もしユメ先輩が居なくなった直後のホシノが現代のアビドスに来たら 作:気弱
先生の膝の上に撃沈するのであった
「即落ちだー!!!」 セリカの叫び声が廊下に響き渡り、隙間から覗いていたメンバーたちは一斉にずっこけた。
「……ん。秒殺だった。ホシノ先輩、意志が砂よりも脆い」 クロコが呆れたように、けれどどこか楽しそうに呟く。 「あはは……。でも、先生にあんなに優しくされたら、私でもああなっちゃうかもしれません」 アヤネが顔を赤らめながら眼鏡を押し上げる。
一方、宿直室内では――。 扉の外の騒ぎなど全く耳に入っていないホシノが、先生の胸元でふにゃふにゃになっていた。
「うへへ……先生ぇ……。やっぱりおじさん、先生の膝の上が一番落ち着くよぉ……」 「そうかい? それならいくらでもいていいよ。いつも頑張ってくれているホシノへの、特別報酬だね」
先生は相変わらずの聖人スマイルで、ホシノの髪をさらさらと梳いている。 その時、ユメ先輩が「お邪魔しまーす♪」と、わざとらしくドアを全開にして入ってきた。後ろには、ニヤニヤが止まらない後輩たちがぞろぞろと続く。
「ホシノちゃーん? 『証明』の方はどうなりましたかー?」 「ひゃぅっ!?!?///」
ユメ先輩の声で、ホシノは弾かれたように先生の膝から飛び降りた。 「ゆ、ユメ先輩! 違うんだよ、これは、その! 先生が無理やり座らせたというか、不可抗力というか……!」
「えっ? いや、ホシノから座ってきたよね?」 先生が不思議そうに首を傾げる。
「先生は黙ってて!!///」 「ええ……」
「先生ー。ホシノ先輩、さっき部室で『絶対におじさんなんて甘えた声出さない!』って豪語してたんですよー?」 セリカが追い打ちをかけるように告げ口する。
「おじさんなんて言わない……? そういえば、さっきホシノ、自分のこと『私』って言ってたね」 先生は顎に手を当てて、少し真面目な顔になった。
「……ホシノ。もしかして、私にそんなに気を遣っていたのかい? 自分のことを『おじさん』って呼ぶことで、私との間に親しみを作ろうとしてくれていたのに、それを無理にやめるなんて……。そんなに無理をさせていたなんて、先生、ショックだよ……」
「……え?」 ホシノの動きが止まる。 (ち、ちが……。おじさん呼びは恥ずかしいからやめようとしただけで……なんで先生、そんなに悲しそうな顔してるの!?)
「いいんだよ、ホシノ。君がどんな呼び方をしたって、君は私の大切な生徒だ。でも、君が一番『楽』だと思える自分でいてほしい。……だから、これからも無理して『私』なんて言わなくていい。甘えたい時は、いつでも『おじさん』としておいで」
先生は、ホシノの両肩を優しく掴んで、真っ直ぐに瞳を見つめた。 その瞳には「お前はもう逃げられないぞ」という邪念は一切なく、ただ純粋な、底なしの慈愛だけが詰まっていた。
「………………っ/////」 「あーあ。先生、トドメ刺しちゃった」 クロコが横でポツリと零す。
「う、うわああああああ!////! もう知らない!! 先生のバカ!! 鈍感!! 宇宙一の天然タラシ――っ!!////」
ホシノは顔から火が出るほどの勢いで、真っ赤になって部室へと逃げ帰っていった。 その後ろ姿を見送りながら、先生は「……タラシ? 褒め言葉かな?」と、どこまでもマイペースに首を傾げていた。
「ふふっ。ホシノちゃん、前途多難だねぇ♪」 ユメ先輩がクスクスと笑いながら、先生のデスクに置いてあったお菓子を勝手につまむ。 アビドスの賑やかな放課後は、こうしていつまでも、いつまでも続いていくのだった。
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