Re東方葬想録   作:KUS

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紫の目的と予兆

誠斗視点

 

俺は今、白玉楼の縁側に座って桜を見ていた。

あの後、丁度昼時だったので昼飯をついでに頂いた。

特筆すべき事は特になかった。普通に食って、話して終わった。

幽々子がとんでもない量を食べていた事に思わず目が点になったくらいか。

ボーッと桜を見ていると、霊夢が来て横に座った。

 

「こんなとこ何黄昏てるの?」

「何も。何にもせずボーッとしてただけだ」

「そう……」

 

会話はそこで途切れる。

その後、何も話さず時間だけが過ぎていった。

しばらくして、霊夢が口を開いた。

 

「ねえ、聞きたいことがあるんだけど」

「……何だ?」

「私の知り合いのメイドがね、あんたと苗字一緒なのよ」

 

霊夢がそんな事を言ってきた。

同じ苗字のメイド……まさかな。

 

「そうか、珍しい事もあるんだな」

「珍しい事もあるんだな、じゃないわよ。

 十六夜なんて苗字、そういないでしょ」

「結局何が聞きたいんだ」

「あんたとあいつの関係を教えなさいって言ってるの」

 

霊夢はストレートに聞いてきた。

実際、十六夜と言う苗字はかなり珍しい部類に入る。

関係ないで押し通せる程多くない。

 

「そいつの名前を教えろ。じゃないと何も言えない」

「十六夜咲夜、知ってる?」

 

俺はその名前を聞いて、体が固まった。

一瞬、呼吸を忘れていたことにも気付く。

 

「その反応、心当たりがありそうね」

「………昔少しな」

「親戚かしら?」

「まあそんなもんだ」

 

俺はそう言った。

間違った事は言っていない。

 

そんな会話をしていると、今度は紫が来た。

 

「そろそろ決心はついたかしら?」

「………最初よりはな」

「………?決心って何の決心よ」

 

霊夢が当然の疑問を述べる。

どう話そうかと考えていると、紫が助け舟を出してくれた。

 

「その内わかるわよ。

 霊夢、次は紅魔館に連れてってあげて」

「それは良いけど……」

「決まりね。誠斗、幽々子達と話して来なさい。私と霊夢は話すことがあるから」

 

紫がいきなりそんな事を言った。

まあ昼飯を貰ったお礼を言っておかないとな。

そう思って、幽々子達がいる部屋に向かった。

 

霊夢視点

 

誠斗が幽々子達のいる部屋に向かった後、私は紫に話しかけた。

 

「で、話って何?」

「あの子━━誠斗の事よ」

 

どうやら誠斗の事らしい。

………紫と誠斗には何か関係があるのは察する事が出来た。

幽々子と藍は、誠斗の事を元から知ってるようだった。

誠斗側からは面識がないようだったけど。

紫が誠斗に言った決心、その話の後に次の行き先を紅魔館に指定、

そして、誠斗の事を知っている3人。

 

「紫、あいつは一体何者なの?」

「………」

「外来人なのに、幽々子や妖夢、藍を見ても動揺する様子がない。

 空を飛ぶ時も、驚く様子もなかった。

 

 ねえ紫、あんたとあいつの関係は何?」

 

私は声を一段階低くして、紫に疑問を投げる。

紫は少し考える素振りを見せて、口を開いた。

 

「霊夢、私から言えるのは“あの子から目を離さないで”それだけ」

「………どう言う意味よ?」

「あの子はね………壊れかけなのよ」

「壊れかけ?あいつにそんな様子は……」

「一見そう見えるように振る舞ってるのよ、無意識にね。

 彼を誘う時、一応教えたけど……信じているかはわからないわ。

 何せ、自分の心に無頓着だもの」

 

紫が一拍間を置く。

そして改めて言及した。

 

「あの子が幻想郷に来てから、若干重しが取れてると思うわ。

 でも、心のヒビまでは修復されていないでしょう。

 そのヒビを治せるのは……数少ない」

 

私は紫の言いたい事を概ね理解した。

誠斗の心にあるヒビ、それを治せるのは数少ない関係者。

その関係者は……紅魔館にいる。

 

「紅魔館に、いるのね」

「………答えだけを言えばそうね。

 

 でも、それだけじゃ足りない」

「足りないって……何が足りないのよ」

「単純よ、あの子が失ったものを埋められる者」

「埋められる者……」

「私は、貴方達にそれになって欲しいわ。

 それじゃあ、誠斗の事を頼むわね」

 

そう言って紫はスキマの中に消えていった。

 

幽々子達がいた部屋に戻ると誠斗が丁度話を終えた所だった。

 

「それじゃまたおいでね。いつでも歓迎するから」

「ああ、その時は世話になる」

「誠斗さん、良ければ今度、貴方の剣を見せて下さい」

「暇があればな」

 

そういえば誠斗、刀持ってたわね。

あれって何処から出したのかしら。

まあそれは後で聞く事にし、私は誠斗に声をかける。

 

「そろそろ行くわよ」

「そうか、じゃあまた」

「ええ、またね」

「外まで送りますよ」

「大丈夫よ、じゃあね幽々子、妖夢」

 

私は2人に別れを言って、白玉楼から出た。

 

レミリア視点

 

同時刻:紅魔館・バルコニー

 

「パチェ〜、暇〜」

 

私の名前はレミリア・スカーレット。

ここ、紅魔館の主だ。

そんな私は今、暇を持て余していた。

私の種族は吸血鬼、後は言わなくても分かるだろう。

私レベルになると死ぬ事はないが、火傷はするし、日傘必須だしで、かなり不便だ。

なので昼間は、行動が制限される。

つまり暇だ。

だから目の前で本を読んでる親友に声をかけた。

 

「暇って……フランと遊んでくれば良いじゃない」

「あの子、今日は部屋から出てこないのよ」

「あ〜、だったら咲夜の買い物にでもついて行けば良かったのに」

「私は紅魔館のあ・る・じ、よ」

「はあ」

 

パチェは私の言葉を聞いて大きく溜息を吐いた。

呆れられてるのが分かる。

 

「もう一回紅霧異変でも起こそうかしら」

「起こして何になるのよ。

 また霊夢にボコボコにされるだけでしょ」

「う〜」

 

本当に暇だ。暇でしょうがない。

このままじゃ死んじゃうかもしれないレベルで。

何か暇つぶしにならないかなあと、自身の能力である「運命を操る程度の能力」を行使した。

因果律を操作したり、少し先の能力を見たりできる便利な能力だ。

私はその能力で少し先の未来を見た。

 

そこに映っていたのは、見慣れた紅白の巫女と………

 

ガタン!

 

「レミィ!?どうしたの急に!?」

「どうしたって、未来を見たのよ」

「未来をって、誰か来るの?」

「パチェ、美鈴に伝えておいて

 

 “あの子が帰ってきた”って」

 

それを聞いて目を丸くしたパチェを尻目に、私は自室に戻った。

 

あの子を……6年ぶりに戻って来た私達の家族を、迎える為に。




キャラ紹介

レミリア・スカーレット
種族:吸血鬼
年齢:500歳
能力:運命を操る程度の能力
紅魔館の主である吸血鬼。
見た目は幼い少女だが、実年齢は見た目以上。
吸血鬼の弱点は殆ど効かないらしい、だが太陽と流水はどうしても苦手。
親友であるパチュリーからの愛称はレミィ。

パチュリー・ノーレッジ
種族:魔法使い
年齢:不詳
能力:火・水・木・金・土・日・月を操る程度の能力
紅魔館の地下にある大図書館を管理している魔女。
レミリアとは親友で、彼女からの愛称はパチェ。
喘息持ちだが、最近は昔よりはマシになったらしい。
魔法使いとしての実力は幻想郷トップクラス。
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