異世界転生したけど勇者じゃない   作:嫉妬憤怒強欲

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一から物語を考えるのって結構難しいですね。
特に流れは頭で浮かんでいても、それを細かく文章に落とし込むとなると。


第2話 マナ測定

 遠い昔、世界はマナが渦巻いているだけの実体のない混沌の海(カオス)でした。

 

 ですがその渦の中心に、光と秩序を司る神(創造主)が現れた時に変わりました。

 

 神はまず最初にマナに形を与え、頭上に太陽(大いなる光)を作りました。

 

 次に太陽を基点に天空(宇宙)を、足元に大地(惑星)を作り、天と地に分けられました。

 

 そして空に太陽とは別に月と星々をつくり、昼と夜を分け、大地に水を涌かせて海と陸に分け、地に植物と動物を作られました。

 

 やがて大気が動植物のマナで満ちたところで、神は新たな神々を作られ、それぞれの神に似せた人族を作られました。

 

 創造神が創造した世界のことを子供らに任せて去った後、神々と人族は長年平和に暮らしていました。

 

 しかし、マナは時に神々でさえ予想していなかった事態を起こしました。

 

 マナに当てられて変異・凶暴化した動物や、淀んだマナそのものが形を成した怪物が現れました。

 

 『魔物(まもの)』と呼ばれた彼の者達は、まるで本能に従うかのように人族を害し始めました。

 

 当時の人族には魔物に対抗するだけの力がなく、多くが犠牲になりました。

 

 これに嘆き悲しんだ神々は、彼らに自らの力の一部を授けることを決めました。

 

 創造神と神々の力に比べればあまりに劣るものの、マナを操り、自らの望む現象へと変えて引き起こすことが可能な奇跡の業、魔に打ち勝つための法―――『魔法(まほう)』の誕生です。

 

 

 

『聖教会の書――創世記より抜粋』

 

 

♢♢

 

 

「特訓?」

「ああ。お前たちがもう少し大きくなってからの話だがな」

 

 ある日の晩、食事をしながら家族の団欒をしていた時、「話が変わるが」と父から話を切り出された。

 

「モーリッツの話をいつも聞いているからわかると思うが、村の外には危険な魔物がいる」

「うん。人を襲うし、傷つけてくる怖い生き物だから、子供は村から出ちゃいけない。もし見かけたらすぐに逃げて大人に助けを求めるように、だよね?」

「よく覚えているなルーク」

 

 そりゃあ、好奇心で村の外に出ようとしたら大人達に滅茶苦茶怒られたからな。

 

「モーリッツみたいに魔物退治を専門とする冒険者がいるが、辺境の小さな村なだけに間に合わないことだってある。家畜が食われたり畑が荒らされたりはまだ可愛い方だ。昔は魔物の群れによる襲撃で一つの村が滅んだことだってあった」

「えっ」

「なにそれ怖い」

「怖がって当然だ。最近魔物の動きが活発になっていることもある。もし連中が襲ってきて、自分の身は自分で守らなきゃいけない時が来る。だから俺と母さんとでお前たちを鍛えるって取り決めをしていたんだ」

 

 なるほど。明日は我が身というやつか。

 両親は元冒険者で、魔物の恐ろしさを知っている。自分の子供達にはこの世界で生きていくための術を身に着けて欲しいという親心なのだろう。

 

「わかった。特訓受けるよ」

「俺も俺も!鍛えたらおじさんみたいな強い冒険者になれんだろ」

「はは、テオ。そこは俺たちみたいなって言ってほしいところなんだが……」

「ふふ、まあいいじゃないの。二人共やる気みたいだから。そういえばあなた、そろそろ二人のマナ測定をしてもらった方がいいんじゃない?」

 

 ……マナ測定。

 教本によるとマナは魔法の源で、マナが無いと魔法使いにはなれないと大雑把に書かれていた。おそらくマナがあるか測定するのだろう。

 この世界の魔法は誰でも使えるわけではなく、100人のうち1人に魔法適性があるといった感じで魔法使いは希少であるとも書かれていた。

 

「そうだな。明日にでもオルスタへ行くか」

「オルスタ?」

「ここから一番近いところにある辺境都市の名前だ。あそこは冒険者ギルドやマナ測定をやっている教会があってそれなりに栄えている。俺と母さんが冒険者だった頃、そこに住んでいたんだ」

「モーおじさんがいる街に行くの?」

「やった!」

 

 俺もテオも思わずテンションが上がった。

 俺達はまだこの村を出たことがないから仕方ない。

 

「はは、喜ぶのはいいが、魔法の才能がなくてもがっかりするんじゃないぞ」

「心配ないわよあなた、私たちの子供なんだから」

 

 ご心配なく。俺は前世の記憶がある転生者だからなにかチートがあるに違いありません。(※根拠薄い)

 それに前世でも死ぬまで童○を貫いていたので魔法使いになれるって話でした。(※あくまでも都市伝説です)

 

 教本に書かれていた魔法をまだ一つも使えていませんが。

 炎や雷なんかの属性魔法が使えるようになりたいのだが、呪文をいくら試しても発動する気配がない。やはり魔法の修得には自分一人では限界があるようだ。

 あの教本は初心者用の呪文集みたいなもので、とにかく呪文を覚えろと言わんばかりで、説明が大雑把だった為、魔法の根本的な話についてはいまいち理解できなかった。

 街に行けば詳しいことが分かるかもしれない。

 

「でもあんまり希少な才能なんかをあったら、離れ離れになっちゃうから寂しいわ……」

 

 ん?

 

「どういうこと?」

「教会で行われる鑑定では属性魔法に適性があるかを確認することができるが、2つ以上の属性魔法を持っていたり、特殊な魔法が使える場合、教会と国へ報告されるんだ。特に優秀な魔法使いは、南にある国での学び舎で暫くの間勉強することになる」

 

 つまり魔法使い育成を専門とした学校に留学するということか。○グ○ーツみたいだな。

 

「じゃあ、お父さんとお母さんと離れ離れになっちゃうってこと?なんか嫌だ」

「俺も。勉強面倒くさそうだし」

「はっは、親としては離れ離れになるのは嫌だけれど、二人にそんな才能があれば俺としても嬉しいから悲しむことはないんだぞ。さて、明日早く出発するからもう寝なさい」

「「はーい」」

 

 父に促され、俺達は食後すぐ就寝に入る。

 初めての街と鑑定が楽しみで、遠足前日の子供と同じで興奮してあまり眠れなかったが。

 

 

 

 翌朝、家族皆で辺境都市オルスタへ出発した。

 移動手段は馬車ではなく(馬が村にいないうえ運賃も高いため)、荷車に母と俺とテオが乗り、父が引いている。

 まるで京都や浅草で見る人力車のようだ。

 

 乗り心地は正直良いとは言えない。

 車のようにサスペンションがあるわけではないから、揺れが酷いうえゴトゴトと衝撃が尻に伝わってくる。

 とはいえこの世界で贅沢は言っていられないし、なにより街へ行くのが楽しみで、あまりストレスはなかった。

 

 初めて見る村の外の景色(左右見渡しても草原ばかりだが)を眺めながら道中を過ごす。

 街道に出て約三時間が経過したころ、緩やかな坂を上り小高い丘の上を越えた所で目的地が見えてきた。

 

「あれが辺境都市オルスタ?」

「すげえ!村と全然違う!」

 

 最初に造られたような古城を中心に、城壁の周りを更に新たに造られたような高く巨大な壁で囲んでいて、その二つの壁の間に多くの建物が密集していた。まるで城下町だな。かなりの人間が住んでいるのだろう。

 うちの村から一番近い街でこれ程とは…

 

「これでもまだ小さい方だ。王都なんてあそこよりも凄いんだぞ」

「そうなの?」

「魔王軍と戦争していた頃、あそこはいくつもある砦の一つだった。勇者様が魔王を倒した後、こうして街として発展していったんだ。オルスタっていう名前も、当時の砦の指揮官から取ったみたいだぞ」

「へえ」

 

 じゃああの砦は戦争の名残なのか。地球なら観光スポットとして有名になっているだろうな。

 

「さあ、もう一息だぞ」

 

 丘を下りて街へ進んでいくと、入口の近くで街道に目を光らせている衛兵の姿が見えた。

 

「あれ?お前ひょっとしてデニスか?」

 

 父を知っているらしい衛兵が驚いた。

 

「久し振りだなモブ。元気にしていたか?」

「ああ、久しぶり。元気も何もいつも通りだよ。で、荷台にいるのは……」

「妻のアンナと息子達だ」

「お久しぶりです」

 

 モブと呼ばれた衛兵が俺達の方を向いたので軽く会釈する。

 少し話をした後に滞在目的などの確認を終え、俺たちは門をくぐる。

 

「「わぁ…!」」

 

 門を抜けた先の街の光景に、俺とテオは思わず感嘆の声を上げた。

 広い街路の両脇に隙間なく建ち並ぶ建物。

 村にあるような木造建築ではなく、石造りやレンガを使っている物ばかりだ。

 そして村では聞けない鐘の音が聞こえてくる。

 昔の中世ヨーロッパはこんな感じだったのかもしれない。

 更に道行く人々の中に、革鎧や魔法使い風のローブと杖のセットといった、いかにも冒険者っぽい服装をした人がいた。

 

 テオ同様街に初めて足を踏み入れたのもあるが、ファンタジー小説を知る転生者の俺自身はこの光景を見て「ああ、ここは異世界なんだな」と改めて実感した。

 尻を痛めた甲斐があった。

 

「ねえ、あれモーおじさんじゃない?」

「あらホントね」

 

 テオが指差した方向にモーリッツの姿が見えた。父が「おーいモーリッツ」と呼びかけると、彼はこっちに気付いてこっちに来た。

 

「なんでお前らここにいんだ?」

「二人を鍛える前にマナ測定をしにな。最近物騒だって言っていただろ」

「ああ、成程…確かに魔法が使えるかどうかわかっていたら鍛え方も決まるしな」

「お前はこれから仕事か?」

「いや、今日は休みだ。昨日戻ったばっかで疲れたからな。他の連中は今頃ギルドで飲んでいると思うぜ。せっかくだから顔を見せたらどうだ?」

「そうだな。じゃあ、後で行くよ」 

「よし、そうと決まれば早速あいつらに報告しねえとな」

「そう言ってお前も流れで飲む気だろ」

「へへ、バレちまったか」

「まったくもう……子供たちがいるんですからお酒は程々にしてくださいよ」

「分かってんよ」

 

 大の大人がこんな真っ昼間にお酒?生活習慣病になりそう。

 

「お前ら魔法が使えなくても泣きべそをかくなよ~」

「余計なお世話だーい」

 

 モーリッツと一旦別れ、荷車から降りた俺達は徒歩で教会へ向かう。

 通りに出ている露天や周囲の建物を観察しながら街路を進んでいき、街の中心に向けて結構な距離を進んだところで礼拝堂のような建物の前に到着した。

 

「ここがオルスタにある唯一の教会だ。マナ測定以外に、孤児院や治癒院の役目を担っているんだ」

「「へえ」」

 

 地球ではゴシック建築と言うのだろうか。建物の中央に尖塔が高くそびえ立っており、大きな開口部にステンドグラスがはめ込まれている。

 教会の中に足を踏み入れると、内装は骨組みで天井を支える構造で、より高く、より広い空間になっていた。

 異なる世界でもこうも建築様式が似ているとはな。

 奥の祭壇には人型の像があり、その上にステンドグラスから差し込んだ色とりどりの光が降り注いで輝いている。

 立ち並ぶ長椅子に、像に祈りを捧げるシスター達の姿がぽつぽつとあった。

 

「こんにちは。お祈りですか?」

 

 重々しい空気に包まれている中、脇にいた若い神父がこっちに来て話しかけてきた。人当たりの良さそうな好青年に父が答える。

 

「いや、息子達のマナ測定をしてもらいたくて来たんだが…」

「そうでしたか。少しお待ちを」

 

 神父が近くの修道女に声を掛け、少し話をした後戻ってくる。

 

「お待たせしました。今日は他に人もいないので、準備が出来次第受けれますよ」

「それは良かった」

「こちらへどうぞ」

 

 神父に促され、側面にある控室の様な場所に案内された。

 

「本日お子さん達のマナ測定の担当をさせていただきますアランと申します。準備が終わるまでの間、お子さん達に魔法について少しレクチャーをしましょうか」

「「よろしくお願いします」」

 

 おお、とても有難い。俺はファンタジー小説でよく出てきて当たり前に認識していたけど、この世界の魔法はどう定義されているのか分かっていない。

 

「まず、お二人は魔法がどういったものかわかりますか?」

「俺知っているぜ。魔法使いが魔法の源であるマナを使って、炎とか出したりできるんだろ?」

「半分正解……ですが惜しいですね」

 

 ん?

 

「確かにマナは魔法を発現するのに必要なエネルギーですが、それだけではありません。マナは目に見えない生命の源でもあり、ありとあらゆる生命に内在しています。土や空気、森の木々、山から流れる川の水、自然に生きる動物達…この世界そのものを構成する全てにです。基本的に全ての生き物は自らの生命力によって生み出される内界マナと、自然の息吹として世界に満ちている外界マナを循環させながら生きています。つまり、マナはこの世界に生きる生物全てが生活する上で重要な要素のひとつであって、決して魔法使いにだけ特別備わっている力ではありません」

 

 つまりマナは生命の源でもあり、常に俺達と共にあるということか。

 何某遥か彼方の銀河系の○○ースみたいと考えれば分かりやすい。

 

「マナの循環について詳しく説明しますと、循環に必要な『器』が私達の内側に存在します」

「器?」

「マナ同様目では見られず、触れることもできない霊的な器官です。この器で大気中のマナを呼吸の様に取り入れ、体内で生み出されたマナと交換し、器を通して吐き出しているのです」

 

 空気中の酸素をからだに取り入れ、いらなくなった二酸化炭素を外に出す肺みたいなものか。全ての生き物にあるという事は俺にもあるのだろう。

 

「魔法使いはこのマナを吐き出す際、生命活動以外に自らの望む現象へと変えて引き起こすことができます。この行為が『魔法』です。ですが、魔法は誰もが行使できる力ではありません。何故か?それは魔法使いとしての素質が関わるからです。特に『マナ総量』、『マナ操作』、『魔法適性』の三つが、魔法使いになれるかどうかに大きく影響します」

 

 なんか知らない単語が色々出てきたぞ。重要そうだし注意して聞いておかないとな。

 

「まずは『マナ総量』の説明から。取り込んだマナを一定以上貯める事ができる量のことを指します。身近なものに例えるなら、水を貯めておく桶が分かりやすいでしょう。桶が大きければ大きい程、水を多く貯めておけます。それはマナを循環させる器官も同じです。基本的に個人のマナ保有量は生まれた時からほぼ決まっています」

 

 ゲームで言う、MPみたいなものか。ゲームだとレベルアップする毎に増えていくものだが、そう都合よくいかないか。

 

「器に貯めることができるマナの量には個人差があります。貯めるマナが少なければ魔法が使えません。しかし世代が進むにつれて魔法も研究され、予めマナの篭った石――魔石を用いて魔法に充てるという方法が確立されました。魔法使いの中に魔石が埋め込まれた杖を用いる方がおられるのはそのためです」

 

 そういえば街で見かけた魔法使いらしい人物が持っていた杖に宝石みたいなのが付いていたな。ただの飾りじゃなくて、魔法発動を補助するための触媒だったのか。

 ってあれ?

 

「魔法使いになるには、マナの保有量が一定水準を越えていないといけないってわけじゃないのですか?」

「それもありますが、それだけでは魔法使いにはなれません。魔法を扱うにはマナを知覚し意図的にコントロールする素質が問われます」

「意図的にコントロール…あ、そっか。マナを吐き出す時に魔法が発現するからか」

「その通りです。一度魔法を行使すればその分のマナを消費し、威力の高い魔法ともなれば比例して消費するマナも増えます。マナは生命の源でもあるため、無尽蔵に使うことは自らの生命力を削ってゆくことと同義です。時間をおけば消費されたマナも回復しますが、無理をすれば最悪死に繋がる恐れがあります」

「「えっ!?」」

 

 『MP切れ』イコール『死』ってことか!?ヤバっ!

 ゲームみたいに、単に呪文を唱えて手軽に放つ技じゃないのか。

 

「そうならないよう、二つ目の『マナ操作』……体内のマナや魔石に込めたマナをコントロールすることができる素質が重要となります。ただしあくまでも素質であって、実際に扱うには相応の修練を必要とされますが」

 

 才能は磨かなければ意味がないってことか。

 

「最後は三つ目の『魔法適性』についてです。これはその人にどのような魔法が使えるのかを指します。人それぞれに得手不得手があるように、得意な魔法も人それぞれです。魔法の種類は多岐にわたりますが、代表的なのが属性魔法ですね」

 

 出た。属性魔法…!

 

「属性魔法は一言で言えば、マナに自然界に存在する属性を付与し、強力な力へと昇華させる魔法のことです。火・水・土・雷・風・光。世界を構成する根本的な要素であるこれらの属性のいずれかに変換することで、魔法使い達は様々な魔法を使用します。しかしどの属性が使えるかは生まれ持った適性で予め決められています」

「えっ、じゃあ例えば火属性の適性を持つ魔法使いはそれ以外の属性の魔法は………」

「使えません。属性魔法の適性は基本的に一人につき一つです。しかし二〇〇万人に一人、複数に適性のある魔法使いがおり、殆どが最高峰の学び舎で魔法を学んだ後、位の高い役職に登用されます」

 

 マジか。複数持ちは重宝されるのか。それだけの逸材なら学校に行かせられることにも納得だ。

 

「これら三つの条件を満たして、ヒトは魔法力の有無が決定されます。そして人それぞれに違いがあるように、使える魔法の種類や強度も異なります。基本的に生まれながら特質である為、魔法使いの実力はほぼ生まれながらに持った才能となるのです。我々教会はその才能を見つける手助けをしております」

 

 これまでの説明をざっくりまとめると、こんな感じか。

 

・魔法:マナを燃料に様々な超自然的現象を引き起こす技。マナを電気と例えるなら、魔法は電化製品。色々種類があり、主流は属性魔法。

・属性魔法:マナを火や水などの自然属性に変換させる魔法。

・マナ:魔法を行使する際に原動力となるエネルギー。生命の源でもあり、大気と生物の体内に存在する。

・器:生物が大気にあるマナを取り込み、吐き出すための霊的な器官。水を貯めておける桶や貯水タンクみたいなもの。

・マナ総量:器にマナを貯め込める限界量。ゲームで言うMP。マナが空になれば最悪死ぬ。多ければ高威力の魔法が使える。少ない場合は魔石でカバーできる。

・マナ操作:マナを感じ取り、操作する。マナの出力を調整できれば消費を抑えれる。

・魔法適性:どの魔法に適性があるかは十人十色。適性により使える魔法に影響がある。大抵生まれつき1つ。持っている属性に属する魔法以外は使えない。複数の属性に適性がある人は希少。

 

 で、『マナ総量』、『マナ操作』、『魔法適性』。この三つの良し悪しが魔法使いとしての才能を左右されると。

 

 科学と違って、使えるかどうかは体質というか運次第ってことじゃん。

 俺前世では運に恵まれなかったからな。自信がなくなってくる。

 いやいや落ち着け。俺は異世界転生者なんだ。こういう時は全種類の魔法への適性があるとかの転生特典がファンタジーの醍醐味だろ。

 それに『30歳まで童貞を貫けば魔法使いになれる』って都市伝説があったし。根拠がないけど。

 

「最後に、注意して欲しいことがあります。才能とはあくまでも個性の一部に過ぎません。足の速い人、絵の上手い人、皆違っています。個性に優劣なんてありません。なので、例え魔法への適性が無くとも、それを悲観することはありません」

 

 神父の締めの言葉で少し気持ちが軽くなった。なりはしたが、やっぱり魔法は使いたい。

 特にベ○ラマとかマヒャ○とか。

 神父の説明が終わったところで、修道女が部屋に入ってきて準備ができた事を告げられた。

 

「マナ測定は別室で行いますので、付いて来てください」

 

 案内された部屋の周囲に窓は無く、天井に吊るされた簡素なシャンデリアの灯りで部屋を照らしていた。室内の中央に台座に据えられた丸い水晶玉が置いてある。まるで儀式部屋だ。

 

「方法は至って簡単です。その水晶に、左右どちらの手でも構わないので触れてください」

「それだけですか?」

「はい。水晶に触れると体内にある器の『マナ総量』と適正のある魔法を診断することができます。自らの適性を見極めることで、極める魔法も決まります」

 

 まずはテオはワクワクしながら水晶に手をかざす。すると、透明の水晶が燃え上がるような赤い光を放ち出した。

 

「なんか光ってる…!」

「光量はマナ総量、色は属性を表しています。テオドール君は赤色……火属性の魔法の適性がありますね。光量から見てもマナ総量は平均以上です。将来が楽しみですね」

「おお!」

「やったわねテオ!」

 

 テオの適正魔法の火属性とは、熱量操作で火を生み出し、操る魔法だ。六属性の中で最も攻撃力の高い属性。

 ちなみにマナ測定では、火属性は赤色、水属性は青色、土属性は茶色、雷属性は紫色、風属性は緑色、光属性は金色、と色で割り振られているとのこと。

 

「では次はルーク君の番です」

「は、はい…」

 

 ヤバ、緊張してきた。

 皆に見守られながら、テオのように目の前にある水晶に手を添える。

 水晶を見ていると、水晶が放っているのは灰色の光だった。

 

 あれ?なんか属性魔法に割り振られている色に灰色なんてなかったよな。

 

「おや。これは………」 

「あの、この色は何の属性ですか?」

「…ルーク君の魔法適性は無属性ですね。マナ総量は平均より少し上くらいです」

「え?無属性ってなんですか?」

 

 属性オール却下に戸惑いつつも、なにか凄い魔法なんじゃないかと希望を抱く。

 

「すみません。説明を省いていました。属性魔法には先程の六つの自然属性の他に、『無』の属性もあるにはあります。属性自体を持たず、純粋なマナそのものを直接利用する魔法です」

 

 マナそのものを?ちょっと意味が分からない。

 

「具体的にどんな魔法がありますか?」

「そうですね。無属性の初級魔法で『身体強化魔法』があります。肉体にマナを纏わせることで、身体能力や肉体硬度を一時的に上げることができます。 この魔法は武器や防具にも適用可能です。戦士職の方々がよく使用されます。他にも周囲の生命やマナを感知する『索敵魔法』、汚れた水や服を清潔にする『生活魔法』など、冒険や日常で幅広く利用される便利な魔法が多くあります。それらの無属性魔法には属性相性が存在しないため、相手を選ばず使いやすい魔法です」

 

 確かに使いやすいのは良いけど。なんか補助がメインの魔法に聞こえるな。

 

「攻撃系の魔法はないんですか?」

「そうですね……マナの塊を飛ばす魔法がありますが、体内のマナが外に出る際に大気に霧散してしまうため、属性魔法よりも高いマナ操作が要求されます。その分マナ消費効率は良いですが、純粋な攻撃力では属性魔法に劣るため実戦ではあまり使われません」

「えぇ……」

 

 

 マナ測定で魔法使いの素養があることが分かったが、適性のある魔法は属性魔法ではなく、無属性魔法という誰にでも使える魔法だった。

 

 

 どうやら転生後も俺はくじ運に恵まれていないようだった。

 

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