目的。」

 

タケルくんの質問に、天草はそう答えた。対しガラシャはクスクスと冷笑を浮かべ、忠勝はただムッと眉間に皺を寄せ、胤舜はただブツブツとお経を唱えていた。

 

「地獄……まさか、現代のこの世界を……島原の乱みたいにするつもりですか!?」

「フフフフ……想像にお任せしよう。」

 

不敵な笑みを浮かべながら天草は背を向ける。それに続いて他の3人も背を向けた。

 

「待て!!」

 

タケルくんと私は慌てて後を追いかけようとした。だがその時、天草の腕輪の石が輝き、天草達の目の前の空間が開いて黒いトンネルができた。

 

「さらば、仮面ライダー」

 

天草達はそのまま黒いトンネルの中に入り、姿を消してしまった……周りにいたはずの眼魔達もいつの間にか消えていた。

 

「消えた……」

「あれが天草四郎……本田忠勝だけじゃなく、あの槍使いの宝蔵院胤舜まで……」

 

忠勝の実力は言わずもがな……それに加えて胤舜まで加わったとなると、苦戦は必至……

どうすればいいのか……私達は頭を抱えた。

 

「案ずることはないぞ、二人とも。」

 

その時、1人の男が現れた。以前、私達の前に現れた宮本武蔵のゴースト。

 

「ムサシ!」

「奴らに勝てる方法があるとすればたった一つ……稀代の刀工、村正……村正が打つ妖刀が必要になる……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




じゅじゅさんぽ「逸材」

夏油はタケルに呪力の扱い方を教えていた。

「そう、それでいい。」
「意外と奥深いんですね……呪力って」
「でも、筋はいいよ。タケルくんならいつか『領域展開』に到達できるかもね。」
「領域展開?」

タケルは聞き慣れない言葉に首を傾げる。

「生得術式の最終段階であり、呪術戦の極致……いわば、奥の手だね。だが、これはかなり難しくてね……私も習得できてないんだ。もちろん、ここまでやれるようになれ、なんて言わないよ。」

タケルに背を向けながら夏油が静かに語る中、タケルは印を結び、静かに念じ始める。

「まずは慣れることから……」
「領域展開!」

タケルが叫んだ瞬間、タケルの両手のひらにポンッ!と小さい領域が展開された。

「あれ?ダメ元でやったらなんかできました!」
(すっげ、天才だこの子)
「すっげ、天才だこの子」

小さいとはいえいきなり領域展開を成功させたタケルを見て、夏油は思わず心の声と同じことを言ってしまったのだった。






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