素材を寄越せベアトリーチェ!   作:Zakurosu666

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美味しい素材=人類悪 顕現 

かつてアリウス自治区の深淵で

 

消滅したはずのベアトリーチェ。

しかし、キヴォトスの理が揺らぎ、多次元の境界が薄れたその時、彼女は最悪の形で再誕を果たした。

 

「……あ、あははは! 甦った! 戻ってきた、この世界に!」

 

彼女の背後には、キヴォトスの神秘を汚染し、強制的に異世界の資源を吸い上げる「虚無の祭壇」がそびえ立っていた。

 

「見なさい! これが究極の神秘! 私は今や、あらゆる世界の富と真理を統べる神となったのよ!」

 

神霊となった彼女が杖を振るうたびに、アリウスの廃墟は黄金の魔力に包まれ、そこから本来この世界には存在し得ない「心臓」や「卵」といった不気味な宝が溢れ出す。

 

ベアトリーチェは、自らを「最高効率の供給源(神)」と定義することで、キヴォトスを支配しようとしたのだ。

 

「……何であいつが?」 聖園ミカが、その白い翼を強張らせながら呟く。

 

彼女の目の前には、攻撃を受け流すたびに新たな「素材」を生成して再生する、不死身のベアトリーチェの姿があった。

 

「先生……あんなの、どうすればいいの? 叩いても叩いても、変な『ページ』とか『心臓』を撒き散らして復活しちゃう……!」

 

桐藤ナギサも、支援砲撃がベアトリーチェの権能によって「素材変換」される光景に絶望の色を隠せない。

 

だが、シャーレの先生、藤丸立香は、ただ静かに懐から一枚のカードを取り出した。

 

かつて人理を修復し、異聞帯を壊滅させてきた「マスター」としての、記憶を思い出しながら大人のカードを手に持つ

 

「……ミカ、ナギサ。彼女は大きな勘違いをしている」

 

藤丸の声は、冷徹なまでに静かだった。

 

「自分を『無限に素材を出す神』に設定した。……それが、どれほど恐ろしい連中を引き寄せるか、彼女は知らないんだ」

 

大人のカードが青く、そして不吉な虹色に輝く。

 

 

「召喚……。人理継続保障機関カルデア。……ターゲットを確認。レイドイベント、開始!!」

 

 

 

人類悪 顕現

 

 

 

その瞬間、アリウスの空に巨大な「孔」が開いた。

 

色彩の門ではない。それは、欲望と執念、そして「周回」という名の狂気に染まった者たちが通る道。

 

「……おい、速報だ。新規レイド、報酬枠が全部人権素材だぞ」

 

「ベアトリーチェ? 誰だそれ。ああ、この『心臓』が入った袋のことか」

 

光の中から現れたのは、異世界の藤丸立香たち――「マスター」と呼ばれる、この世で最も恐ろしい略奪者たちだった。彼らはベアトリーチェの威圧を無視をする

 

「な、何なの、貴様ら……!? 私を誰だと……!」

 

「喋るな。演出時間は3秒以内だ」

 

一人のマスターが冷たく言い放つ。

 

「卵が落ちるなら、お前が誰でも関係ない。……いくぞ、オベロン。バフ全乗せ。オーダーチェンジ。宝具連発だ」

 

ベアトリーチェの誇る「多次元解釈体系」は、マスターたちの「1ターンキル構成」の前に、紙屑のように引き裂かれた。

 

「あぎゃあああああ!? 何、何なの、この一撃は! 私の防御権能が……貫通されている!?」

 

「当たり前だろ、無敵貫通礼装積んでんだから」

 

ベアトリーチェが叫ぶたびに、坂田金時の斧が彼女の「蛮神の心臓」を抉り出し、アルジュナ〔オルタ〕の剣が彼女の「真理の卵」を収穫していく。

 

一度死んでも、彼女の「神霊」としての再生能力が仇となった。死んだ瞬間に素材がドロップし、そのコンマ数秒後には再生し、再び殺される。

 

「待って! やめて! 私の心臓、あと幾つあると思ってるの!?」

 

「知らねえよ。こっちのスキル上げに必要なのはあと200個だ。足りねえよ、もっと出せ」

 

「ページ! 禁断のページが破けていく! ああ、私の知識が……ただのスキルレベル上げの紙クズに……!」

 

ミカとナギサは、その光景を震えながら見守っていた。

 

「……先生。あの人たち、笑顔で『もう100周した』って言ってるけど……」

 

「ミカ、見るんじゃない。あれは『大人』という生き物の、一番触れてはいけない部分なんだ」

 

数時間が経過した。 かつて傲慢に笑っていたベアトリーチェは、今や地面に転がる「抜け殻」のようになっていた。 ドロップする素材すら枯れ果て、神霊の輝きも失われ、ただの「虚無」がそこにある。

 

「……ちっ、ドロップが枯れたか。解散だ。次はビナーが美味いらしいぞ」

 

「お疲れ。次は心臓じゃなくて『秘石』が出る時に呼んでくれよ、藤丸」

 

マスターたちは、戦利品でパンパンになったカバンを抱え、満足げに虹色の孔へと帰っていく

 

 

その時だった。 ベアトリーチェの抜け殻から、最後に色彩の波動がベアトリーチェの中に入り込む。

 

「く、クフフフ……! まだ終わらないわ……! 私をこんな目に遭わせた報い……。ならば、私は究極の存在となって、貴様ら全てを……引きずり込んでやるわ!!」

 

ベアトリーチェに入り込み膨れ上がる色彩の波紋。

 

ベアトリーチェの肉体は崩壊し、純粋な「色彩の核」へと変貌する。

 

それはまるで、宇宙の法則そのものを歪ませた、巨大な宝石のようだった。 そして、その核が放つ光に、新たな素材の幻影が重なる。

 

「……なんだ、あれは!? さらに美味そうな匂いがしてきたぞ!?」

 

「おい、まだ帰るな! おかわりが来たぞ!!」

 

異世界へと帰ろうとしていたマスターたちが、その場に釘付けになった。

 

「――は!? 煌星に悠久の実だと!? まさか、このレイド、二段構えだったのか!?」

 

「林檎を食え! 今すぐ全回復しろ! こっちは人権素材の大安売りだぞ!!」

 

マスターたちの瞳に、先ほどとは比べ物にならないほどの「狂気」が宿った。 もはや、疲労も何もかも超越した、純粋な収集欲。

 

「まさか……私が、貴様らの欲望の源となるなんて……!」

 

「ああ、そうだ。お前は俺たちの欲望を満たすための『箱』だ。さあ、最高の素材を吐き出せ」

 

モルガンの宝具が「煌星のカケラ」を求めて叩き込まれる。 先ほどまでのベアトリーチェの悲鳴は、もはや「素材を出す機械の駆動音」にすら認識されなくなり、マスターたちはただ無心でベアトリーチェを殺す

 

 

 

数日間のレイド期間が終わり、アリウスの地には徹底的な静寂が訪れた。 色彩の痕跡も、ベアトリーチェの欠片すら残っていない。あるのは、大地に深く刻まれた無数の宝具痕と、素材の山だけ。

 

 

先生は、彼女の足元に転がっていた「禁断の頁」の最後の一枚を拾い、静かに告げた。 「ベアトリーチェ。君が欲しがった『神』の座は、彼らにとってはただの『作業場』だったんだよ」

 

アリウスに平和が戻った。 だが、その日以来、キヴォトスのあらゆるボスたちは、先生が懐から「カード」を取り出そうとするだけで、反射的に命乞いを始めるようになったという。

 

 

 




ベアトリーチェが落とすアイテム
通常        形態変化後

金素材
蛮神の心臓     煌星のカケラ
黒獣脂       真理の卵
真理の卵      悠久の実


      銀素材
      禁断の頁      
      エーテル収光体

      銅素材
      虚影の塵
      凶骨
      林檎
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