とサーナイトに狂ってるだけです。
ただショタカラスバくんと、強いサーナイト使いのポケモントレーナーの話です。
ショタカラスバくん、カラスバくんの過去の捏造を含みます。
追加コンテンツ発表前に書いたものなので矛盾も含みます。
ミアレに来たのは観光目的、というより単純に、好きなポケモンの色違いのさらに馬鹿でかい個体がでやすい、という噂を聞いたからだった。好きなポケモンが何かって? ラルトスです。ラルトスに決まってるでしょ? 仕事でホウエン地方に行った時、初めて出会ったのは何年も昔だけど、その時の衝撃は今でも覚えている。人生が変わるBGMが流れ、痺れたね。私はこの子を愛でるために生まれてきたんだと思ったし、その時に捕まえたラルトスは今はサーナイトになり、私の大切なポケモンの一匹だ。
とはいえ、ラルトスは何匹いてもいいもんですものね、ええ、あの時はまだ若かったし仕事もやばいくらい忙しかったから一匹しか捕まえられなかったけど、経済力もある今なら後六匹くらいは充分養うことができるし、全員平等に愛せる!
──ということで、デカい個体の色違いラルトスを探して一ヶ月。
「全然見つからない」
「サァ……(そうだねー)」
み つ か ら な い !
ラルトスはいた。色違いラルトスも二週間に一回は出会えた。けど、その馬鹿でかい個体の色違いラルトスに出会えない! なんだっけ、オヤブン個体? とか言うらしい。ネーミングセンス皆無すぎ可愛くない。
今日も探しすぎて足が棒。休憩のため入ったカフェの丸い机に突っ伏して「あああ」と唸れば、サーナイトのキャワたん(本名はキャワタン。だけどなんとなくキャワたんと呼んでしまう、微妙なニュアンスの差があるんだよ)が「サァナイ……(大丈夫?)」と心配そうに呟きながら私の背を撫でてくれる。まじで優しい、天使、最高、大好き、まじで愛ラブ、私の一生の推し……!
「キャワたん……全然見つからないねぇ……」
「サァ……(そうだね)」
「うん、大丈夫、大好き」
多分キャワたんは「僕が一番じゃなくなるの?」と心配してるんだろう。大丈夫、新しい子も愛するけどキャワたんは別格だからね。と思ってすべすべの手を握れば、キャワたんは困ったような顔で「……サァ……」とため息をついた。
キャワたんの言葉がわかるのは、特性がテレパシーだからで、たまにわざとテレパシーしてくれない時もある。こういう時とか。
ふふ! キャワたんのアンニュイな顔もかわい! 性格ひかえめだからね、かわいいね。
え? はい。サーナイトはオスですけど、何か問題でも?
「うーん……今日はホテルに帰ろっか」
「サァナイ!(うん!)」
「お風呂一緒にはいろーね♡」
「ナイナイ……(それはナイ)」
キャワたんは首をふるふると振った。
くそ! 照れて入ってくれないんだよね、そうだよねわかってるそんなキャワたん、きゃわいい!!
カフェでサンドイッチをテイクアウト。食パンの三角のサンドイッチ。うん、バケットにばーんとはみ出るやばいサンドイッチではない、そりゃそう。
店員から紙袋を受け取りつつ、紙コップに入ったカフェオレを片手に宿に帰る。あー、そろそろお金無くなってきたし、その辺の人とバトルしないとなぁ。
そんなことを考えつつ、ホテルの近道の路地を歩く。もう一ヶ月もミアレに滞在してるし、大まかな地図は頭に入っている。円形のこの街は慣れるまでは迷子になりやすいから注意が必要です。
「ん?」
足を止める。
なんか言い争ってる声が聞こえるなぁ。バトル中かなとキャワたんに視線を向ければキャワたんは少し嫌そうな表情でじっと前を見つめている、お、この表情をするってことはバトルじゃないな。キャワたんバトル好きだし。
今日ベルトに着けてるポケモンはキャワたんを除いて三匹。うーん、ポケモンバトルならともかく、人バトルはなぁ……。
キャワたんと目配せをする。うん、そうだよね、余計なことに首突っ込むのもめんどうだし、空を飛ぶ使って帰ろうかな。
そう思った時、一際大きな怒号が聞こえ、ついで足音がこちらに向かってきた。
「あ」
と思った時には遅く、曲がり角から飛び出してきたのは小さな人影。その人は何かを抱えていて、後ろを気にしながら走っていたからか──。
「──ッ!?」
「おっと」
私にぶつかりそうになった。
ってか本当ならぶつかってたけど、キャワたんがサイコキネシスを使って子どもを止めたから衝突はしなかった。子どもは私の背丈の半分くらいしかない、し、なんかめっちゃ泥まみれ血まみれ怪我だらけ……子ども同士の喧嘩か、と思ったけど、いやいや、それにしては相手の怒号の太くなかった?
「なっ──離せ!」
「ああ、ごめんごめん」
子どもは、子どもらしからぬ眼光で私を睨み上げる。キャワたんが「このクソガキ!」と毒付いていたけどしかたないね、キャワたん私主義だから。性格ひかえめなのに、ちょっとバイオレンスなのもいいよね。
「キャワたん、離してあげて。少年、怪我してるけど大丈夫──」
「んな事関係あらへんやろ!」
頭から血が出てたから、ポケットに入れていたハンカチを差し出した。が、その手はバシンとはたき落とされハンカチは地面にひらひらり、爪が手の甲をかすったのか、エネコに引っ掻かれたみたいな赤い線ができてしまって、またキャワたんが「はどうだん打とう」とか言い出した、どうどう、押さえて押さえて。
少年も少年で、まさか傷付けるとは思ってなかったのか表情が強張り動揺している。
「あ、すまん──ごめん、なさ──」
さっきまでの釣り上がった眉がへにょ、と下がり、少年は申し訳なさそうに慌てて落ちたハンカチを拾い、私に差し出す。おや、意外と素直な少年。
「いや、これくらい唾付けとけば──」
「──いたぞ!!」
その時、曲がり角から男が飛び出し、少年の表情がこわばる。少年は私にハンカチを押し付け、すぐに逃げようとしたが──。
「逃すかよッ!」
男がボールを投げ、中から飛び出したプテラとバンギラスが退路を塞いだ。っておーい、私も巻き込まれてるけど。
ポケットに手を突っ込み、ちらり、と少年を見る。少年は険しい表情で男を警戒していて、胸に抱えたものをしっかりと抱え直した。……これ、ポケモンのタマゴか。
男は肩で息をしていたが、表情は見間違えることのない、憤怒である。視線は少年に向いていたが、たまたま偶然、隣にいる私に向いて、わりとゲスっぽい歪んだ笑みを浮かべた。
「なんだ? お前がこのガキの仲間か?」
「ちが──」
「そうだとしたら?」
少年の言葉を遮る。何があったか知らんけどさ、こんな子どもを大人が追い詰めていいわけないだろ、しかもポケモンだして退路塞いでさあ、この子どう見てもポケモン持ってないし技を喰らったら最悪死ぬ。
「ならお前に落とし前つけてもらわねェとな!」
「あーはん? ポケモンバトル?──喜んで♡」
少年を見る、少年は、信じられない、という表情で私を見ていたから安心させるべく笑いかけた。
「大丈夫。私とキャワたんなら楽勝! さいっこうの笑顔、見せてやる!」
「サァナイ!」
***
「く、くそっ……!」
「はい、終了! キャワたん、最高の笑顔み・せ・て♡」
「サァナイ♡」
「キャワいいーー!!」
バトル大好きキャワたんは、頬に手を当てて天使のような可愛い笑顔を見せてくれた。キャワたんに手持ち三匹全員ズタボロにされた男に向かって手を差し出す。ん? ポケモンバトルに負けたら、わかってるよな?
悔しそうに財布から三千円取り出し私の手に押し付ける男。いやーマナーがなってて最高ですなぁ。ま、キャワたんに一撃も喰らわせれなかったし、格の差をひしひしと感じただろうしね。
すごすごと帰っていく男は、最後に一度振り向き、少年をじろりと睨んだ。その目には「覚えてろやこのクソガキ」と訴えかけている。まあ別の日にあって私がいなかったら海に沈められそうよな。
「さて、少年。何があった?」
「……」
呆然とポケモンバトルを見ていた少年は、私に声をかけられてハッと我に帰ると半歩ほど身を引いて、腕の中のタマゴを大事そうに抱え直し視線を逸らした。
「……ここ数日、フシデが大量発生してんの、知っとる?」
「え? あー……そういえば、やたら弱いフシデがたくさんいたような」
弱すぎて、キャワたんを一目見たらびくびく震えて慌てて逃げるフシデをちょくちょく見かけていた。私は野生ポケモンで経験値稼ぎをするレベルはとうに超えてるから、わざわざフシデを狩ろうなんて思わなかったから気にしてなかったなぁ、フシデ、捕まえる必要もないし。
「あの男、何匹もフシデ孵して捨ててて……」
「あー……」
把握。
多分あの男フシデ厳選してたんだな。バトルジャンキーの中にはポケモンが強く育つかどうか、見極めて厳選する人もいると聞く。私は厳選に興味ないけど、テレビニュースとかでたまに大量に逃がされたポケモンがその土地固有のポケモンの環境を破壊したとかなんとか、問題になって流れたりする。
で、この少年はそれを知ってしまって、耐えきれず男からタマゴをパクったってところかな。あーそれはいかんなぁ。男も悪いけど、盗みはやっぱよくないし。
「タマゴ、とったんだ」
「……」
こくり、と頷く少年。
「それはー……あんまり褒められた事じゃないけどなぁ」
「せやけどっ……わかっとる、けど……タマゴから孵ったばかりのフシデ、弱ぁて、すぐ他のポケモンに……」
少年は悔しそうに口籠る。
タマゴから孵ったばかりのポケモンは、みんな赤ちゃんのようなものだ。そりゃ、すぐに捨てられたら──捕食されるだろう。フシデ柔らかそうだし、あーでも毒あるか……いや、毒タイプポケモンなら食べれそうだな……。
それが自然の摂理、とは微妙に言えないのが厳選厨のあの男が起因というところだ。
なんて言えばいいかなぁ。と考えていると、少年は「守れたんは、このタマゴだけやった……」とか細い声で言いながらその場にしゃがみ込み、そのまま倒れた。
「……あれ。おーい、少年? 大丈夫?」
「はぁ……はぁっ……」
「この怪我、あの男にやられた……にしては古いやつもあるね」
「っ……」
腕にある傷は、血が止まってそこそこ時間が経ってそうな傷口なのに、その周りはひどく赤黒く腫れている。ポケモンの毒、じゃないな、普通に変な菌が入って炎症を起こしてるのか。
それで発熱ってとこかな。男の脅威が去って、急に気が抜けたのかも。
「少年。保護者は?」
「……んなもん、おらん……」
「手持ちポケモンは?」
「ない……」
「病院」
「行きた、ない……」
「家は?」
「……」
少年は荒い呼吸をしながら私を睨む。え、ここって浮浪児が居るほど治安やばかったっけ。いや、まあまあ路地裏でたむろしてる悪ガキっぽいのはいるけど、保護者がいないのは──ポケモントレーナーならあり得るけど、タマゴしかもってないみたいだし。うーん、保護者ポケモン家無しってやばいな。
「サァ(あ)」
「ん?」
キャワたんが呟き、どうしたんだろうか、と視線を向ければ、キャワたんが無言で少年の方を手で指した。視線を落とす。……おお?
「死んだ……」
「サァナイ!(まだ生きてるよ!)」
キャワたんに突っ込まれてしまった。
***
「あ、起きた?」
「……、……」
「おーい、少年?」
「なんで……」
少年は、掠れ声で呟く。
いや、なんでって。そこはありがとうでは?
少年が気絶してしまって、仕方なく私の泊まっているホテルまで連れて行った。さすがにあのまま見て見ぬ振りはできなかったし、死にかけていたし。病院も警察も嫌って言われたら連れて帰って治療するしかないでしょ、大人として。
保護者がいないなら誘拐にもならないし。
一応、少年が気絶している間に身ぐるみ全部剥いで危険なものを持ってないかとか、身元がわかるものがないか調べてみたけどどっちもなんにもなかった。
血と泥で汚れたシャツと長ズボン、黒いパーカーのまま寝かせるのもなんだし、適当に買ったジャージの上下を着せた。裾を折ったりしなきゃだったけど子供服なんて持ってないし仕方ない。
寝てるうちに泥を吹いて万能消毒液を使用し包帯ガーゼ絆創膏を駆使し、少年はズタボロからマトモへと進化したというのに!
その第一声が感謝ではなく疑問。
ま、そりゃそうだな。どうみてもまともな境遇じゃなかったんだろうし。年齢はいくつだろ、十歳くらい? わかんね。
「流石に放置して死なれたら困るし」
「なんで……関係、あれへんやろ……」
少年は警戒し、顔を歪めながら体を起こす。
私はベッド近くに置いた丸椅子に座っていたから、ちょうど向き合う形になり、少年の鋭い疑念の眼光が私を突き刺した。
いやいや。ちょっと待てって。
「いや、私フシデ育てる気ないし……少年がタマゴぱくったんでしょ。少年が死んだらタマゴの行く先はポケモンの胃の中しかないよ」
少年の枕元に置いてあるタマゴを指差す。
フシデのトレーナーになる気は全くない、昔々に捕まえたし、図鑑は埋まってるし……少年が死んだらそのタマゴは、残念な運命を辿ることになる。だから少年を見捨てることができなかった。
それを聞いた少年は、目をぱちくりとさせると、肩にこもっていた力を抜き、タマゴをそっと撫でた。
「は。……さよか」
そう吐息混じりに呟いて、初めて微かに笑った。ああ、笑うと更に幼く見えるな。
「ある程度の怪我は治したけど、体力はゆっくり寝て、ご飯食べるしかないかな」
「……おおきに。この借りは、絶対に返すさかい」
別にいいのに、とは思うが。まあこの少年の今までの生き方を思えば、人に借りがあるまま過ごすのはなんとも気持ち悪いのだろう、その気持ちは割とわかるから否定はしない。
「そうだね。私、あるポケモン探しててさ。それを見つける手伝いしてよ。それでチャラってことで」
「ン、わかった」
少年はどこかホッとしたように目元を緩め頷く。その後で、腕に巻かれている包帯を撫でながら、初めて申し訳なさそうに私を見上げた。
「その──怪我、みてくれて、あー……」
「ん?」
もにょもにょと小声になり、少年の青白い頬が、ほんの僅かに朱色に染まる。ぎゅっと眉間に皺が寄って、むにっと口先がへの字になっている。
「……ほんま、ありがとぉ……」
「ンッッ──」
くっ! 可愛い!!
可愛い子に弱いからやめてほしい!
あー、キャワたんボールになおしてて良かったー! 嫉妬しねんのずつきをされるところだった!
「い、いやいや。いいんやで」
「──え」
「んんっ! いいんだよ、少年」
あぶない!
うっかり、そう、この少年が私の過去を刺激するからもう長く使っていないコガネ弁が顔を出してしまう。駄目だ私のコガネ弁、コガネ弁の中でも荒い方だから怖がる人多いし。
ま、この少年はエンジュっぽいけど……エンジュからここに……?
「ところで少年──」
「カラスバや、オレの名前。少年やない」
言葉を遮られた。
カラスバくんね、はいはい。
オッケーと頷くと、カラスバくんがちらり、と私を見上げた。
「ねえさんの名前は?」
「カラスバくんね。私は──そうだなぁ。じゃあ、姐さんで」
「……姐さん?」
怪訝な顔をするカラスバくん。
まあ、カラスバくんとの付き合いはこの貸し借りの間だけだし、本名を教えなくともいいだろう。教えて妙に懐かれても困るし、私はミアレに永住する気ないし──良い大人じゃないし。
カラスバくんも、私の本名が本気で知りたかったわけではなく、私の意図も読み取り「わかった」と頷いた。
「それで? 何かオレに聞きたいことでもあった?」
「うん。モンスターボール持ってる?」
「え? 持ってない、けど?」
「え。やばいね」
何が、と視線で訴えかけられ、私はカラスバくんの腕の中にあるタマゴを指差す。
「それ、もう孵るけど」
ぴしり、ぴきぴき。
微かな音がしてタマゴにヒビが入った。
カラスバくんは息を飲み顔を引き攣らせ、明らか「やばい」という顔で慌てた。
「は、早う言えや!」
「んなこと言われても。 しゃーないなあ。これも一個貸しね」
鞄を引き寄せ、空のモンスターボールを手渡す。カラスバくんは慌てながらそれを受け取り、ごくり、と生唾を飲み込み腕に抱えているタマゴを見下ろした。
ちなみに姐さんの手持ちと構成も考えました。
サーナイトの特性だけ違うのはへへっ許してください。
1.サーナイト@メガ石
特性:トレース→フェアリースキン
性格:ひかえめ
努力値:H140、B108、C252、D4、S4
・ムーンフォースorハイパーボイス
・サイコキネシス
・マジカルフレイム
・破壊光線or道連れorアンコールor電磁波or影打ち
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2.ヒートロトム@オボン
特性:浮遊
性格:ずぶとい
努力値:H252、B252、D4
・オーバーヒート
・ボルトチェンジ
・鬼火
・電磁波
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3.ドドゲザン@食べ残しorラム
性格:いじっぱり
努力値:H252、A36、B76、D140、S4
・ドゲザン
・アイアンヘッド
・不意打ち
・剣の舞
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ニョロトノ@脱出ボタン
特性:雨降らし
努力値:H252、B188、D70
・ウェザーボール
・大地の力
・アンコール
・滅びの歌
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5.ラグラージ@メガ石
性格:いじっぱり
努力値:A252、D4、S252
・滝登りorアクアブレイク
・地震
・冷凍パンチ
・けたぐりorストーンエッジ