会社の忘年会で神コスしていったらカルト教団に辿りついてしまい神と勘違いされたぜ!   作:オタリオン

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1:余が神である(嘘)

「ふむ、我ながら完璧コスだ……ふつくしぃ」

 

 俺は馴染みの服屋の鏡を見てうっとりとする。

 自慢の爽やかイケメンフェイスに加えて。

 鍛え上げられた鋼のボディを包む純白の衣装。

 神々しさを演出する為に、自分で調合した特殊な塗料を衣装に塗り込んでいる。

 どう見ても神であり、神とは俺であったと誰もが知るだろう。

 

「もう、そんなの良いからさっさと行きなよ! そんな所に立ってられたら商売の邪魔だよ」

「黙れバアァバァ!! この俺、神宮司春斗(じんぐうじはると)様がこの店を使ってやっているんだ!! 腰を低く、その醜い厚化粧も止めるのだ」

「あぁぁん!? 誰がババァだこのガキがァ!! 金がなけりゃテメェなんてお断りだよ!! ぺっ!!」

「ふぅん。顔だけでなく心まで醜いとは一周廻っていややはり醜いな。ははは!」

「はぁぁん!!? 殺すぞぉぉぉおおお金だ金だぁぁぁうひょぉぉぉ!! ちゅちゅ!!」

 

 俺は今にも手に持った鋏で襲って着そうな妖怪に対して札束を投げる。

 妖怪はそれだけで金に飛びつき醜い接吻をかわしていた。

 俺は鼻を鳴らし、そのままの足で会社の忘年会を行う会場に向けて歩いて行った。

 

 

 

 

「此処か……ふむ、82点」

 

 俺は古風な佇まいの店を見つめる。

 中々に雅な趣であり、この神宮寺の神コスとも相性が良さげであった。

 俺は衣装のずれを直し、そのままの足で門をくぐっていった。

 

「――ん?」

 

 足を止める……今のは?

 

 妙な感覚を覚えた。

 まるで、誰かが俺の背中に触れたような……が、誰もいない。

 

 店の廊下にも、玄関にも誰もいない。

 いや、精確には何も見えなかった。

 やけにガラスが光っているような気がする。

 そんな気がして……まぁいい。

 

 俺は気にする事を止める。

 そうして、俺の到着を待っているであろう役員たちを想像しながら。

 優雅に衣装をはためかせながら、自動ドアを潜り――光が溢れる。

 

「おぉ、良い!! 粋なサプライズじゃないか!! ははは!!」

 

 俺は笑う。

 そうして、指を天高く掲げた。

 すると、歓声のようなものが響く。

 俺は自らの感情を昂らせながら、光の中を進み…………お?

 

 

「「「おぉぉぉぉぉ!!!!」」」

「……ふむ」

 

 

 光が消えた。

 古風な店の自動ドアを通った先には――白装束の人間たちが無数にいた。

 

 恐ろしく広い空間。

 灯となるものは天井から生えている青白く発光する謎の巨大な鉱石だ。

 壁には真っ赤な塗料で謎の文様や絵が描かれている。

 後ろを見れば、俺が入って来た扉は消えていた。

 代わりに玉座のような派手でごてごてとしたものが設置されている。

 

 無数の白装束たちは顔まで完全に隠している。

 歓声を上げていたが、俺が無言で見下ろしていればすぐにその場に跪いた。

 その様子からして、奴らは俺に対して神に対する信仰心のようなものを向けていると感じた。

 

 不可思議な現象の連続。

 謎の光の先には、怪しげなカルト教団へと繋がっていた。

 そこに現れた完全ある部外者である俺に対して。

 奴らは怒るでも排除するでもなく平伏している。

 

 つまり、奴らは突然現れた俺の事を神的な何かと思っている――証明完了(QED)

 

「――把握した」

 

 俺はばさりと衣装をはためかせる。

 そうして、俺の為に用意している玉座に優雅に座る。

 すると、近くに控えていた三人の人間が出て来た。

 

 奴らは無言で俺の前に跪いている。

 俺は神的な雰囲気を漂わせながら、神的なセリフを吐く。

 

「――面を上げよ」

「「「――ハッ!」」」

 

 そいつらは顔を上げる。

 そして、頭にかぶっていたフードを取る。

 すると、ジジイが二名と恐ろしく美しい顔の巨乳の美女だと分かった。

 

「――名を名乗れ」

「ハッ私は」

「――お前とお前はいい」

「……え? あ、あの、な、何故」

「お前たちには私が直々に名を与えるからだ」

「「……何と!!」」

 

 俺がそう伝えれば、奴らは歓喜回ったような顔をする。

 俺は指をジジイ共に向ける。

 

「お前は一号。そこのお前は二号だ」

「……いち、ごう」

「に、にごう?」

「――不服か?」

「「い、いえ!! 光栄であります!!」」

 

 ジジイ二名は深々と頭を下げる……さて。

 

 俺は美女に視線を向ける。

 その姿は見れば見るほどにふつくしい。

 

 まるで、大空のように澄んだ青色の髪をウェーブさせて。

 黄金の角のようなものが二本生えていて。

 ぱっちりとした目は少しだけたれ目がちでキュートだ。

 ぷっくりと艶やかな唇に、肌は雪のように白くつややかで。

 装束に隠れてはいるが、かなりの巨乳だと俺の目には分かる。

 完璧なプロポーションに少しだけ聞こえた声は鈴の鳴るように綺麗であった。

 

「名を名乗りなさい」

「ハッ……私はメルステラ。龍人族の最後の末裔にして、ウロボロス教団の信徒にございます。ウロボロス様、お会いできて光栄にございます……それで、恐れながら何故、私には名を」

「メルステラ! 貴様、ウロボロス様に対して何と」

「――黙れ」

「え? い、いや、あの」

「黙れ――死にたいのか?」

「ひぃ」

 

 俺は神パワー的なものを放ちながらジジイ一号を睨む。

 すると、ジジイはガタガタと震えながら顔を伏せる。

 俺はメルステラと名乗った美女に視線を戻し―微笑む。

 

「お前はそのままでいい。私が名を会えずとも、お前は我が信徒として完璧だ」

「……! う、ウロボロス様、何と、何と、勿体なきお言葉……私、あまりの嬉しさに、胸が」

 

 彼女は頬を赤らめながら胸を押さえていた……いけるか?

 

 俺は自らの欲望をギンギンにさせる。

 そうして、俺を呼んだのは誰かと聞いた。

 

「はい! 私が指揮を執り、多くの贄を捧げてウロボロス様を」

「メルステラは何をした?」

「は、はい。私はお二方とは違い。まだまだ信仰心が足りていないので……その、祈りを」

「――素晴らしい。お前の祈りによって私は此処に辿り着けたのだ」

「あ、あぁ、そんな、そんな……ふ、ふぅ」

「あ、あのぉ。祈りは他の信徒もしていますし、二号と私が供物や召喚の儀を」

「あ、そう。なら、これやるよ。はい」

 

 俺はそう言って、ポケットからのど飴を出す。

 二人にそれを一つずつ渡せば、二人は何故か興奮した様にそれを見つめていた。

 

「こ、これは!! まさか、神の国の!!」

「そうそう。神龍の角を削って作ったものだ。ここぞという時に舐めれば喉が良い感じになって呪文とかもすごい事になる気がする」

「おぉおぉ!! 何と!! それほどのものを我々に――ありがたき幸せ!!」

「ははぁ!!」

 

 ジジイ共は涙を流しながら喜んでいた。

 俺は秒で奴らから視線を外し。

 自分にも何かをくれと物欲しそうな美女を見つめる。

 俺はこれでもかと不遜な態度を取りながら、神という立場を大いに利用した送り物を授ける。

 

 

「此度の働き、大義であった。褒美として――余の子種をくれてやろう」

「「「…………」」」

 

 

 俺のセリフに――場が凍り付く。

 

 俺は一切動揺する事無く視線を動かす。

 すると、先ほどまでうれし泣きしていた爺たちを目を丸くし。

 メルステラでさえも、眼を見開いて固まっていた。

 信徒たちはひそひそと何かを話していて。

 俺は驚異的な聴力によって内容を聞き――

 

「こ、子種って言ったのか……ウロボロス様は、下界のものとは一切混じらないって」

「伝承では、営みを嫌い。そういった行為を見ただけで、怒りのままに世界を滅ぼしたと」

「で、でも、ウロボロス様は確かに……え?」

 

 俺は話を聞いて――修正する。

 

「……どうした? 不満か?」

「あ、い、いえ、その……子種、とは、その……えっと」

「子種が何だ……あぁそうか。下界では子種とはそういうものだったか。ははは――余を愚弄するのか?」

「「「――!!!」」」

 

 神的なパワーを解放すれば、全員が俺の殺気(笑)によって頭を深く下げた。

 俺は間を置いてから静かに息を吐く。

 

「……天界では子種とは、子を愛する種とし、子種と呼ぶ……子とは、お前たちの信徒であり。種とは我が加護の事を指す。理解したか?」

「……!! も、申し訳ありません!! まさか、そのような意味であったとは……この失敗は我が命でもって」

「――良い。お前の全てを許そう」

「あ、あぁ、ウロボロス様……何と、慈悲深い……好き」

 

 メルステラは完全に雌の顔をしていた。

 が、ウロボロスなるものを演じるのであれば。

 どうやら、性欲に纏わるものは厳禁らしい……クソ!!

 

 俺は心の中で血の涙を流す。

 が、すぐに切り替えてそれならそれでやりようはあると考えた。

 

「そ、それで、ウロボロス様の加護とは」

「――ちこう寄れ」

「は、はい。えっと、これくらい――」

「ハァァ!!!」

 

 俺は意味ありげに手を動かす。

 まるで、壮大な術を行使しているが如く腕を動かす。

 はたから馬鹿見てぇな動きであるが。

 馬鹿にはこれが神的な何かであると見えるだろう。

 案の定、馬鹿一号と二号は興奮した様に俺を見ていた。

 

 俺は術(笑)を行い――メルステラの乳をわし掴む。

 

「きゃ!? うううううウロボロス様。あん!」

「え!? あ、あの、それって!!」

「鎮まれ。今、メルステラに加護を付与している。意識が乱れれれば、お前たちは死ぬ」

「「……!?」」

 

 爺たちは目を瞬かせてツッコもうとしたが。

 慌てて両手で口を塞いで何度も頷く。

 俺はそんな爺たちなど見る事無く。

 両手に感じるやわらかく弾力のある乳の感触を楽しむ。

 

 揉めば揉むほどにメルステラは可愛い声で鳴く。

 その色気のある声に、信徒たちの中にはもじもじと動く奴らもいた。

 正直、我が息子も直立しそうであったが。

 鋼の精神でそれに耐える。

 そうして、ゆっくりと時間を掛けて堪能し……手を離す。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……あ、ありがとう、ござい、ます……っ」

「此方こそありがとう……ふぅ」

「え、御礼を?」

「――ん?」

「え、いや、今ありがとうって」

「――言ってない」

「……う、ウロボロス様。あの、鼻血が」

「――余を愚弄するのか?」

「いいいいいえ!! 滅相もございません!!」

 

 俺は片手で鼻血を一瞬で拭う。

 爺たちは目を瞬かせていたが無視……さて。

 

 俺は玉座に座りながら考える。

 良い感じに楽しむ事は出来たが。

 出口らしきものは見えない。

 そもそも、龍人族とか言っていたので恐らくは日本でも無ければ地球でもない。

 此処はライトノベルにあるような異世界だろう。

 そうなると、俺はウロボロスとして暫くの間、すごしていかなければならいのか……ふむ。

 

「――把握した」

「「……え?」」

 

 俺は爺たちを無視する。

 そうして、徐に立ち上がりメルステラに俺の部屋はあるかと聞く。

 彼女は頬を赤らめながらも、案内すると言って立ち上がる。

 

「こ、此方へ」

「ありがとう。それで、お前さえよければ……色々と教えて欲しい」

「……! は、はい……この私でよろしければ、如何なる事でも」

 

 メルステラは胸を押さえながら小さく頷く。

 顔は見えないものの、雌の匂いがプンプンである……クソォ!!

 

 俺は唐突に始まった異世界でのカルト教団運営は二の次に。

 先ずは、ウロボロスのED伝承をどうにかしようと考えた。

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