【完結】その日、合歓垣フブキは警察に成った   作:曇りのち晴れ男

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第七話 運命の日

 

「ぅあっちち……」

 

 色々な配管が張り巡らされた、いわゆる隠し通路のようなところを通っていく。

 シャーレの近くのある企業『プロ・デュース』に潜入ができるルート。

 

 昨日ギャル二人から局長が聞き出していた面白い裏ルートだ。まぁ要するに出勤路なんだけど……。

 

「うう……汚いなぁ」

 

 ……結構汚れてるのがネック。

 

 後ろを見ると、私についてくる人はだれ一人としていない。

 尾行なんてされてないし、ヴァルキューレの協力は受けていないことも再確認する。

 昨日の聴取の断片を、私は夜通しノートに叩きつけた。会社の場所、出勤路、最初に叩きつけるべき罪状。――全部、頭に焼きついている。彼女たちの話によってあとは確たる証拠を突きつける準備ができれば突入できるという状態だった。

 

 ではその確たる証拠はどうやって手に入れる? 

 

 まぁ方法はいくらでもある。だけどそれじゃあ意味がない。

 私は、一日でも早く奴らを捕まえる。証拠をチマチマと集めていては万が一奴らに感づかれたときどうすればいい? 

 

 なら私は単独での突入だって気にしない。

 今この日この場所で私は奴らを確保し、取り調べを行う。

 

 しばらく歩いていくと、少しだけ開けた場所に鉄の扉を見つける。

 

「いよいよ……」

 

 この先に、先生を殺した奴らがいる。全員がそのことを知っていなくても、トップの人間がいる。この時を五カ月待った。

 私は一旦銃をしまい、ポケットから取り出したリボンで両の髪の毛を結んで髪飾りもつける。

 久しぶりにツインテールにしたため、近くの配管に姿を反射させて綺麗に結べているか確認する。

 うん、やっぱり私はこれが一番好きだ。

 

 さて……見たところセキュリティの機械はないようだけど、素直に入らせてくれるだろうか……

 手に握るライフルのセーフティが外れていること、バーストになってること、珍しく用意したサプレッサーがちゃんとついていることをチェックし、ゆっくりとドアをノックする。

 

「……あ~っと、『多数の人間が同時に判断を迫られる状況で起こりやすい認知の偏りは?』」

 

 ノックしたドアの向こうから聞こえてきたのは、あまりにも場違いすぎる、問題だった。

 まさかこの企業、セキュリティの機械を置かないどころかクイズをセキュリティにしているのか……!? 日々どうやって出勤してるんだ……。

 どこかで聞いたような問題に、私は記憶をたどって答える。

 頑張って低い声を出すのは苦労するなぁ。

 

「……集団同調性バイアス」

 

「よし、開けるぞ」

 

 クイズに正解すると、あまりにも簡単にドアは開いた……。何問も出てくるのかと思ったら、まさかの一問で空いたのもびっくりだ。

 

「なっ、お前誰──」

 

「ちょっと失礼。用事があってさ」

 

 ドアの向こうにいる人を素早く制圧し、できる限り物音を立てないようにする。

 キリノ仕込みの体術、確かCQCと言ってたっけ、覚えておいてよかった。戦闘向きじゃない生活安全局の私にしては、良い切り出しだろう。

 

「君たちの上司のところに案内してよ。……一番上ね」

 

 ぎりぎりと社員を締めあげると、すぐに観念して建物の中へ案内を始めた。

 

 別の社員に遭遇しても問題がないように、私はその門番の背中に張り付いて進む。

 この企業は表向き経営コンサル企業として建っているようだが、裏側……バックヤードはひどく汚く、よもや中堅企業には見えない。

 錆びたドア、茶色いシミを作った地面。……推測でしかないが、おそらく一般の社員や低い役職の社員は苦労しているんだろう。

 

 しばらく進んでいると、広い通路に出るところだった。一番上の上司の元まで行くとなると、多分エレベーターか何かで上がる必要があるのだろう。

 運よくほかの社員と遭遇しないままエレベーターまで来れたので、変なことにならないうちに忍び込む。

 

「……どこの階?」

 

「……うちの社長の部屋はここよりさらに地下に埋まってて……パスワード式になってる。15階、8階、9階。その順番でボタンを押せ。その後に今いる階のボタンを三回押す。つまり今は最後にB1階を三回押すのが正解だ……」

 

 にわかには信じがたいが、今はこの社員の言うことを信じるほかない。

 言われた通りのボタンを押し、最後にこの階のボタンを三回押した瞬間。行き先ボタンの光がすべて消え、エレベーターが下がっていく。

 まさかこんなシステムを導入してるとは……。これではヴァルキューレが確たる証拠を見つけても社長を抑えるまでは行けなさそうだな。

 

 エレベーターはどんどん下がっていく、地下2階、地下3階……

 最終的に私たちは、地下5階に止まった。

 

「このドアの先が社長室なんだよね」

 

 門番がうなずいたので、彼のことを後ろから捕まえ首に銃を向けて人質のような姿勢になる。

 ……昨日のことが懲りてないわけじゃない、さすがに見た目上だけのハッタリだ。

 

 エレベーターのドアが開くと、いかにも社長室のような部屋が広がっていた。

 目線の先には高級感あふれるデスクが一つ。そのさらに奥には、レザーの椅子に座る奴がいた。

 

「……やぁやぁ、ヴァルキューレの生徒君。一人で乗り込んでくるところを見ると、えらく自信があるようだ」

 

 社長であろうそいつは、椅子から全く降りずこちらを見てにやにやとしている。

 

「……プロ・デュースの社長……単刀直入に聞くよ。あんたが、先生を殺すように指示したんだよね」

 

「……彼は我々の企業において非常に邪魔だったんだよ。だから殺した、それだけだ」

 

 自白だ。最初から黒と確信して疑ってなかったが、今の発言で確定した。こいつらで間違いない。

 私は門番を開放すると、速攻で制圧しようと社長に距離を詰める。

 

「終わりだね、社長……あんたを、逮捕する」

 

 デスクに座る社長は、表情一つ動かさずに私を見ている。

 こいつ……自分がどういう状況に立っているのかわかってないのか……? 

 それとも──

 

「どれだけ大きい自信があっても、君のは傲慢……というやつだ」

 

 背後で聞きなれた音がする。

 後ろを向くとどこから出てきたのか、警備ロボが四体、私の頭に銃を向けていた。

 

 まずい、この状況は──

 

「……君の方が、状況を分かっていなかったようだね」

 

 体に衝撃が走る。

 私たちは比較的頑丈な体のため、先生とは違い銃弾程度では死に至ることはない。

 ただ、警備ロボから放たれた弾丸……いや、ワイヤーは、私に高圧の電流を流した。

 

 体が焼ける、ワイヤーが食い込む。

 痛みから逃げられない。

 

「おい、こいつを拷問室にでも連れていけ。どこから侵入して、どこから情報が漏れたのか、徹底的に聞き出してやれ」

 

 最後に聞こえたのは、社長がそう部下に伝える声だった。

 

 目が覚めてからは、最悪だった。

 すでに両手が拘束されており、私の拷問官に任命された若そうなプロ・デュースの男社員二人は私のことをあざ笑っていた。

 

「ハッ、おとなしくしてれば可愛い見た目してるのによ」

「僕たちの拷問で泣かせてあげよう」

 

「可愛いって言ってくれて悪いけど……私はあなたたちに魅力を感じないかな~……」

 

 せめてもの抵抗で私は悪態をつく。

 すると男の片方が言い始めた。

 

「勘違いするなよ、俺ぁ女には興味がねぇ」

「えっ……それってどういう──」

 

「……私抜きでやってくれないかな」

 

覚えているのは、ひたすら痛み。

焦げた匂いと、口の中に広がる鉄の味。

そして「まだ終わらない」と悟った瞬間だけだ。

 

 痛くて痛くて、記憶が時折飛ぶ。

 

 自分でもわかるくらい心拍が落ちていき、私の意識は途絶えた──

 

 

 

 

 

 ▼  ▼  ▼

 

 

 

 

 

「っ……」

 

 そうだ、すべて思い出した。

 先生と出会ったこと、クイズ大会のこと、火事のこと、先生が来なかった日のこと、訓練をしたこと、局長と一騎打ちをしたこと、一人で単独突入したこと……

 

「なるほどねぇ……路地裏でうちの部下がこぼしていたと……。休憩時間の外出も規制する必要がありそうだね」

 

 目の前のおそらく課長クラスの社員は怪しげにそう言っている。

 私の方も私の方で、記憶をすべて掘り起こした、これ以上思い出せることは何もない。

 どうにかしてこの状況から脱出する方法を見つけないと。

 ──私も、殺されてしまう。

 

 すぐに殺すようなことはしないはずだ、多分──ヴァルキューレとの、いざという時の交渉材料として。

 人命を交渉に使われると痛い、みんなに迷惑をかけたくない。私を利用されるようなことだけは避けないと……。

 

 脱出のために周りを見渡すが、ここがどういう構造になっているのか皆目見当もつかない。どこに私の装備があって、どうやって脱出すればいいのか。

 なんとか──

 

「一つ思い違いをしたような表情だね。自分は殺されない……きっと何かしら利用されてから殺される……と」

 

 突然男がそう言いだす。

 

 ……違うというのか。

 

「合歓垣君、どうして我々が五カ月もの間ヴァルキューレの本気の捜査をかいくぐったと思う? なぜただの生徒に話を聞かれるまで見つからなかったと?」

 

 それについても、全く見当がつかない。

 男は私が回答する時間を作っていたが、私が答えられないのを見ると言葉をつづけた。

 

「単純なことだよ」

 

男は、誇るように肩をすくめた。

 

「うちには強力な助っ人がいた。赤い肌の変な女でな……いけ好かないが、そいつの仕事ぶりは見事なものだ。情報操作。書類改ざん。どれも証拠を一切残さずに、だ」

 

 ありえない。それほどのことをしていれば、どれだけ小さくとも証拠の一つくらい残るはずだ。

 でも事実ヴァルキューレはその証拠を見つけられていない。となればやはり……。

 いったいどうやって……。

 

「だから、今君が教えてくれた情報の漏れ場所さえ埋めてしまえば、我が社は液漏れをしない完璧な容器となる」

 

 男はスーツの中から銃を取り出して、私に向ける。

 ……ハンドガン程度では、命を奪うことはできないはずだ。

 

「これも、例の女からもらった銃と弾丸でね。キヴォトスの生徒を──一撃で殺せるそうだ。弾丸はこの一発しかないが、君を殺すのに使ってあげよう」

 

 そんな技術が、あるというのか。こいつらは。

 局長との一騎打ちや火事の現場では興奮状態で認識できていなかった死の恐怖、それが今冷静な状態の私に重く浸透する。目の焦点が合わなくなり、歯がガチガチと震え始める。

 男は引き金に指をかけたまま、わざとらしく溜め息をついた。

 

「安心しなさい。すぐに撃つつもりはない。君は“成果”だからね」

 

 男の言葉がうまく頭に入ってこないが、話を聞かなければそれはそれで撃たれるかもしれない。そう考える私の脳みそは反射で言葉を反芻する。

 銃口は逸れない。いまだ私の眉間を狙っている。

 その先端から目を離せない、いつ撃たれてもおかしくない。いつ死んでもおかしくない。

 

「君が一人でここまで辿り着いたことは社長も私も評価している。ヴァルキューレの生徒が、単独で乗り込むなんて度胸のいることだ」

 

 評価。

 その言葉に、吐き気がした。理由はわからない。

 何とかして逃げようと無意識に体が動くが、限界まで緊張をかけられている私の手首のチェーンは全く動いてくれなかった。

 

「だから──提案だ」

 

 男は一歩、こちらに近づく。

 

「君には生きてもらう。ただし、表には戻れない」

 

 何を言い出すつもりだ。

 喉がひくりと鳴るのを、必死に押し殺す。表……当然ヴァルキューレに戻れないということだ。

 こういう時、こいつらが言うことといえば……。

 

「ヴァルキューレは君を“殉職”扱いにする。内部抗争、あるいはテロ組織との交戦。理由はいくらでも作れる。君はその代わりこちら側に来る。警察の視点を知っている人間は貴重だ。特に……君のような、真面目な子はね」

 

 真面目。

 その言葉が、胸の奥を刺す。

 真面目じゃなかったから私は先生を死なせてしまったというのに、吐き気がする。

 

「……断ったら?」

 

 声が、思ったよりも低く出た。

 男は少しだけ目を細める。私がそのような返しをするとは思っていなかったのか、少しだけ眉にしわが寄る。

 

「残念だが、その場合は“成果”ではなく“処理対象”だ」

 

 眉間との間に空があった銃口が、肌にまでくっつけられる。

 頭の中が、異様なほど静かだった。恐怖はある、確かにある。あるはずなんだ。

 でも、それ以上に──ここで折れたら、すべてが終わる気がした。

 

 先生と過ごした時間も。

 五か月間、必死に積み上げた捜査も。

 局長に叩きつけられた、あの言葉も。

 

「……一つ、聞いていいかな~……」

 

 私は、ゆっくりと顔を上げた。

 

「どうぞ?」

 

「あんたたちは──

 自分たちが正しいと思ってるの?」

 

 男は、即答しなかった。

 ほんの一瞬、沈黙が落ちる。

 

「正しいかどうかなんて、どうでもいい。

 “勝つ”ことがすべてだ」

 

 その答えを聞いた瞬間、胸の奥で何かが、すとんと落ちた。

 

 ああ。

 やっぱり。

 

 私は、ゆっくり息を吸う。

 

「……そっか」

 

 男が眉をひそめる。

 

「それが君の答えか?」

 

「うん」

 

 私は、目を逸らさなかった。まだ全身が震える。怖くないわけじゃない。

 それでも、やっぱり……。

 

「それなら私は──

 最後まで警察でいる……!」

 

 男の口元が、歪んだ。

 

「愚かだな」

 

 引き金に、力が込められるのが分かる。

 

 ──その瞬間。

 

 頭の片隅で、かすかな感覚が跳ねた。

 

 懐かしい。

 あの日聞いた音。

 

 短く、鋭い──先生の異常を伝える髪飾りの警告音。

 

 私は、思わず笑ってしまった。今度は私が、人知れず殺される番だ。先生と同じように。

 

 銃口を前にして、私の感じる時間が引き延ばされる。目を閉じた裏に見える、ある思い出。

 

『ねぇ先生、なんでほかの学園よりヴァルキューレのことを面倒見てくれるの?』

『う~ん、僕がフブキに会いたいっていうのもあるけど……なんだか特別な場所な気がするんだ』

『ん……?』

『カンナ、コノカ、キリノ、フブキ。それにほかの生徒たちも。みんな警察って立場でありながら楽しそうだ』

『そういえば先生って局長たちとも仲良かったね』

 

『僕の知ってる警察は立場に追われ、自由に生きられない組織だ。でも君たちはのびのび暮らせてる。でも、大きな事件が起きて、それができなくなったら?』

 

『シャーレの技術がすごいのは僕もぼんやり認識してる。だから、その技術で君たちの平穏も守れたら? 市民の平和も守る、警察の笑顔も守る。……それが僕の今の望みだ』

 

『……先生、優しいんだね』

 

 そういえば、先生はそんなことを言っていたっけ。

 ……ごめん。市民の平和も、警察の笑顔も、守れなかった。

 

 死ぬ覚悟を決めた瞬間、猛烈な破壊音がした。……私が撃たれた音じゃない。意識がある。

 恐る恐る目を開いてみると、そこに広がっていたのは衝撃の光景だった。

 

「……っっフブキィィィ!!」

 

「お前ら、ヴァルキューレのっ!?」

 

「キリノ……!?」

 

 壁をぶち抜いて現れたのは、キリノだった。壁に開いた大穴からは、局長や副局長、その他ヴァルキューレの精鋭部隊たちが続々と入ってくる。

 キリノは銃口を向けていた男に距離を詰めると、有無を言わさず制圧する。

 男も混乱していたのか、幸い引き金が引かれることはなかった。

 

「みんな……どうして……」

 

「全く……昨日の今日でなんで単独突入しようと思ったんだフブキ!」

 

 局長は怒る。……結果として怒られても仕方がない結果にはなってしまった。

 だけど、怒られてしまった悲しさを吹き飛ばす疑問が私にはあった。

 

「どうして……ここがわかったの?」

 

「それは姉御に代わって私から説明するっす」

 

 後ろから副局長が出てきて、手に握っていたものを見せる。

 その手に握られていたのは、私が先生の遺品から持ち出した髪飾りだった。

 

「今日、1時間くらい前に事務所で急にこの髪飾りが鳴り始めたっす。この髪飾りのことを姉御に聞くと、フブキのバイタルに反応して警告を鳴らす先生の置き土産っていうじゃないっすか」

 

 確かに、今私は髪飾りを付けている。っていうことは……さっきの拷問の際に、ヴァルキューレに実質的な通報を入れられたってことか……。

 まさに奇跡だった。たまたま、髪飾りを付けていたから掴んだ命だ。

 

 キリノが私の前に歩いてきてビンタをする。痛い。

 

「もう、こんな危ないことしないでください!」

 

 怒るのも当然だろう……私はキリノとの関わりが一番長い。同級生である私を失う恐怖に立たされた彼女の気持ちを、今になって考える。

 キリノの手の甲が帰ってきてもう一発食らわせる。なんで……。

 

「今のは、昨日嘘ついた分です!」

 

「みんな……ごめんなさい……」

 

 課長クラス職員を抑えたところで、局長が私の銃を持ってきてくれた。

 特段壊れているところはなく、射撃にも問題はない。

 局長は銃を渡し終わると、私に心配そうに聞く

 

「フブキ……もう、迷いはないか?」

 

 その言葉に込められる意味を考える、先生が死んで崩れたメンタルのこと……私が昨日暴走したこと……いや、それら全部をひっくるめてだろう。

 私の心にあるのは晴れ切った心だ。自信をもって局長に答える。

 

「うん」

 

 局長はその言葉を聞くと、安心したように笑ってくれた。

 そして続ける。

 

「これより、ヴァルキューレ精鋭部隊及び、生活安全局代表生徒二名、合歓垣フブキ・中務キリノによる突入任務を開始する!」

 

 局長の号令に、生徒全員がはきはきした声で返事する。

 やっぱり真面目な生徒たちの発声はすごいなぁ……。

 なんて感心していると、突然私の肩に手が置かれる。

 

「今回は一時的に、生活安全局・合歓垣フブキを部隊長に任命する!」

 

「……え?」

 

 突然そう言われ、何が起きたかわからない。私が部隊長? 

 いやいやいやいや! もっと適任がいるはず! 副局長とか、それこそキリノとか! 

 局長は私の肩を掴んだまま曇りのない瞳で言う。

 

「先に潜入していたお前の方が比較的内部構造に詳しい。この場での指示役はフブキが適任だ」

 

「それは、そうなんだけど……でもっ! えぇ~……?」

 

「……私の命、お前に託したぞ」

 

 整列した舞台に目を向けると、みんなの視線が、私に集まっていた。嫌がる視線は一つもない。

 みんなが私を信じてくれている。

 そうだ、もう先生の仇がすぐそこまで迫っているんだ。

 先生に教わった戦術の一部が、私の中に詰まっているんだ。

 

 なら……。

 

「……それじゃあ、行くよ!」

 

 私の号令に、全生徒が返事の声を上げた。

 

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