リムルに喰われる悪魔に転生してしまった…… 作:てきとーでいこう
……なんだ?
気絶してたのか?
意識がぼんやりしている中最初に目に入ったのは豪華な装飾のされた天井だった。
どうやら決戦の場とは別の場所に運ばれたらしい。
決戦、そう決戦だ。
確か俺はあの後名付けをしてもらって……
そこぇ俺の意識は完全に覚醒した。
「っ!」
ガバッと起き上がり、周囲を見渡す。
敵はどうなった!?
ルドラが一方的にフルボッコにしてたけどトドメを刺したところを見てないぞ。
最悪だ。
敵がまだ生きているのに名付けで気絶するとか無防備にも程がある。
ルドラを呼べたことで油断していた……!
大丈夫だとは思うが万が一があると怖い。
どうか無事であってくれ──
そんなことを考えていた俺の視界に映ったのは
「あ、起きました?」
何やら怒っている様子のヴェルグリンドとそれを押さえ込んでいるルドラ。
何やら縮こまっているヴェルダナーヴァ。
そしてそれをミリムを抱きながら眺めているルシアの姿だった。
うん。
誰か説明して。
近寄って話を聞いてみるとどうやら俺が名付けをしてもらい気絶した直後にヴェルグリンドが転移してきたらしい。
おそらく遠征を放り出すわけにも行かず、ルドラがいるという安心感も相まって遅れてきたのだろう。
とはいえ自分の兄と恋人の妹が殺されかけてるという状況で平常心を保つというのはいくら竜種といえど難しい。
きっと心の内は様々な感情が渦巻いていただろう。
そんな中急いで転移し、目に入ったのはぶっ倒れている俺と放置されている敵らしきもの。
それを見て困惑して2人に説明を求めた。
すると実際に2人が殺されかけていて、俺が時間稼ぎをしてルドラを呼び出して名付けをした、などと情報量でぶん殴られたらしい。
ともかく一つは全ての元凶である敵をフルボッコにして落ち着いた後より詳しく話を聞くとルドラの俺の名付けにヴェルダナーヴァが干渉したしていたという事実が判明。
なんだそれ俺も知らんぞ。
何やってんの
嫌な予感を感じながらその内容を促すと俺に竜の因子を埋め込んだとのこと。
俺の名がヴェルアと竜種に因んだことになってることも踏まえてヴェルダナーヴァにやりすぎだと再び怒る。
それを今ルドラがどうにか収めている。
「ってことです」
「ちょっと待ってください? 私も今情報にぶん殴られているので」
一旦情報を整理しよう。
まず俺がヴェルアと名付けをされる。
はい、まずここ。
なんで〝ヴェル〟って入ってるの?
これって竜種の特権じゃないの?
そんで次にヴェルダナーヴァが俺の名付け及び進化に介入。
竜の因子を埋め込む。
そんでここ。
竜の因子って竜種のやつですよね?
ちょっと報酬としてはおかしくないか?
絶対報酬として出しちゃいけなくねそれ。
「何やってんですかヴェルダナーヴァ様」
「君までいうのかい!? 竜の因子なんて誰もが喉から手が出るほど欲しいものだよ!?」
「そりゃそうなんでしょうけどだからといってそれを報酬として出すのはおかしくないですか? 本当に報酬としてだけなんですか?」
俺の質問にヴェルダナーヴァは満面の笑みで答える。
「うん、もちろん」
絶対嘘だこれ。
興味本位でやったろ。
アンタの笑顔の即答ほど信用ならねぇもんはねぇんだよ。
どうせ悪魔に竜の因子を埋め込んだらおもろくね、とか思ったんだろ。
「ヴェルダナーヴァ様は一旦放っておくとして」
「様ってつけられてるのに敬意のかけらも感じないんだけど」
「ルドラ様なんで私にヴェルってつけてんです? ヴェルって竜種の特権みたいなもんだと思ってたんですけど」
「……」
いや俺に矛先向けんなよって顔すんなよ。
ヴェルって俺が名乗るには重すぎるんだよ。
「……そこまで考えてなかったんだがな。ヴェルダナーヴァとルシア、んで俺からちょっとずつ取っただけだし。ちなみに俺はルだけ」
「なんで命名者の要素が1番薄いんですか」
「だって俺あんま関係なくね。頑張ってたのってお前とヴェルダナーヴァとルシアだしよ」
1番暴れてたのはアンタな気がすんだがな。
まぁいいか。
さて、と。
名付けができたってことは進化できたのかな。
(『
《解。
ステータス
種族:
名前:ヴェルア
称号:なし
加護:ルドラの加護
魔法:『元素魔法』『暗黒魔法』
ユニークスキル:『
エクストラスキル:『万能感知』『万能結界』『魔王覇気』
コモンスキル:『思念伝達』
耐性:物理攻撃無効
精神攻撃無効
状態異常無効
自然影響無効
聖魔攻撃耐性
?????
待て待て待て。
またもや情報量が多いぞ。
気になることはある、何か新しい
でも、でもな。
「
なに、なんで悪魔なのに聖属性出てきてんだ?
ルドラか、ルドラだな?
あいつ勇者だもんな、それにその妹もいるもんな。
そりゃ影響受けてるわな。
名付けまでされてるからな。
なんならなんかルドラから加護貰ってるし。
「どうしたんですか?」
「ああ今自分の状態確認してたんですけどちょっと意味が分からなくてですね」
「というと?」
「……口で説明するのもアレなんで思念送りますね」
ルシアの問いにそう返して【思念伝達】でこの内容を送る。
もちろんスキルとかは送ってない。
個人情報だからね。
送ったのは種族と加護のとこ。
さてどんな反応をするかな……と思っていたら何やらワナワナ震え出した。
え、何どしたの。
「あの、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫です。少し待っててください」
俺の質問に圧を感じる声色で返事をしたルシアはスタスタとヴェルダナーヴァの所へ歩いて行った。
あ、終わったな
ルシアの向かう先に視線を向けるとそこではヴェルグリンドの怒りが治ってきたのか雑談に移行しようとしている3人がいた。
今からそこに対ヴェルダナーヴァ爆弾が通りますよ。
そんな俺のおふざけに呼応するようにルシアの怒号が響く。
「竜の因子以外もやらかしましたね!?」
「……いやなんのことだかサッパリ」
「なんですかこの
「え、何俺様? ちょっと見せろ。……加護はまだわかるんだがなんでコイツ悪魔のくせに聖属性持ってんの?」
「おそらく兄様が名付けをした時に魂の回廊を通じて細工をしたのでしょう。じゃなきゃいくら兄様の名付けといえども聖属性なんか獲得できませんよ」
あ、そうなの?
てっきりルドラたちの影響が大きいと思ってたんだけど。
……いや、それもあるのか。
それを利用して俺に聖属性を与えたって感じかな。
何人を勝手に実験台に使ってくれてんじゃ貴様。
「だってせっかく勇者が名付けるんだよ? これくらいサービスすべきでしょ」
「竜の因子に飽き足らず聖属性までも……お兄様、悪魔にルドラ級の聖属性の力を注ぎ込むとか殺す気なの!?」
「ヴェルアだって聖魔攻撃耐性持ってるし聖属性に満ちてるここで生活しても問題ないからいけるでしょ。それとちゃんと耐えられる要素を持つスキルを手に入れてたし」
それって多分この『
俺が今まで持ってたスキルに対聖属性なのなかったし。
名前からしてそうっぽいしな。
つかユニーク多くね?
計五つとか原作でもそういなかったぞ。
それはそれとしてヴェルダナーヴァ、反省しろ。
俺下手したら死んでたんだからな!
「まぁいいじゃないか。ちゃんと成功したんだし」
「全く反省してないわね」
「ですね」
「だな」
「私よりこの人の方が悪魔って種族似合ってませんか?」
「ちょっと?」
他人を平気で実験台にする。
無許可でヤベェやつ埋め込む。
ちゃんとした安全確認なし。
スリーアウト、有罪。
「まぁ生きてるからいいですけどね。気まぐれで死にかけるなんて慣れてるので」
「いやそれは慣れちゃいかんだろ」
「原初に揉まれてみてくださいよ、そんなこと言ってらんないですよ」
「……なんかごめん」
「お兄様がやっと反省したわね。ほんの少しだけだけど」
反省しただけマシよ。
原初には反省って概念ないから。
自分の意思が絶対だから。
「にしても
「あれ、私それ言いましたっけ」
「なるほど、目覚めてないんですね」
やっべ。
カマかけられた。
「……まぁ、はい。そうですね。ユニークが一つ増えたくらいですね、後は魔王覇気とか」
「竜の因子や聖属性への身体の最適化にリソースを割いたんだろうね」
「巡り巡って全部あなたのせいになりますね」
「聖属性に耐性のある悪魔ってめちゃくちゃ厄介だからね? 唯一無二だからね?」
唯一無二なんかいらないんだよなぁ。
もうお腹いっぱいだって。
「そういや気になってたんだがグリュンって結構ヴェルアのこと気に入ってるよな。実際ここまで起こってるし。なんかあったか?」
「そりゃお兄様とルシアの命を救ってくれたのよ? 命懸けで。それなりに好感も湧くでしょう」
「それもそうだな」
おぉ、意外だったな。
ルシアとルドラとヴェルダナーヴァに比べてヴェルグリンドはちょっと近寄りがたい雰囲気があったから。
なんて言えばいいのかな。
ルドラとか身内以外には話が通じないというか話しても無視されるみたいな。
俺の勝手な印象だったけど違うかもしれない。
これからはちゃんと話したりしなきゃだな。
「さて、ひとまず進化の件はここで終わりにするとして……まだ話さなきゃならんことがあるんだよな」
「だね。まぁボクらというよりはヴェルアのことなんだけどさ」
俺?
もう終わったとばかり思ってたけど。
何か残ってたっけ。
「何キョトンとしてるのさ。君国民守るためにあちこちに魔法陣設置して回ってたでしょ?」
「そうですね。少しでも負担が減ればと思って」
アレで敵の注意を逸らして介入する余地が出てきたしやっといてよかった。
本当に。
「それで実際助かった人たちがいてね、その人たちが言うんだよ。魔法陣を設置していたあの人はどこだって」
「え?」
「お前姿バレちゃってるからな。もうこれ以上隠せないんだよ。だからそろそろ表舞台に立てって話」
あー、確かに姿晒してたな。
隠すとかそんなこと言ってる余裕なかったし。
……え、マジで?
進化の結果はこんな感じでした。
コイツどこ目指してんだよ……