第2ラウンドと呼べばいいか、白玉楼の一室にいた。
「先ほどは遅れを取りましたが、見定めさせていただいきます」
なでなで。
「そうか」
さわさわ。
「貴方が、我が主に相応しい存在であるかどうか」
もみもみ。
「だろうな」
スーッ
「……っ、尻尾は撫でないでください。
揉むのもやめてください。
ですから、正面に……正面に座ってください」
「えーっ」
と言いつつも尻尾を堪能するのを辞めて藍の背後から正面の席へ移動する。
すかさず、紫が俺の隣に座ってもたれかかる。
「もう答えでてんだろ」
勝利宣言とまでは言わないが紫の髪に手を伸ばし見せつけるように撫でる
「紫様何故そちらに」
紫が俺の隣に座った、それがもうこの話の答えである。
「ふふふ、なんでかしらねぇ、ねぇ貴方はなんでだと思ってるの?」
「知らねぇよ、ずっと知らねぇまんまだよ」
柔らかい髪が指の隙間を流れていくのを楽しむ
「貴方はそう言うわよね、まぁ藍はしばらくは彼を尊重しなさい、貴方の試しは失敗したのだから」
「紫様がそうおっしゃるなら」
「な、答えはでてんだろ、紫が決めたかどうかが優先される、相応しいかどうかはどうでもいいことだ」
その後、紫が
「じゃあ親睦もかねて、人里にお使いに行ってきて頂戴、貴方のこっち向けの服用意したから呉服屋までね」
と人里の外に隙間に送り出されたわけだが。
「おい」
「……はい」
不満そうな顔をした藍が前を行く
「横に並べ、前を行くな」
「案内の為に先導しているのですが?」
「お前は俺の従者じゃないだろうが、まぁ八雲の客として案内するのは構わんが、お前を俺が下に扱う様子を目端が利く奴が見たらどう思う?」
藍は少し見下すような顔をしてこちらを向く。
「八雲のの従者を従えてる人間として顔見せしようという紫様の配慮を解かりませんか?」
「阿呆、まぁ、紫の指示不足だろうが、目端の利く奴、阿求に会ったとすれ違ったとしよう、阿求はこう思うだろうな、あ、八雲に騙されて従者を使って偉くなった気でいる獲物だと、俺はこれから出荷される家畜を見るような目で見られて興奮する癖はないんだ」
「!?」
「まぁ、阿求ならマシだ、取材に来てる射命丸なんぞに絡まれた場合さらに面倒だ」
藍は歯を食いしばるような顔をして
「それでも私は従者として」
「で、後で本当の所を知った奴らはこう思う、ああ紫の従者が遇し方を間違えたのだなと、それが紫の格を少し下げる」
「な、なにを」
「もしお前が横に並びたてば、ああ、藍の知り合いか何かとなる、少なくともいらない邪推を招かない、それが解からないか?」
「それが、それがお前の考える紫様の意思か?」
「ちげーよ、紫の考えは『そんなんどっちでもいいじゃない、面倒くさい』だ」
「た、確かに言いそうだ」
「だから、こっからは、お前のアドリブが試される、そもそも、紫は親睦の為って送り出したんだ、俺が嫌いでも嘘でも隣でニコニコ笑って見せろ化け狐」
すっ、と藍が俺の横に位置どる。
「別に…嫌いなわけではありませんが…」
「釈然としない、と?」
「あんなのはだまし討ちです」
「先に騙し討ちをしかけといてその言い訳が通らないのは解かってるよな?」
「はい、結果には文句はありません、しかし釈然とは…しません」
「ガキかよ、紫はどういう教育を、…ああ、紫の教育かぁ、こうもなるか」
「紫様に非はありません、私の不徳です」
「紫は人に物を教えるの致命的に下手だぜ、なんせ説明しない説明しても疑われる事を前提とする妖怪だ、命令はできても教育はできねぇよ」
「そういうふしは、確かにありますが…」
「妖夢には説明したがな、お前の敗因は俺を試したことだ、試さず正面から話、お前は紫様にふさわしいのか?と問答すれば理屈じゃお前に勝てないよ俺は」
「今思えばそうですが、紫様の連れてきた人間を言いくるめるのでは無く試すべきだと私は判断しました」
「こんな事は言いたくないんだがな、本当に言いたくないんだがな、お前が考える紫に相応しい男を試したって事は、お前はある種期待したわけだ、この試しを乗り越えられない奴は話にならない、乗り越えて見せろと」
「…。」
「で、俺はお前の想定を超えた動きをしたと、お前の様子から推察してるんだが、お前の試験俺は何点だったよ」
「満点以上の計測不能だから困ってるんですよ」
「じゃあ、喜んどけ、主の目が腐ってなかったって素直に受け入れとけ、紫様はさすがの慧眼だとか言っとけよ」
「それを貴方に言われて素直にはなれません」
「そこまで知るか」
呉服屋にて、服をうけとり寸法の確認の為そでを通せと言われ試着する
「あー、なんつーデザインの物よこすんだ紫は」
着流しに右足あたりに九尾、左足あたりに化け猫が刺繍してある、この時点でうわぁ、だが、右腕に八つの雲が紫の糸で刺繍してあるのは寒気すらする。
羽織には、背中に裂けめの中に瞳がある図、完全に隙間だ。
しかも羽織にも腕に八つの雲、もちろん紫、完全にやりすぎだ。
しかも紫が使ってたのとお揃いの扇子までついてやがる。
扇子になにやらメモがあった、「その扇子を使って藍に私の真似した笑いを見せてあげなさい」と。
家で落ちてた紫の扇子を使って俺がした、紫がドン引きした一発ギャグを見せろとか何の罰ゲームだ。
「藍、これ俺が着てもいい奴じゃないだろ?」
と試着した姿を藍に見せる。
「……。」
固まってやがる、そりゃこんなん藍を足蹴にしてるようなもんだしな。
「おい、藍?藍?」
「……。」
あまりに動かない藍にまさかと思い、扇子を広げ紫の動きで紫のしぐさで口元を隠し薄く笑ってみせた。
静かに跪く藍
「大変お似合いです、旦那様」
動き出したと思えば変な事を言い出しやがった。