Re東方葬想録   作:KUS

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9話の地球連邦について
正式名称を地球管理連邦政府から地球連邦管理調停政府に変更しました。
語呂が悪すぎた(笑)


誠斗の傷

咲夜視点

 

あの後、紅魔館に戻った私は、お兄ちゃんの件をお嬢様に伝えた。

お嬢様は特に驚く事もなく、「そう……」と呟いただけだった。

お嬢様はお兄ちゃんの脳の傷について知っている。

でも、それを聞く事ができなかった。

霊夢からも頼まれてた。なのに聞けなかった。

 

怖かった。

私の知らないお兄ちゃんを知る事が………

だって、私の思い出の中の、優しいお兄ちゃんのままでいて欲しかったから。

知ってしまったら、思い出が全部壊れてしまいそうだから。

 

霊夢視点

 

誠斗が倒れた次の日、私は朝っぱらから紅魔館を訪れていた。

理由は、誠斗の事をレミリアから詳しく聞く為。

少なくとも、あいつが紅魔館にいた時期の事は知れる。

 

まだ朝早いせいか、美鈴は門の前にいなかった。

門を開けて入ろうとすると、後ろから声をかけられた。

 

「よお霊夢、久しぶりだな」

「魔理沙、何のよう」

「いきなりそんなガンを飛ばすなよ。私何かやったか?」

 

声の正体は箒に跨って飛んでいる魔女っ子。

私の親友、霧雨魔理沙だった。

 

「何もやってないわよ。わ・た・し・に・は。

 どうせパチュリーの図書館から本を盗みに来たんでしょ?」

「盗んでない。借りてるだけだぜ」

「いつまで?」

「私が死ぬまで」

「それを借りパクと言うのよ。盗みと同じ」

 

こいつは良くも悪くも変わらない。

一応、盗んでるのは妖怪相手くらいだし、人里の一般人から盗みはしない。

最近は盗みの頻度も減ってる。

「死ぬまで借りる」も人間より何倍も生きる妖怪に言ってるので、

要は自分が死んだら回収すれば良いという本人なりの論理からの行動だ。

それで盗みが正当化される訳じゃないが。

 

「霊夢はどうして紅魔館に来たんだ?」

「それをあんたにいう必要は?」

「別にいいだろ、減るもんじゃないし」

 

確かに魔理沙に誠斗の話をしても、何も損はない。

幻想郷で暮らす以上、行動範囲の広い魔理沙に関わらずに生きるのは無理だろう。

頻繁に紅魔館に来るし。

なら、ここで説明した方が後々楽だ。

 

「一昨日外来人が来たのよ。その件でレミリアにようがあるの」

「そいつは紅魔館に住むのか?」

「住むのかじゃなくてもう住んでるわよ」

「へぇ〜、挨拶した方がいいか?」

「今はいないから意味ないわよ」

「………じゃあお前に着いていっていいか?」

 

魔理沙が急にそんな事を言ってきた。

私に着いていって情報を得る魂胆だろう。

 

「別に良いわよ」

「やったぜ」

 

私にそれを拒否する理由はなかった。

説明の手間が省けるしね。

 

紅魔館に入ると、丁度良く咲夜がエントランスで掃除してた。

昨日頼んだ事を聞こうと思い近付くと、咲夜もこっちを向いた。

 

「霊夢、おはよう」

「おはよう咲夜」

「私もいるぜ」

「何で魔理沙もいるのよ」

「門の前で偶々会ったのよ。そんな事より、昨日頼んだ事はどうだった?」

「…………ごめん」

「………そう、深くは聞かなわ。レミリアは?」

「お嬢様は大図書館にいるわよ。

 最初からそのつもりだったと思う」

 

どうやら説明をする気はあるらしい。

私は咲夜、状況を把握出来ていない魔理沙を連れて大図書館に向かった。

 

大図書館では、レミリアとパチュリーが談笑していて、

美鈴はフランと本を読んでいる。

コアは本を忙しく運んでいる。

 

「霊夢、咲夜、来たのね。

 ……………何で魔理沙もいるのよ」

「門の前で偶々あったのよ」

「さっきから咲夜もレミリアも酷くないか?私がいちゃダメか?」

「それで、霊夢が聞きたいのは誠斗の事でしょ?」

「そうよ。洗いざらい吐きなさい」

「いや、聞けよ!」

「うっさいわね。こちとら大事な話してんのよ!」

「理不尽すぎないか!?」

 

魔理沙がうるさいので怒鳴ったら、ツッコミが飛んできた。

ツッコミでいいのかこれ?

 

「はあはあ。それで、誠斗ってやつが外来人か?」

「ええ、十六夜誠斗。咲夜の兄で、紅魔館の元住人」

「へえ〜…………咲夜って兄貴いたのか!?」

「もうその反応は聞き飽きたわ」

 

魔理沙が驚いた反応をした。

流石に同じ反応を何回かされたせいで咲夜も流してしまった。

 

「それにしても兄貴かぁ〜」

「羨ましいの?」

「いや。ただ私にもいたんだよな」

「はあ!?初耳なんだけど!?」

「そりゃ、知ってるのは親父と霊夢と香霖くらいだし」

 

そんな事より誠斗の事だ。

 

「レミリア、誠斗の頭の中の傷、知ってたの?」

「知ってるわよ。でもパチェのほうが詳しいわ」

「ちょっと待ってくれ、話に着いていけないぜ」

 

話に水を差さないで欲しいんだけど………

こいつの何も知らないから、一から説明した方が早いわね。

私は、出来るだけ短く誠斗について説明した。

 

「なるほどなるほど、理解したぜ」

「本当に?」

「本当だぜ!」

 

いまいち信用出来ないがまあいい。

今は誠斗だ。

 

「それで、誠斗の脳の損傷。あれは能力の後遺症であってるの?」

「あってるわよ」

 

パチュリーがあっさりと答えた。

やっぱり能力が原因のようだ。

 

「どうしてお兄ちゃんに………」

「…………吸血鬼異変」

「えっ?」

「霊夢、吸血鬼異変がどうしたんだ」

「誠斗があんな傷を負ったのは、吸血鬼異変が大元ね」

「…………」

 

パチュリーは黙りこくった。

レミリアも何も言わない。

私はお構いなしに続けた。

 

「ねえレミリア、パチュリー。本当は私だって違うって言いたいけど…………

 

 誠斗は吸血鬼異変で最も多くの妖怪を殺した紅魔四天王の1人、

 死の旋風じゃないの?」

 

私はそう、踏み込んだ。

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