リムルに喰われる悪魔に転生してしまった……   作:てきとーでいこう

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久しぶりの投稿です!

これからはこんな感じの数日に一回の投稿になると思います。


ヴェルダナーヴァ

 

 

「ほぉ? 何やら知り合いみたいだなヴェルダナーヴァと。いや、視たのか、未来を」

 

 相変わらず素晴らしい洞察力をお持ちの(ルージュ)が早くも答えに辿り着く。

 

「まぁ、そうですね。その通りなんですが……正直言ってこの(ひと)怖いですよ、私は。未来を覗いている過去の私に話しかけてきたんですよ!? 未来から!」

「はぁ? んなバカな話が……ってのもあり得るんだよな……コイツだと」

 

 (ルージュ)は頭をガシガシと乱雑に掻きながらそうため息をつく。

 もうすでに苦労人みたいな節があるな、(ルージュ)

 今回については俺が『運命観測』したのが原因だから申し訳ない。

 

「それで一体なんのようですか? (ルージュ)様。私をわざわざ召喚したのは何かしらの理由があるのでしょう?」

「あぁ。ひとつは戦ってる最中にお前について言及されたってことだな」

 

 指を一本立てて(ルージュ)はそう言う。

 あぁはいはい。

 ヴェルダナーヴァはいうだろうね……え、戦ったの?

 

「戦った……過去形ということはもう戦いは終わったのですか?」

「まぁな。オレのボロ負けだ。上には上がいるってことを思い知らされたよ」

(ルージュ)様にはその戦いに私を巻き込まなかったことに感謝を伝えましょう」

「感謝ってなんでだ」

「未来で(ルージュ)様と並んでヴェルダナーヴァ様と相対しているのが見えましてね。もしかしたら戦闘になるのでは、と緊張してたんですよ。もしそうなったら上位魔将(アークデーモン)レベルに力が制限されている私は一瞬で塵になりますからね。本来の悪魔公(デーモンロード)でも同じことでしょうけど」

 

 悪魔王(デヴィルロード)である(ルージュ)が一方的にボコされるレベルだぞ?

 (ルージュ)がボロ負けって自らいうくらいに。

  

 そんな戦いにただの悪魔公(デーモンロード)にすぎない俺では即座に死んでしまうわ!

 ほんまありがとう。

 俺を助っ人というか囮として呼び出さないでくれて。

 

「まぁ、だろうな。つかそもそも呼ぶつもりなかったしな。お前を呼んだのは後々ヴェルダナーヴァから話を聞いたからだ」

「それでギィ。ボクの話は受けてくれるのかな?」

「ん? ギィ?」

 

 ヴェルダナーヴァと(ルージュ)という今現在の世界において最強の2人の会話に、俺は思わずそう呟いてしまった。

 

 理由は単純だ。

 ギィ、という〝名〟が出てきたからだ。

 

 今まで、それこそここ1000年くらいずっと心でも口でも(ルージュ)と呼び続けていたから頭から抜けていた。

 

「言ってなかったな。オレの〝名〟はギィだ。お前もこれからはオレのことをそう呼べ」

「わかりました、ル……ギィ様」

 

 俺の言葉に(ルージュ)もといギィは満足そうに頷く。

 

 そうだ。

 ここは物質世界。

 魔素で満たされている冥界とは違う場所。

 精神生命体である悪魔族(デーモン)がこの場に留まるためには肉体が必要。

 さらにはその力……というより種族制限がかかる。

 

 冥界では悪魔王(デヴィルロード)であったギィでさえも物質世界に来れば生まれたての上位魔将(アークデーモン)レベルに力が制限される。

 

 そんな程度の力でこの世の頂点と渡り合えるか?

 答えは否だ。

 

 俺も同じように制限されている。

 この状況で今目の前にいるこの神に勝てるかと言われれば無理だ。

 いくら俺よりも戦闘技術があったとしても素のスペックが違いすぎて話にならない。

 

 戦いを成立させるには悪魔王(デヴィルロード)であることが最低条件。

 そもそも今目の前で冥界のときのギィと全く同じ時点でおかしいのだ。

 なんでこんなことにもっと早く気づかなかったのか……

 

 一通り考えがまとまったので2人の会話に耳を向ける。

 

「いいぜ? オレがこの世の〝魔王〟として、人が〝傲慢〟になったならば、テメエに代わって裁定してやるよ」

「頼もしいな。これからもボクの友として、共に頑張ろうじゃないか!」

「ああ。せいぜい楽しんでやるさ」

 

 2人はなにやらいい感じの雰囲気になっていた。

 

 その会話を俺は知っている。

 書籍版でギィがユニークスキル『傲慢者(プライド)』を獲得した場面である。

 それと同時にギィとヴェルダナーヴァが対等な〝友〟になった瞬間。

 この世界で記念すべき瞬間なのだ。

 

 そこで問題が一つ。

 なんで俺がそんな歴史的瞬間にいる?

 

 そりゃあ、転スラファンの俺からしたら名場面を見れて非常に嬉しい。

 だけど、だからこそ!

 俺みたいな不純物がここにいてはいけないのだ!

 というかこの空気に俺が耐えられん!

 

 ということでさっさと退散しよう。

 そろそろ俺が魔素で作った仮初の身体も終わりだろうからな。

 

 ……というかなんでわざわざ肉体作ったのにこのモヤモヤしてる身体なんだ?

 

 そんな疑問を浮かべながらも2人の邪魔をしないようにそのままそっと冥界に帰ろうと思っていると

 

「「おい待てよ(ちょっと待とうか)」」

「え」

 

 ヴェルダナーヴァとギィが消えかけている俺の両肩をそれぞれがっしりと掴んだ。

 そのうちの片方(ヴェルダナーヴァ)から魔素が流し込まれる。

 それと同時に俺の仮初の肉体が再構築始める。

 

 うん、やめて?

 

「えっと……何をしているのですか? 私はそろそろ帰ろうと思っているのですが」

「オイオイ、お前だけなんもなく帰れるなんて思うなよ? オレとヴェルダナーヴァも互いに背負ったんだからな」

「いや、それはお2人がなさったことで私にはなんの関係も──」

「ん?」

「あ、ナンデモナイデス……」

「よし」

 

 拒否権なんてありませんでした。

 

 そうだわ。

 原初のみんなとつるんでたから調子に乗ってたけど俺はあくまで一般悪魔。

 原初とは本来雲の上の存在なのだ。

 原初の考え、行動が絶対なのである。

 下級の悪魔に人権なんてナイヨ。

 

 仕方ない。

 腹を括ろう。

 どうせここでごねても意味ないのだから。

 

「……それで、神と冥界最強の悪魔に囲まれた一般悪魔の私は一体どうしたらいいのでしょうか」

「……お前結構余裕あるだろ」

 

 ねぇよ!

 けどこうでもしないとおかしくなりそうなんだよ!

 ヴェルダナーヴァとギィに囲まれるって言う面倒事確定演出が起きてるんだよ!

 最悪の気分ですが?

 

「はぁ……で、なんですか? 面倒事の予感しかしませんが」

「仮にも今この世界最強の2人にそんなセリフを吐くなんざお前も大概だな」

「吹っ切れたんです」

「アハハハハ、やっぱり君面白いね」

「それはいいですから。本題に入ってください」

 

 こうして焦らされる方が困る。

 

「ま、それもそうだな。さっきのオレたちの話は聞いていたか?」

「まぁはい。ギィ様が〝調停者〟として世界のバランスを保つといつものですね?」

「そうだ。で、それなんだがお前もやれ」

「え?」

 

 え?

 何を?

 

「すみません、もう一回言ってもらっていいですか?」

「お前俺と一緒に〝調停者〟やれよ」

「嫌ですが」

 

 なんでそんな面倒なことやらにゃならんのだ。

 そりゃ暇してるけど面倒ごとをやりたいってわけじゃないんだよ。

 

 要するにアレだろ?

 原作と同じようにやらかした人間とかの国を一緒に滅ぼそうってことだろ?

 

「なんでだ。調子にのった人間の国を滅ぼすだけだぜ? お前なら問題ないだろ。それに魔王にだって進化できる。断る理由はないと思うがな」

「そりゃ調子に乗った人間は湧いて出てきますよ。でも、それはその国の上層部の人間だ。わざわざその国丸ごと滅ぼす必要はないと思いますけどね」

「だからといってこっちがわざわざ気を使うのか?」

「それはギィ様の自由ですよ。私個人としては、という感想なので。それと人間はずる賢いですよ。〝調停者〟が2人いると知れば仲間割れを起こさせようとでもするでしょう」

「一国を簡単に滅ぼせる相手にそんな交渉をするのか?」

「ギィ様を召喚した真なる人類(ハイ・ヒューマン)は傲慢にも命令したのでしょう? 交渉という対話を乗り越えて」

「けどお前は頷くつもりはないだろ?」

「当たり前じゃないですか。私は自殺志願者じゃないんで」

 

 もしギィと戦うことになったら手加減はしないだろう。

 つか手加減してもらっても勝てるかどうかだ。

 

 今、ギィはヴェルダナーヴァとの戦いを経てユニークスキル『傲慢者(プライド)』を持っている。

 

 見たものの本質を理解するとその模倣(コピー)ができるというぶっ壊れスキルだ。

 洞察力が天才的なギィならば一度見られた時点でアウト。

 こっちの切り札を相手に渡すことになる。

 

 そんな相手に種族でも劣っている俺が戦いを挑む?

 ありえないな。

 

「とはいっても面倒なものは面倒なのです。私は縛られることなく自由に生きたいので。この世界のいろんなところを旅してみたい。冥界での原初の皆様と過ごすのも楽しいですけどね」

 

 この紙や画面越しでしか知ることができなかった転スラの世界。

 それも主人公(リムル)が降り立つ前の、純粋な転スラの世界だ。

 

 もちろんすでに異世界者がいるかもしれないが、それでもこれは転スラファンには分からない未知の世界。

 知りたいと思うのは当然だろう。

 そうする上で、魔王や〝調停者〟というしがらみは邪魔だ。

 

 が、それもずっとではない。

 

「だから私がある程度満足したらやりますよ、魔王。とはいっても私はまだまともにこの世界を動けないんですけどね。今だってヴェルダナーヴァ様が魔素を供給してくれているおかげでいるだけなので」

「なんなら受肉させてやってもいいんだぜ? 素材(生物)は有り余っている。人間じゃなくても魔物なら問題ないだろ」

「……まぁ、それなら」

 

 この世界を渡り歩く上で受肉するのは必須条件だったしな。

 とはいっても俺の完全受肉に必要な分の魔物の死体を用意するには俺の時間制限が短すぎた。

 それを解決できるならば問題ないだろう。

 

 

 

 

「お前は相変わらずモヤモヤしてんのな」

 

 1ヶ月後。

 

 俺は完全受肉を果たした。

 ごめんな相棒。

 俺もお前のことを呼びたかったんだが『まだダメよ』っていう(ブラン)からのお願い(命令)があったんだ。

 

 というかもう(ブラン)、相棒のこと気に入ってるだろ。

 一体何百年一緒にいるんだよ。

 

 それはともかく、受肉を果たした俺はギィの言った通りモヤモヤしていた。

 理由は知らん。

 もうこの姿にもなんだかんだで慣れてしまった。

 

 あくまで受肉しただけだから進化とかはせず上位魔将(アークデーモン)程度の力だが時間制限は気にしなくて良くなった。

 別に人と触れ合うってわけでもないからな。

 

 全身にローブを羽織って姿を見せないようにしていれば問題ないだろう。

 

「ありがとうございますギィ様」

「礼は別にいいぜ? お前はしばらく自由を楽しんでおけ。くれぐれも俺の魔法に巻き込まれんなよ?」

「巻き込まれたら即死ですからね。わかってますよ」

 

 ギィの軽口に応じながら俺はその場を去る。

 

 これから待っている転スラの世界に浮かれていた俺は、この時──

 

「……」

 

 (ヴェルダナーヴァ)の視線に気づかなかった。

 

 




ステータス(本来の力)
種族:悪魔公
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
   精神攻撃無効
   状態異常無効
   自然影響無効
   痛覚無効

ステータス(受肉時)
種族:上位魔将
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
   精神攻撃無効
   状態異常無効
   自然影響無効
   痛覚無効
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