リムルに喰われる悪魔に転生してしまった……   作:てきとーでいこう

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遅くなってしまい申し訳ありません!


原初修行─赤─

 

 

 昨日、俺は(ジョーヌ)との修行を終え最後の修行場所である(ルージュ)の元に向かっている……のだが

 

「うーん。めっちゃ見覚えある」

 

 この世界では見たことがない。

 が、別世界(地球)では見たことがある。

 そう、リムルが魔王達の宴(ワルプルギス)に行く際に呼び出されたTHE•魔王という感じの扉である。

 

 そしてその扉からは俺の見覚えのある青髪の悪魔が姿を現し、

 

「お迎えにあがりました」

 

 そう言った。

 それに対して俺は

 

「何やってるんですか(ブルー)様」

 

 呆れた声でそう返した。

 

 いや、ほんとに何やってるの?

 (ルージュ)と喧嘩して負けたから罰ゲームでもやってる?

 いや、でも(ブルー)の性格からしてこんなことをするようにも見えないし……あ。

 

 ここまで考えて俺はあることを思い出す。

 リムルに仕えることになる悪魔3人娘が膠着状態になる理由。

 

 原初は不滅だか心核(ココロ)まで破壊された場合は破壊した者に隷属する形で復活する。

 

 これが判明した理由は

 

「今、私は(ルージュ)様にお仕えしていますので」

 

 他でもない、この(ブルー)(ブルー)と仲のいい(ヴェール)(ルージュ)に挑んで負けることが原因なのだ。

 

 俺が知らないうちにこの世界の歴史はだいぶ進んでいたらしい。

 それこそもう少しで世界が大きく動くことになる、(ルージュ)がこの世界の神である星王竜ヴェルダナーヴァに会うくらいにまで。

 そのことを認識した俺は思わず

 

「……マジか」

 

 と、呟いてしまうのだった。

 

 

 

 

「よぉ、久しぶりだな」

 

 少し混乱しながらも扉を潜り抜けると初回と同じようにワインを嗜んでいた。

 ……今思えばなんで(ルージュ)はワインを飲んでいるんだ?

 まだこの時代では召喚されていないはずだが……召喚された配下が持ってきたりでもしたのか?

 いや、今はそこはいい。

 んなことを気にしてる場合じゃない。

 

「ざっと300年ぶりですね」

「アイツらにしては珍しくちゃんと鍛えたようだな」

 

 俺を一瞬観察して、(ルージュ)はそういう。

 相変わらずの観察眼である。

 とはいえ最初とは種族が違うからな。

 長年生きている原初なら当たり前にわかるのだろう。

 

「鍛えられたというか……いたぶられたというか……」

「それでも強くなってるだろ? なら鍛えられてると言える」

「嫌でも強くなんないと死にますからね」

「なら、それがあいつらなりの修行というわけだ」

 

 とんでもねぇ修行だな。

 弟子が死ぬ可能性があるとか。

 

 いや、でもそんな漫画もわりとあるか。

 ワンチャン死ぬレベルのきつい修行を乗り越えて主人公たちが強くなる、みたいな。

 

 ……つかその最近って一体いつの話だよ。

 もう転生してから800年たってんだぞ?

 一体今地球はどうなってんだろうか。

 ワンチャン第三次世界大戦が起きて人類絶滅してるかもしれん。

 

 ……うーん。

 それだけはないといいな。

 今は悪魔だけど元は人間だ。

 自分と同じやつらが絶滅していてほしくはない。

 ……まぁ確認する術はないんだけど。

 

 っと、忘れてた。

 

「というか私のこと(ブルー)様が迎えに来たんですが……。あと(ルージュ)様に仕えていますとか言ってたんですけど……」

 

 俺は(ブルー)のことについて(ルージュ)に尋ねる。

 

 なんでわかっているのに聞くのかというと──

 

 明らかにおかしいのに質問をしない、なんてことになれば怪しまれるだろうという考えが一つ。

 そしてもう一つが一応本人の口から確認しておきたい、というものだ。

 これで盛大に間違ってたら後々面倒なことになる。

 

 何せ俺が一方的に(ブルー)(ルージュ)に降った、なんて知られたら(ブルー)にブチぎられる。

 (ブルー)の性格的にないとは思うが、一応確認しておきたい。

 そんな考えがこもった俺の質問に対する(ルージュ)の返事は

 

「あぁ、あいつらな。(ブルー)(ヴェール)が組んで喧嘩売ってきたからそのまま倒して俺の配下にした」

 

 とまぁ淡白なものだった。

 

 本来ならそんなあっさり言っていいことじゃないんだがな。

 悪魔の頂点に君臨する原初の2人が原初の1人に負けたのだ。

 単純計算で(ルージュ)は原初2人以上の力を持っていることになる。

 

 うん、改めて考えてもバケモンだな。

 

「んじゃ、やるか。修行」

 

 俺がそんなことを考えていると(ルージュ)はそういい、歩き出した。

 俺はそれについていきつつ質問する。

 

「今からですか?」

「あぁ、そうだ」

「ちなみに内容は?」

 

 俺がそう聞くと(ルージュ)はニヤリと笑い

 

「毎日実践だ」

 

 そう言い放った。

 

 

ラストの修行日記、【赤い悪魔との訓練日記】

 

 

 開始である。

 

 

 

 

 

 

《1日目》

 

 さて、今日から最強悪魔である(ルージュ)との実践の毎日だ。

 やはりというべきか俺の成長に伴って原初修行前よりも力を出している。

 

 それにより俺が原初修行で成長できたという実感が湧くのだがそれと同時に(ルージュ)との差を感じる。

 そりゃ相手は原初、こっちは悪魔公(デーモンロード)なのだから当たり前っちゃ当たり前なのだが、それでも余裕を感じる。

 

 成長したと思ったのにまだまだ届かない。

 

 それがここまで心にくるものなのか、と俺は驚いていた。

 けれどもそれで立ち止まるわけにはいかない。

 命をかけてここまで来たんだ。

 こんなとこで止まってられるかってんだ!

 

 それに、書籍版とWeb版の内容を俺は知っている。

 今俺を追い詰めている(ルージュ)

 今でさえ圧倒的な力を持っている(ルージュ)がさらに強くなっても苦戦する奴らが出てくる。

 しかも大勢だ。

 

 物語がどっちに転ぶかはわからない。

 だけど、そんな化け物たちにそう易々と殺されてたまるかってんだ。

 最初から目をつけられなければいいだけだがもう原初とガッツリ絡んでいる俺と相棒は今更だろう。

 ならばできるだけ強くなる。

 これしか生き残る方法はない。

 

 だからこそ今この冥界で最強のこの悪魔から学ばなければならない。

 全てを。

 

 

 

《356日目》

 

 毎日毎日(ルージュ)との修行の毎日。

 これまで一回と勝ててないし、そもそも攻撃すら当たらないけれど自分が成長してる実感がある。

 

 修行開始から約1年。

 それだけでここまで伸びていると実感できる。

 

 (ブラン)(ヴィオレ)(ジョーヌ)のところでは悪魔としての基礎を教わった。

 

 (ブラン)は精神力と魔法知識、魔力操作

 (ヴィオレ)は暗黒魔法と耐性

 (ジョーヌ)は核撃魔法と魔法の威力向上

 

 今度は鍛え上げたこいつらをより有効に使うための技術を磨く。

 ずっと同じことを繰り返していた(ブラン)(ヴィオレ)(ジョーヌ)の関連とは違って(ルージュ)の訓練は毎回毎回動きが変わる。

 

 ある程度流れというのはできているが毎回同じような戦いにはならない。

 実践だからこそ生まれるアイデア、動き。

 それを試して試して試しまくる。

 

 ひとまずの目標は悠々と俺を相手している(ルージュ)に魔法を使わせることだ!

 

 

 

《2467日目》

 

 ついに(ルージュ)に魔法を使わせることに成功した!

 まさか魔法を使わせることだけに2000日以上かかることになるとは思わなかったがそれでもいい。

 (ルージュ)に魔法を使わせた、これが重要なのだ。

 

「オレに魔法を使わせるとはやるじゃねぇか」

 

 っていう言葉も引き出せたしな!

 とはいえまだ(ルージュ)には攻撃が当たっていない。

 

 次の目標は一回、たった一回でいいから戦闘中に(ルージュ)に攻撃を当てることだ。

 それが相手にダメージを与えなくてもいい。

 当たる、これを目標にしていこう。

 

 まぁ、それが死ぬほどむずいんだが。

 

 

 

《13459日目》

 

 今日は魔法主体で攻めてみた。

 今までも魔法で攻めていたことはあるのだが全部かわされているので魔素の無駄だと思っていた。

 けど、時間はたっぷりある。

 だから試してみるだけならいいだろうと思った。

 

 参考にしたのは威力こそパワーの(ジョーヌ)である。

 あの圧倒的な弾幕を俺が再現する。

 攻撃を当てるということだけにフォーカスし、威力を下げて範囲を上げる。

 まずは攻撃を当てるということだけを目標にした。

 

 

 

《18563日目》

 

 今日は記念すべき日だ。

 というかもう俺の中で記念日確定となっている。

 まだ納得していない部分もあるがこれは快挙だ。

 

 今日、ついにあの(ルージュ)に一発当てることに成功したのだ。

 それも俺の拳で。

 

 やったのは単純。

 (ジョーヌ)もどき弾幕で相手の場所を誘導しつつ俺が攻撃を加えるというもの。

 (ルージュ)も俺の意図を察して弾幕も丁寧に避けてくれたからこそ当てることができた。

 けど、逆に言えば俺の狙いにわざわざ乗らなければ避けれたということである。

 次の目標は威力とかを犠牲にしない、普通の(ルージュ)との戦闘で俺の攻撃を当てることだ。

 

 

 

《25475日目》

 

 あれから10年以上全くと言っていいほど攻撃は当たらなかったが今度は当てることができた。

 攻撃を当てることなどにフォーカスしない、普通の戦闘でだ。

 

 残念ながら(ルージュ)にダメージはさほど通らなかった。

 けど、多少は相手にダメージを与えられたようだ。

 まぁ目の前ですぐに回復されたんだが。

 

 あれだけ苦労してようやく当てた攻撃を即座に回復されて結構悲しかった。

 けど、(ルージュ)もある程度力を出してくれるようになったし満足である。

 次は一発を狙うんじゃなくて普通に殴り合えるくらいになりたい。

 

 一気にレベルが上がったが目標がないよりはマシだ。

 時間はあるのだ、問題ない。

 ゆっくりと経験を積み上げてクリアすればいい。

 

 

 

《31675日目》

 

 やはりというべきかなかなか相手に攻撃が当たらない。

 ちょくちょくは当たるようになってきているのだがそれでも殴り合いと言えるレベルではない。

 

 俺も多少は(ルージュ)の癖を見抜いて攻撃することはできるようになったが一度やるとすぐに対策されるため次はない。

 なんで俺が修行してるのに(ルージュ)が強化されてるんですかねぇ?

 

 今でさえ勝てないのに更に強くなるなんて勘弁してもらいたい。

 けどないなら作るまでだ。

 

 こちらで相手の動きをある程度誘導して隙を作る。

 (ルージュ)相手にやるのは難しいけどやってやるさ。

 

 

 

そして36500日目──

 

 

「お前、とんだバケモンになったな」

「なんですかいきなり」

 

 授業最終日、いきなり(ルージュ)にそんなことを言われた。

 

 俺が化け物?

 いやいや、俺は全然だぞ。

 そりゃ『預言者(アテルモノ)』先生がいるから周りよりは成長は早いだろうけど俺は知っている。

 リムルというスライム(化け物)を。

 

 信じられるか?

 今俺が頑張って積み上げてきた800年近い年月までたった数年で追いついてくるんだぞ?

 意味わからん。

 

 あと、そんなリムル(イレギュラー)ほどじゃないにしても(アンタ)も大概だ。

 一度ミスを突いたらもう二度とやってこない。

 どんどん弱点が減るってどうすりゃいいんだよ。

 

 しかもまだ魔法と格闘とかだけでこれだぜ?

 これから剣っていう新たな武器が出てくるんだからもう手に置えない。

 俺も武器をもって鍛えればもっと強くなれるだろうけどそれでも(ルージュ)に勝てるとは思えない。

 

 やっぱバケモンだよ、(ルージュ)、お前は。

 

「で、最終日ですけど今日。何か特別ルールとかあります?」

「ない」

「了解ですっと!」

 

 その言葉と同時に俺は核撃魔法をぶっ放す。

 その直後に暗黒魔法を発動して(ルージュ)の周りの空間を侵食していく。

 

「甘ぇ!」

 

 が、(ルージュ)は当然のようにそこから抜け出していく。

 もちろんそれも想定内だ。

 

「知ってますよ!」

 

 暗黒魔法の周りに仕掛けていた設置型の核撃魔法が発動する。

 もちろんそれも当たらない。

 

 回避した(ルージュ)に『超加速』で接近して近接戦に持ち込む。

 

「相変わらず当たらないですね!」

「テメェもオレの攻撃相変わらず当たんないな!」

(ジョーヌ)様の弾幕を乗り越えてますからね!」

 

 互いに互いの攻撃を避けながら近接戦を続ける。

 その間に暗黒魔法の発動を用意し、隙を見て発動させる。

 

 無論、俺はあらかじめ転移済みだ。

 暗黒魔法の拡がっていない……つまり(ルージュ)が避難してくるであろう場所で待ち構えるが……

 

「んな見えすいた罠には引っかかんねぇよ!」

 

 (ルージュ)は魔法の相殺で俺の暗黒魔法の地帯を無理やり抜ける。

 

「やりそうだなと思ってはいたけどほんとにやりますか!?」

 

 これでまた仕切り直しか、と思ったら後ろから攻撃がくる。

 

「驚かさないでくださいよ!」

「とかいう割にちゃんと対応してるじゃねぇか」

「私もよくやるんでね。その対応くらいはできるようにしますよ」

 

 転移で飛んできた(ルージュ)の攻撃を回避しつつ反撃を打ち込む。

 再び近接戦とのなるが、『超加速』のオンオフを繰り返すことで緩急のついた攻撃を繰り返す。

 

「チッ!」

 

 それにより(ルージュ)体に少しのダメージを与える。

 ……が、

 

「クソっ!」

 

 俺も反撃を喰らってダメージを負う。

 向こうは余裕そうだがこっちは結構ダメージを食らった。

 種族の差というのは本当に戦いに響くな。

 

 けど、これである程度情報は整った。

 『未来予測』発動だ。

 

 それにより、(ルージュ)の少し未来の動きが見える。

 

 これまで『未来予測』を使っていなかったのは決して舐めていたわけじゃない。

 使えなかったからだ。

 『預言者(アテルモノ)』の『未来予測』は情報をもとに演算を行い未来を予測する。

 予測するにあたって必要な情報量はというのは実力によって変わってくる。

 

 だから上位悪魔(グレーターデーモン)だった時の相棒の動きはわかったし、当時格が上だった上位魔将(アークデーモン)は動きが単調だったから予測できた。

 

 けど、原初は違う。

 

 例外的に(ジョーヌ)の場合は上から核撃魔法の雨が降っていたが一つ一つの魔法の軌道と範囲は単純だったためそこまで多くの情報は必要なかった。

 

 けど、(ルージュ)は違う。

 この長い間で情報はたくさん集まったがその『未来予測』を打ち破る新たな動きをしてくることがあった。

 それは(ルージュ)という悪魔がいかに出鱈目であったかの証明でもあり、ユニークレベルの限界でもあった。

 

 一度『未来予測』だけを信じて痛い目にあった俺は対(ルージュ)のときは最初は『未来予測』を使わず自分の技量だけで相手することにしていた。

 

 そこで新たに情報を集めつつ自分の集中を高める。

 

 予測はあくまで予測。

 確定ではない。

 

 そのことを頭に入れた上で、『未来予測』を使う。

 全部を信じるわけではなく、あくまで参考程度に。

 

 けど多少の誘導があるだけで攻撃するのは楽になる。

 攻撃速度度を上げ俺は(ルージュ)への攻撃を続けて──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁつ! 負けた!」

 

 俺はそう叫んだ。

 最終日になってもやはり俺は勝てなかった。

 

「いやいや、悪魔公(デーモンロード)なのに悪魔王(デヴィルロード)のオレとまともに殴り合えてる時点でおかしいだろ」

「それは嬉しいですけどこっちはもう頭が爆発しそうです! 癖をついたら次はもう通用しなくなってて泣きましたよ!?」

「そりゃ隙生まれたら無くすだろ」

「そう簡単にできたら苦労しないんですよ」

 

 じゃなきゃ癖とは言わない。

 気づいていない様子の癖を放置してここぞという時にやっても次に同じようにすれば通用しないのだから。

 こっちは『預言者(アテルモノ)』である程度自分の体を制御できるけどそういうスキルがないっぽい(ルージュ)は素の力でやっているのだ。

 

 スキルでどうにかする動きをスキルなしでやる……やっぱ意味わからん。

 

「けどお前も成長してるだろ。最初なんてまともに攻撃当てられなかったじゃねぇか」

「100年間あなたという化け物を相手に勝負してたんですよ? いやでも技術は鍛えられますよ」

「そうかぁ? そもそも原初の修行に耐えてる時点でおかしい気もするが……」

「それを提案したあなたが言います?」

「それもそうだな。ともかく、これで原初の修行は終わりだ。もうお前は俺たち原初の遊び相手になれるくらいには強くなった。俺も暇してるからな。たまには遊び(修行し)に来てくれ」

 

 赤い悪魔はそう笑いながら言った。

 

「わかりましたよ。まぁ、他の原初の皆様のとこにも行きたいんでそこに行ってからですかね」

 

 俺はそう言って(ルージュ)の住処を去った。

 

 

【赤い悪魔との訓練日記】

 

 

 

 

 これにて、400年続いた原初修行が終わりを迎えたのである。

 

 




ステータス
種族:悪魔公
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
   精神攻撃無効
   状態異常無効
   自然影響無効
   痛覚無効
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