旧時代の『異能』は現代の『普通』足るか?   作:しらおりんりん

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祈理は世話焼きをやめてしまいました。お前のせいだぞ。あ〜あ

 雄英高校入試実技試験なら数日後、結果発表の日。結果は郵送で封筒が送られてくるとのことなので、正人は外出はせず家で待つことにした。その間は孤児院の子どもたちと遊んでいた。

 今日は平日のため学校や園に行っている子はいないが、外に恐怖を抱いている子や幼すぎる子がいるのだ。

 

「ねぇもっかい! もーっかい!」

「ちょっと! つぎはぼくのばんでしょ!」

「な、なかよく、ね? まさちゃん遊んでくなくなる、よ?」

「だって六斗(ろくと)がー!」

「はいはい、順番順番。爪太(そうた)水癒(みゆ)、六斗ねー」

「えっ!? い、いやわたしは……」

「水癒ねーちゃんいいなーって言ってたじゃん!」

「そ、そそそそそそそれはちちちちがくないけどちがうの!」

 

「ただいまー」

「まさちゃぁぁぁぁぁん!! きたぁぁぁあああ!!」

「お、きたか」

 

 正人の必殺遊びテクニック2番、スーパーフライハイスカイハイ(超高い高い)が人気を博していると、帰ってきた孤児の1人が一枚の封筒を持って走ってきた。封筒の送り主は雄英高校、ついに合否発表通知が来たのだ。けれども確認するのは後、すでに用意は整っているとのことなので、先に夕食を済ませる。正人は手と声を使って遊び途中の孤児たちを集めた。

 号令を聞いた孤児たちはわらわらと集まり、みんなで和気藹々とあたたかなご飯を食べる。夕食を終え、いよいよ本日のメインイベント、合否発表会を行う。合否発表はみんなで観ることにしていたのだ。

 正人は少し緊張した面持ちで、自身の未来が入っている封筒を開け、中身を取り出す。出てきたのは一枚の紙とよくわからない円盤。

 

「紙と……なんだこれ?」

「それ、投影機じゃないかしら。多分表にして置くと投影されるわ」

 

 正解を言い当てたのは正人の母、祈理。ちなみにこの合否発表会、みんなで観るといったが一緒に住んでいる父、祖母はいない。父は仕事柄放浪しており、祖母は組織の長のため単純に忙しい。

 

「表……こっちか。ほい」

『やぁ! 僕さ! この愛くるしいマスコットは誰だって? 雄英高校校長の根津さ!』

「お、校長先生だ」

「この……人? が校長先生なのね〜。さすが雄英だわ」

「「「かわいい〜!!」」」

『うんうん、レスポンスありがとう、守るべき未来の子どもたち!』

「なんだ録画じゃないの? これ」

「ん〜? これはストリーミング機能はないはずだけど」

『あぁ、ちゃんと録画だから安心してほしいのさ! これはいわゆる傾向と対策なのさ! 間違ってたらごめんね!』

「いやいや大正解ですけども」

『さて、ここからが本題なのさ。まずは君の得点を教えよう。まずは筆記、これは十分合格ラインだったのさ! 全教科ケアレスミスが目立つから予習し直してほしいのさ!」

「正人、祈理に渡された問題集、やってなかったのか?」

「あ、えーと、あー……すみません」

「え〜? せっかく作ったのに……お節介だった?」

「祈理は世話焼きをやめてしまいました。お前のせいだぞ。あ〜あ」

「あ、本当にすみませんでした」

『そして気になるであろう実技! 撃破ポイントは48pt! そして隠しポイントとして……人助けをしたことに対して付与される救助活動(レスキュー)ポイント20ポイント! 心当たりはあるかな? まぁ、君は助けようと思って助けたわけではないからマイナスして10ポイント! 総合して58ポイント、全体9位で堂々の合格さ!』

「お〜よかった」

『ブツとしての合格通知は同封の別紙に書いてあるのさ! 入学関係の書類は後日郵送! 待っているのさ! 君のヒーローアカデミアへ!』

 

 プツッ、とそこで映像は途切れた。進路は雄英一本に絞っていたため、もし落ちていたら数ヶ月はニート生活だっただろう。そんな姿は子どもたちには見せられない。ひとまず安心し力を抜くと、正人の服の裾がぐいぐいっと引っ張られる。

 

「まさちゃ、こっちきて」

「ん? あら、みんなどこいった?」

「まさちゃ、きて」

「あぁうん、いくいく」

 

 いつのまにか居なくなった家族たちと、案内役の子に疑問が生じる。よくわからないが、とりあえずついて行くことにした。

 裾を引っ張られ続けたどり着いたのは先ほど夕食を囲んだ部屋。連れてきた子は正人に襖を開けるように促され、正人は特に迷うことなく襖を開けた。

 

「「「「雄英合格、おめでとう!!!」」」

「ぅおわ!! びっくりした!」

 

 祝いの言葉と共に、甲高い音と色とりどりの紙吹雪を正人を襲った。周りを見るとクラッカーを構えていた祈理や薬玉をにぶら下がっている六斗、『おめでとう』と書かれたボードを持ってなぜがサンタ帽を被っている総司がいた。驚きと喜びで硬直した正人を見て総司がいう。

 

「まぁ、なんだ。今夜は祝いだ。ケーキでも食おう」

「……爺ちゃん、母さん、みんなありがとう。ちゃんと僕のケーキは生クリーム無いやつだよね?」

「2種のフルーツタルトだ。お前に貰った駄賃でチビどもが買った。噛み締めろよ」

「おいおいマジかよ……遊び今度フルコース確定だな」

 

 思わぬサプライズに涙が出そうになるも、祖父の似合わないサンタ帽をみてやっぱり引っ込んだ。

 子どもたちはすっかり眠りにつき、食器を片した後のチルタイムを満喫している正人の元に、総司がやってくる。

 

「のんびりしているところ悪いが、俺から合格祝いがある」

「え〜なに〜」

「俺と組み手だ。お前の力を魅せてみろ」

「……マジ?」

「大マジ」

「食後のデザートっておかわりありなんだね」

「いつもの場所でやる。準備できたら来い」

「面白い話をしてるね。兄さん、お爺ちゃん。それ、観戦していい?」

 

 本日最後のデザートを前にワクワクしているとそれを食べる様子を見たいという声が。正人のことを『兄さん』といった人物は孤児ではなく、正真正銘正人の弟。そして、正人と違い強力な個性、圧倒的呪力、それらを扱うセンスと全てを併せ持つ鬼才、真田家五代目当主代理、真田 載華(たいか)の姿があった。

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