リムルに喰われる悪魔に転生してしまった……   作:てきとーでいこう

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原初会議

 

 

 死地に向かう覚悟を決め、転移門をくぐり抜けた瞬間。

 

「……」

 

 視界が眩い光に包まれる。

 

「やぁ、久しぶりだね! 挨拶がてらコイツを受け取ってくれ! 〝虚霊侵撃砲(カオスカノン)〟!」

 

 嫌な予感は本当によく当たるものだ。

 多少の絡みはあると思ってはいたがまさか初っ端魔法ブッパとは。

 黄(ジョーヌ)らしいといえばらしいが。

 

 避けてここに被害を出すのもアレだし相殺するか。

 そう思って核撃魔法を撃った時だった。

 

「──っ!? 喰われた!?」

 

 俺の核撃魔法が黄(ジョーヌ)の放った〝虚霊侵撃砲(カオスカノン)〟に喰われる。

 それによってカレラの魔法の威力が上がった。

 

 待て待て。

 敵の魔法を喰ってパワーアップとかリムルかよ。

 

 自分の魔法が敵の餌になるとか悪夢かな。

 これをスキルとかまで対象なリムルマジやべぇ。

 敵からしたら理不尽の塊だな。

 

 ともかく核撃魔法は敵の餌だ。

 喰われる。

 ならばこっちも喰って仕舞えばいい。

 紫(ヴィオレ)の技を借りさせてもらおう。

 

「〝虚無消失獄(ニヒリスティックバニッシュ)〟」

 

 俺の放った魔法が黄(ジョーヌ)の魔法を丸ごと喰い尽くす。

 それによって先ほどの眩い光は収まるのだった。

 

 ふぅ、なんとかなった。

 いきなり魔法ブッパはやめてもらいたい。

 

 というかそれ以上に……

 

「それ、前私が試してた〝虚無〟と〝霊子〟の……」

 

 あれはいつぞやの原初修行で制御できずに諦めたやつ。

 究極なきゃ無理かと思っていたが……

 

「できたんですか!?」

「ああ。ずっと研究してやっとな。できたコレは核撃魔法でいう〝熱収束砲(ニュークリアカノン)〟くらいの初歩のものだが」

「その基礎レベルでこれって……」

 

 これ発展したらやばくないか?

 下手に魔法で牽制したら利敵行為になるんでしょ?

 

 しれっと黄(ジョーヌ)にエグい強化入ってるわ。

 ついでにギィも。

 どうせコピーしてるし。

 

「なんだお前まだなんかやってたのか?」

「そんな問題児みたいに言わないでくださいよ。前に試しにやってみただけです。失敗しましたけど」

「アイデアは面白かったからな! 暇つぶしにやっていたんだ!」

 

 黄(ジョーヌ)が自慢げに笑いながらそう言う。

 

 いやマジですげぇよ。

 多分究極持ってないでしょ?

 なんでできんだよ。

 

 いや、究極無くても行けたのか?

 俺が一方的に決めつけてただけで。

 にしても欠片もできる気配なかったのに実用たりうるまで持っていくとはさすが原初と言うべきか。

 

 視界の端で黒(ノワール)がめちゃくちゃ見てるしすごいことなんだろう。

 俺としても空想上のものだったから実現すると感慨深いものがあるな。

 

 つかなんでいんの?

 ギィが言っていた中には含まれてなかったけど。

 もしや勝手に来た?

 黒(ノワール)なら何してもまぁアイツだし……で片付けられるからなぁ。

 

「クフフフフ。暗黒魔法と核撃魔法の融合ですか。名付けるならば虚霊魔法といったところでしょうか」

「なんで関係のない君が威張っているんだ」

「興味深いと思っただけですよ」

 

 黄(ジョーヌ)の不満げな言葉に黒(ノワール)はなんでもないように応じる。

 ほんとメンタル強いよな黒(ノワール)。

 俺がそんなこと言われたら冷や汗ダラダラだぞ。

 まぁ、そっちも原初ってのもあるんだろうけど。

 

「ねぇ、わざわざ来たんだから早くしてよ」

「別にいいのではなくて? 興味深いのも見れたし」

 

 紫(ヴィオレ)のセリフに白(ブラン)がそう返す。

 まぁ紫(ヴィオレ)は魔法にそんな興味なさそうだしな。

 

「そういえば白(ブラン)様。アイツはどうしました?」

「彼には今家の周りを掃除してもらってるわ」

 

 その掃除対象は群がってる悪魔だったりしないですかね。

 ……多分そうなんだろうなぁ。

 がんばれ、相棒。

 

「雑談はこのくらいでいいだろ? そろそろ本題に入るぞ」

 

 痺れを切らしたギィが全員に席に座るように促しながらそういう。

 それに逆らうつもりもないため素直に従い、席に座る。

 

「さて、本題だが。ヴェルダナーヴァが殺されそうになったってのはマジか?」

 

 ギィのその一言で場の空気が凍る。

 創造神の殺害未遂。

 それは原初といえども無視できないほどの大事件なのだ。

 

「実際に起こったってのはわかってる。が、当事者から話を聞きたくてな」

「あの御方が殺されかけた!? そんなの聞いてないぞ!?」

 

 ギィの言葉に真っ先に反応したのは黄(ジョーヌ)だ。

 とはいえ見た感じ他の原初も似たようなもの。

 知っているのはギィと情報収集していたであろうレインとミザリーか。

 

 今回の呼び出しの理由として創造神暗殺未遂は言っていないのだろう。

 

「そう簡単に言える話じゃないだろ? それと、コイツの進化とも関わってる」

「……」

 

 言葉を聞いた黄(ジョーヌ)は納得いかない様子を隠しもしなかったが、椅子に乱雑に座った。

 話を聞く気はあるのだろう。

 ギィに話の続きを促す。

 

「改めていうがヴェルダナーヴァの野郎が殺されかけた。殺されかけたってだけで生きてはいるがな。そこは当事者であるお前が詳しいだろ」

「そうですね。戦いにも参戦しましたし」

 

 ギィから渡された話のバトンを受け取る。

 創造神暗殺未遂に関しては俺の方が詳しいだろう。

 

「まずは説明をして貰える?」

「はい、白(ブラン)様。まず敵の目的はわかりません。私が察知した理由も未来を見たからなので」

「その未来であの御方が襲撃されたと?」

「いえ、正確には王都へのテロの未来を見ました。そこから何かあると警戒していた結果気づけた、というわけです」

 

 原作知識です、なんて言えるわけがないからな。

 

 下手にヴェルダナーヴァが襲撃されたというとテロへの対処をなぜ優先したのか問われるだろう。

 テロを察知してそこからヴェルダナーヴァ襲撃に繋がったと説明する方が自然なはずだ。

 

「そのテロというのは?」

「王都の爆破ですね。おそらく本命のヴェルダナーヴァ様とルシア様襲撃から目を背けるのが目的だったかと」

「何故そこから襲撃に?」

「最初はテロの対処を行なっていたのですが突如念話が使用できなくなりまして。異常事態と判断して王都の治安部隊に任せて王城に急行しました」

 

 俺の説明を聞いて白(ブラン)は俯く。

 おそらく何か考えているのだろう。

 矛盾はない……はずだ。

 原初の中でも頭脳派な白(ブラン)による審議とか怖すぎだろ。

 ミスったら死ぬぞ。

 

「……なるほど」

 

 怖かった。

 マジで怖かった。

 

 久しぶりにここまで焦ったわ。

 原初たちとずっとつるんでるから慣れてきてたけどやっぱ原初は別格だわ。

 あまり調子に乗らないようにしないと。

 死にかねん。

 

「それで、襲撃の内容は?」

 

 今度は黒(ノワール)がそう質問する。

 戦鬪狂だしな。

 気になるんだろう。

 

「敵は隠蔽特化の究極能力(アルティメットスキル)を持っていました。ユニークしか持っていない私なら本来太刀打ちできませんがその権能ゆえかまだ耐えられるレベルの攻撃となっていました」

 

 実際普通レベルの究極能力(アルティメットスキル)だったら死んでただろうな。

 隠蔽の性能がとんでも無かったおかげで生き残れた。

 

「ほう? 究極保持者を相手にして生き残ったと?」

「相性が良かったのと、そもそも敵を倒すことが目標ではなかったこと。そして皆様による修行の成果が合わさった結果です」

「敵を倒すことが目標ではない? どういうことかな?」

 

 ここで紫(ヴィオレ)からの質問が来る。

 意外だな。

 ヴェルダナーヴァ以外は特段興味ないと思ってたんだけど。

 

「正面から戦って勝てないのは分かりきってましたからね。時間稼ぎに徹してヴェルダナーヴァ様やルシア様が状況を打開するのを待ったんですよ」

「……魂の回廊か」

 

 ここでギィが正解を当てる。

 さすがというべきか。

 俺が話した数少ない情報だけでたどり着いた。

 

「はい、その通りです。魂の回廊を通して遠征中だった勇者ルドラを呼び出す、というのが私の勝利条件でした。私程度で時間稼ぎになっている以上彼が来れば勝ちは約束されたようなものですし」

「だろうな。オレとまともな戦いができるアイツがそんじょそこらの奴に負けるわけがない」

 

 これでひとまず説明は終わったかな?

 流れは全部説明したし。

 

 ここで具体的にどうやって時間稼ぎをしたのか、なんて問われれば言わざるを得ないが……できるだけ手札は隠しておきたい。

 特に【夢中領域】。

 これは正真正銘俺の切り札だ。

 もちろん俺が新たに獲得したユニークスキル『相反者(クイチガウモノ)』にも強力な能力はあるがやっぱり【夢中領域】の権能と肉体強化がシンプルにして最強だ。

 

「因みにその襲撃を図った奴はどうなったの?」

「ヴェルグリンド様に焼却されてましたね」

 

 始まりの勇者にボコられて、さらにそのあと竜種であるヴェルグリンドにボコられて焼却。

 過去一豪華な死因なんじゃないか?

 

「そうそう、気になってたんだけどその襲撃を企んだ国はどうなってるの?」

「ああ、オレが滅ぼした」

「オッケー」

 

 待て待て待て。

 軽いノリでとんでもねぇことやるんじゃねぇよ!

 コンビニ行く感覚で国滅ぼしてるじゃねぇか。

 

「で、だ。その結果お前は進化したわけだが……それは一体誰に名付けられたんだヴェルア?」

 

 だからそう簡単に流せる話じゃ……ってヴェルア?

 なんて俺の名を……ってついさっきのルドラたちとの会議で聞いてたな。

 

「君! 名付けされたのか!? 先を越されたか……!」

「え〜ツマンナイな〜 じゃあ白(ブラン)のやつ狙うかぁ」

 

 やめてね。

 小声だけど聞こえてるから。

 

 俺をおもちゃ扱いしないでください。

 あと相棒にはすまん。

 たぶん面倒なことになる。

 白(ブラン)に守ってもらってくれ。

 

「勇者ルドラですね。促したのはヴェルダナーヴァ様ですけど。報酬とのことです」

「勇者に名付けられる悪魔がいるかよ……」

 

 いや、それアンタもそうだけどな?

 まぁ、自分から名付けられに行った俺と勝手に名付けられてしまったギィとでは話が違うんだろうけどさ。

 

「だから聖属性になったのか?」

「間違いなくその影響でしょうね」

「悪魔のくせに聖属性とはな。唯一無二の悪魔だぜお前は」

 

 ギィにここまで言わせるとなるとやっぱ俺ヤバいことになってるよなぁ。

 悪魔の弱点である聖属性がほぼ効かないわけだからな。

 なんなら悪魔である俺が聖属性の魔法とか攻撃してくるわけだし。

 

「今回の会合はこんなもんだ。何かあるやつはいるか?」

 

 ギィの問いかけに答えるものはいない。

 おそらくヴェルダナーヴァ襲撃というとんでも情報で俺のこと気にしてる場合じゃないのだろう。

 

 そうであって欲しい。

 原初に気に入られること自体厄ネタなんだから。

 そのおかげで助かった節もあるからそう簡単には言えないが。

 

 1人、また1人と転移門から帰っていく。

 

「今度会うときはより洗練された虚霊魔法を見せてやろう!」

「んじゃまたね。耐性を確認したくなったらいつでもいいよ。拷問してあげるから」

「今度遊びに来なさいな。彼も君に会いたがってたわよ」

 

 三者それぞれ俺に一声かけてから転移門を潜り抜けた。

 気に入られてんなぁ俺。

 嬉しいような嬉しくないような……

 まぁ相棒よりはマシか。

 

 ここはギィの支配領域だから残るは俺と黒(ノワール)のみ。

 黒(ノワール)はどうせ自分で帰るだろうから先に帰らせてもらおう。

 

「それでは失礼します」

「おう。例のヤツはちゃんとやるから待ってろよ」

 

 そう言ったギィの言葉を聞き、俺は帰路についた。

 

 

◇

 

 

「行ったか」

 

 ヴェルアが転移門を潜り抜けたのを確認したギィはそう呟く。

 

 ヴェルダナーヴァ襲撃にルドラによる名付けによる聖属性の悪魔の誕生。

 そしてゲームの審判役。

 空中都市。

 

 考えることが多すぎる。

 だからこそ退屈もしないが。

 

 とはいえ1番の問題は──

 

「クフフフフ。それでは私も帰るとしましょうか」

「暴れ出さないなんて珍しいな。お前だって気づいているだろう?」

「竜の因子……それもあの御方直々のもの。まだ器が完成していないため扱えませんが完成すればいずれ……クフフフフ、楽しみですねぇ」

 

 興奮した様子を隠しもせず黒(ノワール)はそう言う。

 

 それを見てギィはコイツにここまで執着されるとは可哀想なヤツだとヴェルアを憐れんだ。

 

(わかっているか、ヴェルア。テメェはもうオレたちも無視できないほどの存在になっているんだぜ?)

 

 ルドラの元に戻ったであろう悪魔に向かってギィはそう内心呟くのだった。

 

 

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