リムルに喰われる悪魔に転生してしまった…… 作:てきとーでいこう
睨み合っている中、最初に声を発したのはヴェルダナーヴァだった。
「ずいぶんと姿が様変わりしたね」
「……絶賛ピンチって状況でそれ言います? 意外と余裕あるんじゃないですか?」
その言葉に俺は苦笑いを浮かべながらそう返す。
なんでそんな余裕あるんですかねあなたは。
俺は内心冷や汗ダラダラだぞ。
なんせ下手したら俺次の瞬間に死んでるからな。
原初たちみたいにこちらの安全に配慮してくれないから尚更だ。
……原初って俺の安全配慮してたか?
まぁいい。
相手に集中。
一瞬の動作を見逃すな。
見逃したら死だと思え!
(『
《了》
さて、どう出てくる。
【夢中領域】も発動したいがアレは時間制限がある。
今の俺じゃ長時間は使えない。
今はできて15分、魔法を使わず魔素を節約したら25分といったところか。
「通信妨害されてます。できるだけ足掻きますがあまり期待しないでください」
敵から目を逸らさず、観察を続けながら情報を伝える。
多分これで伝わるはず。
ここは敵の結界内。
おそらく権能の効果が付与されている。
表立って言えないし下手に念話を使えば盗聴されるかもしれない。
けど、あの2人なら──
「──! わかりました。こちらでなんとかするのでどうにか時間を稼いでください」
「ミリムとルシアへの流れ弾はこっちで対処するよ」
よし、伝わった!
ならば俺がやるべきことは単純だ。
全身全霊で耐える。
次の瞬間、脳裏に未来がよぎる。
超速で飛来する魔法。
それを回避し、お返しとばかりに剣を振るう。
「ほう? 今のでやったと思ったのだがな」
「それは残念。これで諦めて引いてくれませんかね」
「そうはいかん。お前はどうでもいいがあの2人は殺さねばならん邪魔するな」
そういい、魔法をルシアとヴェルダナーヴァの方へ向けるがそれを暗黒魔法により侵食。
ほんの少しだが威力を抑える。
いくらヴェルダナーヴァに絶対防御があるからって言っても消耗はする。
少ししか威力は下げられないが下げないよりはマシだろう。
とはいえ絶対防御あまり信用してないけどな俺。
だいぶ破られてるイメージあるし。
まぁ、俺の防御結界よりは圧倒的に性能上なんだけど。
「なぜ邪魔をする。お前には関係ないだろう」
「それが残念ながらありましてね。私の全力を持って抗わせていただきます」
そういいながら腹を蹴り、吹き飛ばす。
口では軽口を叩いているが内心はそれどころではない。
クッソ、吹き飛ばすだけでこんなキツいのか。
こりゃあまり蹴ったりして距離を取るのは無理だな。
相手の力を利用するしかない。
とはいっても相手にとっちゃ俺のことは眼中にない。
それ以上にあの2人の殺害が優先か。
現に立ち上がった敵は俺には目もくれず2人に向かっていた。
ならば──
(『
《了。【夢中領域】を使用します》
瞬間、力が湧き上がる。
「あなたの相手は私です!」
敵に向かって【超加速】も併用しての俺の正真正銘最速の剣撃を喰らわせる。
シカトするなら全力で邪魔をして無視できなくしてやる!
「鬱陶しい!」
そういいながら剣を振るう暗殺者。
だが、それを避け連撃を叩き込む。
引いてばかりではない、敵の間合いに飛び込みさらに追撃する。
相手が魔法を使うのならばそれを使う暇を与えないくらい攻めて攻めて攻めまくる。
だが、さすがは究極保持者というべきか。
俺の攻撃に対してダメージをほとんど負っていない。
かすり傷が少々できたくらいだ。
とはいえ、ダメージは通る。
そのダメージ低さに2人への攻撃を優先しても俺がその攻撃を退ける。
【夢中領域】による強化を受けている今ならば先ほど以上に威力を抑えることが可能だ。
何をしても俺に邪魔される。
ならば先に俺を片付けた方がいいだろう?
「まずはお前から潰す」
俺の思惑に引っかかり、相手は俺に標的を絞った。
いや、思惑に乗ったという方が正しいか。
敵も俺の目的が敵を引きつけることだとわかっている。
それを理解した上で乗ってきたのだ。
俺とのスペックの差を分かっているから。
「……っ!」
攻撃密度が上がる。
俺だけに集中しているからか。
これだと全ての魔法の威力を落とすことは不可能だ。
そんなことしてたら俺の魔素が尽きる。
ただでさえ【夢中領域】で消耗しているのだから。
つかなんなら俺が自分の身を守るだけで精一杯だ。
究極の権能が乗っている攻撃。
俺の知っている魔法と威力が段違いだ。
これらがなければ今頃死んでいるだろう。
「これをたかが
まぁそりゃ驚くよな。
敵としてはさっさと片付けて2人に集中するつもりだったんだろう。
が、そう簡単にやられると思うなよ?
こちとら原初の修行に耐えてきたんだからな。
攻撃を喰らえば致命傷は確実だが捌くだけならばいける。
この調子なら【夢中領域】が継続している間は問題ない。
そう思った時だった。
「ならばこれならどうだ?」
全身に悪寒が走る。
俺の生存本能が警鐘を鳴らし、それに従い咄嗟に避ける。
すると先ほど避けた場所で大爆発が起きた。
なんだ、今のは。
【未来予測】に映らなかったぞ!?
「ほぅ? 運がいいな。いや、直感が鋭いというべきか。まさか初見で攻撃を避けられるとは……なっ!」
その言葉と共に再び【未来予測】に映らない攻撃がくる。
魔素も気配も感じない……不意打ちの一撃。
それをこんな手軽にポンポンと──!
「顔色が変わったな……まさか
「ぐっ!」
再び俺を襲う【未来予測】に映らない〝不可視の攻撃〟。
なぜ映らない?
《解。対象を解析するための情報を取得できませんでした》
情報の取得ができない?
……あぁ、なるほど。
おそらく敵の権能は隠匿。
情報を隠すことに特化しているのだろう。
それならば俺の【未来予測】が機能しないことも簡単にこの城に侵入して奇襲をかけることができたのにも理由がつく。
まさに暗殺者といった権能だな。
だからこそまずい。
俺の戦闘は【未来予測】に依存している。
肉体性能の差からくるスピードの差などを【未来予測】で視て【超加速】で誤魔化していた。
だがその片方である【未来予測】が機能しないのは非常にまずい。
どこだ、どこからくる。
【未来予測】なしじゃアイツの攻撃を──
待て、あいつどこいった?
姿が見えない。
単純に俺の感知能力が不足していて見えないだけの可能性もある。
が、今の俺は【夢中領域】を展開している。
感知能力も通常とは比べ物にならないほど上がっている。
肉体性能の違いから行動が把握できない。
本当にそれだけか?
「──っ!」
情報の隠匿!
それができるならば自分の姿を隠すことだってできるはず!
ユニークレベルの俺じゃ感知しきれないのも当然だ。
何せ相手は
姿を隠せるのならば狙いは2人!!
そう思い、振り向いてた瞬間──
《告。罠と推定》
(っ!?)
後ろから迫る刃。
それをギィとの戦闘で培った戦闘センスと【
透明な敵に透明な武器。
おまけに【未来予測】に映らないだと?
なんだよそれ、俺の天敵じゃねぇか……
「……クソ」
金属がぶつかる音が響き、火花が散る。
その次の瞬間には爆発が起きる。
不意打ちのオンパレード。
ユニークレベルで相手を解析する術がない俺からしたらやりずらい相手この上ない。
本来なら即死するレベルの格上。
それでも俺がどうにか生きているのは原初修行の成果と相手の権能が隠蔽に特化していて威力がそれほどないからか。
だとしても俺からすれば相当な威力だが。
2人を見ればヴェルダナーヴァの方に爆発が起こっている。
それを的確に防いでいることから魔法が見えているのだろう。
これが究極のユニークの差か。
知識としては知っていたがいざ体験するとこれほどまでに大きいとは。
……だからといって諦める訳にはいかん。
全力でやり切る。
おそらく【夢中領域】が切れた瞬間俺はお陀仏だ。
今どうにかなっているのは【夢中領域】による身体強化と権能強化の恩恵が大きい。
どうせ切れたら死ぬのだ。
限界まで足掻いてやる。
そう改めて覚悟を決めた。
次の瞬間。
《確認しました。ユニークスキル『
俺の頭に『
なんだ、今のは。
スキルを獲得だと?
今この状況で?
いや、なんでもいい。
ともかく変化が起きるのは大歓迎だ。
今のままじゃジリ貧で負ける。
「いけそうですか!?」
そうルシアたちに声をかける。
この作戦が成功するかは2人にかかっているのだ。
「いえ、壁を越えられず……」
壁……やはり結界か。
隠蔽特化、つまりは閉じ込めることが得意ってわけか。
それに阻まれていると。
究極持ちだとは思っていたがここまで俺の作戦と相性悪いか?
いや、だからこそ素の攻撃力がそこまで高くなくて俺が耐えられているのか。
俺自身には相性は悪くないが作戦との相性が最悪だなクソ!
《告。『
敵の攻撃をどうにか捌きながら内心愚痴っていると『
【未来予測】とかを使ってないから演算には比較的余裕があるのか。
(正直気楽に権能を聞く余裕はない。この状況を打開できるかだけを教えてくれ!)
《解。結界の効能を薄めることが可能と断定》
(マジか!)
《はい》
最っ高の情報だ!
これならワンチャンある!
「壁を少し薄くすればいけるか!?」
「っ! おそらく!」
よし!
ならば敵は一旦放置だ。
ヴェルダナーヴァには悪いが少しの間ルシアとミリムを任せる。
そう思っていると、とあることに気づいた。
(とても薄いからギリギリ魔素の動きがわかる?)
《告。情報の取得に成功しました。【未来予測】を再起動します》
その瞬間、今まで何も映さなかった【未来予測】が未来を映し始めた。
見える。
ほんのわずかにだが。
けど、少しでも見えれば──
「ここだっ!」
「何!?」
よっし、行けた!
これなら対処できる。
敵による魔法の弾幕を避けながら結界に近づく。
俺は『
頼むぞ。
《了。【権能抵抗】を剣に付与します》
『
そしてそれをそのまま結界にぶつける──!
「オラァッ!!」
「お前何を……っ!?」
「今!」
「はい! 繋ぎます!」
もともと俺は敵に勝とうとしていなかった。
何せ2人を原作でぶち殺した相手だ。
ルシアとヴェルダナーヴァに加勢したところで勝てるとは思えなかったのだ。
というか勝てない。
だから俺がやろうとしたのは援軍を呼ぶこと。
魂の回廊で繋がっているであろうルシアにルドラへの救援要請をしてもらうことだった。
原作で2人がルドラを呼ばなかったのはミリムや国民の保護で連絡する余裕がなかったからだろう。
そしてこの隔離結界。
だが、今その効果をほんの少しだが抑えた。
ルシアが詰まっていた壁。
そこにほんの少しだけ手を貸してあげればあの勇者の妹は必ずやり遂げる。
それはまさに
「よぉ! よくも俺様の妹と友を痛ぶってくれたな?」
「……勇者ルドラ──ッ!」
今ここに転移してきた〝始まりの勇者〟が証明しているだろう。
ということで主人公が考えていたルシア、ヴェルダナーヴァ救済案はこれでした。
ステータス(本来の力)
種族:悪魔公
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』『抵抗者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
精神攻撃無効
状態異常無効
自然影響無効
痛覚無効
ステータス(受肉時)
種族:上位魔将
名前:なし
称号:なし
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『預言者』『夢中者』『疾走者』『抵抗者』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
精神攻撃無効
状態異常無効
自然影響無効
痛覚無効