Re東方葬想録   作:KUS

3 / 26
白玉楼

誠斗視点

 

霊夢からお茶を貰い、軽く世間話をした後、白玉楼へ行くことになった。

白玉楼に行くには、やはり飛ぶ必要があった。

 

「………あんた、もしかして飛べないの?」

「……普通、人間は飛べないぞ」

「普通じゃないあんたが言っても説得力がないわよ」

 

確かにそうだ。俺は普通じゃない。

だが、何度も言うが面と向かって言われるとくるものがある。

そう考えていると霊夢が俺の腕を掴んだ。

 

「どうした?腕を掴んで」

「どうしたって、運ぶのよ」

「………俺を?」

「それ以外にあるの?」

 

少し間が空いた

 

「……落とすなよ」

「落とさないわよ」

 

霊夢がそう言うと、足元から地面の感覚が消えた。

下を見ると、段々地面が遠ざかっていた。

抵抗しても仕方ない、そう思った俺は霊夢に身を委ねた。

何故だろう、霊夢といると不思議と安心する。

彼女とあの人を重ねているんだろうか。

あの人とは、性格は全然違うのに。

 

しばらく飛んでると、空に大穴が見えてきた。

察するに、あそこが白玉楼への入り口だろう。

霊夢は俺を、連れて穴に入る。

穴を通った先にあったのは、とんでもなく長い階段と、

その階段を彩るように並んだ桜並木だった。

 

━━綺麗だ

柄にもなくそう思ってしまった。

階段の先を見上げると、小さく和風屋敷が見えた。

あれが白玉楼だろう。

 

……にしても

 

「長い階段だな」

「そうでしょ?だからみんな飛んで行くんだけど……」

「……俺は飛べない、か」

「ほら、手を掴みなさい。運ぶから」

「いや、いい。何度も世話は掛けられない」

 

そう言って、俺は長い階段を上り始めた。

霊夢はというと

 

「……はあ」

 

呆れながらも一緒に上ってくれた。

………飛んでだが。

 

しばらくして、俺達はようやく階段を上り切っていた(霊夢は飛んでたが)。

今は、屋敷の門の前に立っている。

 

「ここが白玉楼か」

「そう、さっさと入りましょう。疲れたから」

「お前、ずっと飛んでただろ」

「その前にあんたを運んで飛んでたわよ」

 

そうだった。俺をここまで運んでくれたのは霊夢だった。

 

「じゃあ、入るか」

 

俺はそう言って、門を開けた。

そこには、日本様式の庭模様が広がっていた。

白い砂と石で形作られた静かな庭、それを桜が彩っている。

不覚にも、また綺麗と思ってしまった。

その庭で1人の少女が剣の素振りをしていた。

白い髪のボブカットに頭にリボンを付けている……森であった妖怪と似ているな」

見た目は十代半ばくらいだろうか。

彼女からは人間の気配がする。だが、それと同時に人ではない気配も感じた。

半人という存在か。

 

「ん?霊夢さん、来てたんですね……後ろの方は?」

「妖夢、こいつは誠斗。外来人よ」

「ああ、貴方が誠斗さんですか。

 初めまして、紫様から話は聞いています。

 私は魂魄妖夢、この白玉楼で庭師をしています」

「十六夜誠斗だ。よろしく頼む」

 

自己紹介が終わると、妖夢は自分に付いてきてと言った。

何でも紫達が待っているらしい。

 

彼女に案内された先は、一つの大部屋だった。

 

「紫様、幽々子様。誠斗さんと霊夢さんが来られました」

「そう、入って」

「失礼します」

 

妖夢が襖を開ける。

室内には長机が置かれており、それを囲むように3人の人物が座っていた。

1人は紫、もう1人は紫の側に控えている狐耳の女性。

もう1人は、紫の向かい側に座って談笑していたピンク髪の女性だ。

 

「誠斗、遅かったわね。迷子になったと思っていたわ」

「よく言うよ。俺を置いていったくせに」

「………あら?」

「まあどうせ、先に博麗神社に行けって意味だろうし、実際近場だったし。

 その件に付いてとやかく言うつもりは……どうした?」

 

俺が紫を見ると、彼女は固まっていた。

それから冷や汗を流している。

こいつまさか、

 

「まさか素で忘れてたわけじゃないよな?」

「…………テヘペロ」

「よし、そこに直れ。1発殴る」

 

俺は拡張領域から愛刀を取り出した。

それを鞘に入れたまま振りかぶる。

紫は流石にヤバいと感じたのか、霊夢達に助けを求めた。

 

「ちょ、ちょっと霊夢、幽々子、誠斗を止めて頂戴!」

「流石に自業自得でしょ。大人しく殴られときなさい」

「ちょっと擁護はできないわね〜」

「藍!妖夢ちゃん!」

「紫様、自業自得です」

「紫様、流石にそれは……」

 

どうやら見捨てられたらしい。

 

「せ、誠斗くん?一回話を……」

「問答無用」

 

そう言って俺は、無慈悲に刀を振り下ろした。

鈍い打撲音と共に、紫の絶叫が屋敷に響いた。

 

閑話休題

 

「うう〜、まだヒリヒリするぅ」

「紫、そんな事はいいから本題に入って」

「そ、そうね。

 コホン。改めて誠斗、ここに貴方を呼んだのは他でもない、幻想郷に馴染んでもらう為よ」

「そいつは良いが、具体的に何をすれば良い?」

「単純よ、幻想郷の主要な場所を巡って、親交を深めれば良いのよ」

「それはそれはわかりやすい」

「まずは手始めに白玉楼で親交を深めてもらいましょう。

 後の順番は霊夢が決めてくれるから」

「大事なとこは丸投げなのね」

 

霊夢が呆れたように呟いた。

親交を深める、か。

 

「じゃあ自己紹介から始めましょうか。

 霊夢と妖夢ちゃん、私の事は知ってるから良いとして、幽々子と藍にして貰いましょうか」

 

紫の言葉を聞いて、先に口を開いたのはピンク髪の人だ。

多分、この人が幽々子だろう。

 

「ふふ、初めまして。私は西行寺幽々子。ここ、白玉楼の主人よ。紫とは親友なの」

 

予想通り、この人が幽々子らしい。

にしても、「紫と親友」か

 

「苦労してそうだな」

「誠斗?」

「ええ、そうなのよ」

「幽々子?」

「ふふふ、冗談よ紫」

 

冗談なのか。

良い親友を持ってるんだな。

 

……親友、か

 

「どうしたの?ボーッとしてたけど」

「………何でもない、少し昔を思い出してただけだ」

「そう……」

 

どうやら霊夢に心配をかけさせてしまったらしい。

しっかりしないとな。

次に、狐耳の女性が口を開いた。

この人が藍か。

 

「初めましてだな。八雲藍、紫様の式だ」

「………あんたこそ苦労してそうだな」

「ねえ誠斗、さっきから私の扱いが悪くないかしら?お姉さん泣いちゃうわよ」

「ああ、実際苦労している」

「藍?」

 

さっきも見たなこの光景。

さっきと違って冗談ではないみたいだが。

 

その後は、適当に世間話をした。

その中で、俺は自然に笑みが溢れていた。

仕事で使う作り笑いじゃない。

本当に心から笑みが溢れた。




キャラ紹介
魂魄妖夢
種族:半人半霊
年齢:60歳前後、見た目は十代後半
能力:剣術を扱う程度の能力
白玉楼の庭師兼幽々子の護衛を務める少女。
白玉楼は基本彼女と幽々子しか居ないので、家事を全て行っている。
大食らいの幽々子を満足させる為に、素早く、大量で、美味しい食事を、毎日作っている。

西行寺幽々子
種族:亡霊
年齢:1000歳以上
能力:死を操る程度の能力
白玉楼の主で冥界の管理を行っている。
紫とは生前から交流があったが、彼女は生前の記憶を忘れている。
かなりの大食らいので、幻想郷でもトップクラス。

八雲藍
種族:妖獣
年齢:不詳
能力:式神を操る程度の能力
紫の式。彼女自身も式を操っている。
紫に何かと振り回される苦労人。そのためか、主人の扱いが割と雑。
自身の式である橙を可愛がっている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。