あとは作者の偏見が入った解釈があります。ご注意を・・・・
お嬢様観察日記
●月×日 晴れ
今日は、お嬢様の入学式である。…そして俺の転入日でもある
AM7:00に送迎の車を運転し学園へ向かう。その後、帰宅するまでのPM5:00まで有りもしない襲撃に警戒しつつ学園生活を堪能する
……『マナ』仕様の車の為、緊張したが問題なく『マナ貯蔵器』が使え問題なく車を運転できたのは今日の収穫であり、今後の糧になると確信した
………これを作り出した博士は、やはり天才であった
●月〇日
今日は学校も仕事もオフだった為、テロリズムを行った
二国連続爆破テロにより死亡者726人のスコアを出した
最近テロリズムが上手くなって来ているようで嬉しく思う。……そして、臨時収入として帰還の際にドラゴンと遭遇。大型種は狩り取れなかったが、小型種32匹の殺害に成功
……だが、現場に居合わせた第一中隊に攻撃を仕掛けられた。適当にあしらったが、ゾーラの目が獲物を狙う眼で少し……引いた
●月@日 晴れ
お嬢様がエアリア部に入部した。……俺は何故かマネージャーになってしまった
最近お嬢様にお近づきになりたい男子の目が鬱陶しい。それに帰宅の時間がいつもより2時間ほど遅れる様になり、今後のテロリズムに支障がでると思われる。遊んでいる時間はないのでこの仕事を辞めようと思う
●月△日 くもり
………給料が倍に膨れ上がった
テロを行うにもお金が大切。俺はこの仕事を可能な限り、続けようと心に決めた
今日もお嬢様に告白しようとした輩を排除した………雇い主の命令だとは言え命の奪えない戦いほど虚しいモノはない
「……もはやこれは、俺の日記だな」
「ツキトさん、ミスティお嬢様のご登校です。車の手配をお願いします」
「了解した」
俺はふっと、読みかけの日記を最初のページまで捲った
●月□日 はれ
運命の悪戯なのか俺は、ローゼンブルム王国において王女護衛の仕事に就くことになった
………運命の女神は何を考えているのか理解出来なかった
クロスアンジュ天使と竜の輪舞 ~黒百合~
第九話 ドキドキ!?学園生活!
ローゼンブルム王国―――
ミスルギ皇国と繋がり、貿易や外交に力を持つ、世界に強い影響を与える事の出来る6国の内の一つ。そして―――『ノーマ』を収納する『アルゼナル』を管理する国
以前は人の集まる大国としてテロリズムの標的にしていたが、今回は『アルゼナル』もとい『ドラゴン』の情報を収集する為に密入国したのだが……時期がイケなかった
今年は国王の娘が、フロリア学園に入学する年であり、王女の身の安全を心配した国王が王女の護衛を国中から募集したのだ
当初、一人娘に大袈裟だなとせせら笑うが、多額な給金と明確な勤務時間そして王家に接近出来る
三拍子整っており、情報収集をするにはうってつけ、尚且つ活動資金も貰えると言う好条件が提示されていた為、最近懐具合が厳しくなってきていた俺は迷わず飛びついた
後日、筆記試験、実施試験を難なくクリアし実際に護衛する対象であるミスティ・ローゼンブルムを含めての最終面接が行われる事になったが、横に並ぶのは国で一二を争う程の軍人や検疫官、その他にも貴族が送り込んだ縁談目的の養子等、総勢12人の候補の中で俺はフリーカメラマンと言う偽りの職業とツキト・アンダーリバーと言う偽名で13番目の席に座った
勿論、場違いな雰囲気があるのは十分承知していたし、もし脱落してもローゼンブルム王族の顔は把握できた。この数日で資金の伝手も何とか作れた。……俺にとって、この面接の重要性はほぼ皆無になっており、気楽にいつも通りの対応で臨んだが……なぜか受かった
しかも、勤務内容が護衛から『学園内の護衛』になっていた
不思議に思い、合格通知を伝えに来たSPに話を聞くと、国王はテロに過剰に敏感になっており、学園内でも護衛できる人物を探していたらしい……特に黒百合の悪魔のテロを恐れているとの事
………黒百合の悪魔って、俺だよ
勿論、勤務時間の変更や業務の変更が行われ更には俺のフロリア学園への編入手続きまでもが行われていた。……勝手にダブりと決められ一年生から編入させられると知った時には驚き、同時に初めて王族を恐ろしいと思った。気付いた時には外枠が埋められ、逃げるに逃げだせない状況になっていたのだから…
俺は、思わずハンドルを握りながらタメ息をついた
「あら?ツキトさんがタメ息なんて珍しいですわね?」
俺に話しかけてくるのは、SP曰く最終面接の結果を自身の一存で決めたと言う俺の護衛対象、ミスティ・ローゼンブルム
バックミラー越しで何故彼女が笑っているのか、表情を読み事は出来なかったが……特に意味なく笑っているのであろう
「いや、俺が屋敷に拉致された事を思い出していた」
「え!?それは……大変申し訳ない事をしたと反省していますわ」
「人の都合を考えられない人間がトップに立てると思うなよ」
「………はい」
合格通知が届いた翌日の早朝に、黒服SPの集団襲撃による拉致。……俺はついにお縄につくのかと思ったぐらいだ。しかしそれはミスティ・ローゼンブルムの私欲を満たす為だけの命令だと言うのがなおさら悪い……主に俺の心臓が…
一通りミスティお嬢様に忠告をしたが、何を思ったか彼女は、また手を口に添えて笑い始めたのだ
「……なにが可笑しい」
「いえ、貴方は出会った時から変わらないと思いまして……」
何を思ったのか車の窓を開けるお嬢様
護衛する身としては、そう簡単に顔を外に出して欲しくないモノだな
「
普通そうだろうな。
しかし、俺の場合は、面接の時から変わらずこのスタイルでやらせて貰っている。いまさら変える事など出来ないし、変えるつもりもない
「態度を弁えろと言うつもりはありません。ありのままの貴方に
「……主語がない会話で何を察しろと?」
「ごめんなさい。……最近、チームメイトだけではなく学園のみなさんが貴方の事を『月の騎士』と呼ぶのですよ?」
「………はぁ?」
思わず呆れた声を出してしまったが、安全運転は徹底している
その程度の動揺で事故る事はないが…………なんだそれは?
滅多に聞く事の出来ない俺の気が抜けた声にお嬢様は、また口に手を添えて笑う
「ふふ、影から
影から守るのは護衛として当然の事であり、公に護衛がついていると知れたら
「………ねぇ、ツキトさん」
「はい」
あっ!くそ!信号に捕まった!ここの信号、赤の時間が異常に長いんだよ!
「
進路?……爆炎と血海の世界に専念するだけだよ
「……世界を周るだろう。まだ見ぬ命を狩り取る事に使命感を抱いているからな」
「そう、ですか……では!先の選択肢の中にココで働く事も入れておいてください!
一瞬顔を伏せたと思うと、直ぐに顔をあげ、頬を真っ赤に染めながら俺に王国に残ると言う選択肢を提示してきたが…………………風邪か?頬の赤み具合から体温が上がっている事がわかる。今朝の様子ではそんな素振りは感じられなかったが、具合が悪いのであれば早退した方が……でも、まだ早朝だ。そのうち良くなるかもしれない、ここは―――
「―――気長に考えるとしよう」
「ッ!はい!」
その後、お嬢様の体調は学園に着く頃には良くなり、なぜか機嫌も良くなっていた
◆
「アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ?」
「えぇ、ご存知ですの?」
時刻は夕暮れ、いつも通りお嬢様に近づく害虫を駆除し、
今だってエアリアの練習をしていたお嬢様とチームメイトの後片付けをマネージャーらしく、手伝っている
………そんな時に話題にあがったのが先の人物だ
「ミスルギ皇国の第一皇女、ソフィア・斑鳩・ミスルギの第二子。ミスルギ3兄妹の長女であり、国民からの人気が非常に高いロイヤルファミリーの中でも最も人気を集めている人物」
「お、お詳しいのですね?」
「世界情勢、特に各国のトップぐらいは把握しておけ」
ミスルギ王国には何度かテロリズムを行いに密入国した事はあるが、これと言った情報が得られなかったのでテロだけして帰国したな。ただすれ違う人々はみんな澄んだ目をして、争う事のない平和な表情をしていたな?
あぁ、あと名前は忘れたが大きな塔が立っていた……あれを爆破するとどれだけの死者を出せるか試してみたいが……検討してみよう
「それで、ミスルギの皇女がどうした。…まさかこの学園に来るのか?」
もし本当にそうなったら俺は今すぐに退職しよう。国でトップの娘が二人も通う学園など針の莚だ。………俺の胃に穴があく
「いえ、アンジュリーゼ様は鳳凰院ですわ。そう鳳凰院ですの!そしてアンジュリーゼ様は鳳凰院のエアリア部に入部したそうですわ!」
「落ち着け……王族の名が泣くぞ」
「も、申し訳ありません。ですが、アンジュリーゼ様が
「それと他国の皇女を様付けで呼ぶのはやめろ。ローゼンブルム王国とミスルギ皇国の間にくだらない問題が発生する」
主に上下関係に関わってくる。国王がそんなに器の小さい人間でない事は理解しているが、家臣や大臣の中には、快く思わない者もいる。国のトップとしての威厳ある行動と言うモノは必ず必要とされるスキルなのだ。……それを王女であるミスティ・ローベンブルムが実践しなくてどうする
……だが、決してそこまでの助言などしない。心の中で留めるだけにする
なぜなら俺にとって大国二つの戦争は、プラスになるモノであり決してマイナスになるようなモノではないのだからだ
まぁ、お嬢様の事だ。考えもなしにミーハーな思いで勝手に酔狂になっているだけ
暫くしたら、熱も冷めて普段通りになるだろう
ローゼンブルム家の将来が崩れ落ちていく事を想像しながらエアリアを倉庫に戻す為に、腕に力を入れたが、妙な引っ掛かりを感じ後ろを振り向く……なぜか知らないがお嬢様がしかめっ面で俺の袖を掴んでいた
「……なんだ」
「先程の助言、いくら貴方の言葉とはいえ聞き入れられませんわ」
「………」
なんだ?戦争の火種を灯したままにしてくれるのか?こちらとしては大歓迎だが?
「貴方の言う事も重々承知しておりますわ。王女である
「……そうだ」
「でも、それは本当にいけない事なのでしょうか?」
「……なにが言いたい?」
「互いに思い合い、心から尊敬できる人物なのであれば立場など、なにも関係ないのではないのでしょうか?」
こいつ…まさか……
「
俺の目をじっと見ながら語りかけてくる彼女はいつもの世間知らずのお嬢様ではなく、王女として国民を思う気持ちにあふれていた
「国民を敬し国民に耳を傾ける」
「え?」
「国王は国民を愛し尊敬する、そして国民も国王を愛し尊敬する。……国あっての国民ではなく、国民あっての国だと言うのだな」
「国?国民?よ、よくわかりませんが、王族は国民を大切に思う気持ちを忘れてはいけないと言う事ですわ!」
思わず口元が緩んでしまうが仕方がない事であった
久しく見る事がなかった、この世界では珍しく公正であり誠実な人物に出会っていたのだから…
「理解した。君は『心』でその事を理解している様だ。君が王女であることは国民にとって誇りになるだろう」
「ほ、誇りですか…そう慕われていたら嬉しく思いますわ」
俺の前世なんぞ国民を苦しめるだけ苦しめて更にはオカルト儀式の生贄までにした瘋だ
それに比べローゼンブルム王家は、民の事を第一に思い民が健やかに過ごせる様にと思っている事がお嬢様の考えから察する事ができる
……血で手を汚している俺でもこの関係は崩したくないと思えるほどに、だ
「ふっ、話してくれないか?……お嬢様がどれだけアンジュリーゼ皇女を尊敬しているのかを…」
「っ!は、はい!」
今後、疑われるかもしれないがローゼンブルム王国でのテロリズムは控えようと決めながらお嬢様の話に耳を傾ける。
国民を第一に思うお嬢様が尊敬する人物なのだ、きっとミスルギ皇国に住む全ての民を愛しているのだろうな
「容姿端麗、才色兼備で、スポーツ万能で、高貴で礼儀正しく、国民から愛され、同級生からも多く慕われていると耳にしましたわ!」
「そうか…」
「乗馬もお上手で社交界の花!アンジュリーゼ様がお召しになったお洋服は常にブームとなり、マネをする子供達が多くいると聞きましたわ」
「お嬢様もそうなればいいな?」
「はい!そしてなにより、あの志の高さ!アンジュリーゼ様は『ノーマ』の存在を危惧に思い『ノーマ』の根絶こそが最高の理想と語っておりましたわ!
「そうか…………なん、だと!?」
「え?どうかなさいましたか?」
思わず耳を疑ってしまった
『ノーマ』の根絶こそが最高の理想だと!?
では、スメラギ皇国は『ノーマ』をどのように根絶させると言うのか!?同じ国に住むモノだと言うのに情けは無いと言うのか!
「お嬢様、スメラギ皇国は『ノーマ』を殺すのか?」
「殺す事などさせませんわ!」
普段出す筈のない大きな声で俺の言葉を否定するお嬢様
それは彼女の言葉から感じる事が出来る様にローゼンブルム王国は『ノーマ』に対する考えが他とは違う事が読み取れた
「『させません』……と言う事は、スメラギ皇国は『ノーマ』の殺害を実行しようとした事があるのか」
「ッ!」
「あるんだな」
俺の言葉に顔を伏せるミスティ・ローゼンブルム。彼女の仕草が俺の質問の答えになっていると彼女は気付いているのだろうか?
「……です」
喉から必死に声を絞りだそうとするお嬢様の言葉を聞き逃さない為にも耳を澄ませた
「我がローゼンブルム王国を除く5国は、『ノーマ』を捕獲する際、抵抗するようであれば『ノーマ』、それを擁護する者に対し発砲する事が認められていますわ」
「………」
「そして公になってはいませんが、その射殺件数が一番多いのは……ミスルギ皇国です」
「そう、か……」
あぁ、納得言ったよ。世界を見て感じた他の国には無い独特な感じ、澄み切った目や平和そうな表情は………敵は『ノーマ』だけと言う歪んだ思想で染まりきってしまっているからなのか
「で、ですか!
「………そうだといいがな」
ミスティ・ローゼンブルムは、アンジュリーゼを信じればいい
人の信仰など誰にも汚す事のできない神聖な領域なのだから理想を抱いていればいい
……だが俺は信じない
国民あっての国―――
国民が『ノーマ』を反社会人物と根深く思わせたのはミスルギ皇家があってこそのモノ、『ノーマ』を国民として、人間としてみないアンジュリーゼを生かしておいていいのか?
……ローゼンブルム王家の思いに反し、射殺を許可するなど、以ての外だ
まだ染まりきっていない国を救う為にも………ミスルギ皇家には消えてもらったほうがいい
「……帰るぞ」
「……………はい」
俺とお嬢様は練習場を後にした
既にエアリアの練習場に日の光は届かなくなっていた
「あ、エアリアを片付けていませんわ!」
「かまわん。それより、公共の場では様付けは控えろ。…あとは何も言わん」
次回、やっと!原作一話!