Re東方葬想録   作:KUS

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決着と開戦

「誠斗!」

「霊夢?なんで……」

「藍が来たのよ。それで侵入者だって言うし、あんたが狙われてるかもって……

 だからすっ飛んで来たのよ」

 

唐突な増援に、誠斗は戸惑いを隠せなかった。

それと同時に理由に納得していたが。

 

霊夢は玉藻前に弾幕で反撃する。

玉藻前は弾幕を見て後退した。

 

「博麗の巫女……何故邪魔をする」

「邪魔?」

「奴は6年前の異変を起こした吸血鬼の配下……幻想郷の敵だぞ?」

「だから?」

「“だから?“だと……?」

 

玉藻前の体が僅かに震えた。

彼女はさらに言葉を続ける。

 

「博麗の巫女としての責務を忘れたのか?」

「思っていない事をペラペラと……あんたみたいなのを虚言癖って言うのかしら?」

「質問に……!」

「答えろって?はいはい分かりました。

 

 単純よ。幻想郷は全てを受け入れる。

 あんたみたいに過去の事をうだうだ言ってる方が少数派」

「っ……!?」

「それに……あいつと会って1ヶ月も経ってないけど、わかるのよ。

 ご大層な野望を目論めるような人間じゃないって」

 

霊夢がそう言い切った。

それに玉藻前は激昂する。

 

「博麗の…巫女ぉ!!!」

「っ……!?」

 

玉藻前の弾幕を霊夢は結界で防御する。

とてつもない弾幕の量だ。

 

「誠斗、ここは私が抑える。あんたはあんたで決着つけてきなさい」

「……良いのか?」

「大丈夫、問題ないから」

「一番不安な返答なんだが……」

 

死亡フラグ全開な霊夢の言葉に、誠斗は思わず呟いた。

それでも、霊夢の瞳に確固たる自信と「自分を信頼しろ」という思いが伝わってきた。

 

「…………悪い」

 

誠斗は一言そう言って走り出していった。

 

「待て!!」

「あんたの相手は私よ」

 

誠斗を追いかけようとする玉藻前の前に霊夢が立ち塞がる。

何もかもが上手くいかない。

その状態に玉藻前の怒りは頂点に達しそうだった。

 

「ええい!!邪魔をするなら貴様殺してやるぞ博麗の巫女!!!」

「あんたに殺させる程弱くないわよ」

「お前ら!!」

 

玉藻前の号令と共に多数の妖怪達が飛び出してくる。

全員誠斗への復讐を目論んでいたが、博麗の巫女を殺せるならと標的を変えたのだ。

 

霊夢が戦闘態勢を取り、襲いかかってくる妖怪達と交戦を開始した。

 

 

一方Ghost1は、誠斗が走り出すと同時に追いかけていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

時は霊夢と咲夜がそれぞれ誠斗とアリスに合流するより前。

魔理沙はGhost2相手に段々と反撃に転じるようになってきていた。

 

「くらえ!魔符「ミルキーウェイ」!」

 

魔理沙が放った弾幕が、真っ直ぐGhost2に襲いかかった。

それをGhost2は空気の障壁で防ぐ。

 

「……(慣れてきちゃったかな?そうなってくると……戦い方を変えるか)」

 

Ghost2がそんな事を考えている間、魔理沙の思考はと言うと……

 

「(クッソ……邪魔だなあのバリア)」

 

Ghost2の障壁に四苦八苦していた。

彼の障壁はかなり硬い。

散発的な弾幕では破るのは難しいだろう。

有効打は大火力による一点突破。

魔理沙の得意分野だ。

 

問題は、その火力を撃つ隙……

 

「お返しだ〜!」

「!?」

 

Ghost2のアサルトライフルから空気の弾丸が乱射される。

魔理沙はそれを回避する。

先程からそれの繰り返しが続いている。

 

魔理沙の火力技と言えばマスタースパークだろう。

発動の隙自体少なく、チャージをそこまでしなくとも火力は出せる。

だがGhost2に直撃するとは思えないと魔理沙はここまでの戦いを通して感じていた。

Ghost2は自身に飛んでくる弾幕の内、直撃弾だけを的確に防いでいる。

そんな事が出来る程の手練れが、マスタースパークに大人しく当たってくれるとは思えなかった。

おまけに直撃以前に隙のない攻撃の応酬。

 

「(撃つ隙もねえ、直撃するかも分かんねえ……どうする……?)」

「考え事かな〜?」

「ヤッベ……」

 

魔理沙は試行錯誤を繰り返すが、Ghost2の絶え間ない攻撃への対処に思考を割いてしまう。

魔理沙から焦りが見え始める。

このままではジリ貧だからだ。

そんな時だった。

彼女が一つの結論に辿り着いたのは。

 

「恋符「マスタースパーク」!」

 

魔理沙が放ったマスタースパークは地面や空気を焼きながらGhost2に迫る。

それを彼はあっさりと障壁で防いだ。

 

「お〜すごい火力……でも〜」

「まだ終わってねえぜ!もういっちょ「マスタースパーク」!」

 

魔理沙は再度マスタースパークを放つ。

彼女が辿り着いた結論がこれだ。

 

「取り敢えず数撃てばいつか当たるだろ」

 

ようは下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる理論だ。

魔理沙はその理論に則り、マスタースパークを乱発する。

だがGhost2はそれを平気で防ぐ。

だが……段々と彼にも焦りが見えてきた。

 

Ghost2の空気の障壁も万能ではない。

彼の異能による技の中でも、特に空気を使うのがこの障壁だ。

いくらここが森で空気の供給に困らないと言っても……限度がある。

 

「(まさかこんな力押しでくるなんてねえ……)」

「まだまだ行くぜ!恋符「マスタースパーク」!」

「これはちょおっと本気ださなきゃかな〜」

 

Ghost2はそう呟くと、障壁を解除して即座に回避行動を取った。

魔理沙はチャンスだと思い、再びマスタースパークを構える。

その瞬間……魔理沙をとてつもない衝撃が襲った。

 

「ガハッ」

「いや〜……ちょっと油断しちゃったな〜」

「(なんだよ……今の……)」

「まさかあんな脳筋戦法で来るとはね〜」

「(本気……出してなかったのかよ)」

 

今の衝撃は、いわば空気爆弾だ。

Ghost2が能力で魔理沙付近の空気を圧縮して爆ぜさせただけだ。

彼が魔理沙がどこにいるか認識している限り、いくらでも引き起こす事が出来る。

だが、攻撃がどのようなものか認識できていない魔理沙は、

とにかく避けるために回避しようとするが……

 

「ガッ!?」

「無駄だよ〜。避けられないからね〜」

「チートかよ……」

 

思わずそう呟いてしまう魔理沙。

見えない攻撃……対処法もない。

万事休すかに思われた……

 

「まだっ!」

「わ〜お」

 

魔理沙は立ち上がる。

まだ心は折れてなかった。

 

再び魔理沙を襲う空気爆弾相手に、咄嗟に防御魔法で身を守る魔理沙。

防御魔法で防げると知れたのは良い収穫だった。

問題はどう攻撃するか。

 

魔法の同時発動は原則不可能だ。

強化魔法や状態異常魔法などの一回の発動で効果がしばらく続く持続タイプは同時発動できるとも言えるが……

マスタースパークのような攻撃魔法や防御魔法は、一回の発動で終わり効果も持続しない。

防御魔法の持続展開も魔法を常に発動している状態であって、一回の発動で効果続くわけではない。

攻撃するには防御魔法を途切れさせる必要があり、攻撃に転じるにしても相手の攻撃で中断される。

諦めないのは良いが、状況は何一つ好転していなかった……

 

同時発動不可という魔法使いにとっては常識であり壁でもある事がここにきて……

そんな事を考えていた魔理沙に、一つの仮説が浮かび上がった。

 

「魔法と同じように……あいつの攻撃も同時に発動できないんじゃないか?」

 

と言う仮説が。

よくよく考えれば、魔理沙が反撃に転じた際、

Ghost2は障壁を展開していたが、放っていた弾幕も途切れていた。

そして弾幕を張る前は、必ず回避行動を取っていた。

=障壁を解除したと言う事……

 

「(試してみるか……ていうか最後の希望)」

「諦めないのはすごいけど〜、諦めてくれた方が楽なんだよね〜」

「…………」

「ん?どうしt……「魔符「スターダストレヴァリエ」!」おっと……」

 

魔理沙が不意打ちで弾幕を放つ。

Ghost2はそれを咄嗟に回避し、魔理沙を空気を固めて拘束した。

その行動が、魔理沙に確信を与えた。

 

「いや〜驚いた」

「……」

「あそこで不意打ちなんて……予想してなかったよ〜」

「…………」

「でも……これで終わりかな〜?もう動けそうにないでしょ?」

「ハハ……」

 

拘束されながらも、不敵に笑う魔理沙にGhost2が警戒を覚える。

これは諦めていない。

 

「お前の能力……どんなんかわかんねえけどよ。一つわかった事があるんだ」

「ん?」

「魔法と同じで、同時に別の事が出来ないんだろ?」

「……まさか」

「もうおせえよ!」

 

Ghost2が咄嗟に障壁を展開する。

 

だが、それこそが魔理沙の作戦だった。

 

「かかったな!」

「なっ!」

「くらえ!恋符「マスタースパーク」!」

 

Ghost2が障壁を展開した瞬間、拘束が解けた魔理沙がマスタースパークを放った。

流石の障壁も、ゼロ距離攻撃は防ぎきれなかった。

 

Ghost2はマスタースパークに喰らい、木々を薙ぎ倒しながら吹っ飛んでいった。

 

「か、勝った……おっしゃあ!」

 

勝利を確信した魔理沙が雄叫びを上げた。

だが、ダメージで体は動きそうになかった。

 

そこへ、咲夜が合流してきた。

 

「終わったわね」

「咲夜〜見てたなら助けてくれよ〜」

「勝ったならいいじゃない」

「え〜」

 

どうやら咲夜はアリスを助けた後にここにきて、ずっと戦闘を見ていたらしい。

参加しなかったのは、霊夢と同じように咲夜なりの魔理沙への信頼だが……

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方、戦闘に参加せず観戦していたGhost4と5はと言うと……

 

『副隊長負けちゃったよ?』

「Ghost3とGhost6も敗北しています。……これは追加訓練でしょうか」

『……先輩の訓練って鬼』

「中途半端に優しくしても本人の為になりません」

『へぇ……』

「取り敢えず、3人の回収を……」

『無理そうだよ。みんな拘束されてる』

「…………隊長の方を観戦しますか」

『さっき乱入者がいたよね?』

「その乱入者は別の乱入者と戦闘中です。隊長は……ああいました」

『どこ?移動するから』

「今座標を送ります」

 

2人の悠々とした観戦は続く。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

霊夢と玉藻前の戦場から離れた場所

 

「……ここなら」

「邪魔は入らないな」

 

誠斗とGhost1が走っていた足を止める。

二人はそれぞれの武器を手に取る。

 

「……十六夜誠斗」

「それで固定か?」

「ああ、名前呼びはなんか違うなと思ってな」

「そうかい……」

 

二人が戦闘態勢を取り、お互いに向き合う。

もう準備はできている。

邪魔も入らない。

 

「じゃあ……」

「行くぞ」

 

そして、二つの影がぶつかった。

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