姉は妹の押しに弱くなくちゃいけないし、妹は姉をぞんざいに扱いながらも二人で生きていけるよう画策してなきゃいけないの
後、妹の方が胸が大きい。姉の方は小さくあって欲しい。
「…こんなとこに変な神」
「ひもじぃ…女苑ん…」
細身、というかガリガリ。更には服のところどころに借用書のようなものが着けられている。そこまで飢餓に遭ってそうな見た目なのに腹が出てないのが不思議だ。岩をボリボリと食べながら神を見つめる。すると、こちらを見た神が何やら変な顔をした。読めるぞ、考えが。何岩食べてるんだこいつとか思ってるんだろう。俺もそう思う。おかげで最近歯が痛い。お燐を頼ればまともな飯にありつけるんだろうけど…なんかなぁ。勇儀を頼った方が多分面倒ごとにならないし、勇儀は飯を恵まないだろうから。
「貴方もお仲間!?」
「何が?」
「貧乏神じゃないの!?」
「痩せ細ってるのに元気あるなぁ…」
「え、でも…違うの…?」
「残念だが生粋の人間だ。」
「人って岩食べるんだ…」
話を聞けば、妹が石油やらなんやらを担保に名義をこの神にして借金しまくりの最中らしい。その金目当てで地上から来たとか。貧乏神の名前で石油を担保にできるのかと疑問が湧く。名前は依神紫苑と言うらしい。紫苑は妹の戻りを待っており、その金で豪遊しようと考えていたらしい。貧乏人が貧乏人たる理由の一つに消費癖があるぞ。ま、そんなことを考えては何も出来ないから良いけど。岩を食べ終えて紫苑の隣に座る。貧乏神がなんだ。俺は元からおっぱいさえあれば良い人間だぞ。家以外は今ほとんど何もないし。
「姉さ〜〜ぁぁぁあん?」
「女苑!」
「今なんか変じゃなかったか」
「アンタ姉さんと一緒にいるとか何者よ!」
「成程…自主的にそんな生活を」
「女苑!お仲間だよ!一緒にご飯食べさせよう!」
「姉さんってば甘いわねぇ。私たちが揃って姉妹、須磨元は不純物よ!」
「何言ってるの女苑」
「何で分からないのよ!?」
「そうだぞ紫苑、今のはお前が間違っている」
「ひぇぁ!?いつの間に隣に来てるの!?」
女苑の横に座り、さて今日はどうしようかと悩む。石油王やってるなら俺もあやかりたいが、生憎石油関連の話は一切理解出来ない。石油?蒸留してからしか知らないぞ?な状態だ。大体、加工技術あるのか?ないだろ?そんなことを考えていたら、紫苑が呑気にやったーと言った。次に女苑に首根っこを掴まれた。…そうだった。最近忘れていたが、胸を見てなきゃ基本明鏡止水は出来ないし、こいつら人外だから片手で人間投げれるんだった。妖怪ってすげー。
「つっても俺、地底じゃ割と顔が売れてるぞ」
「それなら好都合よ。私たちが使うよりも信頼が高いからね」
「いや、胸があれば誰でも良い人間って感じに」
「姉さん」
「知らないよ。そんなことよりご飯!」
「ぁぁあ…」
女苑が泣き崩れた。まあ良いか。さて飯だなんだと訪ねたのはよく分からない店。看板は豪華だし、構えも良い。恐らく高級店。懐かしいな、萃香に無理やり連れて来られたのもこの辺りだった。勇儀いないよな?周りを見渡し、いないことを確認。よかったぁ。豪華な飯屋の、上の階で飯を待つ。紫苑は久しぶりに美味しいご飯が、とウキウキしている。女苑はメニュー表を見て高い飯を数えている。…さて、店の奴が俺を断らなかったのを嬉しく思うべきか、俺を見てきた視線を悲しく思うべきか。女苑が店員を呼びつけ、大量注文。どうせ紫苑が食べるから、らしい。
「…あ、須磨元はさっき食べてたっけ」
「そうだな」
「はぁ?何を?姉さんが欲しがってたようには見えなかったけど?」
「岩」
「岩ぁ!?」
「知らんのか。岩塩は食えたもんじゃないけど岩はまだ食える」
「何言ってんの?」
届いた料理を見る。タイだったり麺だったり…刺身ってお前、どこから取ってくるんだ?地獄に海でもあったか?地底とは思えない食べ物が更に並ぶ。地底って植物どうやって育ててるんだ?肉はどこから?牛肉?人肉じゃないよね?そう思いながらも並べられるものに対して紫苑たちが一々驚きの声を上げていく。多分俺とは別の意味で。こんな豪華な食事は久しぶりに見たとか、こんなに食べれるなんてとか。色々。そんな紫苑たちを横目に先にご飯をいただく。高級店っぽいだけあってちゃんと美味い。
「美味しい!」
「見て女苑!この魚、まだ赤いよ!」
「本当!?」
「地上って今そんなに食事が厳しいのか?」
「貧乏神だからね…」
そこから酒も買いつまみも用意させ騒ぎ、たらふく食い、紫苑が腹を膨らませた頃になってようやく飯屋から出ることになった。俺も久しぶりに人の食事をしたので、かなり満足だ。帰ったらお燐にでも我が物顔で自慢してやるとしよう。面倒なことになる気がするけど良いか。そんなこんなで一夜限りの豪遊も終わり、路上で酔っ払ってる女苑を見ながら紫苑と話すことになった。聞けば女苑はいつも我慢が続く生活をしているせいで酔う時はとことん酔うのだとか。わからん。
「じゃあ、またどこかで〜」
「女苑の胸を保全しといてなぁ〜」
「ん〜…それは嫌」
「何でだよ」
「いつも一緒にいるわけじゃないからね。どこかで会ったらまたよろしく〜」
「何で2度も…」
どんちゃん騒ぎをしている階下で勇儀は酒を樽のように飲んでいた。