呪雄奇譚   作:ぴりもに

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第8話「妖刀・領域展開」

 

ドドドドドッ!とビリー・ザ・キッドとロビンフッドの銃撃が振り注ぐ中、胤舜は骨からできた槍を回転させて銃撃を防いでいた。

 

「ハァッ!」

 

胤舜が攻撃を防いでいる隙にゴーストは懐に飛び込み、両手にもった剣で斬りかかった。

攻撃は槍で防がれるが、ゴーストは絶えず攻撃を続けた。

 

「ククク……槍は間合いが必要な武器……こうして近づけば槍を振るえないと踏んだか。甘いわ!」

 

胤舜は槍の根元の部分を持ち、短刀のように構えてゴーストの攻撃を受け流しながら着実に攻撃を加えていく。

 

「くっ……!」

「フハハハ、やはりこの力は素晴らしい……!!やりたいことがなんでも思い通りだ……!!こんなことだって……!!」

 

胤舜は槍を空中へ投げると、槍が五個に分裂し、分裂した先から刃が飛び出しゴーストに襲いかかる。

 

「分裂した!?」

 

ゴーストと偉人ゴースト達は飛んでくる槍に対処するが、槍の動きは予想よりも速く、よけ、防ぐだけで精一杯だった。

その間に、胤舜は仁王立ちの状態で印を結び始めた。

 

「天草殿から授かった妖術……見せてやろう。領域…展開!!」

 

その瞬間、周囲が真っ暗な夜に……否、黒い空間にゴースト達を飲み込んだ。

 

「これって……夏油さんが言ってた、『領域展開』!?呪術の最大到達点……!」

 

その時、ゴーストの足を何かが掴んだ。顔を向けると、そこには人間の手が……大量の女性がゴースト達の周りをあっという間に取り囲んでいた。

 

「!?」

 

その女性達は裸、といってしまってもおかしくないほど薄着で、妖艶な笑みを浮かべながらゴーストを取り囲んだ……かと思いきや突然顔が鬼のように変わり、ゴーストの身体に噛み付いてきた。

 

「ぐっ、ううう……!!」

「これがワシの領域……『酒池天獄林』!!」

 

その領域はまるで胤舜の欲望を再現したかのようだった。女への欲、肉を食らうことへの欲、そして殺人欲……

 

「ハハハハハハッ!!喰らえ、喰らい尽くせ!!」

 

異形の女達はゴーストの身体に噛みつき、偉人ゴーストに爪を立てる。ゴースト達がどれだけ攻撃しても領域で作られた女達は消えない。

領域は領域をぶつけなければ消えない。だが、ゴーストに領域展開は使えない……以前、試しに小さい手のひらサイズの領域を作ったことはあるが、それで打ち消せるわけもない……

このままではやられてしまう……そう思った次の瞬間……

 

一瞬の閃光が迸り、領域を斬り裂いた。真っ暗な空間が開かれ、元通りの景色が目の前に広がった。

 

「あ、あれ……?」

 

ゴースト達に噛み付いていた女達も消えていた。

 

「バ、バカな……領域を斬り裂いただと……!?」

「待たせたね、タケルくん。」

 

どうにか間に合った……なんとか村枝さんが作り上げてくれた……妖刀「ムラマサ」。

 

「夏油さん!完成したんですね!」

「タケルくん!受け取って!」

 

私はできたばかりのムラマサをゴーストに投げ渡す。ゴーストがそれをキャッチすると、不思議なことが起こった。

ゴーストが受け取った瞬間にムラマサの形が、鍔の部分に3つの穴が空いた大振りの刀に姿が変わった。その穴は、ちょうど眼魂が入るくらいの大きさだ。

それと同じく、ゴーストのもう片方の手に見たことのない眼魂が握られていた。

 

「これって……」

 

ゴーストがその眼魂のスイッチを押すと、中から羽織を着た偉人ゴーストが現れた。このゴースト……見覚えがある。

そうだ、村枝さんが刀を打ち始めた時に見えた、あのゴーストだ。

 

「……まさか、俺の力が必要になる時が来るとはな。」

「あなたは……」

「俺ァ、千子村正。」

 

驚いた……まさか、本当に村枝さんに村正の魂が取り憑いているとは思わなかった。

 

「天空寺タケル……だったな。俺をその刀に……『ムラマサカリバー』にはめな。」

 

ゴーストは言われた通り、ムラマサの眼魂を刀の鍔にある真ん中の穴にはめた。

 

《シングル!ムラマサ!》

 

ムラマサの眼魂をはめると刀身が桜色の光に染まった。その状態で胤舜に斬りかかった。

 

「ふんっ、そんな刀で……!」

 

胤舜はすかさず槍で防ごうとするが、ムラマサカリバーは槍を真っ二つにし、そのまま胤舜に一太刀浴びせた。

 

「な、なに!?」

 

眼魂をセットしたおかげか、それともムラマサカリバー自体の切れ味か、攻撃力が上がっている。

 

《ツイン!闘魂!》

 

さらに右隣にもう一つ、闘魂ブースト眼魂をはめる。するとムラマサカリバーの刀身に炎が宿る。

 

「はぁぁぁ……ハッ!!」

 

ゴーストが剣を振るうと、刃先から無数の炎が走り、胤舜に飛んでいく。胤舜は槍で炎を払おうとするが炎を回り込んで胤舜の身体に燃え移る。

 

「ぐ、うおおおおお!!」

《トリプル!オレ!》

 

さらに左隣にオレ眼魂をはめると刀身がオレンジ色に染まる。

 

「ハァッ!!」

 

ゴーストが横一閃するとオレンジ色の軌道を描いて胤舜を炎ごと斬って吹き飛ばす。

 

「とどめだ!」

《ムラマサ!闘魂!オレ!》

 

ゴーストはムラマサカリバーをベルトの目玉の部分にかざした。すると音声とともに刃が桜色、赤色、オレンジ色に光っていく。

 

《超ダイカイガン!!ゴーストストライク!!》

「ハァッ!!」

 

暖色の色に発光する剣を振るい、胤舜を十字に斬り裂いた。槍で防ぐ間もなく胤舜は攻撃を食らった。

 

「ぐっ!ううぉぉぉおお!!バ、バカな……!自身の欲を解放して強くなったのに……!!ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

次の瞬間、胤舜の身体は爆発を起こし、消滅していった。

 

「や、やった!」

 

胤舜を完全に消滅し、倒された。それを見てタケルくんは変身を解除した。私と里香子ちゃんはすぐさまタケルくんの元に駆け寄った。

 

「やったね、タケルくん!」

「夏油さんがムラマサを持ってきてくれたおかげです!」

「でも、雄輝くんは……」

 

里香子ちゃんの言葉に、タケルくんの表情が曇った。来たばかりで状況を知らない私は、2人に尋ねる。

 

「雄輝くんが……どうしたんだい?」

「実は……」

 

私は2人から雄輝くんが天草側について敵となってしまったことを知った。

 

「雄輝くんが……!?いったいどうして……」

「わかりません……でも、きっとまた元通りになるはずです……」

 

タケルくんはそう言ったが、私は「本当にそうだろうか」と思ってしまった。2人の話を聞く限り、雄輝は覚悟を決めた様子だったらしい……覚悟を決めて敵対することになった雄輝が、そう簡単に思い直してくれるとは思えない……

 

 

 

────────────────────────

 

「四郎、胤舜殿が倒されたそうじゃ。」

「そうですか……」

 

そのころ、どこか遠くにある廃墟の屋敷の中……祈祷している天草に、ガラシャが胤舜が消滅したことを報告に来ていた。

 

「胤舜殿は残念でしたが……予定通りです。」

「なら……次の手は考えてあるのか。」

「ええ……この世は平和だ……だが、平和故に……」

 

天草は目の前にある水晶の前で祈りを捧げ始める。すると水晶に映像が流れ始めた。

その映像には、デモ隊と思われる大群と、その目の前には市役所が写っている。デモ隊が持つプラカードには「熊を殺すな」、「動物と共存しろ」といったことが書かれていた。

 

「バカな現世の人間に……この世に、地獄絵を見せてやろう……」

 

─────────────────────────

 

翌日、市役所……

 

「市長、今日もまたデモ隊が来ていますが……」

「放っておけ。どうせ口だけの連中だ。それより……磯山さんは?」

 

市長は自分の秘書がまだ来ていないことに不満に思い、報告にきた男をにらみつける。

 

「それが……実は、実家の両親が病気で倒れたそうで、田舎に帰ると連絡が来ました。」

「そうか……それで、いつ戻ってくるって?」

「できれば、両親が元気になるまで側にいたいと……なので、代わりの秘書を連れてきました。」

 

報告に来た男は手をパンパン叩いた。すると部屋のドアが開き、外から1人の女性が入ってきた。

 

「はじめまして……本日付で市長の秘書になります……細川と申します……」

 

細川が入ってきた瞬間、一目見た瞬間、市長は持っていたペンを床に落とした。

細川はそのペンを拾い……市長の胸ポケットにしまってあげた。

 

「大丈夫ですか?」

「あ、ああ……ありがとう。」

 

市長は細川に見惚れていた……一目惚れしていた。だが、市長は知らない。この細川という女は、細川ガラシャが演じている姿だということを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おまけ「よたび教育実習生」

「教育実習生を紹介しまーす!!テンションあげて、みんな!!」

声高らかに叫ぶ五条に対し、テンションが下がっている1年生達……理由は当然、3度にわたる教育実習生の問題だった。

「……もう何も期待してませんよ……」
「どうせまた失敗でしょ……」

テンションが下がっている3人に対し、五条は笑いながら肩を叩いた。

「大丈夫大丈夫!今度はスンゴイ大物呼んできたから!それじゃ、どうぞー!!」

五条は教室のドアに向かって叫んだ。すると……

「か、め、は、め……波ーーーっ!!」
「えっ!?この声ってまさか……!?」
「あの伝説の……!!」

その一声を聞いた瞬間、3人の脳裏にある人物が浮かぶ。特徴的な髪形に山吹色の胴着を着て戦う、少年ジャンプの伝説的存在……そう、あの人物……

「おっす、オラ野沢雅子!御年80越えの(でぇ)ベテランだ!」
「いや、そっちィィィィ!!?」
「しかも本人じゃなくてモノマネ芸人の方じゃない!!」

野薔薇の言う通り、現れたのは野沢雅子本人ではなく、そのモノマネをしている芸人の方だった。

「なに文句言ってんだ、ぶっ殺すぞぉ!」
「まぁまぁ、落ち着いて……」
「ん?おめぇ、頭白くなってどうした?ベジータ」
「ベジータ!?」


………おわり


───────────────────────

多分、教育実習生ネタはこれでおわりかな〜……

以下、新たに登場したムラマサカリバーの設定・機能など



ムラマサカリバー

村枝正一が打った刀が仮面ライダーゴーストと触れ合ったことで出来上がった妖刀。呪術師が展開した領域を斬り裂いて解放することができる。
鍔の部分にゴースト眼魂をはめるスロットが3つあり、はめ込んだ眼魂にちなんだ攻撃を繰り出すことが可能(ビリーやロビンなら銃撃、ムサシやベンケイなら強力な斬撃を繰り出す)。
3つ眼魂をはめ込めば「超ダイカイガン」を発動して大技を繰り出せる。


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