さなが織崎家の協力で二葉家と絶縁し、織崎さなとなってから二週間が経ち…
織崎家の朝は、少しだけ賑やかで幸せなものになっていた…
「……あ、悠人くん。おはようございます」
エプロン姿のさながキッチンから顔を出す…
以前の彼女を支配していた、消え入りそうな透明感はもうない。頬には健康的な赤みが差し、その瞳はしっかりと「今」を見つめていた
「おはよう、さな。……今日も早いな…なに作ってるんだ?」
「はい。お義母様から昨日教わった水出汁が良い感じに出来たので、折角だからということでお味噌汁作ってたんです。あの、迷惑、じゃないでしょうか…?」
「まさか。父さんなんて、さなの料理が楽しみで仕事の効率が上がったって豪語してたぞ?」
悠人が笑いかけると、さなは「えへへ……」と、花が綻ぶような笑みを見せた。食卓の下では、すっかり毛並みが良くなったゴローがあくびをしながら体を伸ばしていた…
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ー~♪
「ん?」
時が進み、放課後…
いざ帰ろうかと思った矢先に、悠人のスマホのSign(現実で言うLINE)にメッセージが届いた…
差出人は、さなだった
●さな:今夜、こんこん焼き作るので、納豆お願いします。後、入れたいのがあれば買って来て良いですよ?
そのメッセージをみて、悠人はすぐに返事をする
○悠人:了解です。納豆はいつも通り小粒で良い?後、キムチと大葉、チーズとベーコンも買って良い?
その返事はすぐに来た
●さな:小粒で大丈夫です。…ベーコン?良いですけど…合うの?
○悠人:だって肉食べたいし
●さな:お義母様が生姜焼き作るのでベーコンは無しで
○悠人:りょ
メッセージによるやり取りをした後、悠人は鞄を持ち出ようとする
「あ、悠人もう帰るのか?」
「うん、買い物頼まれたからもう行くわ」
隣の席の健太の問いにそう返しながら席を立つ悠人
「そっか、じゃあ近い内遊ばない?最近ゲーセンで新しいのが出たらしいぞ?」
「マジ?行く行く!…んじゃあ、今度の土曜日行こうぜ?」
「OK、またきまったらつたえるわ」
健太の言葉に悠人はそう返しながら教室を出るのであった…
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「えっと、キムチ買った大葉買ったチーズ買った…これで全部かな?」
買ったものを確認しながら、商店街を歩く悠人…
買い忘れたものがないことを確認した彼は、ふとさなのことを考える
ーあの子、ほんとに良い子だよなぁ…
織崎家の一員になってからというもの、彼女は控えめなままながらも明るくなった…
なんかいつの間にか家の味まで教えられてるし、学校でも少ないながらも話し相手が出来たとかいってた…
近いうちに友達も出来るだろう…
「?あれ…そうなったらさなは魔法少女になることはなくなる…?」
ーげ、原作大丈夫かな…?
さなが魔法少女にならなくなる、という可能性が産まれたことを危惧してしまう…
「…いや、そうなったら俺がさなの代わりになれば良いのか…?」
ーだとしたら早く発を作らないとなぁ…
そんなことを考えながら歩く悠人…
そのときだった
「あ、悠人さん」
下校途中だったのだろう…
さなとばったり出会った
「あ、さな…さなも帰り?」
その問いにうなずくさな
「はい♪クラスメイトが勧めてくれた歌手のCDを少し見に来たんです」
確かに、さなが出てきたのは珍しくCDなどが売られている音楽ショップだった…
「?…Y○uTubeじゃ駄目なの?」
悠人のキョトンとした問いに、さなは自然と目が遠くなる…
「…そのクラスメイトに、CDの良さを延々と説かれちゃって…」
「えっと…お疲れ様です…」
その哀愁を漂う表情に思わず敬語で労る悠人であった…
「それで?そのCDはあったの?」
「あ、うん…視聴可能だったから聞いてみたけど、結構響いたかな?」
それとなく話題をそらすために、CDについて聞く悠人
さなもそれを聞いて戻ってきたのか、詳しく話す
「響いた?…ロック系かな?」
「うん、雪野かなえって人がボーカルなんだけど」
「へ?」
「?どうしたの?」
固まる悠人にさなの言葉が響くも、それすらも悠人は気付かなかった…
だって、雪野かなえは…
ー既に死んでるはずじゃ…?
マギアレコードが始まる、2、3年前に亡くなってる筈なんだから…