Re東方葬想録   作:KUS

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永遠亭

誠斗視点

 

人里から歩いて十数分、俺の目に竹林が見えてきた。

 

「あそこが迷いの竹林。永遠亭はその奥よ」

 

霊夢がそう紹介する。

”迷いの“とは、穏やかじゃないな。

 

「名前的に、あそこは迷宮なのか?」

「合ってるよ。霧が立ち込めてるし、まともな目印もない。おまけに緩やかな傾斜で方向感覚も狂う。

 運が良くないと脱出出来ない」

「そいつは………穏やかじゃないな」

 

俺の質問に咲夜が答えた。

脱出には運がいる………どうやって永遠亭に行くんだ?

 

「安心しなさい。ちゃんと案内人がいるから」

「………顔に出てたか?」

「お兄ちゃんって本当に分かりやすいよね」

「顔に出てる訳じゃないんだけど………雰囲気で分かるのよ」

「…………」

 

雰囲気で分かるのか………俺ってそんなに分かりやすいのか?

…………美鈴に鍛えて貰おうかな。

 

「妹紅〜?いる〜?」

「いるぞ霊夢。そんな大声出さなくても」

 

霊夢の呼び声に対する返事が聞こえ、竹林の方から1人の少女が姿を現した。

白く長い髪に深紅の瞳、肌も白めだ。アルビノか?

 

「で、何のようだ霊夢」

「永遠亭に行くから案内を頼もうかと思ってね。兎を捕まえるよりは早いでしょ」

「はぁ、目的は後ろの外来人の案内か?」

「そうよ。さっき人里に行ってきたから、次はここに来たの」

「命蓮寺の方が近いだろうに。

 外来人のお兄さん?私は藤原妹紅、ここで竹林の案内人をしてる」

「十六夜誠斗だ。昨日幻想入りしたばかりの新参だ、よろしく」

「ああ、こちらこそ。十六夜って事はそこのメイドの関係者か?」

「咲夜は妹だ。少し複雑だから、詮索は止してくれると助かる」

「わかったよ。よろしく誠斗」

 

俺と妹紅の自己紹介が済み、現在は竹林の中を移動していた。

移動中も、軽い世間話をしていた。

 

「そういえば、誠斗の歓迎会をやってないわね」

「いいよ俺なんかの歓迎会なんて、みんな他にやる事あるだろう」

「良いのよ。どいつもこいつもどうせ暇なんだから」

「博麗の巫女がそれを言っていいの?」

「メイドさんに同感だ」

 

本当に歓迎会をやるつもりなんだろうか。

俺も色々忙しいから別にいいんだが。

 

「まあ、異変が解決した後は決まって宴会をやるからな」

「俺の幻想入りは異変かよ」

「そうじゃないわよ。折角なんだからパーっとやった方が楽しいでしょ?」

「それはそうね。

 でも霊夢、貴方宴会なら一々お兄ちゃんを連れてアッチコッチ回らなくて済むって魂胆じゃない?」

「ギクッ」

「それを口に出す奴を俺は初めて見たぞ」

「奇遇だな。私もだよ」

 

そんな感じの下らない話をしていたら、竹しかない視界に和風建築の屋敷が映った。

その屋敷の様相は人里のような明治期のものではない。

どちらかというと白玉楼に近かった。

日本庭園とかはないが。

 

「着いたぞ、ここが永遠亭だ」

 

妹紅が俺に向かってそう言った。

どうやら目的地に着いたらしい。

 

「永琳〜?いるか〜?」

 

妹紅が屋敷に向かって大声で呼びかけた。

その声に反応して、屋敷の中から1人の少女が出てきた。

 

「どうしたんですか妹紅さん……あれ、霊夢さんに咲夜さんまで。

 それに後ろの方は?」

「鈴仙ちゃん。今日はそこの外来人の案内だって」

「あぁ。そうですか、初めまして。鈴仙・優曇華院・イナバと言います」

 

屋敷から出てきたウサ耳の少女はそう名乗った。

名前長いな。

 

「十六夜誠斗だ。これからよろしく」

「誠斗さんですね。咲夜と苗字一緒なんですね」

「兄妹だからな」

「えっ!?咲夜さん、兄妹がいたんですか!?」

「何よその反応。いたらまずいの?」

「いえ、そういう訳では……」

 

咲夜が若干不機嫌になる。

阿求にも驚かれていたが、咲夜は普段どういう印象を持たれているんだ?

 

「鈴仙、永琳はいるの?」

「お師匠様なら奥で薬の調合をしています。

 呼んできますので中で待っててください」

「だそうよ。中で待ちましょう」

 

霊夢はそう言ってさっさと中に入って行った。

妹紅は他に用事があるらしく来た道を戻って行った。

妹紅を見送った後に、俺と咲夜は永遠亭に入って行った。

 

中は典型的な和風屋敷といった感じだった。

外からは平安時代の貴族の屋敷に見えたが、中は意外と見覚えのある様式だった。

 

「あれ〜、霊夢じゃん。何してんの」

「てゐ、いたのね」

「後ろにいるのは紅魔館のメイドと………初めて見る顔だな」

「十六夜誠斗だ。昨日幻想入りしたばかりでな」

「あ〜なるほど。私は因幡てゐ、妖怪兎さ」

 

鈴仙といい、てゐといいここには兎が多いな。

ここに来るまでにも屋敷内で何体かの兎を見ている。

 

「てゐ、輝夜は今何処にいるの?」

「輝夜〜?あの人なら自室にいるよ」

「そっ、ありがと」

 

それを聞いて霊夢は俺達(正確には俺)を手招きしながら奥へと進んでいった。

俺と咲夜も追従した。

 

しばらく歩き、一つの襖の前で霊夢が止まった。

ここが輝夜という人の自室らしい。

 

「輝夜?いる?」

「その声は霊夢?ちょっと待ってて」

 

霊夢の呼び声に中から返事が来てから少しして、襖が開かれた。

 

「どうしたのよ霊夢。何か用事があるの?」

「今はそこの誠斗に幻想郷を案内してるのよ」

「ああなるほどね。初めましてね、私は蓬莱山輝夜よ」

「十六夜誠斗、昨日来たばかりの新参だ」

「ええ、これからよろしく」

 

輝夜は微笑みながらそう返した。




藤原妹紅
種族:人間(蓬莱人)
能力:老いる事も死ぬ事もない程度の能力
二つ名:蓬莱の人の形
迷いの竹林の案内人をしている少女。平安時代出身。
人間だが、蓬莱の薬を口にしている為、不老不死の存在となっている。
輝夜とは犬猿の仲で、日常的に殺し合いをしているらしい。
本人達が不老不死なせいで遠慮がない。

鈴仙・優曇華院・イナバ
種族:玉兎
能力:狂気を操る程度の能力
二つ名:狂気の月の兎
永遠亭で暮らす玉兎。
元々はレイセンという名前だったが、月から逃げ出した後永遠亭に来た際に、
永琳から優曇華院、輝夜からイナバの愛称を付けられた。鈴仙も地上人にカモフラージュする為の当て字。

因幡てゐ
種族:妖怪兎
能力:人間を幸運にする程度の能力
二つ名:地上の兎
輝夜達が来る前から迷いの竹林で暮らしている最古参。
長い時間を生きているだけあって知識と経験は豊富。

蓬莱山輝夜
種族:月人
能力:永遠と須臾を操る程度の能力
二つ名:永遠と須臾のお姫様
永遠亭の主。竹取物語に登場するかぐや姫その人。
竹取物語のストーリーとは違い、地上に残ったらしい。
妹紅とは犬猿の仲で殺し合いが続いている。
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