集中力度合いによって明鏡止水が変わります。集中するほどおっぱいに。
最大集中は
「寒いなぁ」
冬。魔理沙曰く、冬を越すのは人里との関わりを断つと途端に難しくなるらしい。いいね、自然界の冬って感じだ。肩を落とす。…そう。俺は備蓄がない。更に言えば備蓄する場所がない。理由は明白、そもそもこの家は人間が住む場所ではないからだ。妖怪の中でも力のある風見幽香が住む場所。…何が言いたいって?枯れ草に栄養がないように、冬は栄養が地上から消える。多くの植物は地中で冬を越すのだ。飢える。確固たる自信を持っていえる。俺のやるべきことは、蓄えること。…今俺は草をめちゃくちゃ食ってます。
「うわきたなぁっ」
「そう言うな魔理沙。全部毒ないから」
「何言ってんだお前…毒ないからって食う奴がいるか」
「味がしない飯は慣れたからな」
「お前、もしかして私が誘わない限りこれ食ってんのか?れ
「うん」
「…その、すまん」
何を謝られたのだろうか。そう言えば冬に入る前、美鈴師匠にも同じことを言われた覚えがある。とにかく飯を食え。健康に配慮しなくてもいい。量を重視しろ、と。完全に無視。そんなものは無視して食う草が一番美味い。味しないけど。本格的な冬に入れば外出はできないかもしれない。魔理沙が言うには森の葉が集まった場所では殺人級の量が積もった雪に殺されるらしい。それはただの積もり過ぎた雪ではなかろうか。まあ外の世界でも同じようなことはあった。…この家の屋根って、葉が生い茂ってたよな。
「常緑樹…」
「食ったら風見幽香来るんだろ、抑えろ」
「わかってら。だから今食いまくってんだろ」
「…いやほんと、ごめん」
「冬場の間は動かないだけだ。人間版冬眠な。ところでここの冬ってどのくらいの長さなの?」
「あー…でもまあ長くても三ヶ月かな。だから大体、後二ヶ月と少しくらい」
二ヶ月と少し。まあ良いだろう。水の確保?もちろんできている。雪解け水を再利用する。溶けなかったら俺の体温で溶かす。これで万事よろしい。凍死だけに気をつければもう大丈夫。考えられる最悪は冬が長引くこと。俺の予想では、伸びても良いのはせいぜい二週間だろう。一週間過ぎたら紅魔館行くか。三ヶ月も長引けばの話なのだろうから、布団にくるまって眠るだけだ。…冬、越せると良いな。紅魔館の余命宣告、その一番早いものがこの冬だ。俺死にたくねえよ。
「ああ、レミリアに言われたんだろ?知ってるよ」
「まだおっぱい見たい」
「死んだらどうだ。」
「風見幽香に殺される時だなそれ」
笑い飛ばして布団を敷く。もう冬眠するから帰れ。魔理沙は最後に栄養つけろときのこを渡して来た。栄養豊富で魔理沙はこのきのこだけで冬を乗り越えたこともあるらしい。調理なしで食べる。よし帰れ。もう寝る。…とは言っても寝付けない。そうだ、明鏡止水の逆はできないだろうか。集中力で周りが遅くなるのだから、集中力を極限までゼロに近づける。そうすれば、一日が過ぎるのでさえ秒単位にすることができるはずだ。…だとしても眠れなかったら意味がねえんだ。難しいな。
「…誰」
「あら、バレた」
「誰?」
「つい最近殺そうとしてたの、忘れた?」
「おお、風見幽香」
「今日から私、ここで春が来るまで待機だから。よろしく」
…定住とか言ってなかったかな。まあ、良いか。どんどんと眠くなり、果てには変な夢を見た。俺の足が治る過程を勝手に誰かに見させられているような夢。俺の足に風見幽香が謎の種を植えた。すると、くるぶしあたりの抉れていた部分が木の幹としか言えないような色合いのもので埋まった。気持ちの悪い夢だ。もしかしたら気絶する前もこのような夢を見ていたのかもしれない。…次に意識がはっきりとしたときには、風見優香はいなかった。言ってることがわからなくて困るな、これは。
「…雪は…まだ降ってるな。寝よ。
これを繰り返す。一日に一度と考えても二ヶ月で60回。雪が溶けたからと言って冬が終わったとも言えないため、その分を含めて最低でも80回は覚悟するか。一度の睡眠でどれだけ長く眠れるのか。長い冬と俺の熱いデッドヒートが始まった。寝た回数、75回。風見幽香がいた回数は45回、雪を見たのは75回。つまり、一度寝て起きた日からずーーーーーっと、雪が積もっている。おかしいのでは?冬の終わりというものがある。春に移る時。その時には積雪量は下がってなければならない。なんか、全然積もってない?
「私の家をなんだと…」
「仕方ないじゃん。流石に死にかけたし」
「…まあ、丁度新しくクッキー作ってたから、良いけども。」
「全然止まないね、雪」
「距離感が近いわ。訂正なさい」
「アリス、今日は雪をも溶かすような一日を過ごそう」
「出て行く?」
ごめんなさい。イケメンムーブをしてみたかったんです。アリスがくれたクッキーは、数日ぶりにとる糖分ということもあってか大層美味しく感じた。麻薬よりも中毒性がある。アリスの話を無視してお菓子を食べる。美味しい。うっ、急に食べ過ぎて胃が。しかし、それほど食べても後悔はないほどに美味しかった。ここで初めて巨乳を見た日以来の満足感だ。ま、風見幽香の胸も同じ感動を届けてくれたが。ぶっちゃけ今こうしてアリスの家を訪ねれたのは、魔理沙からのきのこと風見幽香の胸のおかげだろう。きのこが栄養を、胸が気力と活力を与えてくれた。
「それ、ほとんど胸のおかげでしょ」
「…うん、まあ、ね。いつも草しか食ってないからさ」
「でしょうね。私もたまに見るわよ。貴方が草食べてるところ。」
「今度美味い野草教えるよ」
「いらない」
この作品にヒロインはいないという体で。