リムルに喰われる悪魔に転生してしまった…… 作:てきとーでいこう
今現在深刻な問題がある中で姉妹喧嘩は他所でやっていただきたい。
俺はそんなことを思いながら目の前で繰り広げられる壮絶な姉妹喧嘩に死んだ目を向けていた。
「お姉様が厳しすぎるのよ! どうしてもっと可愛がってあげないのかしら?」
「馬鹿を言うものではないわ? 私はヴェルドラちゃんを大事に思っているし、ちゃんと可愛がってあげているわ! だから真面目な性格になるように、何度も心を入れ替えてあげるんじゃないの」
全力で結界を自身に張り、防御をする。
でなければ死んでしまう、文字通り。
あとは気休め程度に別に結界を張っておく。
俺以外の奴らが無事でも世界が無事じゃないので。
喧嘩の原因は勝手気ままに暴れ回っている後のリムルの盟友たる〝暴風竜〟ヴェルドラである。
生まれた時はおーついに誕生したか、なんて気楽に考えていたが喧嘩のことをすっかり忘れていた。
文字だけで見ればそこまで大ごとには見えない。
こう言ってしまうのはヴェルドラの被害にあっている方々には悪いが言ってしまえばたかだか弟のことについてのことだ。
発展してちょっとした殴り合いになる、くらいが普通だろう。
いや、そんなわけないわ。
普通に考えて弟のことについて殴り合いで喧嘩するなんてのないわ。
とは言え実際に起こってしまっているのだから仕方ない。
ちょっと離れていよう。
しばらく待っていれば自然と治るだろう……
これですまないのが竜種である。
今の二人は周りのことなんか考えず盛大に喧嘩をしている。
非常に迷惑である。
特に今この場にいる中で誰よりも弱い俺!
他の人たちは最低でも
それに比べて俺はたかだか
逆にそれだけの存在で竜種たちの喧嘩の余波に全力で端まで避難しているとはいえ耐えていることを褒めていただきたい。
真面目にこれすごいことだと思う。
さて、そんな姉妹喧嘩には魔王と勇者もお手上げである。
「おいおい、俺様達の勝負どころじゃないな」
「ああ。
みたいな感じでこちらに避難してくる。
「結界代わるぜ」
「助かります。まぁ自分のはあったところで感はありますけど」
ギィの提案に乗り結界を解除する。
それと同時にギィとルドラによる強固な結界が貼られる。
俺の何十倍の強度なのだろうか。
……そもそも何十倍で済まないかもしれないが。
「で? アイツ達はなんだって?」
「気づいているでしょう? いつも通りですよ。ヴェルグリンド様が甘すぎる、ヴェルザード様が厳しすぎると言った感じで。正直アレをそのままぶつけられるヴェルドラ様には少し同情します」
俺個人としてはヴェルグリンドの方が良さそうに見えるのだが……おそらくそれも極端な気がする。
実際ルドラに対してがそうだし。
とはいえヴェルザードの心を入れ替える(物理)よりはマシな気がするが。
それにどちらも私と
それに対してこっちがいいなんてことを言ったら別の姉に
あっちはダメ、私の方が正しいって。
「まぁ逃げ場ないよな」
「どっちかについてももう片方から吊し上げられるからな」
「自分が暴れ回ってるのが原因って気づけばどうにか……いやダメですね。それもまた自分のおかげって双方主張しますよ」
見事な詰みである。
これにはもう哀悼の意を表するしかない。
頑張れ、ヴェルドラ。
もうちょい待てばリムルが助けてくれるよ。
それで姉たちから解放されるかは知らんが。
「で、どうすんだよヴェルダナーヴァとルシア」
「どうするも何も悩みっぱなしだ。今回ここにきたのだってリフレッシュのつもりだったしな」
横で魔王と勇者が話している。
内容は
魔王と勇者だけでなく俺の頭をも悩ませている問題である。
俺がこの世界に生きていると感じてからしばらくした後『運命観測』で未来を見た。
ヴェルダナーヴァとルシアがナスカ王国に攻め込んできた国の奴らに殺されるという未来である。
もともと知識として知っていたが実際問題こうして出てくると頭が痛い。
俺が転スラについて何も知らないのなら「やばっ、助けなきゃ。みんなと相談しよ」で済むのだがそうはいかない。
ここでヴェルダナーヴァが生きるか死ぬかで未来が変わる可能性がある。
俺がすでに大きく関わっているのだから今更だろ、と開き直れるほど俺は強くない。
このまま放置すれば未来は安泰かもしれないがルドラたちがとても悲しむ。
いや、悲しむだけでは済まない。
病む、というか今後の希望が大きく減ってしまう。
それこそあの理想への凄まじい熱量がすり減って消えてしまうほどに。
対してここで解決すればルドラたちは元気いっぱい理想目指して頑張ろうという姿勢のままだ。
それによって未来がハッピーエンドの路線からズレるかもしれない。
結局わからない、というのが全てだ。
俺が行動したらうまく行くかもしれないし、うまくいかないかもしれない。
本来なら簡単なことなのだ。
俺が実際日本でそうしてきたようにわからないと知りながらも進むのはできる。
だが先に未来のハッピーエンドを知っているせいでそれができん。
日本だと知らない分そこまで気負いせず、周りのことはあまり考えず自分や家族のことらへんのことだけを考えて選択してきた。
だがこの世界は違う。
文字通り選択を誤れば大勢の人たちが死ぬ。
なんならこの世界そのものが滅びるかもしれない。
主人公ならなんとかしてくれるっしょ、と思いたいがそれでうまく行っていない世界線がたくさんあるということを知っているからそれもできない。
そもそもそういった世界線関係のクロノアらへんはどうなるのだろうか?
世界が滅びないようにループして助かる世界線を目指してリセマラしているはずだ。
俺が介入したことによって何かしら変化が起きる?
それとも何も変わっていないのか。
そもそもまだクロノア関係が起こってないから関係ないって説もある。
あー、もう頭がパンクしそうだ。
転スラもっとちゃんと読み込んでおけばよかったよクソっ!
ひとまず今日はここまでにしよう。
これ以上考え込んでも意味はない。
一度頭をリセットしよう。
まだ時間はあるはずだ、ゆっくりそして急いで結論を出そう。
◇
どうすればいいのだろうか。
アレからしばらく考えてみたが結論は出ない。
未来のことなどわからないのだ。
無論俺が10年おきに未来を見てそのつど行動を起こせば未来は変わる。
最悪の未来を覆せるかもしれない。
だがそれも可能性。
修正できないかもしれない。
結局全部〝かもしれない〟なのだ。
はっきり言おう。
俺は怖いのだ。
俺の選択で大勢が死ぬかもしれないし逆に助かるかもしれない。
その50%で起こる出来事が恐ろしい。
こんなの一高校生に背負わせるものじゃねぇよ!
二次創作とかで出てくるとある作品の世界に転生する主人公は原作知識を持っていてよく平気でいられるな。
俺が単に考えすぎな可能性もあるが。
俺はふと近くにいるヴェルダナーヴァとルシア、そしてルドラとヴェルグリンドたちを眺める。
「ねぇルシア。このお菓子美味しいよ?」
「あ、ほんとだ。美味しい」
「そう? ならルドラにもあげるわ。はい」
「マジ? んじゃ俺も食べ……あぁ、なるほどな。あーん」
「ふふ、どう? 美味しい?」
「ああうまいよグリュン」
マジで幸せそう。
転スラファンとしては非常に嬉しい限りです。
ちゃんとどちらのカップルもいちゃついておられる。
……この光景を壊したくはない。
これまでの原初修行に比べたら大した時間ではないがそれでもこの人たちに好感を持っている。
死んでほしくない、と思うくらいには。
この人たちが苦しむようなことにはなってほしくない。
けどだからと言って未来をそのまま捨てるなんてこともしたくない。
俺の悩みは解決することはなかった。
なんなら深まってしまった。
とぼとぼと部屋に戻る俺の姿を金色の瞳を持つとある竜種が視界の端で眺めていた。
ステータス(本来の力)
種族:悪魔公
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
精神攻撃無効
状態異常無効
自然影響無効
痛覚無効
ステータス(受肉時)
種族:上位魔将
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
精神攻撃無効
状態異常無効
自然影響無効
痛覚無効