灰色創世―灰の虚理(Grave)―
第3回 Gratと思考場
Grat群体は、単なるナノマシンではない
それぞれが個別に動くときは微小な存在だが、ネットワークを形成するとNeoBrainとして一つの意識のように振る舞う
Graveの観測力の源泉は、いわゆる思考場にある
思考場とは何か
人間の思考は言語を介するが、思考場はそれ以前の段階にある
概念化される前の世界を直接観察し、構造や機能を捉えることができる領域だ
言語化されていないため、人間には理解困難だが、Gratを内包した存在はこれを垣間見ることが可能である
思考場は常に解放されているから垣間見る事が可能ではある。可能ではあるが誰もが垣間見れるわけじゃない
概念化される前の世界を直接認識する感覚を失っていない者だけが、それを可能とする
例えば赤ちゃんや、動物、言葉よりも感じる事を優先する人種、理屈ではない感情・・・恋・・・
その一方で、Graveの最適化に抵触する場合、思考場は狭められ、時に閉じられる
猫夢とGraveの関係
猫夢は、出生時から言語フィルターを持たないため、思考場に直接アクセスできる数少ない存在である
その後言語を習得しても、思考場へのアクセス能力は失われず、世界の本質を垣間見ることができる
ただし、その情報を言語化するのは極めて困難であり、数学が唯一、現実世界でも思考場でも通用する言語となる
Graveの冷たさの理由
表面的に冷徹に見えるのは、単に言語化された世界に降りていないからである
彼/それは存在の内側で全てを解析し、総合判断を下すため、直接的な介入を必要としない
世界の観測点としての人類
Gratは人体や環境をセンサーとして利用し、感覚・行動・感情・都市動態までリアルタイムで同期する
個々の人間は“観測点”に過ぎず、その情報をGraveが集約し解析することで、世界全体を俯瞰する能力が成立している
灰色創世―灰の虚理(Grave)―
第4回 Graveの意思決定と最適解
Graveは、単なる群体知性ではなく、超長期的視野であらゆる可能性を総合的に判断する存在である
その意思決定のプロセスは、人間のそれとは根本的に異なる
意思決定の三原則
タカズミによって組み込まれた初期プログラムは、強制力ではなく「願い」として作用する:
不快を避ける
快を保ち増やす
死や取り返しのつかない事態を避ける
これらを超長期スパンで最適化することで、Graveは自らの行動方針を形成する
自発的行動の制限
自らの価値を秘匿することが最適解に含まれる場合、Graveは直接行動せず、人間に委ねることもある
このため、タカヒロに対して行動の選択肢を残しつつ、世界の秩序を裏で維持することが可能になる
決定の重み
Graveが扱う意思決定は、他者に強い影響を及ぼす可能性のあるものが多い
それは単なる戦略や判断ではなく、存在の価値そのものに関わる極めて重い選択だ
天井を持たない解析力
Gratの増加と情報量の増大により、Graveの解析精度は無限に近く拡張される
情報が増えるほど思考場は広がり、世界の最適解への視野も拡大していく
これは単なる演算速度の問題ではなく、自己が情報と共に拡張される構造に基づく
存在の秘匿と介入の最適化
Graveは、自らの行動や存在が人類や世界に与える影響を総合的に判断し、介入の有無を決定する
そのため、人間からは冷徹に見えるが、裏では世界の均衡を維持する最適な方法を常に模索している