リムルに喰われる悪魔に転生してしまった……   作:てきとーでいこう

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少し遅れてしまった……申し訳ないです。

追記。
一時期日間ランキング13位とかになってて目を疑いました。
やはり連続投稿は正義か。

これもみなさんのおかげですありがとうございました。


報酬

 

 

 勝ったッ!

 第三部……完ッ!

 

 そう言って後ろでゆっくりと戦況を眺めていたいくらいには俺は満足していた。

 

 計画は大成功。

 ルシアの魂の回廊を通じてルドラを呼び出して全部丸投げしようという作戦は見事に成功した。

 ルシアもヴェルダナーヴァも死んでないしミリムも無事。

 俺も含めミリム以外はみんなボロボロだが死ぬよりはマシだろう。

 

 現状俺は満身創痍。

 最後の結界の中和もなんでできたのかよくわからんレベルだ。

 【夢中領域】も今は完全に切れてしまっている。

 

 2人は……おそらく大丈夫だろう。

 俺よりは元気だろうし。

 

 それに今ルドラがいる状況で2人を敵が狙えるわけがない。

 下手に動けば死ぬからな。

 動かなくても死ぬけど。

 

「まさか俺様とグリュンがいない間にルシアとヴェルダナーヴァが奇襲されるとな。誰の差し金だ?」

 

 俺の考えを証明するように苛立ちを隠しもせずルドラは敵に向かってそう言葉を投げかける。

 

「……」

「答えないか。まぁおおかた今敵対している国だろうが」

 

 もう聞くことはないと言わんばかりにルドラを腰にある剣を抜く。

 

 俺が咄嗟に作り出した剣とは違い凄まじい気配を感じる。

 

 伝説級(レジェンズ)……もしくは神話級(ゴッズ)かもしれない。

 あの剣を俺に向けて一振りすればクソ雑魚結界しか防御手段がない俺は消し飛ぶんじゃないか?

 

 あれで全力のギィとまともに渡り合える剣技が振るわれるんだろ?

 相手からしたらたまったもんじゃない。

 

「クソっ!」

 

 敵はそう叫びながらルドラに向かって権能で隠匿した魔法攻撃を仕掛ける。

 が、ルドラは防御する必要もないと言わんばかりに何もせずそのまま突っ立っていた。

 土煙が舞い、視界が晴れた後敵の視界に映ったのは

 

「なっ!」

 

 無傷のルドラであった。

 

「どうしたこんなもんか?」

 

 ルドラの煽り台詞を聞いて俺は思わず苦笑いを浮かべた。

 敵が可哀想すぎて。

 

 別に許すとかそういう話じゃない。

 ただ(ルドラ)が理不尽すぎるのだ。

 

 ヴェルダナーヴァと誓約之王(ウリエル)を交換したことによって獲得した正義之王(ミカエル)

 その数あるぶっ壊れ権能の中でも厄介なのが【王宮城塞(キャッスルガード)】である。

 誓約之王(ウリエル)の【絶対防御】よりも絶対防御をしている原作でおそらく最強の防御技。

 

 対象への忠誠心がエネルギー源という特徴があるが今のルドラは全盛期も真っ只中。

 単純な防御という側面では今現在ルドラ以上の存在はこの世にいないだろう。

 

 そんなチートみたいな防御をしながら卓越した技術によって相手を攻撃する時のみ解除してそれ以外はまた防御という隙がほぼない状況。

 その唯一の隙がルドラの剣技だというのだからどうしようもない。

 

「ぐぅ……」

 

 現に今先ほどまで生き生きしていた敵はルドラによって一方的にフルボッコにされている。

 

 ルドラの剣技に襲われ、隠れたとしてもすぐに発見され追撃。

 どうにか隙をついて攻撃しても【王宮城壁(キャッスルガード)】により無傷という状況だ。

 

 俺の苦労は一体何だったのかと、思わず笑ってしまいたくなるような光景が目の前に広がっていた。

 

 ともかく戦闘はルドラに任せよう。

 もう俺は疲れた。

 手助けする気力なんてない。

 というか俺が乱入したら逆にルドラに迷惑だろう。

 

 そういうわけなのでお邪魔しますねお2人さん。

 そう思いながら後ろのルシアとヴェルダナーヴァに近づく。

 

「お疲れ様です」

 

 まじで。

 2人が成功してくれなかったら死んでたよ。

 

「まだ戦いは続いているのにもう勝者気分かい?」

「いやだって……」

 

 後ろでおたくの弟子が暴れ回ってますし。

 それを見てヴェルダナーヴァは「アハハ……」と苦笑いをする。

 

「にしてもよく気づきましたね私の狙い。我ながら相当わかりにくかったと思いますけど」

 

 あの時は敵の結界でまともに作戦会議とかできなかったからな。

 2人を閉じ込めて魂の回廊すらも封じ込めるほどの効力の中で迂闊なことはできない。

 

 だから通信の妨害と時間稼ぎということしか伝えられなかった。

 

「もともとやろうと思ってたんですよ。魂の回廊を利用した兄様への救援要請。流石にやる隙がなくてできなかったんですけど」

「だから君がきてくれたことには感謝してるよ。もし君が来なかったらあのまま助けも呼べず押されてただろうからね」

 

 だろうな。

 実際原作じゃそうなってたし。

 それを変えられて本当に良かった。

 無茶した甲斐があるってもんだ。

 

「途中からの隠匿の攻撃には肝を冷やしましたよ。ユニークレベルでは太刀打ちできないと思ってたので」

 

 あ、こっちみてくれれたんだ。

 まぁ、俺が倒れたらおしまいだからな。

 万が一のときを考えて注意を払ってたんだろう。

 

「あぁあれですか。実際ヤバかったですよ。内心めちゃくちゃ焦りました」

「よく捌けたね。ルドラに近しい技量(レベル)があるんじゃないか?」

「私にアレができると?」

 

 あんな超技術出来ねぇよ。

 バカだろアレ。

 なんでできるんだよ。

 

「いや、アレは例外というか……」

「我が兄ながら意味がわからないです」

 

 うーん、褒めてるのか貶してるのかわからん。

 いや褒めてるんだろうけどさ……

 

 この2人にそこまで言わせるとなると余計できる気しないんだが。

 

 改めてそんなルドラと対等に渡り合えるギィの凄さを再確認するな。

 俺の時って相当手加減されてたんだろう。

 ガチでやられたら即死だからなんとも言えないけど。

 むしろ感謝するべきか。

 

 そんなことを考えているとヴェルダナーヴァが言った。

 

「そうやって自分は関係ないみたいな顔してるけど君も大概だからね?」

「そうですか?」

「そりゃルドラとかギィに比べたらアレだけどさ。君だって今ユニークしか持っていないのに究極能力(アルティメットスキル)持ちの相手に対等に戦い、生き残った。ギィ以来の偉業だ」

「いや、アレと比べないでくださいよ。戦力差を考えてください。ギィ様の相手はヴェルザード様ですよ? 竜種ですよ竜種」

「……比較対象が強すぎて相対的に自分の評価が低くなってるね。あれらはそもそも比べるべきじゃないんだよ」

 

 ヴェルダナーヴァのセリフにルシアも頷いている。

 

 そうは言われてもわかりやすい比較対象ってそこら辺だし。

 上位勢の強さを体感して最終章ら辺の魔境ぶりを知っているから今の俺がどれだけ弱いかは痛いほどわかるからな。

 究極能力(アルティメットスキル)が手に入っていない時点で舞台にすら上がれていないのだ。

 

 というかそう言っているあんたらも俺からしたらそっちの言う比べたらダメ枠なんだけどな。

 神と勇者の妹っていうとんでもない称号があるんだから。

 

「いやぁボクらを救った。さらにはユニークレベルで究極と渡り合って生還した。ってことで君に究極能力(アルティメットスキル)を送りたい気分だよ」

 

 まじで?

 貰えるの究極能力(アルティメットスキル)

 

 俺が内心盛り上がってるとルシアの呆れたような口調の言葉が響く。

 

「そんな力残ってるんですか?」

「いや全く? そもそも万全の状態だったとしてもそんな力は残ってないよ。言ったでしょ? 〝そんな気分〟だって」

 

 まぁ、だよなぁ。

 そりゃそうだよな、そんな力残ってたらまだ戦況マシになってたよな。

 理屈としては理解できるんだけどワンチャン究極能力(アルティメットスキル)手に入るかもとか思っちゃったから悲しみがデカい。

 現実はそんな甘くないよってことか。

 

「すみませんね。変に期待させちゃって」

「いや別にいいですよ。まぁ期待したかって言われたら期待しましたが究極能力(アルティメットスキル)はそう簡単に手に入っていいものではないと思うので」

 

 まぁ未来でリムルがポンポン生み出すんだけどな、究極保持者。

 やっぱスキルの統合分離ができるのバグだろ。

 ヴェルダナーヴァと似たようなことしてるじゃん。

 

 ……だとしたらその元となったシズさんの変質者(ウツロウモノ)ってヤバくね。

 そりゃ英雄にもなりますわ。

 

 まぁその獲得経緯がだいぶお労しいからそう気楽に言えるものでもないのだが。

 

「いやーごめんね。でもこんなにして貰ったのに褒美もないってのはおかしいよね」

「いや別になくてもいいですよ。これは私が勝手にやったことなので。勇者の国で悪魔である私が殺されていない時点で感謝してます」

 

 ハッキリいって意味わかんないよな。

 勇者の身内を悪魔が守るって。

 まぁ中身が転生者で普通の悪魔ではないのだが。

 

「悪魔のくせに報酬を求めないとはほんと変わってるね」

「勇者に肩入れしている時点で今更では?」

「アハハ、それもそうだ。さて、君の報酬の話なんだけどね……」

「あれまだその話終わってなかったんですか」

 

 正味なくね?

 俺は特に立場とかそういうの求めてないからな。

 つかいらん。

 元一般高校生に役職なんか重いのだ。

 

 現物じゃないと基本俺うれしくないしな。

 その筆頭であるスキルはダメっぽいし……だとしたら剣とかそう言った武器?

 つっても今の俺に使いこなせる気がしないぞ。

 主として認められない自信がある。

 

「正直ボクから差し出せるものはないんだよね。スキルは無理だし……強いていうなら武具? けど使いこなせないもの渡してもって気はするよね」

「じゃあどうするんです?」

「うん。ボクには無理だからボク以外にやって貰おうと思ってね。出来ればボクがやりたかったんだけど……」

 

 そう言ってヴェルダナーヴァはルドラの方へ目線を向ける。

 俺には正直何をしたいのかさっぱりだがルシアは何か思い至ったらしい。

 何やら驚愕していた。

 

「ルドラ、ちょっといい?」

「ん〜? なんだ?」

 

 ヴェルダナーヴァの呼びかけにルドラはフルボッコにした敵をポイっと投げ捨てながら応じる。

 

 おぉ……なんだありゃ。

 本当に俺と戦ってた時と同一人物なんですか?

 めちゃくちゃボコられてるじゃん。

 相当怒り溜まってたんだろうな。

 自分の大切な人たちを殺そうとした奴だから当然ではあるけど。

 

「いや彼に〝名〟をつけて欲しくって」

「は?」

「あー、いいぞ」

「え?」

 

 待て待て待て当事者の俺の知らないところで勝手に話が進んでいくんだが。

 

「いや名付けって悪魔にですよ? そんな簡単に請け負っていいもんじゃないでしょ!? あなた勇者なんですよ?」

「いやもう俺既にギィにやってるし」

「……」

 

 そういやそんな描写あったわ。

 そんときのギィって確か悪魔王(デヴィルロード)だったっけ?

 上位魔将(アークデーモン)ならまだしもなんで悪魔王(デヴィルロード)に名付けしてんだよ。

 

 前例が強すぎて何も言えねぇんだけど。

 

「……」

「兄様絶句されてますよ」

「うるせぇよ。俺は悪くない」

「まぁあれにはボクも驚いたね」

「だからうるせぇって! はぁ、ともかく俺様としてはお前に名付けをするのは問題ないんだ。それともなんだ? 俺様に名付けされるのは嫌か?」

「いや別に嫌ってわけじゃないんですけど……そんな簡単に頷かれるとは思ってなかったので」

「まぁアイツに対しても結構軽いノリで名付けしたから問題ないだろ」

 

 ルドラのそのセリフに「問題大有りです!」とルシアが詰め寄る。

 

「兄様あれで死にかけたんですからね?」

「今回は上位魔将(アークデーモン)だし大丈夫だろ」

「そういう問題ではないのですが……」

「それに、だ。俺様としては2人を救ってくれた恩人……いや、恩悪魔? まぁそこはどうでもいい。ともかくお前には恩があるからな。助けてもらったに何もなしってのはあり得ないだろ」

 

 先ほどとは違い、ルドラ真剣な表情で俺にそう言う。

 

 ここまで正面から感謝を伝えられるとむず痒いな。

 

 ……だとしたら断るっていう選択肢はない。

 ここで断るとか逆に失礼だろう。

 

「わかりました。ありがたく受け取ります」

「よし。そんじゃあ早速行くぞ。お前の〝名〟はヴェルアだ」

 

 

 




名前めちゃくちゃ悩んだ。
安直すぎたかな。
まぁルドラならそんな凝った名前にはしないでしょ。
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