BLEACH 猫のしあわせ 作:やばばばやば
「オァァアアア!!!!!」
黒崎君の口から、粘土みたいな白い物がドバドバと溢れ出してくる。虚化特有の状態だ。でも、おかしいな。なんで、体が残ってるんだ?
「......『救済処置』に入ります」
「待った」
「キスケさん......」
「見てごらん、彼を。ふつう、
「なるほどぉ。だから体が残ってたのか」
「そうなんです。だから、もう少し待ちましょう。ほんの、少しだけでも」
喜助さんの声には、いつもの本音が分からない調子ではなく、明らかに後悔が含まれていた。そして、ほんの少しの希望も乗っている複雑な気持ちが現れていた
黒崎君の変化はかなり顕著だ。顔の右半分を虚の仮面がすぐに覆う。叫び声は未だに健在。そして、徐々に仮面が顔を侵食した
動きは、本当にすぐ起こった
「オアアアアア!!」
ボボボボボッ!!
テッサイさんの縛道が解除されかけた。腕の封印が、黒崎君の霊圧で吹き飛び始めたのだ
「限界です!! 封殺方に切り替えます!! 縛道の九十九第二番! 『卍禁』!! 初曲
「お、おいテッサイ!! そんなもん食らわしたら死ぬぞっ!」
「もう、こうなっては致し方ない!! 虚となる前に消えてもらう!!」
「テッサ......」
「終曲!! 卍禁太封(ばんきんたいほう)!!!」
ゾクッ
気付いたら動いていた。喜助さんが動く前に、僕は刹歩でジンタ君を穴から遠ざける。そして、僕の体を盾にするように穴から隠す
次の瞬間
ズンッ!!
穴が爆発した。テッサイさんは多分、大丈夫。彼は強い。それよりも、黒崎君だ。アレを吹き飛ばしたとしたら、かなりやばい。ジンタ君達を守りながら、戦うのは少し厳しいかもしれない
「爆発した!?」
ボッ
「っ!? な、なにか出てきやがったぞ!!」
ジンタ君が喚く。その心の内に広がるのは恐怖。そして、認めたくは無いという、劣等感。それを隠すように僕の後ろで喚く
未だ小学生の年だ。仕方が無い。明らかに自分より下だったヤツがほんの数日で、異常な成長を遂げている。仕方が無いことだ
「お、おい、おまえか!? 返事しろ! オレンジ色! 生きてんなら、返事しろって」
オン
ゾクリと、本能が警鐘を鳴らす。アレは、危険だ、と。鳥肌がブワッと立ち、右手でジンタ君を庇いながら左手に斬魄刀を準備する
既に、僕の体はみーくんに預けてある。彼女はウッキウキでこの夏休みをエンジョイしている
「で、出て来た。あ、あいつか?」
「......」
「死覇装に、仮面? ほ、虚なのか、死神なのか、どっちなんだよ!?」
死覇装の姿に、虚の仮面。その状態で黒崎君が土煙の中から登場する。ふぅ、これなら、安心だ
彼からは、一切の敵意を感じない。僕は、斬魄刀を消し、肺の空気を入れ替える。流石に緊張したよ。だって、死神の力を持った虚なんて、最悪でしょ
特に、黒崎君程の霊圧がある虚なんて、先日の大虚の比じゃない程の戦闘力だ。
ガッガッガッ!
黒崎君が斬魄刀の柄で仮面を壊す。半分程壊した時
「ふう」
「あっ」
「虚になったんじゃ、無かったのか」
「オメデトさーーん! キッチリ死神に戻れたじゃないですか! お見事! レッスン2はクリアですね!」
「やかましぃわ!!」
黒崎君がまたもや斬魄刀の柄を使って喜助さんの目を突く。柄を使ってツカツカ突いている
それもそうだろう。だって、いきなり殺されかけたんだからね。危うく、本当に死ぬところだったんだ。まぁ、でも、虚になったとしても、黒崎君ならなんとか帰ってきそうだけどね
「ふふん! 俺は誓ったんだ!! あの穴から出たら、必ず、テメーを!!! ぶっ殺す!!!」
「......へぇ。ちょうどいい。じゃあそのまま気合い入れて、レッスン3と行きましょう。時間は無制限。アタシの帽子を落とせたらクリア──────────」
ザンッ
「──────────へぇ。やるじゃないッスか。その折れた斬魄刀で」
「あったり前だ!! 本気だしゃ、こんなもんじゃねぇぜ!!」
「それじゃ、始めるとしましょうか。レッスン3を」