Re東方葬想録   作:KUS

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博麗神社での出会い

誠斗視点

 

スキマを抜けた瞬間、夜の空気が一度に流れ込む。

香りも音も、そして空気も外の世界とは別物だった。

 

「……この空気を感じるのも6年振りか」

 

俺は少し懐かしく感じた。

だが同時に、何処か距離も感じる。

 

「そうなるわね。貴方がここで過ごした時間は短かったけれども」

 

隣で紫が微笑みながら言う。

覚えている限りでは、俺がここで過ごしたのは約半年。

100年以上は平気で生きる妖怪にとっては短く感じるのだろう。

 

「さて、まずは白玉楼に行きましょうか」

「紅魔館じゃないんだな」

「まだ覚悟が決まってないでしょう」

 

図星だった。

まだ顔を合わせる覚悟がない。

だから、否定の言葉が出てこなかった。

 

「先に幽々子達と親交を深めるのもいいでしょ?

 その間に覚悟を決めれば良い」

「そう、だな……」

「じゃあ、行ってらっしゃい」

 

紫の言葉を聞いて「はあ?」となり、紫のいた方を向くが、そこに紫の姿はなかった。

 

「1人で行けってか」

 

俺は白玉楼がどこにあるか知らない、存在は知っているが。

ここにいた時聞いた噂じゃ空から行くらしいが……俺は飛べない。

俺に飛行魔法は使えない。使えるのは軽い属性付与魔法くらいだ、あと回復魔法。

霊力を使って空を飛ぶことも出来ない。

 

「………博麗神社に行けと言うことか?」

 

あそこは幻想郷の要だ。

先に挨拶をしてこいってことだろう。

序でに案内させて貰えという事だろう。

だが、俺は博麗神社の場所を知らない。

 

「そこらの妖怪に聞けば良いか」

 

俺はそう判断して、適当に歩き始めた。

そう楽観視していた。だが現実はそう甘くなかった。

遭遇する妖怪はどいつもこいつも自我のない木端だった。

道を聞く以前の問題だった。

そんな中で、また一匹出てきた。

金色のボブカットに白黒の洋服、幼い少女の姿をした妖怪だった。

 

「おっ、人間なのだ〜」

 

これまでの連中とは違って言葉を話せるらしい。

俺はこいつに道を聞くことにした。

 

「……博麗神社に行くにはどっち行けば良い?」

「ああ〜それなら向こうなのだ〜」

 

そう言って、俺の後方を指した。

 

「すまない、礼を言う」

「礼には及ばないのだ〜、代わりに……」

 

そう言った少女の目が、無邪気なものから捕食者の目に変わった。

 

「お前を食わせて貰うのだ〜」

 

そう言って襲い掛かってきた。

黙って食われるつもりはない。

俺は即座に銃を抜き、狙いを付ける。

銃口は少女の頭に狙いを付けた。

━━撃て

頭の中に囁きが聞こえる。

確かにそれで終わる。妖怪とはいえ、頭を撃ち抜かれれば死ぬだろう。

 

(━━普通に生きて)

頭にその声が浮かんだ瞬間、俺は狙いを逸らした。

銃弾は少女の脇を掠める。

 

「!?」

 

少女は攻撃を受けるとは思っていなかったのか、動揺して立ち竦んでいた。

俺も動揺していた。

覚悟を決めてから1日も経たぬ間に、また殺しをしようとしたことに。

 

「今直ぐ何処かへ失せろ。次は当てる」

 

脅しか、忠告か、俺にも分からなかった。

だが、引き金を引く選択肢はなかった。

頭の中では殺した方が早いと理解している。

だが、俺の感情は殺したくないと言っている。

少女は再び突っ込んできた。

どうやら退く気はないらしい。

 

「このっ!」

「…………」

「食わせろなのだー!」

 

俺は向かってきた少女に対し、迎撃の構えを取る。

正確に、少女の額を狙う。

だが殺したくない。

だから咄嗟に少女を蹴り飛ばした。

 

「グハッ!?」

 

少女は予想外の一撃に反応出来ず直撃を食らった。

蹴り飛ばされた少女は、そのまま近くの木に激突し、倒れた。

ピクリとも動かないから気絶したんだろう。

俺はそう判断し、少女に背を向けた。

追撃という判断は、最初から頭の中になかった。

 

面倒なものだ。これが俺の才能……いや呪いだ。

自分がしたくなくても、体が勝手に急所を狙う。

頭の中で勝手に図式が構築される。

ここを狙えば弱い、ここを狙えば死ぬ。

俺は、これが嫌だった。

 

長時間歩き続け、夜も明けてきた頃、石段が見えてきた。

上を見上げれば鳥居が見える。

鳥居には博麗の文字が刻まれていた。

 

「着いたみたいだな」

 

俺はそう呟く。

……それにしても、

 

「長いな……」

 

それなりに石段は長かった。

覚悟を決めて、登り始めた。

数分かけて登りきり、神社の境内に足を踏み入れた。

境内には掃除をしている少女の姿があった。

黒い髪に赤い巫女服、彼女が博麗の巫女だろう。

 

「お客さん?こんな朝早くから珍しいわね」

 

巫女がこちらを向く。

淡々としているが、その瞳には確かな鋭さがあった。

 

「………あんた外の世界の人間ね。しかも普通じゃない」

 

事実だ。だから腹が立つことはなかった。

だが、面と向かって言われるとくるものがある。

 

「紫に連れてこられたの?」

「……ああ。だが、白玉楼に行くと言われた後に置いてけぼりにされた」

「あー……ご愁傷様」

 

哀れまれた………あとで会ったら、1発殴ろうかな。

 

「取り敢えず上がって、お茶でも出すから」

「いや、白玉楼に……」

「お茶飲んだ後でも遅くはないでしょ」

 

彼女はそう言った。

確かに時間的な不都合はなかった。

 

「あっ……自己紹介がまだだったわね。

私の名前は博麗霊夢、この神社の巫女よ」

「十六夜誠斗だ。世話になる」

 

お互いに自己紹介した後に神社の中に入った。




キャラ紹介
博麗霊夢
種族:人間
年齢:16歳
能力:空を飛ぶ程度の能力
幻想郷を覆う結界“博麗大結界”のを維持する博麗の巫女である少女。
ぶっきらぼうに見えるが面倒見は良い。

ルーミア
種族:妖怪
年齢:不詳
能力:闇を操る程度の能力
本編で名前は出ていない、人喰い妖怪。
語尾に「〜なのだー」と付けることが多い。
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