ようこそ、元軍人がいる教室へ 作:名無しの生徒
ようこそ実力至上主義の教室へ4期が決まり、再び執筆意欲が湧きこの作品を改編する形でもう一度執筆することにしました。
そのため前回の作品は更新停止することになりました。
投稿頻度は月に数回できればいいと考えています。
改めてこの「ようこそ、元軍人がいる教室へ」をよろしくお願いします。
出会いと別れの季節と言われている四月。
俺は仲間や友人達の協力もあり、五年ぶりに母国である日本に帰国し目標であった高校に入学することができた。
これから、俺が通うことになる高校は政府が今後の日本を背負って行くことになる若者達を育成するために作り上げた高度育成高等学校であり、ここを卒業すれば希望する進路に進むことができるという恩恵も存在する。
そして、俺はそんな高度育成高等学校行きのバスに一人寂しく乗っていた。
「入学式の当日はなるべく早めに行動するようにと、少佐に言われていたが流石に早すぎたな」
腕時計を見て時間を確認すると、針は七時を指していた。
数日前、合格発表とともに届けられた封筒に入っていた用紙には八時十分までに所属クラスで待機しているようにと書かれていたが、流石に一時間以上前だとまだバスも発車していなかった。
元々の予定では、バス等の交通機関を使わずにトレーニングを兼ねて学校まで走って行こうとしたが少佐に「それは目立つから辞めろ」と言われてしまい、仕方なく断念することにした。
「最初のうちは気を使って運転手が話し相手になっていたんだが…………仕方ない、しばらく寝るとするか」
通常発車まで一時間もあればバスに乗ることはできないが、運転手が特別に乗せてくれ更に気を使って話し相手にもなってくれていたのだが、運転手は朝の日課であるバスの点検をするため外に出てしまっていた。
やることがなくなってしまった俺は一眠りすることにした。
「あの…………の……とな………………ですか?」
「…………ん?」
俺は誰かに声を掛けられている気がして目を覚ました。
ゆっくりと視線を隣に移すと髪を二つ縛りにしている小柄な少女が立っていた。
そして、少女が着ている制服は高度育成高等学校のものであった。
「起こしちゃって、ごめんなさい!!」
「いや、別に大丈夫だ。それで、俺に何の用だ?」
「あ……あの…………、隣に座ってもいいですか? ここ以外の席は全部埋まっていて」
「なるほど、今荷物を退かすから待ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
少女はモジモジしながら口を開いた。
どうやら、隣に座ろうとしたものの俺の荷物が置かれていたため座れず、仕方なく俺を起こすことにしたらしい。
周囲を確認しながら状況を把握したあと、直ぐに座席に置いておいた荷物を退かした。
少女は丁寧に頭を下げてお礼を言ったあと、俺の隣に座った。
「その制服を着ているってことは、貴方も高度育成高等学校の新入生ですか?」
「あぁ、そうだ」
「そ……その、折角の機会ですし学校に到着するまでお話しませんか?」
「あぁ、いいぞ。俺もちょうど暇を持て余していたところだしな」
「お話する前に自己紹介をしますね、私は王美雨って言います」
「俺は黒島真也だ、これからよろしくな王」
「こちらこそよろしくお願いします黒島くん。それと私のことはみーちゃんと呼んでください、親しい人はみんなそう呼んでいるので」
「分かったよ、みーちゃん」
少女が隣に座ってから数十分。
俺と少女の間には長い沈黙が流れていた。
俺はこの沈黙を気にしていなかったが、少女はこの空気に耐えられなくなったのか、そう話し掛けてきた。
特にやることも無かったため、王美雨と自己紹介を交わし学校に到着するまで談笑を楽しむことにした。
「えっ、黒島くんも海外に住んでたんだ」
「"も"ってことはみーちゃんもか?」
「うん、私は元々中国出身で小学校の卒業と同時にこっち来たんだ。それて、黒島くんは何処に住んでたの?」
「グアムだ」
「へぇー、グアムかいいな」
「みーちゃんはグアムに行ったことが無いのか?」
「うん、旅行にはよく行くんだけどグアムにはまだ行ったことが無いんだよね」
最初はぎこちなかったがだんだんと話していくうちに俺とみーちゃんは共通の話題で意気投合していった。
みーちゃんは元々中国出身であり、中学生の頃に留学という形で日本に移住したらしい。
お互いの出身地から旅行の話題になり話が盛り上がっているとバスがブレーキを掛けて停車した。
どうやら、ようやく高度育成高等学校に到着したようだ。
「どうやら、到着したみたいだな」
「うん、そうみたいだね…………」
「どうしたんだみーちゃん?」
「…………もう少し、黒島くんと話したかったなって思って」
「まぁ、同じクラスになれば嫌でも話す機会はあるだろうし、別のクラスになっても休み時間や放課後でも話すことはできるだろ」
「確かにそうだね」
「それじゃ、降りるとするか」
学校前にあるバス停で停車するとみーちゃんが俯きながらそんなことを呟いた。
俺はみーちゃんの言葉と仕草で思わずドキッとしてしまった。
まさか、これが少佐の言っていた「恋」というものなんだろうか?
そんなことを考えながらみーちゃんに声を掛けともに下車すると、大理石で造られた巨大な正門が俺達を出迎えてくれた。
俺は事前に少佐とともにこの学校のことを調べていたため、特に驚くことは無かったが、横に居るみーちゃんは正門は見上げながら「大きい」と呟いていた。
「みーちゃん、そんなに見上げていると首を痛めるぞ」
「うん、そうだね。それじゃ、クラス表を見に行こうか」
「あぁ」
俺は未だに正門を見上げているみーちゃんに声を掛けて、クラス表が貼り出されている掲示板に向かって行った。
そして、掲示板に到着するとそこは既に大量の生徒達で埋めつくされており、簡単にクラス表を確認することはできなかった。
「黒島くんどうしよう、人がたくさん居てクラス表が見えないよ」
「…………取り敢えず、俺が見に行くからみーちゃんはここで待っていてくれ」
「えっ、本当にいいの?」
「あぁ、このまま人が居なくなるのを待っていたら遅刻するかもしれないしな」
「ありがとう、黒島くん」
大量の生徒達を見て、みーちゃんが呟く。
俺はこれ以上ここで待っていても、時間の無駄だと思い人混みの中に入って行くことにした。
人混みを掻き分けて行くと簡単に掲示板の前出ることができ、そのままAクラスから順番に名前を確認して行く。
その結果、俺とみーちゃんのクラスはDクラスだと言うことが分かった
「俺とみーちゃんはDクラスだったぞ」
「本当!? 良かった……黒島くんと同じクラスで、折角友達になれたのにクラスが離れるのは悲しいし」
「そうだな、それじゃDクラスに向かうか」
「うん、そうだね」
俺はクラスを確認して人混みを掻き分けて戻り、直ぐにみーちゃんに同じクラスだということを伝えた。
すると、みーちゃんは嬉しそうにそんな声を上げた。
実際俺も良い友人となったみーちゃんと同じクラスで良かったと思っている。
そして、俺はみーちゃんとともにDクラスに向かって行った。