リムルに喰われる悪魔に転生してしまった…… 作:てきとーでいこう
ソースはこの更新。
いや、マジで。
感想パワーってすごい。
暗殺者と悪魔、ルシア、ヴェルダナーヴァが睨み合うこの地獄みたいな状況から時間は少し巻き戻る。
◇
やぁ、どうも名無しのカラフル悪魔だよ。
……うん、ふざけるのはやめよう。
自分でやってなんだけどキツいわこれ。
そんなことを考えながら俺はナスカ王国の王都を駆け回っていた。
フードを深く被り王都を駆け回っているという不審者にしか見えない行為をしている俺を人々は怪奇の目で見つめている。
当然だ。
いかにも怪しいやつが駆け回っているのだから。
俺が向こうの立場だったら同じような反応する。
そんな注目の的である俺の姿は霧みたいなモヤモヤではなく、ちゃんとした人型になっていた。
より正確にいうならばちゃんとした人の姿をしていた。
いつからなのかはわからない。
気づいたら体があった。
なんで急に霧が晴れたのか。
気になって
《解。
と帰ってきた。
いや、そりゃわかるんだけどさ、具体的に知りたいわけよ。
とはいえ、『
なんらかの変化って言ってるし。
なんらかの変化。
うん、思い当たる節しかない。
変化……精神的な大きな出来事は俺のこの世界に対する意識の変化と介入の決定だ。
これらが本当の原因かはわからないが少なくとも関係はしているだろう。
だが、そんなことは問題ではない。
大事かと言われたら大事なのだが今問題なのはこの姿である。
薄紫の髪、赤と黄のオッドアイの美少女。
……うーん、なんだこのカラフルな姿。
色的には明らか修行してもらった原初の悪魔たちなんよな。
薄紫は白と紫に分解できる。
それを踏まえると俺に混ざっているのは白、紫、黄、赤。
うん、あの地獄の修行の原初たちだ。
そりゃ一般悪魔が100年も原初と同行してたら影響バリバリ受けるよな。
まさか全部混ぜ込まれるとは思ってなかったけど。
なんなら内心誰の影響を1番受けてんのかなとか考えてたしな。
で、問題はこの姿よ。
美少女……っぽさもあるけど中性的な感じかな?
いや別に問題はないんだ。
男らしくありたい、女がいい、みたいな願望もないしな。
とはいえ流石に元々の姿との乖離が激しすぎて困惑している。
なんでこんな姿になってんだ?
原初の影響ってのはわかるけど。
修行関係の原初たち全員から均等に影響を受けているのだとしたら男型1、女型3で単純な数の差?
それによってこんな顔に?
だとしたらもっと3人娘組の影響を受けそうだが。
受肉した時の容姿ってどう決まるんだろう、
アニメだと冥界の時の姿のままだったけど……俺の場合もとが特殊だからあんま参考にならないな。
参考にするならばリムルの事案か?
けとあれはシズさんっていう素体がいるわけだし……
うん、わからん。
そもそも自分の姿にそこまで執着なかったしな。
気にはなっていたけど。
まぁ今は気にしても仕方がない。
やるべき方をやらなければ。
「ここで四つっと」
俺は近くの薄暗い路地の地面に魔法陣を描く。
その効果は保護。
要するに設置型の結界である。
参考にしたのはいつぞやリムル……というよりはカイジンやクロベエといった技術屋たちが街道用に作っていた設置結界だ。
とはいえ俺には彼らのような知恵も技術もない。
魔素を注いだら発動する魔法陣のみだ。
なぜ結界を設置しているのか。
理由は単純。
ルシアとヴェルダナーヴァの勝率を上げる為である。
2人を救うと決めた上で最初に考えたのがなんで2人は負けたのか、だ。
俺が知る限りそれは詳しく書かれていない。
テロが起こり、それに巻き込まれて死亡した、という記述のみ。
正直少ない。
というかほぼ皆無である。
結婚、そして
これだけ見ればなるほど、と納得できるのだが実際に2人をこの目で見た俺はそうは思えなかった。
このナスカ王国での暮らし、俺はただずっと部屋に篭っていたわけじゃない。
ルドラたちの訓練の様子なども見ていたのだ。
正確には誘われた、という方が正しいか。
まさか悪魔にそこまで見せるとは思わなかった。
まぁ全員が全員化け物であるので俺程度いたところで大した問題ではなかったというのもあるだろうが。
あとはちょっとした牽制かな。
こんだけすごいんだぞ、余計な真似するなよみたいな。
ともかく、そんな化け物たちの修行の様子を間近でみてその化け物っぷりを確認していた俺としては思うのだ。
弱体化したからといってテロに巻き込まれて死ぬほどか?
と。
ヴェルダナーヴァは言わずもがな創造神だ。
そしてルシアはあのギィにヤバイと思わせた魔法を扱える人物。
弱体化しても絶対俺より強いだろ!
というのが俺の正直な感想だった。
ならばなぜそんな2人は負けたのか。
それは2人を殺せるほどの強者がいたこと、そして2人はミリムと国民を守らなければならなかったことではないか。
そう、俺は考えた。
前者は当たり前といえば当たり前だ。
創造神のいる国で2人を殺すテロを起こすのだ、それ相応の人材を投入すると考えるべきだ。
なんなら目的は2人の暗殺がメインではないかとも思う。
後者は暗殺者に負けた理由だ。
2人の愛の結晶であるミリムの死守は絶対。
だが、それにプラスして国民を守るという行動もあったのではないかと考えた。
相手がいくら強くて、2人が弱体化しているからといってもあいも変わらず2人は化け物だ。
負けるにはそれ相応の不利条件があったと思ったのだ。
しかし、ここまで考えた上で俺が取れる行動はそう多くない。
ルドラたちをこの地に残すということは未来の情報を話すというのに抵触して不可能だった。
できたのは精々危険な気がする、という曖昧な警告のみ。
俺にできるここで2人の勝利条件を高めること。
とはいえ負けた2つの理由の大半は俺は何もできない。
できるだけ加勢はするがそこまでいい動きはできないだろう。
弱体化した2人より弱い俺が原作で暗殺を成し遂げたであろう人物に勝てるわけがないのだ。
そしてミリムの保護による不利。
これもできたら俺が安全な場所まで移動させたいが……それを相手が見逃すとも思えない。
よって残されたのは国民の保護による消耗。
それを避ける為の結界の設置である。
「俺がここでテロが起きます気をつけてください」なんて言ったところで意味ないだろうし、そもそも話せない可能性が高い。
できるのは起こった時のための備えだけだ。
俺には未来での魔素の自動収集なんてのは不可能なので自力でやってもらう必要があるが……この修羅の時代の国民たちならば自分で魔素注いで結界が発動できると信じる他ない。
頑張ってくれ、マジで。
悪いが俺の頭では俺自身の消耗を避けながら国民を守るにはこれしか思いつかなかった。
そんなことを考えながらあちこちに結界を設置して回っている時だった。
《告。王城内の変化を検知》
「──っ!」
王都の中心にある王城の方を見る。
外見は変わった様子はない。
が、内部の様子が観測できなくなっている。
俺の部屋にも転移ができない。
隔離……結界か。
しかも相当高度な。
知識としては知っていたがそれがいつ起こるかはわからない。
だからこそ前もって準備しようと思っていたが──
「よりによって今日、今かよ!」
書き途中の魔法陣を急いで完成させて、城へと向かう。
本当はもっと量産しときたかったが仕方ない。
屈強な王国民の力を信じるほかない。
地を蹴り、建物の上を走って王城へ向かう。
転移が妨害されている以上直接2人の元へ向かうしかない。
必然的に目立ってしまうが現状そんなことを言っている場合ではない。
俺のできる限りの最速で。
そう考えていた時だった。
ドカンッ!!!
あちこちで爆発、そして突然謎の集団が現れる。
それにより人々は一気にパニック状態に。
「な、なんだ!?」
「爆発!?」
「何者だあんたら!!」
「ヒィッ!」
この爆発はおそらく暗殺から気を逸らす為。
準備した甲斐があったってもんだ。
まさかこんなに早く使う羽目になるとは思わなかったがな!
「近くに魔法陣があります! 魔素を流し込めば結界が展開します。探してください!」
大声で叫びながら移動する。
おそらくこれから治安部隊が出てくるだろう。
魔法陣があれば多少は彼らの負担を減らせるはずだ。
巡り巡ってそれが2人を救うことにもつながるはず。
「──! あった、あったぞ!」
背後でそんな声と結界が展開された気配がする。
よし、これなら大丈夫そうだ。
少しは持ち堪えられるはず。
ならば俺が今からやるべきことは──
高く跳躍し、王城の屋根の一部に着地する。
2人がいる場所は1番上。
さっきから上で爆発音が鳴ってる。
おそらく暗殺者と戦っているのだろう。
ルドラとの連絡は……無理か。
《解。王都全体に通信妨害の結界が展開されているものと推測します》
……まぁ、そりゃそうだよな。
ルドラに転移されたらたまったもんじゃないし当然そこら辺の対策もしてるわけだ。
そんなことを思いながら駆け上っていくとルシアとヴェルダナーヴァの部屋が見えた。
今すぐ飛び込みたい……が、我慢する。
修行で考えなしに飛び込んで何度も痛み目にあった。
今回もそう。
今俺が無闇に飛び込んでもすぐに対処されるだけだ。
なんだったら俺が飛び込むことで逆に状況を不利にしてしまうかもしれない。
切り札は限界ギリギリまで取っておきたいし。
せめて中の情報が欲しい。
そう思っていた時だ。
大きな音を立てながら壁と天井が吹き飛んだ。
結界があるが中は見える。
《告。結界の解析に失敗しました。しかし、
案の定というべきか結界の解析は失敗。
だが、俺が入り込む余地はある。
ならばまだ舞える。
2人の状態はどうなっている?
まずは2人の状況を。
そう思い、中をよく観察した瞬間。
「っ!」
俺は結界の中に飛び込み、敵に向かって剣を振るっていた。
直感だった。
一瞬の思考。
それによって生じた隙。
おそらくこれ以前、そしてこれ以降2度とない正真正銘のラストチャンス。
それをこれまで原初たちに鍛えられたことで磨き上げられた俺の直感が察知し今しかないと叫んだ。
『
やはりというべきか簡単にあしらわれてしまった。
チラッと背後を振り返り2人の様子を確認する。
ダメージと疲労が溜まっているようだがまだ戦えそうな2人と無傷のミリム。
おそらくはヴェルダナーヴァの
ただ、それでも消耗はしているはずだ。
この2人の消耗と【解析鑑定】が通じなかったこと、そもそも奇襲に気づけなかったのも踏まえると非常に残念ながら俺の推測は正しいだろう。
敵は
2人と違って俺はユニークしか持っていないんだがなんで究極持ちと戦ってんのかね。
全く。
「何者だ」
そんなことを考えていると敵からそう問いかけられた。
何者か?
残念ながら俺には〝名〟がないんでね。
転生者っていうのもあるが、この場には合わないだろう。
言うならば──
「この国に与しているただの悪魔です」
顔を隠しているフードを取り、視界を確保し剣を構えながら俺はそう答えた。
主人公は準備としてこういうことをやってたよって話。