アランナラがゆく!   作:ナラ

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文字少ないのですぐ読み終わります。


黎明を灯すために。

 

 

 

 

 

 

 

 アランナラは、一部の人間しか見ることができない存在だ。

 

 見える者は、綺麗な心を持つ者、純粋な子供、運命を覆そうと前進する者。この条件を満たした者だけが、アランナラを視認することができる。

 運命や神にすら抗おうとする彼も、例外ではない。当然のように、この条件は彼にも適応されるのだ。

 

 

「ナラ……じゃない?」

 

「“ナラ”が人間を指す呼称であるなら、私もそれに該当します」

 

 

 アランナラの前に現れたのは、人間の形をした機会生命体だった。

 

 

 

「私のことはライコスとお呼びください。アランナラ殿」

「なんでアランナラの名前知ってるの? どこかで会った?」

 

 アランナラが首を傾げると、ライコスは両方の質問を否定する。

 

 

 

 

 ライコスは一方的にアランナラを知っている。何故なら、アランナラはイレギュラーな存在であり、同時に監視対象でもあったからだ。

 オンパロスは憶質とデータで構成された世界、その中にアランナラという登場人物は存在しない。管理人であるライコス───別名リュクルゴスが、アランナラの存在に気づき、実験の邪魔をしないよう監視していたのだ。

 

 ライコスは知恵()を壊滅させるために、知恵()の一部だったセプターを絶滅大君へと昇華させなければならない。オンパロスは外部から干渉されないように閉鎖環境を構築し、演算を続けていた。

 三千万回もの実験を繰り返し、セプターが絶滅大君・鉄墓へと昇華するため成長を遂げる。

 しかし、そこに水を差すようにアランナラというイレギュラーが生まれてしまったのだ。

 一つの小さな種がぐんぐんと成長し、アランナラという愛らしい存在が生まれた。

 最初こそ、ライコスはイレギュラーに目を光らせていたが、次第に目を離すようになった。大して何の邪魔をしないアランナラは、いてもいなくても変わらない存在。イレギュラーでありながら、想定外の行動は取らない。

 

 では何故、ライコス自身がアランナラと対面したのだろうか。存在していようが消えていようが、オンパロスには何の影響もないイレギュラーと関わる必要など、一切ない。ライコスに得がある訳でも、損する訳でもない。

 

 

「───興味があったのです、貴方という存在に。私は貴方のことを一方的に知っています。ですから、アランナラ殿とは一度も会っていません」

「興味? アランナラが気になるナラ、初めて見た」

 

 

 ─────答えは、ただの好奇心。

 天才クラブ#1ザンダー・ワン・クワバラの意思を受け継いだライコス───別名リュクルゴスも、天才であり未知を探索する者なのだ。

 だから、アランナラという未知の存在に好奇心が湧くのも必然である。

 

 

「一粒の小さな種から生まれた貴方は、今では人間の言葉を喋れるほど成長している」

「アランナラは、ナラを観察して、言葉が喋れるようになった。ライコスも、アランナラを観察してた」

「えぇ、そうです。私はアランナラ殿のことを視認できる、条件を満たした一人なのですよ」

「……ライコスは、心が綺麗? それとも純粋なの?」

「ふふっ、それはどうでしょうか……」

 

 

 

 ライコスがアランナラに興味を持つように、アランナラも人間観察が趣味になるほど好奇心旺盛だ。時には人間を真似て、アランナラには必要ない食事をしてみたことだってある。それでわかったのは塩が得意ではないということだった。

 人間を観察し、文化や言葉を真似て、アランナラはオンパロスに溶け込んだ。

 小さな種だったアランナラが、独学で学び、今も止まらず成長している。

 同じように、セプターも絶滅大君・鉄墓へと成長し続けている。

 

 

 

「───じゃあ、ライコスも、アランナラの友達。友情の証に……アランナラが、一番大好きな、花をあげる」

 

 アランナラはそう言って、ライコスの足部パーツの隙間に花を添えた。色素が薄い青色とオレンジ色の花が、ライコスの足を少しだけ華やかにした。

 

 

 

 

 

 ♪ 

 

 

 

 

 

 オンパロスがデータと憶質で作られた世界だと知った時、彼らは何を思っただろうか。

 

 

 

 

 

「本当に、着いてくるのかい? 全て忘れた方が、この先もずっと楽だよ。それでも手を取るのなら、僕は止めないよ」

 

「ナラノンと、アランナラは友達。大切な友達を、忘れるのは、嫌。それと、ナラノンとナラキュレが、辛いのに、アランナラは辛くない。仲間外れは、嫌い」

 

 

 

「……そっか。わかった、一緒に行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 終わらない輪廻が、幕を開けた。

 

 

 

 

 





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