「えっ、本当?本当なのアカリ!」
「ええっ!そう!マコトとアラン、協力してくれるって!」
あれから1週間……京都から戻ってきた私達は友達のアカリくんから吉報を聞いた。
タケルくんの仲間である御成とアカリくんが、他の仲間であるマコトとアランに連絡を取ることができたらしい。
「なるべく早く眼魔界に来てほしいって!」
「わかった!夏油さんもついてきてください!」
「わかったよ。」
これから仲間が増えるんだ……タケルくんの仲間とちゃんと挨拶をかわさないと。しかし気がかりは……雄輝くんに天草一派……奴らが残っている状態で別の場所に行ってもいいものか……しかし、今は仲間を増やすのが先決だろう……
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そのころ……
「細川さん、午後の予定は?」
「一件、猟友会の皆さんとの会合があります。すでにお車の手配は整えています。皆様のお弁当も……」
「ありがとう。君は優秀だ……助かるよ。」
1週間の間に市長の徳田と秘書の細川の2人はすっかり打ち解け、信頼関係を結んでいた……だが、周りは2人を見て怪しんでいた。2人の親密さはまるで、恋人のようだった。たかだか1週間でここまで親密になるものか、と周りの人間は見ていた。
「いただきます。」
昼食時、市役所内にある社員食堂……そこで市長の部下達が食事をしながら話していた。
「最近……市長の様子が変だと思わないか?」
「細川秘書の影響だろ?実は、前に職員が彼女を誘ったの見たんだけどさ……あっさり断られてたよ。」
細川はかなりの美人……そりゃあ誘う男もいるだろうと皆は思ったが、話は続いた。
「いや、男に興味がないのかな〜って思ったんだけど、市長にはデレデレなんだよあの人。2人でホテルに行った、なんて話も……」
「マジかよ……そういえば前秘書の磯山さんは?まだ戻ってくるって連絡ないのか?」
部下の一人がため息を吐いた。
「いや、まだ来てない……普通、連絡の1つや2つ入れるだろうに……あっ、それと……秘書協会を調べてみたんだけど……」
細川に関わる大事なことを言おうとした……だが、部下の1人は言葉を詰まらせた。
「いや……不確定情報だし、ここでは控えておく。」
「お、おい、なんだよ……」
「ごちそうさま。またな。」
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「ここが眼魔界……」
私はタケルくんの案内で眼魔界へ訪れた。殺風景な景色が広がっているが、ぽつぽつと家のような小屋がある。
「……ここも少し変わったな……アラン、頑張ってるんだ……」
タケルくんは過去の眼魔界のことを知っているのか懐かしむような顔をしている。
「あっちです!あの城でアランとマコト兄ちゃんが待ってます!」
タケルくんの指差した先には殺風景な風景には似合わない城があった。
私達はすぐさまそこへ向かった。
「天空寺タケル様……ですね。」
城へつくと、タケルくんは「アランに呼ばれてきた」と門番をしている眼魔に伝えると、眼魔は扉を開けて私達を中へ通した。
「アラーーン!!俺だよ!天空寺タケルー!!」
中へ入ったはいいものの、中には誰もおらず、静まり返っている。タケルくんが大声を上げても何も反応は返ってこない……
「おかしいな……留守かな…」
「留守なら私達を中へ通さないんじゃないか?」
「うーん」とタケルくんが唸っていると上の階から階段を降りる足音が聞こえてくる。
もしかしたらアランとマコトか?音が聞こえる方に顔を向ける……だが、私達の前に現れたのは……
「あれ〜?なんか知らない人いる〜!」
「おいおい、誰の許可もらって入ってんだ〜?」
現れたのは、10歳いってるかいってないかぐらいの少年と、そして……
「お前は……!!?」
「ん?お前……どっかで見た顔だな……」
忘れもしない……あの男は、あの時の……フィジカルギフテッド、伏黒甚爾……!!
「おじちゃん、あの人達のこと知ってんの〜?」
「うーん、どうだったかな〜……男の名前覚えんのは苦手なんだよ。」
あの男は私のことを覚えていないようだ……私は忘れたことはなかったがな……
その時、少年が目を輝かせながら甚爾の手を取った。
「ねぇねぇ!オイラ、あの人達と遊んでみたい!」
「うーん?しゃあねぇな、タスクは。」
甚爾から許可を得たタスクという少年は階段から飛び降り、キレイに着地した。子供とは思えないくらいの身体能力だ……
「オイラ、タスク・ハワード!兄ちゃん達、オイラと遊ぼ!」
タスクはニコニコ笑いながら言うと、腰に巻いてあるものを見せた。それは、ベルトだった。
「ベルト!?」
「まさか……」
タスクは両腕を顔の前で交差させ、左右に広げる。
「アーマーゾーン!!」
私達2人のものとは違う叫び声を上げ、タスクの身体が変身を始めた。目は赤く大きく、身体は黄緑にオレンジ色の斑点がついた模様に染まり、口はトカゲのように変化していった。身長や体格も大人に近くなっていく。
「キキーッ!!キキキキーッ!!」
見た目こそ私達と違うが、まさしく、タスクも仮面ライダーだった。
「アマゾン
「君、タスクくんっていうの?君の言う遊びって…?」
「ケンカだよぉ!ガァウ!」
アマゾンJrに変身したタスクはいきなり鋭い爪で私達に襲いかかってきた。私は咄嗟によける。
「ち、ちょっと君!」
「しかたない、戦うしかないぞ!」
私達も眼魂を取り出し、ベルトに装填する。
《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》
『変身!!』
《カイガン!オレ!》
《カイガン!ダークライダー!》
ベルトのレバーを引き、身体に黒いスーツを纏うと同時にベルトからパーカーゴーストを出現させる。
《レッツゴー!覚悟!ゴゴゴゴースト!》
《闇の力!悪い奴ら!》
私達は変身し、身構える。アマゾンJrは嬉しそうに笑い、爪で斬りかかった。
「互いにわかんない時があるときは、言葉だけじゃなくてぶつかり合うことも大事だって父ちゃん言ってた!」
「たぶんだけど、そのぶつかるの意味違うと思う!」
真っ当なツッコミをしながら、ゴーストはアマゾンJrの攻撃を捌いていく。相手は子どもだから、おそらく手加減している……まぁ、私も手加減しないと……顔や頭を叩くぐらいで……
「ジャガーショック!」
アマゾンJrは突然私に飛びかかり、肩に噛み付いてきた。
「うぐっ!?」
「ガブガブガブ……!!」
「夏油さん!」
ゴーストは私を助けようと拳を突き出す。しかし次の瞬間、アマゾンJrはベルトのバックルから飛び出したグリップを引き抜き、それをロープに変化させた。
「コンドルロープ!」
ロープを天井に向かって投げ、わずかな突起に引っ掛けて天井へ。アマゾンJrが天井に逃げたことで、ゴーストの拳が私にぶつかってしまう。
「あっ、すいません!」
「へへっ、こっちこっち!」
アマゾンJrはロープでターザンのように移動しながらこっちの様子を伺っている。すると、ロープから手を離し、今度はタケルくんに襲いかかる。
「モンキーアタック!」
落下と同時に回転しながらの突進を繰り出し、タケルくんを突き飛ばした。アマゾンJrはかなりすばやく、まるで獣のようだ。
捕まえることもできない。
「なーんか兄ちゃん達弱いね。ざんねん。」
アマゾンJrは手すりに捕まってブラブラぶら下がって残念そうにため息を吐いている。……こんな子どもにこんなことを思うのはどうかと思うが……
「ちょっと痛い目に見させた方がいいかな?呪霊操術!」
私は呪力を使って倒した眼魔を召喚する。電気眼魔とマシンガン眼魔……遠距離攻撃を持つタイプを召喚し、アマゾンJrに狙いをつけ……一斉に銃撃を放つ。
「わわわ……!」
アマゾンJrは慌てて天井を移動し、よけていく。かわされた攻撃が天井を突き破っていく。
「ちょっとこれはヤバいかも……」
どうやらアマゾンJrには遠距離の攻撃方法を持っていないようだ。だから逃げてばかりいるようだ。
「あーあ、何してんだよタスク!しゃあない……俺もいくか。」
次の瞬間、甚爾は階段から飛び降り、綺麗に着地した。
そして、私達を見るなりニヤリと笑ってくる。
「せっかく新しいおもちゃ手に入れたんだ……少しは楽しませろよ?」
そう言った甚爾の腰には、タスクと似たようなベルトが巻かれていた。だが、タスクのものと違うのは、デザインこそ一緒だが、白と銀で機械的に作られていることだ。
「アマゾン」
《アルファ》
右のグリップを掴み勢いよく捻ると、ベルトから音声が鳴り響く。それと同時に甚爾の身体から熱のある煙が噴き出し、身体をつつみ込んだ。
煙が晴れた頃には甚爾の身体はすっかり変わっていた。姿こそタスクのアマゾンJrと似ていたが、身体は緑ではなく真っ赤な色に染まっている。
「さぁてと……こっからは2対2だな。」
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「……何を考えていたんだい、細川さん。」
「……夢を見ていました。遠い、前世の夢……」
夜のホテルの中……2人はベッドに隣り合って横になっていた。
細川の言葉に徳田市長はフッと笑ってワインを飲んだ。
「遠い前世?前世の君は、どんな感じなのかな。」
「……とても偉い人の、お殿様の妻でした。」
「君の美しさなら納得だ……」
徳田市長は笑いながら細川の肩を抱き、自分の方へ引き寄せた。
細川はそれに甘えるように徳田市長の胸に顔を埋める。
「ねぇ、市長……最近、世間では熊の問題で騒いでるみたいだけど……どうして?」
「ニュースを見てないのかい?市民の一部が『熊を殺すな』、『かわいそう』って喚いてるんだ。」
「愛護団体ですか?」
細川の質問に、徳田市長は首を横に振る。
「いや……それとは別口だよ。愛護団体だって熊の恐ろしさは分かるさ。喚いてる連中はそれを分かってないんだよ。あいつらは自分に酔ってるのさ。『こんな獣に慈悲を与えられる自分は偉い』って具合にね。」
「それはそれは……和解できるのですか?」
徳田市長はまた首を横に振り、ため息をついた。
「それが全然でね……こちらから歩み寄っても聞かず、猟友会にも敵意を向けててね……和解できるとすれば、熊の恐ろしさを分かってもらうぐらいかな……」
「へぇ……」
その時、徳田市長は気付かなかった。細川が、不気味で恐ろしい笑みを浮かべていたことを……
と、その時……ホテルのドアがコンコンとノックする音が聞こえてきた。
「ルームサービスでもとった?」
「いえ、市長に紹介したい人がいるのです。」
2人は着替え、細川はドアを開けた。そこにいたのは、黒いスーツを着た初老の男だった。
「紹介しますわ。新しく徳田市長のボディガードとなる……」
「……柳生です。よろしくお願いします……」
じゅじゅさんぽ「父親ライダー」
「ゲストをご紹介しま〜す!今回登場したタスクくんで〜す!」
「こんちは〜!オイラ、タスク・ハワード〜!」
この日、五条は今回登場した仮面ライダーアマゾンJrことタスクを教室に招き、虎杖達に紹介していた。
「こんにちは〜!俺、虎杖悠仁!ポテチ食べる?」
「釘崎野薔薇よ。それにしても、こんなちっこいのに仮面ライダーって……複雑な事情抱えてそうね。」
「オイラがいた世界にはね〜、仮面ライダーいっぱいいるよ!オイラと〜、父ちゃんと、シエル、マール……それと……」
タスクは自分の手の指を一本ずつ折りながら知ってる仮面ライダーのことを話し始める。すると、伏黒が突然タスクの肩を掴んできた。
「タスク、お前…あのクソ親父に何かされなかったか!?イジワルされてないか!?」
「甚爾おじちゃんのこと?」
タスクは一瞬首を傾げたが、すぐに笑顔を浮かべた。
「ううん、おじちゃんいい人!お菓子くれたし、肩車とかおんぶしてくれた!」
「あ、あの親父が……!?」
タスクの話を聞いて、伏黒は動揺している……が、すぐにうんと頷いた。
「……よし、親父がそんなことするわけないし偽物だな。よかった。」
「いや偽物で安心しちゃダメだろ!?」
すぐさま虎杖からツッコミを受けるが、伏黒は態度を変えない。
「いーや、親父が優しいわけないし、仮面ライダーに変身するわけないし、そもそもクソみたいな父親が仮面ライダーにできるわけない!」
「いやそれすっごい偏見!!」
その時、教室の外では……
『………』
本来のアマゾンアルファと仮面ライダークロノス、白い魔法使いが「言いたいことあるけど言えない」みたいな顔で教室を眺めていた……
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今回、ゲストとして前々作「SPY×AGITΩ」からタスクを出演させました。最初は同じく前々作からグリムを出そうと思ったのですが、前作「ドン!ほろっくすみーてぃんぐ!」に出したので今回は息子の方に譲る形になりました。