リムルに喰われる悪魔に転生してしまった……   作:てきとーでいこう

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激動の時代編
怪獣大決戦


 

 

 旅、それは何も縛られていない者が行う行為である。

 

 どこにも縛られることなく、自由に、思い向くままに歩んでいく。

 

 そんなある種の自由を俺は

 

「うっま!!」

 

 思いっきり満喫していた。

 

 ギィとヴェルダナーヴァと別れたから俺はそのあと気ままにこの原作開始前の転スラ世界を旅していた。

 姿は受肉したにも関わらず霧みたいにモヤモヤしているので魔素で作った全身フード状態で過ごしている。

 まぁ旅人ならこんなやつもいるだろうから大丈夫なはずだ、多分。

 

 受肉を果たしたことにより物質世界での時間制限が消えているので時間を気にする必要がない。

 非常に喜ばしいことだ。

 

 ここまでにいろんな国を回った。

 『疾走者(カケルモノ)』で素早く移動してもいいのだがせっかくの旅なので馬車に乗ったり歩いたりして移動していた。

 真っ暗な冥界で忙しく過ごしていた時と違って鮮やかな世界でのんびりと過ごす、とてもいい。

 

 ずっと旅をしているからといって冥界の原初や相棒を忘れているわけではない。

 反物質世界で長い間過ごしている間に何回か冥界に繋がる冥界門を通じて遊びに行ったりしている。

 その度に相棒に泣き付かれるのだがその度にならさっさと講座をクリアしろ、と言い返してやった。

 

 こんなに時間が経っているのに相変わらずクリアできないのは相棒が絶望的に終わっているのか……それとも(ブラン)が離さないのか……まぁどちらにしろ相棒頑張れとしか言いようがないだろう。

 頑張れ、相棒。

 

 なんて考えていると、たった今焼き串を買った屋台の店主が話しかけてきた。

 

「お客さん、旅人かい?」

「えぇ。いろんなとこを旅してるんですよ」

「へぇ、いいな。ちなみになんだがどんなとこ行ったんだ?」

「申し訳ないが国については全く知らなくてですね。その場で右に行くか左に行くか、ってくらいの感覚で決めてるからわからないんですよ」

「ハハハ、そこまで自由な旅人とはこりゃまた珍しいな」

 

 転スラ原作前の国の名前なんてわからんからな。

 特に行きたい場所もなかったからその場で右、左を棒が倒れた方向で決めるくらいには適当に決めているくらいだ。

 

「ま、楽しけりゃいいので問題ないですね。楽しむことが旅の目標第一なので」

「魔物が蔓延る中で一人旅か。そうとうな腕前のようで。ほい、もう一本」

「ん、ありがとうございます。一人旅ですからね。それなりに強さには自信がありますよ。それでは」

 

 この国もあらかた見終えたかな?

 

 周りの風景を見ながらそんなことを考える。

 やはりと言うべきかザ・ファンタジーとでも言うべき街並みだ。

 

 リムルのように日本とかの現代っぽさを感じる街並みではない。

 それが当たり前ではあるのだがリムル視点からずっと世界を見ていたためどうにも慣れない。

 この世界で近代的……というか先進的な国家はルドラの出身国である帝国なのだが、まだこの世界では国としてすら存在していないらしい。

 まぁまだギィがヴェルザードにも出会っていないからな。

 ルドラがギィ達に会いにくるのはそのさらに先だからもっと時間がかかるのだろう。

 

「……と、ここら辺か?」

 

 人目につかない裏路地に足を運んだ俺はできるだけ魔法の発動を悟られないように全力で隠蔽をしたのちに転移する。

 転移した先は俺がこの国に不法侵入(入った)場所である。

 

「よし、誰にも見られてないな」

 

 先ほどまで俺がいた国を一望できる高台で俺はそう呟く。

 現時点でこの国に入国検査みたいな感じのものがあるのかはわからないが超文明とか言ってたからな。

 警戒しておくことに越したことはないだろう。

 

 はてさて、これからどこに行こうか。

 

 300年以上かけてこの大陸は一通り行ったはずだ。

 『預言者(アテルモノ)』先生にマッピングしてもらっているから間違いない。

 

 ここまできたし次はどうしようかな。

 もう一回大陸横断してみるか?

 

 ここまでいった中で気になった国とかもあるしそれが何月が経ってどんなふうになったのかも気になるし。

 気になったところで言うとこの時代にしては科学力が発展していた国とかか?

 

 なんてことを考えていると

 

(おい、いきなりで悪いがちょっと来てくれ! 少し面倒なことになった)

(ギィ様!?)

(話してる暇はねぇ! いいから来い!)

(え? いや、え?)

 

 俺が困惑している間にギィは思念を切ってしまった。

 何があったんだ?

 ギィがあんなに慌てるなんて。

 

 最近旅に夢中で『運命観測』してなかったからマジで何が起こっているのかわからん。

 イヴァラージェとかがきたのか?

 前にどこかの土地が非常に残念なことになっていたからもう終わったものかと思っていんだけど。

 

 ……というか来いって無理なんだが。

 速攻死ぬのだが?

 

 いや、今考えても意味ないな。

 どうせギィが慌てるくらいなんだからヤバい事態には変わらない。

 それにギィが役に立たないやつをわざわざ呼ぶとは思えない。

 何かしら俺が役に立つのだろう。

 

 そう思い、ギィから渡された座標情報をもとに俺は転移する。

 

 

 

 

 怪獣決戦。

 別に怪獣が戦っているわけではないがそう呼ぶにふさわしいほどの戦いが繰り広げられていた。

 

「うーわ」

 

 呆れてものも言えないとはまさにこう言うことだろう。

 

 情報として、知識としては知っていたが……これほどとは。

 

 戦う戦わないの話じゃない。

 まさに次元が違う、その言葉が正しいだろう。

 

「チィっ!」

「はぁっ!」

 

 互いに一歩も引かない大激闘。

 この世の頂に至ることでやっと入場することのできるリングには2人の選手がいた。

 

「どうしてユニークレベルで、私と互角なの!?」

 

 1人目はこの世界の頂点たる種族である竜種、その一角である白氷竜ヴェルザード。

 究極能力(アルティメットスキル)のバーゲンセール状態を作り出すリムルがいないこの時代では珍しい究極能力(アルティメットスキル)所有者である。

 世界一の種族であり、最高峰のスキルを所有するヴェルザードはまさに世界随一の実力者だ。

 

「ハハッ! それはよ、このオレが強いからだ!」

 

 対する2人目はこの世界初の魔王にして悪魔の王、悪魔王(デヴィルロード)であるギィである。

 悪魔王(デヴィルロード)とはいえ世界最高の種族である竜種とはやはり種族の差がある。

 それによって生まれた最大魔素量(マックスエネルギー)の差は致命的だ。

 だが、それを感じさせないほどに善戦している。

 

「さすがギィ様。竜種相手でも互角の戦いです」

 

 これには俺と一緒に遠くからこの戦いを眺めている(レイン)(ミザリー)たちもニッコリである。

 

 だが、本質はそこではない。

 確かに極端に言って仕舞えばたかが悪魔が竜種相手にまともな戦いができている。

 これはすごいことだ。

 

 けれども、本当にすごいのはギィがユニークスキルしか保有していない、という点だ。

 この戦いの隙に是非とも2人のことを鑑定したいのだが……それをやると後々面倒くなりそうなのでやめておく。

 

 話を戻すと、スキルの性能差が致命的に離れている、ということだ。

 

 先ほどヴェルザードも言っていたがこの言い分は正しい。

 究極能力(アルティメットスキル)とユニークスキルの性能差はまさに天と地ほどだ。

 高さで例えるとしたらユニークスキルが地面、究極能力(アルティメットスキル)は月くらいはあるだろう。

 それほどまでに性能差が大きい。

 

 なのに、ユニークスキルしか保持していないギィは究極保持者のヴェルザード相手に拮抗している。

 異常としか言いようがない。

 

 頭おかしいリムルに隠れているがこんなことを平然とやってのけるギィもやはり理不尽なのだ。

 今の俺はどうにか(レイン)(ミザリー)たちと協力して周囲への影響を抑えることしかできていないと言うのに。

 

 目を凝らして見てみるとヴェルザードがなにやら絶句している。

 それに対してギィは満足げだ。

 

 それを見て俺は確信する。

 ギィが究極の領域に足を踏み入れたのだと。

 あーあ、ただでさえ意味わからんかったギィがさらに強化されてしまった。

 これじゃ俺が次からユニークの権能を用いた技を使ったら一瞬で模倣(コピー)されちまうな。

 ほんと勘弁してほしい。

 

「まぁ、許容範囲内だろう」

 

 戦いが終わってこちらにきたギィは周囲を見渡しながらそう言った。

 それを手放しにして褒め称える従者の原初たち。

 

 なんということでしょう。

 前までは普通の大陸だったここが永久凍土で人の全く住めない大地になってしまったではありませんか。

 けど代わりに人間のいた永久凍土の大地は肥沃な土地に変わったよ、やったね。

 

 なんて現実逃避してみたがギィが調整してコレだ。

 もし周りの影響をなんにも考えなかったらどうなっていたか……想像するだけで恐ろしい。

 こんなバケモノたちの戦いに巻き込まれる人間たちはたまったものじゃないな。

 

 なんてことを考えていると

 

「あら、あなたはギィを褒めないの?」

 

 この世の頂点(ヴェルザード)さんから話しかけられてしまった。

 やっと原初たちとの会話とかに慣れてきたと思ったらこれだよ。

 1000年ちょい前まで一般人だった俺に竜種が2体とか多すぎるんだよ、バカ。

 

「まぁ私はギィ様の配下というわけではないので」

「あら、そうなの? けどあなた私たちの戦いの影響を押さえ込もうとしていたじゃない」

「結構投げやりというか上手くできたらいいな、くらいの感覚でしたけどね。ギィ様から急に駆り出されたので」

「おう、助かったぜ。お前のおかげでこっちもある程度戦いが楽になったしよ」

 

 俺の言葉に反応してギィがそう礼をしながら笑う。

 そんな笑い事じゃないんだよ。

 

「けどもう2度とやらないでいただきたい。これは、本当に!」

 

 心からの本音を俺はぶちまける。

 あなたたちわかってます?

 この戦いで地軸変動してるんですよ?

 

 っても意味ないか……

 

「やるならせめて影響が出ないようにめっちゃ硬い結界の中でやってください」

「おいおい、そんな怒ることか?」

「怒りますが? 最悪ヴェルダナーヴァ様が作ったこの星が壊れますからね?」

「そこはヴェルダナーヴァいるから大丈夫だろうが」

「そうよ。兄さんがいるもの、平気よ」

「対等な友人なのに尻拭いしてもらうんですか? とてもすごいお兄様に全部丸投げするんですか?」

 

 俺のその発言にヴェルザードは顔を伏せる。

 対してギィは

 

「友だからこそ頼むんだろ」

 

 悪びれもなくそう言う。

 それはそうなんだろうけどさ

 

「んじゃせめて結界とかくらいにしてくださいよ。世界壊しちゃったから治してね、って洒落になってないですよ。……申し訳ありません。ギィ様、そしてヴェルザード様。たかだか上位魔将(アークデーモン)の分際で口を出してしまって。私が口を挟むのはお門違いですね。失礼します」

 

 俺はそう言って一方的に転移する。

 場所がバレないように全力で転移先を隠蔽してだ。

 

 そして転移先で盛大に思うのだった。

 

 あー、やっちまった!

 この世界最強格の存在2人に思いっきり生意気なセリフいっちまった!

 

 と。

 

 




ステータス(本来の力)
種族:悪魔公
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
   精神攻撃無効
   状態異常無効
   自然影響無効
   痛覚無効

ステータス(受肉時)
種族:上位魔将
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
   精神攻撃無効
   状態異常無効
   自然影響無効
   痛覚無効
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