「アレクトラ…私…なんて馬鹿なことを……」
「サリア……ふ、お前に偉そうな事を言っておきながら私も何も出来なかったよ」
「違う…違う、違うの!アレクトラ!私は!」
「何も言うな………ホント、あんたは私にそっくりだよ……全てわかる」
「アレクトラ……」
ふぅ………茶番だな?
傷が完全に塞がり移動しても問題ないと判断した俺は、ジル元指令をブラック・サレナに乗せアウローラへと帰還を果たしたのだが、目の前で繰り広げられた姉妹愛溢れる会話に人を救う喜びを知った感情の高ぶりが一気に冷め切っていた
テロリストとして感情を殺していたとは言え、長年覆っていた偽りの仮面を脱いだとしても後味は残ると言う事か……
しかし、仮面を外した事により抑え込んでいた感情が出てくる様になった事も事実、俺の関心は茶番より新薬を投与した
急速な人体の再生に身体や体力がついて行けないのかマギーに肩を貸して貰いながら魔法…サリアと話すジル元指令。
今度、使用する際は患者が新薬に耐えきれる程の体力があるか検討して投与しなくてはいけないな?今回は上手く行ったが、一歩間違えれば人格破壊もしくはドラゴンと化していただろう
「……あの血痕にスーツに空いた穴、相当の量の血を流したと思われますが……まさかと思いますが?」
ジル元指令の容態を遠目に観察していたサラマンディーネは壁に寄りかかりながら煙管を吹かす俺の元へと近づいて来たと思えば、鋭い視線を突き付けながら俺に問いかけて来たのだ
「次元治療薬を使った」
「なんてことを!……一歩間違えれば人間体、しいてはその人格を破壊する薬だったはず。……それを使うなんて」
非難の視線を向ける彼女ではあるが、最初に使ったのはお前だからな?
よくも理解していない薬を意識が無かったとはいえ、俺に投与するように命じたのはお前だからな?
それに俺の新薬は、貴様の時と違い既に臨床実験は終了している
「既に
「えぇ、エンブリヲに攫われました」
俺は重々しく、肺に溜まった煙を吐き出した
……あの時、タスクと一緒にアンジュの元へと行っていれば最悪の事態は防げたかもしれない。いや、どちらにせよエンブリヲの能力を過小評価していた俺のミスだ。……悔やんでも結果は、変わらん。ここは、死んでいた筈の
「……サラマンディーネ、エンブリヲの消息は?」
「わかりません。……今、同胞たちが辺りを捜索しているのですが…」
「そうか」
苦虫を潰したかの様に顔を歪めるサラマンディーネだが、彼女らしからぬ程に視野が狭くなっているようだ
外は時空融合の影響で荒れ荒み安息の地は無い、そしてエンブリヲは次元力を操作する事が出来る。すなわち――――
『時間と空間の狭間……非影響域の果、虚数の海、エンブリヲはそこにいます』
「「「ッ!」」」
「……アウラか」
俺の結論出した答えと同じモノを皆に伝えたのは、母性溢れる暖かさを持った声―――アウラであった
「時空の狭間?」
「そう、あらゆる宇宙から孤立した、特異点からもたどり着けない場所」
「んなところどうやって行けばいいんだよ」
『たどり着けない場所』その言葉に苛立ちを隠せないヒルダは、アウラに向って声を上げるが、俺には『たどり着けない場所』へ行く方法への糸口は掴めていた
「時空跳躍システムを使えというのだろ?……幸い『ヴィルキス』には時空跳躍システムが搭載されている……エンブリヲの所へ行く事は可能だ」
「だけど『ヴィルキス』を使えるのはアンジュだけだ」
タスクの声に皆、同じ事を考えを持っているのか、説明を求める様に俺に視線を集めて来た
「『ヴィルキス』はアンジュしか操作できない……その考えは間違っている。『ヴィルキス』は他のラグナメイルと同じであり、テオドーラしかりクレオパトラの様に指輪さえ在れば起動する事が出来る……違うか?」
『はい、人類の未来を照らす光…ラグナメイルはその為に作られたモノ……強きの意思、人の思いに答えてくれるはずです…必ず』
「強き意思……精神論は好きではないが、指輪さえ在れば『ヴィルキス』を起動する事が出来るのは事実だ。しかし―――」
『ヴィルキス』を動かす事が出来る!希望を持ち始める彼女らに俺は言葉を続けた
「エンブリヲの居る場所を特定する決定打ではない。…奴の居る場所がアウラの言う通り、あらゆる宇宙から孤立した場所であるのならばアンジュを探す事は砂漠の中から一粒のガラス玉を探す様なモノだ」
ようは乗り物はあるが、目的地がわからないと言うモノ
幾ら時空跳躍システムで奴の居る空間に入り込めたとしても意味が無いのだ
当てもなくただ飛び回っては手遅れになりかねない、だからと言って何もせずにエンブリヲの好きにさせ時空融合を起こさせる訳にも行かない
そんな事になってしまったら世界は勿論、この世に生きる全ての人々が途方に暮れ……新たな戦火の火種となってしまう。
ヒルダと共に暮らす日常が戦火に焼かれる世界で、と言うのはあまりにも酷過ぎる
それに愛する人を目の前で攫われたタスクはどうなる?
今も歯を喰いしばりながら必死に打開策を考えるタスクに俺は『人を救いたい』と言う気持ちが再び燃え上がり、そして非科学的な方法が浮かび上がった
………俺の信条に反するが今はそれしか道が無い
「……タスク、貴様がヴィルキスに乗れ」
「え?」
「根拠も理屈も何もない。……非科学的だが、お前ならばアンジュの元へと導いてくれる気がする」
アウラの言葉を借りるのならば『強き意思』によってタスクはアンジュの所に辿り着く事が出来る、そんな気がするんだ
「アキトの言う通りだな。……傍から見てもアンジュとはアンタが一番強く繋がっているんだ……頼んだよ、タスク」
やっとの思いで絞り出した策とも言えない方法に強く拳を握りしめてしまうが、直ぐに俺の拳を包むようにヒルダが手を重ね、握り込んだ拳を開き手を絡めてきた
……もしこの世界に神と呼ばれるモノが本当に存在するのであれば『愛』によって導かれる事は必ず良い方へと導いてくれる、俺がヒルダと再会したようにタスクもアンジュの元へとたどり着く事が出来るだろうと祈ろう
手を繋ぐ俺達を見て決心したのかタスクは、大きく頷くと『ヴィルキス』に乗り込み指輪を翳した
「聞いてくれヴィルキス…アンジュじゃなくてヘソを曲げてしまうのは判るよ。でも今は俺に力を貸してくれ。オマエもずっとアンジュを守って来たんだろ?なのにあんな奴に奪われていいのかよ!」
それは志を同じくする者の願いを込めた叫びであった
タスクがアンジュの騎士であるように、ヴィルキスも今まで一緒に戦ってきたアンジュの剣、アンジュの盾となって命のやり取りをしてきた戦友なのだ
主であるアンジュの危機を救う為に騎士は剣を取る
「眼を覚ませヴィルキス!俺に力を貸してくれ!」
タスクの魂を込めた叫びが格納庫に響き渡り、そして―――奇跡を生み出した
「聞こえた…いまアンジュの声が!」
タスクだけに聞こえる愛する人の声…そしてアンジュの剣は騎士の剣となる為に形を変えた
他のラグナメイルと同じく白いカラーディングを黒に染め上げ、しかし強き意思の象徴とも言うべきか赤いラインが神々しく光り輝いた
「ビルキス《ザ・プリミティブ》か……行くぞタスク!」
「総員ラグナメイルの発進を急げ!奴に対抗するにはラグナメイルの力が必要だ!」
「「「イエス!マム!!」」」
「アレクトラ!」
「わかっているさ、サリア……私の分も頼む」
「任せて!」
ジル元し…アレクトラ・マリア・フォン・レーヴェンヘルツ
エンブリヲに手籠めにされ生き恥を曝し自己勝手な復讐に囚われていたジル元指令ならば、こうも簡単に信頼は回復されなかっただろう。しかし、一人の人間として『リベルタス』に参加する同志となった今、これほどまでに信頼を置ける司令官はいない
「指令!あたしも行くぜ!」
「ヒルダ……いや、奴に対抗するにはラグナメイルが必要だ。ここはクリスに「私のラグナメイルを使って!」だ、そうだ。……いけるな?」
「あぁ!もちろんだ!…友達を誑かした罪晴らさせてもらうさ!」
唾吐き女……クリスから指輪を預かったヒルダは指に嵌めるとテオドーラに搭乗した
ヒルダの技量ならパラメイルと大きく出力が違うラグナメイルでも問題なく乗りこなせるだろう
俺もサラマンディーネと同じく操縦席に乗り込みハッチを閉めブラック・サレナに火を灯していく
「タスク、準備はいいな?時空跳躍システムの扱いには俺も心得はあるが、この先はエンブリヲの
「はは、アキトにホームだった戦いはあったのかな?」
タスクは、笑みを零しながら冗談を口にする…冗談?いや、本当に俺にホームだった戦いは無かったな。
特に俺は、政府から追われアルゼナルから追われエンブリヲにも追われる身であった
大根騎士団に居た頃は洗脳されていたからノーカンだとしても俺の戦いに見方はいなかった
タスクの緊張を解す為に話を振ったが逆に心配されるとは、タスクの成長が目に見えてわかり自然と口元があがった
「それだけ言えれば大丈夫だな……行くぞ」
「あぁ!飛べヴィルキス!」
「……これでこの力を使うのも最後だ。いくぞ!ブラック・サレナ!」
ビルキス《ザ・プリミティブ》を中心に光が辺りを包み込み、俺達を決戦の場へと転移させるのであった
クロスアンジュ天使と竜の輪舞 ~黒百合~
最終話 時の彼方で
「うわぁ」
「これが時空の狭間…」
光が止み独特な浮遊感に時空の狭間に入った事を感じた俺達の周辺は『時空の狭間』の名に恥じない、何とも言えない光景が広がっていた
辺り一帯が黒に染められているが虹の様な光を帯びた靄、星の様に輝く光点が俺達の周囲に広がっていたのだ
「想像していた光景とは違うが、時空の狭間に入ったようだな」
『はい。しかし、どうやってアンジュの所へ辿り着けば……タスク殿!アンジュの声は聞こえますか?』
『…聞こえる。でも、どこからかわからないんだ』
タスクだけに聞こえるアンジュの声はおそらく、アンジュと繋がりが強いタスクだからそこ次元力に影響されずに聞こえていた
しかしいま、次元力に満ちた『時空の狭間』に入った事により、声が反射され道筋の無い声がタスクの元へ届けられている状態なのだろうな?
……ならば此方からも声を発してやればいい
「サラマンディーネ、歌え」
「え?」
「永久語り…貴様の歌は『風ノ歌』か。恐らくだが永久語りと言う歌は次元力に干渉する力を持ったワードキーだ。……此方から次元力を飛ばしアンジュに届かせろ」
「承知!……風~に飛~ばんエルラグナ~♪♪」
永久語りと言う次元力を此方からも発する事で、同じ性質を持つ二人の歌は共鳴しアンジュに声は届く筈、後は道標を作り出す為にアンジュが感じやすいモノを歌に乗せて飛ばせば道は見える!
「タスク、アンジュを思え」
「え」
「非科学的だが歌がお前の思いを届ける。…強く思え、そして届けろ貴様の思いをアンジュに」
「…わかったよ、アキト!」
言われるままにタスクは、目の前を真っ直ぐに見つめ真剣な面持ちで操縦桿を握った
「「「ッ!」」」
すると今までタスクにしか聞こえなかった、アンジュの声が……アンジュの歌が俺達にもわかるように響き届いて来たのだ
「届いたか!」
「アンジュ…アンジュだ!サラマンディーネさん!」
もっと詳しく!もっと正確に!アンジュの歌を感じる為にサラマンディーネも声を震わせた
そして、時空の狭間に浮かぶ不可思議な島を目視するまで至った
「どうやら辿り着いたみたいだね!」
「そうだな……ヒルダ、気を抜くなよ」
「アキトもね!さぁ~て!痛姫様を助けに行こうか!」
俺はヒルダと共に気合を入れ直すと、タスクに続くようにエンブリヲが居ると思わさる島へ突入し――――――
「アンジュ!」
「タスクッ!!」
「なにッ!?ぐぁ!」
瞬時に状況を判断しタスクを抜き去ると、今にもアンジュを犯そうとしているエンブリヲの首をブラック・サレナのテールで切り落とした
案の上、直ぐに次元力によって復活を果たすエンブリヲだが、タスクがアンジュを救う時間稼ぎは出来た
勢いを落しながら旋回しテオドーラに並走しながらもエンブリヲに睨みを利かせ奴の対応に備えるが、ヒルダが声を上げ二人に何か言っているので、気になり視線がアンジュ達へと向いてしまった
「……感動的な再開だ。眼を瞑ってやれ……再開の方法は些か品が無いがな」
何というか……タスクはタスクであった
どういう助け方をしたらアンジュの股間に顔を埋める事が出来るのであろうか?
……アンジュと会う度に股間に顔を埋めて、これは次元力によるものなのか?そうなのか?だとしたらくだらない事に次元力を使うのではない!
成長したと思っていたが実はそんなに変わっていなかった事に肩を落としながらもエンブリヲへハンドガンの標準を合わせ睨みを利かせる
地上ではタスクがアンジュにヴィルキスを乗り渡しており隙だらけな状態、やっとここまでたどり着いたのだ。……終わりにはしないぞ
「貴様…どうやって入ってきた」
俺の読みは外れ、エンブリヲは俺達がココへ侵入して来た事がよほど衝撃的だったのか武器もヒステリカも呼ばずにただ立ちすくんでいた
「……ヴィルキスはお前が作った機体。ただの人間である貴様が扱えるようにタスクがラグナメイルを扱えても不思議ではない」
「ッ!貴様!この私を猿と同じと言うか!?」
「同じさ。…次元力と言う玩具を手に入れた俺達と同じ人間さ」
「アキト!貴様!」
よほど俺達と同列に見られた事が気に障ったのか手に銃とサーベル、後方にヒステリカを呼び寄せたエンブリヲは怒りを込めながら声を上げた
しかし、行動に出るのが遅すぎる。こっちは既に準備は整っている
タスクから返却されたヴィルキスは強き意思である赤を残し、自由の象徴である白へとその姿を変えていたのだ
『みんな、時空を操っているのはあのラグナメイルよ』
アンジュの声に一斉にヒステリカに銃口を向けるヒルダ達
確かに時空に干渉しているのはヒステリカで間違いない。だが、ヒステリカだけを倒せば終わると言う訳でも無い
「……補足するが、撃破するタイミングはエンブリヲと同時もしくは片方が再生する前に片をつけろ。エンブリヲとヒステリカは相互関係にある……片方を殺ったからと言って気を抜くな」
『相互関係……エンブリヲが次元力を引き出すキーであり、また奴のラグナメイルもキーであると言う事ですね!』
「あぁ、どういう原理かは興味深い所だが、恐らく自身のDNAもしくは細胞数列をラグナメイルに記憶させておいて奴の心配停止もしくは脳死の電波を受信したら自動に次元力を引き出す仕組みなんだろう」
『アキト!DNAとはなんですか!?それに人体から発する微弱な電子信号を遠隔操作されたラグナメイルで受信するとは『あぁ~!人の言葉を話せよ!マッド共!』ま、マッド?』
思いっきり科学者としてサラマンディーネと考察し合っていたらヒルダが怖い顔をしながら俺達の会話に入ってきましたまる
「……両方倒さなない限り世界は守れない、と言う事だ。……それとすまん。蔑ろにしたつもりはない」
『最初からそう言えよな!……それと後で格納庫裏にきな』
「……はい」
どうやら俺の彼女は嫉妬深いようだ……今後、ヒルダの前でサラマンディーネと議論を交わす事は控えよう。そう心に誓った
「ふふふ、次元力にはこういう使い方もあるのだよ!」
「ッ!」
だと言うのにエンブリヲは、また俺の科学者の心を揺さぶるような行動を取って来たのだ
ヒステリカを守るように6つの機体が呼び出され俺達に銃を向けて来たのだ
「レイジア、ヴィクトリア、エイレーネは修復し呼び戻した。ヴィルキスにも修復機能が備わっている事は確認し可能性としては考えられたが……そいつ等は模造品か?」
女王の名を冠し、俺達に敵対していたラグナメイルが戦場に参入してくる可能性は考えていたが、此方にある筈の女王までもが此方に弓を拭くとは考えられなかった
「模造品とは品がないな、アキト?テオドーラ、クレオパトラ、ビルキス……全て本物さ」
「……全て本物とは性能までもか?」
「………」
俺が危惧している事は、新たに現れた3つを含め全てのラグナメイルがヴィルキスと同じ様な能力を備えられている可能性がある事だ
……だが、その可能性は低いだろう
俺は瞬時にイメージを固め跳躍した
瞬時にブラック・サレナの画面が飛び、再び映し出されるのは先程呼び出されたレイジアの目前!
俺は反撃の隙も与えずにハンドガンを撃ち込んだ
至近距離から放たれる弾丸はラグナメイルと言う高性能機体の装甲をいとも簡単に貫き爆炎へと変えたのだ
「……流石、と言っておこうかアキト」
「修復能力は無い。……随分、苦戦している様だな、エンブリヲ?」
「ふ…私に苦戦と「はぁぁぁ!」っく!黙れ!猿が!」
現状、タスクと戦闘を行っている為にイメージを固められなかったのか、それとも機動キーである指輪が備えられていない為なのか新たに参入してきたラグナメイルにはヴィルキスと同じ瞬間再生能力が備わっていなかった
………ただ戦力を増やしたと言うだけか
「ただ的を増やしただけでは俺には勝てない」
「っく!再生に力を回せなくとも手はあると言うモノだ!」
「ッ!」
本体であるヒステリカの目が発光すると同時にロックされた事を告げるアラートが鳴り響いた
俺は急旋回し、攻撃元へとハンドガンを向けるが攻撃してきたのはテオドーラ……ヒルダであった
OH……オレノカノジョハ嫉妬ブカイヨーデス、ハハハ……
じゃなくて!
「説教は後で聞く!今は目の前の戦闘に集中しろ!」
「ち、違う!言う事を気かねェンだ!」
「なに!?」
サラマンディーネとの会話を根に持っての攻撃だと思っていたがどうやら違く、俺に攻撃を続けるテオドーラと同じくサリアが乗るクレオパトラもサラマンディーネに攻撃を仕掛けていたのだ
「ふふふ…愛する者の手によって散るがいい」
「エンブリヲ…貴様ッ!」
配慮が足りなかった
あのエンブリヲが敵に鹵獲された機体に何のセフティーも掛けずに黙っている筈がない事など考えられたと言うのに俺は何の対処もしなかった
…科学者として虚仮にされ、策士としても出し抜かれ……何よりも今尚、避けてくれ!と悲鳴に似た声を上げさせてしまっているヒルダに対する罪悪感に俺の感情は怒りへと染まった
怒りに任せ原因であるヒステリカに突撃しようとスラスターに火を灯そうとした…………が、赤い閃光がブラック・サレナの前を横切り俺の侵攻を阻害した
『冷静になってください、アキト!貴方らしくありませんよ!』
「ッ!」
攻撃元に視線を送れば五機のラグナメイルに追われる焔龍號が此方に攻撃をしてきたようだ
「今は、耐えるしかありません!ここでヒルダ殿たちに銃を向けてはエンブリヲの思い通りになってしまいますわ!」
「……すまいない、サラマンディーネ。……感謝する」
どうしても身内の事になると熱くなってしまうのは悪い癖だ
この癖も考慮して俺に心理戦を仕掛けてきたと言うのであれば、やはりエンブリヲには余裕があると言う事か………
俺は斬りかかってくるテオドーラを交わしサラマンディーネの方へと舵を向けた
接近戦に置いてサラマンディーネの右に出る者はヒルダ位だろうが、操られている今、サラマンディーネの独壇場になる
それを考慮してラグナメイル達は焔龍號から距離を置いてビーム兵器のみで攻撃を仕掛けている。……ならばビーム兵器に有効な
此方は下手に手が出せなくラグナメイルを落そうにもヒルダやサリアを盾にされ思うように動けない、だがらと言って受け身な姿勢を取り続けていても埒が明かない
むしろ此方が追い込まれてしまう
「なぜアンジュを抱いた」
「っ!?」
「女など現実の世界にいくらでもいる!!いくらでも選べたはずだ!私は1000年待った…アンジュしかいなかったのに…」
「アンジュ!君も人間だ、私が導かなくては幸福にはなれない」
「っく!」
現にエンブリヲは、戦闘に余裕を持ち始めタスクとアンジュに揺さぶりを掛けて来ている
心に強い志を秘めたタスクとアンジュならば今更、エンブリヲの言葉に惑わされる事はないだろうが、語りかけてくる余裕を持ったエンブリヲの姿に精神的に攻められてしまう
何か打開策はないか考えを纏めようにも2対7と劣勢の中、打開策を考え付く暇など無い!……それに奴が言う言葉に俺は途轍もない苛立ちを抱いてしまっている
「今からでも間に合う。……私のモノになれ、さすれば思うままの『幸福』を君に与えよう」
「な、なにを!」
「観念すればいい。人間と言うモノは皆、『幸福』に浸りたいと心から求めている。その心の叫びを私が受け止めよう。私の愛が…アンジュ、君に『幸福』を与え「幸福幸福幸福と!…貴様から出る幸福とは『幸福』とは言わない!」……なに?」
俺は我慢できずに自分で言うのはなんだが、珍しく声を上げてエンブリヲの言葉を遮った
「何をもって幸福と呼ぶかなど人それぞれだ!自由であり縛られる事のない日々!俺はそんな日々を『幸福』だと思っている!貴様が力で押さえつけた幸福など俺の『幸福』ではない!」
「アキト!」
「まったくもってその通りですわ!誑かし暴力で支配する幸せ。そんな一方的に押し付けられたモノなど『幸せ』とは呼びませんわ!」
「サラ子!」
牽制にハンドガンを使い過ぎた為に弾切れとなってしまったが、まだやり様はある
「相手の気持ちを考えない自己中心的な考え……古代の書物にはジコチューとありましたわ。まさにその通り……恥ずかしい男ですね、調律者」
「そして貴様の口から出る『愛』など『呪い』でしかない!……気つけろよ?お前が熱を上げる女は『呪い』などで縛られる女ではない!」
『呪』とは口にされたモノが手を付き立ち上がれなくなる起源を持つ
その在り様は「ひざまづいた人」!エンブリヲの言う愛がアンジュを屈服させひざまつかせると言うのであればそれは『呪い』となるのだ!
「その通りよ!私は、誰の思い通りならないわ!」
「ッ!そうよ、私だって………ラウラが言っていた。ラグナメイルは人の思いに応えてくれるって……私は私よ!もう誰の支配も受けない!」
「あたしだも……クソみてぇな男の思い通りにはならねぇ!」
『なに!?』
そして『呪い』を打ち破るモノは、自分の足で立ち上がり前に進もうとする強き意思!
エンブリヲの支配により屈服されていたヒルダとサリアだったが、アンジュの言葉を自身に当て嵌め、『呪い』を打ち払い立ち上がった
『呪い』を打ち払った操縦者の『強き意思』に呼応したクレオパトラは、自身の色を蒼く染め上げ、いつも大切な人が遠退いて、手が届かなくなってしまう経験を味わったサリアに、今度こそ追いつくように、手が届く場所へとたどり着けるようにと
『『はぁぁぁぁぁぁぁ!』』
黒いクレオパトラの攻撃を跳躍して躱し、懐に入り込んだクレオパトラは過去の自分を払拭させるかのように黒いクレオパトラを撃ち貫き爆炎へと変え吹き飛ばした
そしてテオドーラは自身を縛っていた障害を打ち砕き未来の道を切り開く如く、
「ラグナメイルが操縦者の思いに答えたか……ならばサラマンディーネに会わせろサリア!行くぞヒルダ!」
「承知!」「ええ!」「あぁ!」
焔龍號に接近せずにビームの雨を降らしていたビルキスであったが、理解したがい機動を行うクレオパトラに気を取られ焔龍號の接近に対処できなくなり――――
「成敗っ!!!」
懐に入り込まれ腹に突き刺さる銃身、そしてサラマンディーネの掛け声と共に行われたゼロ距離射撃になす術も無く爆発し姿を無くしたのであった
そして俺とヒルダに敵対するエイレーネは前の操縦者の怨念が籠っているが如く、執着的にブラック・サレナに攻撃を仕掛け手を伸ばしてくるが………今の俺は一人ではない!
「人の男に手ぇ出してんじゃねぇよ!!」
口元が吊り上りそうになる程の嬉しい言葉と共に払い振られたヒルダの剣戟に、両腕を切り落とされたエイレーネは俺の目前で無防備な姿を曝け出した
「……勝負!」
もはや銃弾はなく、ハンドガンと言う攻撃手段を無くしたブラック・サレナだが今まで使用した事のいない弾を撃ち込む為にも俺は、ハンドガンをパージしエイレーネの懐に飛び込んだ
執着していた相手が自分の元へと飛び込んでくる光景にエイレーネは無い両手を広げて待つかのようにブラック・サレナの拳を受け入れた
ズシリと質量と速度にモノを言わせた拳はエイレーネの腹部に突き刺さり、オイルが血のように吹き出しながらも健在していた
「エイレーネ……いや、イルマ。お前の事は決して忘れない。俺が未来へと進む為の最後の人殺しだ。―――――ありがとう」
撃ち込んだ拳からバシュっと最後の弾丸が撃ち込まれエイレーネに効果を発揮させていく
数百メートルにも及ぶドラゴンを瞬時に氷の結晶へと変えるパラメイルなら絶対に標準装備される弾丸――――凍結バレットは例を漏れずにパラメイルであるブラック・サレナにも装備されており、その強力な凍結力は8m級のラグナメイルを瞬時に氷の結晶へと変え、溢れ出た威力は凍らせるだけに終わらなくエイレーネを粉々に粉砕した
エンブリヲの『呪い』……決して解ける事無く今を尚、俺を縛り付けていたが、たった今解放されイルマに対する好意的な感情が涙と共に流れ落ちていった
俺の涙に呼応するかのようにブラック・サレナも付着したエイレーネのオイルを涙の様に流しているように思えた
いまだに流れでる涙を強引に拭き去った俺はタスクとアンジュに通信を入れる
「此方は片付いた!アンジュ!タスク!……決めろ」
「えぇ!」「あぁ!」
ヒステリカを護衛していたラグナメイルからの攻撃を気にせずに戦いを挑む事の出来るアンジュは真っ直ぐにヒステリカに斬りかかり、タスクもラグナメイルの全滅に動揺を隠しきれないエンブリヲに同じタイミングで斬りかかった
「っく!何故だアンジュ!無限の誓いに無限の愛!私に支配されえる事の何が不満と言うのだ!」
「人間だからよ!!」
「ふんぬっ!?」
今まで経験した事も無い劣勢に余裕がなくなっていくエンブリヲ
たたみかける様に攻撃を仕掛けるアンジュはもはやエンブリヲを圧倒していた
「支配をぶっ壊す!反抗的で暴力的なイレギュラー!それが人間なの!……今ならわかるわ。なぜノーマが生まれたのか…人間は、アンタなんかに操作されないという
「俺にもわかる。なぜノーマが女の子だけだったのか…愛する人と子を成し、お前の世界を否定する為だ!」
そして、それはタスクにも言える事であり劣勢に動揺し次元力を多用できなくなったエンブリヲを確実に追い詰めていった
「……だからお母さんは歌と指輪を託してくれたのね。荒んだ創造主が作った腐った世界を壊す為に!」
「っく!千年の中から選んでやったと言うのに…私の愛を理解しない女などもはや無用!」
追い詰められたエンブリヲは、執着するアンジュを切り捨て自身が生き抜く事を選択したようだ
……だが、その発言は火に油を注ぐ結果となる
「何が愛よ!キモイ髪型でニヤニヤしてて、服のセンスも無くていつも斜めに噛めている恥知らずのナルシスト!!女の扱いも知らない1000年ヒキコモリの変態オヤジの遺伝子なんて生理的にムリ!!」
「な、なに!?」
「無に還れぇぇ!」
もはやアンジュを止める者はいない、調律者だろうが兄弟だろうが、国民であろうが、一人の女性として一人の人間として生きる事を選んだアンジュを縛る事はできない
今までにない程に力を発揮したヴィルキスはクレオパトラやテオドーラと同じ様にアンジュの意志に応えヒステリカのディスコード・フェイザーを己の収斂時空砲で打ち砕く
「馬鹿な!」
「一方的な『愛』しか人に与えられない貴様にアンジュは渡せない!……父と母と、仲間の無念!!」
「ッ!」
収斂時空砲に呑まれスクラップ同然となった己が分身に驚き驚愕するエンブリヲ
その隙を歴戦の戦士となったタスクが逃す筈もなく、一気に懐へと飛び込み刀を上段に構え、同じタイミングでアンジュもヒステリカに引導を渡すべく『ラツィーエル』を上段へと構えた
「私を抱こうなんて、100万年早いわ!!」「今こそ受けろぉぉぉ!!」
「ッ!!あ、アンジュゥゥゥゥウゥゥゥ!!!!」
振り遅された刀と剣はエンブリヲを…ヒステリカを切り捨て調律者、この世界の創造主を完全に無へと返した
エンブリヲの怨念が籠った叫びが鼓動する中、次元間は光に包まれていった………
そして、光が止んだ後には温かみを持った光に刺し込んでくる
その眩しさに眼を閉じたみなであったが、光が止み視力が回復した頃合い…
瞼を開けてみれば見知っているが、見知らぬ光景が広がっていた
「ここは…」
ヒルダの呟きはこの光景を目にしている全てのモノの代言であろう
上空から眺めるその光景は辺りが海に囲まれる孤島の要塞基地『アルセナル』と似た建築物が窺えたのだから……
「…気候、地理的に言うともう一つの地球、のようだ」
「はぁ?なんで私らココにいんだよ!?」
ヒルダの問に答える為にも辺り周辺を調べてみるが、俺の推測が正しければ……
ブラック・サレナのセンサーを最大にしアルセナル敷地内、周辺地域を調べていくが……思い掛けない発見に一旦、思考が止まってしまった
「――ッ!……この件は見当が付いている。アンジュ達と合流してから説明するとしよう。ヒルダは先に行ってくれ」
「ん?アキトは如何すんだよ?」
「少し野暮用がな」
俺はヒルダを先にアウローラの元へと向かわせると、異常な数値を漂わせる場所へとブラック・サレナを向かわせた
まるでその場所は力が溢れ出している様な……風船に込められた空気が抜けていくような次元力を感知したからだ
溢れ出る次元力が段々と少なくなっていく事から奴には漏れ出す力を留める事が出来ないでいるのだろう
ブラック・サレナを地に付け力の発生源に近づいて行く
「…不様なモノだな、エンブリヲ」
「ぁ……ぁぁ……」
力の発生元……それはアンジュとタスクにトドメを刺された筈のエンブリヲが力なく横たわっていたのだ
本来ならまだ息がある奴を生かしておく理由は無い…しかし、奴の姿はミイラの様に枯れはて指一つも動かす事が出来ないでいた
「1000年もの時を生き伸ばした枷が外れた。その姿が物語っている様に今の貴様に次元力を扱う力は残っていない」
「……ぁ…き……」
俺の皮肉に対しても返事を返す事が出来ない程、衰弱した奴に警戒する事はない
むしろ奴は、虫や猿だと罵っていた存在に助けを求める視線を送る程に落ちぶれた態度を曝け出し調律者としての威厳もプライドも無くしていたのだ
「聴力はまだあるようだな?……調度いい、貴様に言葉を届けて貰う」
放置していても何れは無くなる命であるエンブリヲの元へ訪れた理由はただ一つ……エンブリヲやアウラと同じく異界の力に手を出し越えた者にメッセージを送るのならば同じ存在でなくてはいけないと思ったからだ
「『僕は自分の道を歩く事にしたよ、だから心配するなデミウルダス』」
「ッ!?」
「しっかり伝えろよ……俺の恩人なのだからな?」
デミウルダスと言う名に大きく眼を見開いたエンブリヲは、まさかその名前を聴く事になるとは、と言いたげそうな表情のまま力尽き、残りの次元力が無くなったのか急激に狩れていき崩れ落ちていった
奴の残骸となった人粉は風によって海に運ばれもう二度と奴が復活できない事を知らせている様であった
俺は煙管に火を入れ一度、大きく煙を吸い長年に渡り続いていた戦いの幕がやっと下りたと煙を吐き出してから、ブラック・サレナへ……いや、装甲を白に変えたブラック・サレナ――――ホワイト・リリウムに乗り込むのであった
ブラック・サレナの様な高機動移動は出来なく、いつ停止するかも知れないエンジンに冷や冷やしながらもヒルダ達を探し、アルセナルの発艦場所に止めてあるフローラルを確認するとゆっくりとホワイト・リリウムを着艦させた
「クイズです。どこでしょうか、ここは?」
「時空が解放され、全てがあるべき場所、あるべき姿へと帰ってきた…と言う事だろ、アウラ?」
「「「ッ!?」」」
音も無くヒルダ達に近づいた俺は、ヒルダが口にしていた疑問を口にするヴィヴィアンの問に答え、全てを知るであろうドラゴンに声を掛けた
「えぇ、そうです。ようこそ、誠なる地球へ。帰ってきたのです、世界が、あなた達の手に」
今まで影響を与えていた世界は、調律者の消滅に伴い元の姿へと戻るのみ
あるべき者があるべき者へ…あるべき場所があるべき場所へと帰った世界の理に則り、アルセナルもエンブリヲが自身の不死と一緒に連れて来られた場所なら帰る事も通り
そして世界の理は、デミウルダスの干渉が途切れたブラック・サレナにもおよび本来の姿―――ホワイト・リリウムにも干渉したのだ
「終わったのね、リベルタスが…」
アンジュが口にした通り、リベルタスは終わりを迎えた
世界を弄り自己勝手に調整していたモノへの反逆は終わりを迎えたのだ
「それでこれから、どうされるのです?もう我々が戦う必要も殺し合う理由もないのです」
サラマンディーネの皮肉とも言える言い方に俺は密かに口元が吊り上った
アンジュとサラマンディーネの間には既に友情と言える確かな絆が出来上がっており、アンジュの性格からとっても同じ人間と殺し合うなどないと判り切っていると言うのにな?
だが、俺は口を閉ざしアンジュの答えを待つことにした
一人の人間として……いや、この場にいる全てのモノがアンジュの答えを待ち望んでいるのだから口を出す訳にはいかない
「国を作るわ。みんなが自分の意思で生きる国を」
「国を作るか…大きく出たモノだ」
アンジュの答えを聞いたヒルダ達は驚き、一斉にアンジュへと視線を向けるが俺は思わず口へと出し、驚きを現してしまった
確かにアンジュには国を率いるカリスマがある事はこの場にいる全ての者が理解できる
しかし、一から国を創り上げるとなると話は違う。既に存在する国との共和、協力を取り付けなくては新たな争いの火種に成りかねない
平和を望む俺にとってはサラマンディーネ達の国に籍を置き、ドラゴン達と共存し共に生きていくと思っていたので驚きは人一倍だ
「…言っとくけど私達が作る国にはアンタも入っているんだかね!キビキビ働きなさいよ!」
「私‘達‘か……」
だが、それは無用な心配の様だ
独り善がりの国政ならばアンジュが第二のエンブリヲとなり得る事を考えていたが、人と協力する事、ドラゴン達とも共に心を通わせる事が出来ると知ったアンジュならば道を踏み外す事は有り得ないだろう
「………内申が決まった事を喜べばいいのか、ブラック企業に入った事を嘆けばいいのかわからんな?」
「喜びなさい、アンタにはやってもらい事が山積みなんだから!」
「……尽力しよう」
いまだに睨みつけてくるアンジュに最後の抵抗とも言える皮肉を口にするが、相手にされず肩を降ろしながらこれから多忙になる事を覚悟を決め、アンジュに背を向ける
「……だ、そうだ。これから忙しくなると思う」
「それはお互い様だろ?……いいんだよ、別に忙しくなることは」
振り返った先には愛する人が苦笑いと共に俺を迎えてくれた
「それもそうだな?……前と決定的に違う事がある」
「多忙だろうが、寝る暇がねぇとか…そういう話しじゃなくて、な?」
差し出された手を取り、絡め隣に並び立った
昔から望んでいた光景に心の中が打ち震えた
「あぁ、俺の隣にはヒルダがいる。……夢のようだ」
「夢じゃねぇよ……現実だ。アキトの隣には私しかいねぇ」
「俺も夢で終わらすつもりはない………一緒に生きよう、ヒルダ」
「……うん、私はいつまでもアキトと一緒だよ」
アンジュ達がサラマンディーネ達と盛り上がっている為、此方には気づいていない
俺とヒルダはそっと互いの唇を合わせた
殺戮と裏切りに身を落し、世界に復讐する者へと姿を変えた少年は半生を共に歩んだモノを捨て去り、新たな道を進む事を心に決めた
例え復讐の炎に身を焼かれ心を偽っていたとしても決して代わる事のなかった思い人と共に生きると言う夢……
決して叶う筈のない夢であったが、手助けしてくれる仲間や思いがけない運命に出会い少年は夢を掴む事ができ、少女は少年の隣で笑みを浮かべる
彼が望んだ未来……彼女が望んだ未来は今そこに存在しているのだ――――
「生きよう、俺達の足で…未来を……!」
この物語は夢を奪われ、復讐者へと身を落した少年が運命に争いながらも夢を取り戻した‘IF‘の物語……
ここに天使と竜の輪舞は、黒百合を交えながら幕を閉じる
The end of a story
‘KUROSUANJU hierarchy and round dance of a dragon-black lily-‘
Thank you very much so far.
長い間、ありがとうございました
クロアン完結です!
自身で書くSSの中でも最初に完結したのがこの作品だとは思いもよりませんでした
これも読者である皆様のおかげだと思い感謝の意でいっぱいです
クロアン本編は終了しましたが、番外編と言いますか、ドラマCDである話と小話とおまけを書いてこの小説は完結します
あと少しですが、よろしくお願いします
祈願