草の根からはなんの情報も得られなかった。完全に手詰まり。わからなかったとして地底に帰りてえ。ホームシックだ。太陽も傾いてきたし、いい加減寝床くらいは見繕わねば。紅魔館は無理、村紗達…は、ちょっと勘弁。俺が落ち着けないからね。そうしてたどり着いたのは元俺の家。…より少し離れた、森の木の上。魔法の森はそこら辺の妖怪が寄りつかない場所だ。寝心地は悪いが眠れないよりはマシ。朝起きて草食えるし…割と悪くはないな。…そんなふうに思った俺は死ね。日が昇ってきた時くらいに木から落ちて起きた。くそ。
「やっほ」
「うわ、死人だ」
「須磨元じゃん」
「魔理沙もいたのか…なんかあるの?」
「いや、特に」
博麗神社に来た。結局一日経てば流石に早苗もおらんだろうと言う話だ。というかいたら流石におかしい。通い妻かよ。気持ち悪い。なんて悪態を出さずに、霊夢達に萃香を知らないかと聞いてみる。が、知らない。じゃあ鵺ってやつ知ってるかと聞いたところ、知っているらしい。命蓮寺によく居るのだとか。…昨日、命蓮寺とやらを訪ねておくべきだったな。まあ後悔しても遅いわけだ。いつも居る口ぶりではないのだから、昨日はいなかったのだと思い込む。そうしておこう。
「なんであんな奴探してんだ?」
「勇儀に言われてな。地底によくわからんものが落ちてて、それを見た勇儀が鵺を連れて来いって。萃香ときた」
「…お前、一応鵺って大妖怪だぞ?」
「死にたくないなら帰って泣いてきなさい」
「霊夢の言う通りにしてもいいんだけどね。色々やりたいことあったんだわ。ほれ、魔理沙」
「?」
魔理沙の手にネックレスを無理やり持たせる。聖に治してもらった立場ではあるのだが、残念ながら少し小さくなっていることだけ伝える。ま、どうでも良い。魔理沙にちゃんと持たせたので俺はさっさと退散する。目指すは命蓮寺。…そういえば命蓮寺ってなんだ。名前的に寺なんだよな。じゃあ人里近くか?…わかんね。そもそも人里だってそんなに行ってないんだよな。…魔理沙に場所だけでも聞いておくべきだったな。寺…鐘があるよな、寺なら。除夜の鐘。どこだ…?
「ここか」
「あれ!?須磨元じゃん!」
「…寺って妖怪が居てもいいのか?」
「何言ってんのさ。ここは聖が住職やってるんだよ?私たちがいても変じゃないの!」
「どうでも良い。そんで村紗、鵺って奴知らない?」
「ぬえ?あー…今日は見てないけど。またあいつやらかしたの?」
「地底でな」
経緯を説明する。するとなんだそんなことかと変な返事をして、ぬえが来るまで寺の中で待っていると良いと言われて案内された。…客室か。俺が船で療養していた場所は木造船の部屋なんだなとわかる部屋だったが、ここは完全に和室だった。村紗船長…お前、自分の乗り物無くなってるけど良いのか…?聞いてみたら普通に小舟を持ってるからそれで良いらしい。随分と欲の少ない幽霊だ。寺に住むだけはあると言ったところか。悟ったのかな、欲望の青天井っぷり。
「でも間が悪かったね。今この寺には私と星しかいないの。聖がいればぬえを捕まえてくれたのに」
「寅丸も居るのか。…他は宗教勧誘にでも行ってるの?」
「んー…布教に行ってるよ。そこにぬえはいないけど。須磨元も行く?」
「嫌だよ。絶対緑髪の女いるだろ」
「お隣だね」
「区画でも引かれてるのか?」
「いや、大通りってだけ。」
だとしても隣に商売相手は置かないだろう。全く変な商売競争だ。少なくとも早苗は気付くと思ったんだがな。だってあいつ、少なくとも高校生だったはずだろ。俺より頭は良いはずだ。…まさか神のご加護で合格したとか言わんだろうな。俺には関係ないけど。村紗と話していると、星も混ざってきた。今日の修行を終えて風呂に入ってきたらしい。わかる、動いた後の風呂は格別だよな。星は汗臭いのが嫌だから入ったらしい。俺と全然違う理由で入ってた。汗を水で流すのも良いけど、体を労わらなきゃ。
「…しかしこんな朝から修行か」
「最近では精神的な負担も減りまして、早く眠れるようになったんです。でもその分早く起きてしまって暇なので修行をしています」
「村紗船長は?」
「道場から聞こえる星の声で目が覚めるね。」
「怠惰だな。幽霊は太らんのか」
「星〜」
「でも実際太りませんよね」
「そうだけど?」
こっちみんな知らねえよ。俺もどこかで地上の時間がわかる時計でも手に入れたいな。地底だと体内時計が狂って仕方ない。昼寝しても、それが30分寝たのか一時間寝たのかもわからん。誰かに教えてほしいが、あいにく誰もわからない。まあ地上にいても詳しくはわからないけど。それでも朝昼夕夜くらいは分かりたい。体内時計が狂いすぎてる気がする。そう考えると、今日の睡眠は体内時計を元に戻すのを手伝ったのかもしれないな。落ちて目が覚めたけど。
「ぬえの悪戯には困ったものですね…」
「ナズーリンも、星の失くし癖には勘弁してもらいたいだろうね」
「どうしてそんな酷いこと言うんですか」
「ところでぬえってどんな奴なの?」
「…難しいですね。割と素直な子ですが、悪戯っ子でもあります」
「良くも悪くも妖怪って感じかな。義理堅いところもあるけど。欲求に素直…は違うか。でもたまにスラスラと嘘つく」
「虚言癖の素直な悪戯妖怪か。…何をもって妖怪と言うんだこいつ。ほとんど子供だろこれ」
誤字脱字はちゃんと報告してね♡
とにかく今の命蓮寺に響子はいないよ。そんなもんだよ。
後、美鈴師匠がなぜ拗ねてるのかと言うと、週に数回の修行をサボっているように見えたからです。走ってるだけじゃなくて組手とかあんだろばーか。と言う感じ。