リムルに喰われる悪魔に転生してしまった…… 作:てきとーでいこう
あれからちょっと時間が経った。
そして非常にまずいことが起きた。
「俺らもうちょいしたら遠征行くからよろしく」
そうルドラに言われてしまったのである。
おそらくこれがヴェルダナーヴァとルシア暗殺の際の遠征だろう。
もうちょいと言っていたため多少は時間があるがそこまで長くない。
タイムリミットはすぐそこまで迫ってきている。
強いて幸運な出来事を挙げるとするならば俺がこの国に残っておけるということだ。
もともと俺はルドラの相談役であってこの国の人間じゃない。
ガッツリ国のトップと関わってるのに何を今更と思うかもしれないが一応体裁上はそうなのだ。
ルドラもそこをわかっているからこれまでも、そして今回も俺を国に残してくれているのだろう。
とはいえ悪魔の俺を国に置いていていいのかと言う疑問はいささかあるが。
……まぁ信用してくれているのだろう。
ともかく今回が正真正銘最後のチャンスだ。
どうする!?
極論言えば選択肢は二つだ。
①ヴェルダナーヴァとルシアを見殺しにする。
②ヴェルダナーヴァとルシアを助ける
生かすか殺すか。
まさにその究極の2択というわけだ。
まず①から見て行こう。
この選択を取るというのは
原作ではルドラたちはヴェルダナーヴァとルシアを国に残して遠征しに行った。
遠征について詳しい描写は描かれていないからわからないがおそらくヴェルグリンドもルドラたちについていったと思われる。
だってヴェルグリンドが国に残ってたらヴェルダナーヴァたち絶対に殺せないだろうし。
確か2人の死因はルドラたちの遠征中に国でクーデターが発生し、それに巻き込まれる形で死亡だったはず。
ってことはミリムも生まれるのか。
確かミリムが生まれてからすぐだったし。
アニメで非常に可愛らしい姿を見ているので会えると思うと嬉しいといえば嬉しいのだがこれからの不幸を知っている身からするとそう素直に喜べない。
で、この選択を取るとどうなるのかを簡潔に言うとヴェルダナーヴァ、そしてルシア死亡。
それによりルドラの精神がヤバくなり、ギィと
そしてヴェルグリンドは相変わらずのルドラ盲信野郎なのでそのヤベェ状態のまま国が大きくなり最終的にリムル率いる
うーんバッドエンド。
作者よ、ここまでルドラを追い詰めるのか?と思ってしまうほどの鬱展開である。
とはいえ実のところこの戦争でルドラたち──まぁ正確には別人だが──を撃破したことでリムルがさらなる化け物に成長&
正味この後に起こる聖魔大戦であったりとかそういう規模が頭おかしいレベルの戦いには
真面目に強くなってもらわなければ困る。
じゃなきゃ世界が滅びる、ガチで。
こっちに関してはある程度
俺がここまでこれたのは『
正直それがない俺はただの木端悪魔だ。
なんの知識もない中原初に会ったら速攻死んでるよ。
……そう考えると知識ない中相棒はよくあそこ乗り切れたな。
なんで
まぁそんな話はともかく、あらかじめ知っているという俺の強みが生きやすいというのも大きな利点だ。
で、②の場合。
はっきり言ってしまえば俺はこっちの方を選択したい。
毎日会って会話するほど仲がいいわけではないが、部外者として相談に乗ったりしている俺でもそれを壊したくないと思うほどにはあの4人は仲睦まじい。
見てるだけで砂糖吐きそうなくらい甘々な空間が広がっている。
ルドラたちの大ファンの人たちが見たら失神するんじゃないか、って思えるくらいに甘々だ。
ありがとうございます。
さて、そんな状態を守ったらどうなるか。
まず第一にルドラが①の時ほど酷い状態にはならない。
ルドラがヤベェ状態になる最初の原因であるヴェルダナーヴァとルシアの死。
そしてそれにより一層手をかけていたであろうミリムのペット殺害によるミリムの暴走。
他にも語られていないだけでたくさんの人間の汚い部分を見てきて魂が摩耗しすり減っていってしまったのだろう。
とはいえそんな出来事をより悲観的に捉える原因になっているであろう2つの大きな事件を防げるというのは非常に大きい。
もちろんこれから長い間人間の汚い部分を見てずっとその夢を追い続けられるかはわからないが
現状だけで見ればこれが1番いい。
問題は未来である。
この変化によって未来にどれだけ影響が出るかが予測しずらいのだ。
いろんな事件の発端であるフェルドウェイが人間を恨む発端となったであろうヴェルダナーヴァぶっ殺事件がなくなれば多少はマシになるとは思うがそれくらいで歴史が変わるかと言われたらわからんというのが本音だ。
そもそものやつはヴェルダナーヴァの復活関係だしな。
つかそもそもこの世界が小説版なのか書籍版なのかがわからん。
小説版ならフェルドウェイなんて全く出てこんし。
小説版はある程度内容がスッキリしていてわかりやすいのだが書籍版は内容が複雑で雰囲気で読んでいた俺にはそんな複雑な状況を見極めるなんてことはできん。
そもそも最終巻読んでないし、他もうろ覚えだし。
原作通りの歴史を歩んでくれると俺の知識も活きやすくなるというのは間違いなくメリット。
だからこそそれが活かせないのは②の何よりものデメリットである。
とはいえそれが俺がガッツリ介入してしまってるこの世界でどこまで生きるかって言うのもある。
この問題が①と②を天秤にかけている原因の一つでもあるわけだしな。
俺が歴史に影響しないのであれば①に傾く。
とはいえこの幸せな日常をそして希望の未来をぶっ潰すのは罪悪感がやばい。
逆に関わるのであれば②に傾く。
それだと俺の知識もあまり意味がなくなってくるため①を選ぶメリットがそこまで大きくなくなるからな。
もちろんある程度の知識は通用するだろうがそのある程度でこのやべぇ世界がどうにかなるだろうか、という話なのである。
結局辿り着くのは俺の意思というわけだ。
ある程度身近な存在の悲劇を無視してある程度原作に沿った未来を歩むか。
もしくは大きく未来を変える大博打を打つか。
そんな2択を考えている時のことだった。
ガチャッと音を立てて扉が開く。
なんだ、と思ってそちらを向くと予想外の人物がいた。
「邪魔するわね」
ヴェルグリンドである。
「……なぜヴェルグリンド様がこちらに……?」
「あら、来てはダメだったかしら」
「いや、そういうわけではないんですが……」
なんで?
なんできた?
ヴェルグリンドが来るのは珍しいなんてものじゃない。
ここ20年くらい住んでいて初めてのことだ。
え、俺何かやらかした?
超重要な2択を選ぶ前に死ぬ?
いやいやいや、現実逃避してる場合じゃない。
ちゃんと対応しなきゃ下手したらマジでそうなる。
「それで一体どのようなご用件で」
「ここにきたのだから決まっているでしょう。相談よ」
「相談? ヴェルグリンド様が相談とは珍しいですね。ルドラ様関係でしょうか?」
つかそれ以外ないだろ。
ヴェルグリンドの頭って8割くらいルドラのことだし。
「いえ、違うわね」
「え? ではヴェルダナーヴァ様でしょうか? それともルシア様?」
「どれも違うわ。あなたのよ」
え、は?
俺?
俺の相談?
え、俺やっぱなんかやらかした?
全力で2組のカップルの邪魔はしないよう頑張ってきたんだが?
他に何かやらかしたか?
そんなふうに頭の中で自問自答している俺を放置してヴェルグリンドは椅子に座って話を続ける。
「まぁ正確には貴方が私に相談するのよ」
「私が……ヴェルグリンド様に?」
「不服?」
「い、いやそう言うわけでは。なぜそのようなことになったのかと思いまして」
「単純よ。貴方悩んでいるでしょう」
そりゃあもう絶賛悩んでますけど……なんなら前回の『運命観測』でナスカ王国を出立したルドラたちが「これあの事件のやつじゃね?」なんてことを思った時から悩んでましたけど。
「それは……そうですが」
「前々から少しずつだけど気になってたのよ。何やら空気が重いって」
「……バレてましたか。ですがこれは私の問題。私自身で結論を出さなきゃいけないんです」
これは俺の問題だ。
この世界の知識を持っている俺が自分で結論をなきゃいけないもの。
自分でこの世界で生きて行くって決めたのだ。
下手にルドラたちに知識を入れて自分たちの夢を諦めてほしくはない。
だからそう簡単に言い出すことはできないし、することもしたくない。
「それはそうでしょう。私たちは関係ないもの。あなたの悩みはあなたのもの。あなた自身で結論を出さなきゃいけない」
「えぇ、その通りです」
「でもその結論までずっと抱え込むのはダメってことくらいは私もわかるわよ?」
そんなヴェルグリンドの言葉を聞き思わず顔を上げる。
今、なんと言った?
竜種であるヴェルグリンドが相談についてそこまで考えている?
困ったら相手殺せばいいじゃんみたいな思考の竜種が?
「表情はわからないけど驚いているでしょうね」
「い、いやそんなことは……」
「わざわざ否定しなくてもいいわ。なんなら私自身もこんなこと考えるなんて思ってもいなかったことだし。もともと私だってルドラに相談なんて、って思ってたのよ。私に言ってくれれば相手の国を滅ぼしたのにって」
それはなんともまぁ竜種らしい思考だ。
というか上位種族全部そうか。
自分の思い通りに行かないなら潰す、それが罷り通る強さだからな。
「けどあなたに相談し始めたルドラを見て少し考えが変わったのよ」
「変わった?」
「以前よりもなんて言うのかしらね。決断した後の後悔が少ないように感じたのよ」
「後悔? ルドラ様が?」
「ルドラだって人間よ。後悔だってするわ。そんなルドラが以前よりもほんのちょっとだけ明るくなったからあなたのことは結構評価してたのよ」
ルドラだって人間……そうだよな。
勇者だからとかメチャクチャな理想を掲げてたりしてるから全部自信満々にやっていると思ってた。
まぁ実際そんな節はあるんだろうがそれでも同じ人間だ。
後悔してるのなんて当たり前だ。
俺はまだちゃんとルドラを一人の人間として、相談相手としてちゃんと見てあげられなかったのかもしれない。
俺と同じか。
今の俺と同じように一人で背負い込んでやってたのかもしれない。
ヴェルダナーヴァとヴェルグリンドの竜種組は当たり前に相談無理だし……いやヴェルダナーヴァはいけるか?
とはいえそう気安く相談できるものじゃない。
妹であるルシアに対しても相談しづらかったんじゃないかな。
俺がルドラだったら多分そうなってた。
妹に戦争の話とか生々しすぎる。
いやまぁその妹はがっつり化け物なんだけどね。
ってか前ヴェルダナーヴァが意外と気に入ってるって言ってたのこう言うことだったのか。
「まぁ、それくらいよ。悪いわね相談という割に説教になって」
座っていた椅子から立ち上がり部屋を出て行こうと扉に手をかけるヴェルグリンドに待ったをかける。
「待ってください。最後に一つ聞いていいですか?」
「何かしら?」
あの問題の結論は俺が出す。
これは絶対だ。
そこからは逃げない、逃げたくない。
この世界にやってきて生きて行くと決めたけじめのようなものだ。
だから一人で全部決めようと思ってた。
だから他者の考えを理由に決めるのはあり得ない。
だから一人で考え込んでいた。
けど、周りからアドバイスをもらうくらいなら──
「何もしなかったら身近な大切な人の悲劇と引き換えにこの世界のある程度の幸せが待っている。逆に行動を起こしたらこの世界が滅亡するかもしれない。どちらを選びますか?」
俺のその問いにヴェルグリンドはなんでもないように答える。
「そんなの決まってるじゃない。行動を起こして大切な人も守って世界も守る。これ一択よ」
そういうとヴェルグリンドは部屋から出て行った。
行動を起こしてより良い
いとも簡単そうにとんでもないことを言う。
だがそうだな。
それが1番だ。
ヴェルグリンドがここまで言うくらいに変わってるんだぞ?
竜種の思考の変化は大きすぎる変化だ。
おそらく他にも起きている。
そんな状態だ、原作と同じように行くとは思えない。
それに、だ。
俺のせっかくの原作知識をこのまま腐らせるのか?
勿体なさすぎるだろ!
転スラファンならもっと転スラの登場人物たちが楽しく暮らせるように頑張れよ!
やらない後悔よりもやる後悔。
言うは易しだがやるしかない。
もちろんリムルたちがやることを堂々と支援したりはしない。
リムルたちだって自分たちで切り抜けてきたからこそ成長したんだ。
甘さだって捨てなきゃいけない。
だからこそ、申し訳ないが全部には手を貸せない
けどその先に待っている幸せな未来のために頑張ろう。
ひとまずはナスカ王国で暴れるとしよう。
せっかく覚悟を決めたんだ。
いきなりだが大きく変えさせてもらうとしよう。
ステータス(本来の力)
種族:悪魔公
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
精神攻撃無効
状態異常無効
自然影響無効
痛覚無効
ステータス(受肉時)
種族:上位魔将
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
精神攻撃無効
状態異常無効
自然影響無効
痛覚無効