Re東方葬想録   作:KUS

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悪夢

誠斗視点

 

ここは、何処だ?

山際の小道……見覚えのある道だ。

そうだ……ここで……

 

ピチャ

 

なんだ?水溜り……

 

いや……違う。

これは、血?

 

「ねえ」

「!?」

「誠斗くん」

 

後ろを見る。

そこには人が立っていた。

傷だらけの……腹部から出血している人。

 

「セ、セリア……さん」

「誠斗くん…………

 

 

 何で生きてるの?」

 

ぐっ?!

 

「ねえ何で?私が死んだって君のせいだよ?

 なのに誠斗くんが生きてたら……釣り合わないよね?」

 

声が出ない。

呻き声しか。

 

「ねえ何で?何で?」

 

ごめんな………さい。

 

「死ぬつもりがないなら……

 

 

 ここで一緒に……逝こう?」

 

ごめんなさい……

きっと許してくれない。

でも……自然と出てしまった。

セリアさんは……俺が原因で……

 

「そうだ、貴様が殺したんだ」

 

!?

セリアさんじゃ……ない?

 

「貴様のせいで……」

「私の命も、倅も、眷属も」

「連邦の犬め。私がどんな気持ちで奴らに手を貸していたと思ってる」

「息子を、息子を返せ」

 

あ、ああ

理解した。

こいつらは俺が殺してきた連中だ。

 

「返せ」

「返せ」

「返せ」

「返せ!」

 

「ああああ!」

 

俺の意識が覚醒した。

そこは小道じゃなかった。

 

「はあはあ、ゆめ?」

「せ、誠斗さん?!大丈夫ですか?

 うわぁ、汗でびっしょり」

「鈴仙か?……大丈夫だ」

「大丈夫じゃないですよね!?あんなに魘されてたんですから」

 

どうやら見られてたらしい。

誤魔化すのは無理だな。

………セリアさんは、あんな事を言う人じゃない。

あれは夢なんだ。

 

霊夢視点

 

私達は、重い空気のまま永遠亭に到着した。

丁度、入り口の前で鈴仙が掃き掃除をしていた。

 

「鈴仙、来たわよ」

「あっ、霊夢さんに咲夜さん、魔理沙さんまで……なんか空気が重くないですか?」

「大丈夫よ、問題ないわ」

「その発言は逆に問題ありだと思うんですけど……」

 

余計なお世話ね。

口には出さないけど。

 

「そんな事はいいから、誠斗はどう?」

「元気ですよ。魘されてましたけど……」

「それは元気がいいとは言わないのよ」

 

全く……魘されてた。

つまり悪夢を見てたって事よね………。

私の胸がザワつく。

一体、何に魘されてたんだろう。

こういうのは大体、過去のトラウマが原因って聞くけど………

駄目ね。わからない。

こうして考えると…………私は誠斗の事全然知らない。

それを、僅かだけど無力に思っている自分がいた気がした。

 

「おーい霊夢。どうしたんだ?」

「早く行くわよ。お兄ちゃんが待ってる」

「わかったから、急かすな」

 

今度レミリアと会ったら、あいつの過去について聞きましょうかね。

あいつが素直に話す姿を想像出来ない…………

いや、割と話しそうね。

 

誠斗視点

 

「お兄ちゃん大丈夫!?」

「さ、咲夜?」

「鈴仙が魘されてたって言ってたから、心配したんだよ」

 

天井を眺めながらボーッしてたら、急に咲夜が現れて俺に突っ込んできた。

どうやら鈴仙が、俺が魘されていた事を咲夜達に教えたらしい。

能力を使って突込んでくるレベルで心配させてしまったらしい。

 

「咲夜、急に能力使わないでよ」

「おー、お前が誠斗か」

 

霊夢も来てくれたらしい。

………後ろの魔女っ娘は誰だ?

 

「霊夢、そこの魔女コスは誰だ?」

「コスプレじゃないわよ、正真正銘の魔法使い」

「霧雨魔理沙だぜ。よろしくな誠斗」

「ああ、よろしくな」

 

魔理沙と言うらしい。

霊夢から俺の話を聞いて興味が出来たらしい。

 

「聞いてた印象と違うなぁ。もっと冷酷なやつかと思ってたぜ」

「お前らは俺の事をどう思ってるんだ?」

「そう説明した訳じゃないわよ。こいつが勝手にそう言う印象を抱いただけ」

「いやいやいや、あの死の旋風って聞いたから「どんな奴かなぁ」って考えてただけだぜ?」

「随分と懐かしいものを………」

「あんた、自分の二つ名を知ってたの?」

「妖怪達が毎度毎度、その名前を叫びながら逃げ惑うもんだから嫌でも覚えた」

 

あれは今でも覚えている。

妖怪の小さな集落で、門番を斬り倒した時の事だ。

あの後、他の連中が、「し、死の旋風だ!?逃げろ!」なんて叫びながら逃げた。

当時は誇れば良いのか、業として背負えば良いのか分からなかった。

パチュリーさんにはあまり気負うなって言われたが………

 

「それで、調子は?」

「問題ない。頭痛もしないし」

「お兄ちゃん、あの頭痛って定期的に起きるの?」

「いや………完全に不定期だ。だけど、能力使った後に起きやすい」

「あんたが直近で能力使ったのって、フランの件よね。

 そこそこ時間が空いてない?」

「言っただろ、不定期だって。それに、使わなければ問題はない。

 

 …………まあ使っても時々なるが」

「駄目じゃない」

 

霊夢から厳しいツッコミを貰った。

解せぬ。

 

「はあ、少なくとも普段はそこまで問題じゃないのね」

「ああ、使わなければな」

「そう、なら大丈夫ね」

 

霊夢のやつ、今日はグイグイくる気がするな。

まあ、昨日あんな事があったから心配させてるんだろう。

 

「誠斗、あんま咲夜を悲しませるなよ。

 私だって兄貴を亡くしてるし…………まあ悲しめるだけの思い出がないんだけど」

「暗い話を笑い話でサラッと話すな」

 

何なんだ一体。

咲夜を悲しませるつもりは……もうない。

 

「今日は……昨日の続きか?」

「ええ、妖怪の山に行くわよ」

「勿論、私も付いて行くぜ」

「いらないわよ」

「良いじゃねえか。私も暇だし」

「はぁ……」

 

霊夢が溜息をついた。

苦労してるらしい。

 

「取り敢えず行こっか。時間ないし」

「咲夜の言う通りだな。ほら行くぞ」

 

俺がベッドから出ようとした、その時。

 

「まだですよ。まずはお師匠様に診てもらいます」

 

鈴仙に制止された。

 

その後、永琳の診療を受け、無事にOKを貰った。

永遠亭の面子に挨拶した後、妖怪の山に向かって飛んだ。

今日も霊夢に運ばれた。しかも背負われた。

魔理沙が箒で飛ぶから同乗しようと思ったのに、その方が霊夢の負担にならないだろうに。

素直に言ったら、「あんたを運搬役は私」と凄い剣幕で言われた。




セリア
誠斗の悪夢に出てきた少女。
彼のトラウマ。
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