虹ヶ咲学園の恥晒し   作:種子島

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 ニジガクは…いいぞ





創れ!スクールアイドル同好会!2

 

 

 「さぁ! 今日も勧誘しますよ!」

 

 

 エマ先輩と彼方先輩が新しく同好会の仲間に加わった翌日、俺とせつ菜は再び一通りの多い場所での勧誘に精を出していた。

 

 

「ん? エマ先輩と彼方先輩は?」

 

「お二人にはメンバーが揃ってから本格的に活動を開始すると言っています」

 

「え、じゃあ今日いないの?」

 

「はい」

 

「あー、俺ちょっと急用が……」

 

「ど!こ!に! 行くんですか?」ニコニコ

 

 

 しまった! まわりこまれてしまった!

 

 

 その場から立ち去ろうとした俺の襟をせつ菜が握りしめると、ぐえっと俺の口から汚い声が漏れる。

 

 

「さぁ! 今日もはりきって勧誘しますよ!」

 

「HA☆NA☆SE☆ エマ先輩と彼方先輩が俺を呼んでるんだぁぁぁ!!!」

 

「幻聴ですね〜」

 

「水着姿で俺を呼んでるんだぁぁぁ!!!」

 

「幻覚まで見えてますね〜」

 

 

 

 うわぁぁぁぁ!! 先輩たちに会いたい〜! 会って楽しくお話ししてヨシヨシされたいよ〜!会いたくて会いたくて震えるよ〜!

 

 

「あ〜もぅ! お二方はいないですが私がいるじゃないですか! それじゃご不満ですか!?」

 

「ひょ?」

 

「……あわっ! いっ、いいいいいい今のはつい口走っただけで別に変な意味じゃ…!」

 

 

 赤面したせつ菜が手をブンブンと振り回しながら大声を上げる。急に何を言い出すかとせつ菜のことを見つめていると、みるみるうちに彼女の顔は赤く染まっていく。

 

 

「……せつ菜、今の話なんだが」

 

「……は、はい」

 

 

「お前じゃあの2人の代わりにはならない。具体的には包容力とおっぱいが足りてな……ぶふぉっ!」

 

「ふんっ!」

 

 

 足を高く上げたせつ菜は、ソレを俺の足めがけて振り下ろした。自分の足を踏まれると同時に耐え難い鋭い痛みが足の先端に走る。

 

 

「父さんにも踏まれたことないのに!」

 

「普通そうでしょう」

 

 

 足を押さえて涙を流す俺を無視して、せつ菜は元気に勧誘を開始した。

 

 もうっ! せつ菜ちゃんの塩対応っ♡

 

 

 

「スクールアイドル同好会いかがですか〜!」

 

「今入部すればなんと! こちらの幸運を呼ぶブレスレットがついてくる!」

 

「そんな怪しい物はありません!」

 

 

 

 

「み、見つけました〜!!」

 

 

 俺とせつ菜の耳に特徴のある甘ったるい声が届く。声のした方に顔を向けると、こっちに対して指を差しているボブカットの女の子と、黒くて長い髪を靡かせている女の子が立っていた。

 

 

「かすみさん、人に向けて指を差したらダメだよ」

 

「うっ、ごめんしず子……ってそうじゃなくて!」

 

 

 ボブカットの女の子はずんずんとこっちに向かってきたかと思えば、せつ菜の手を取って高らかに宣言した。

 

 

「あのぅ! かすみんたちもスクールアイドル同好会に入れてください!」

 

「ほ、本当ですか!? もちろん歓迎します!」

 

 

 せつ菜の回答を受けて女の子は腕をぶんぶんと振り回して喜びを露わにする。よほどスクールアイドルがやりたかったのだろう。

 

 

「あの、お名前を伺ってもよろしいですか?」

 

 

「は〜い! かすみんは〜、皆のアイドル!中須(なかす)かすみで〜す! ファンの皆にかすみんの可愛さを届けるために頑張りま〜すっ!」

 

「「………」」

 

 

 

 なんだコイツぅぅぅ〜〜〜

 

 

 思わずジョイマンみたいなツッコミが飛び出してしまう程の激イタ自己紹介を前に俺とせつ菜は固まってしまう。

 そして決まったとでも言わんばかりにドヤ顔をしている中須だが、後ろの女の子の方は困ったように苦笑いをしている。

 

 

「……よ、よろしくお願いしますね! 中須さん!」

 

「中須なんて硬い呼び方しないでください〜」

 

「よろしくな、カッス」

 

「な、なんかその呼び方は嫌なんですけど!」

 

 

 貴様俺のあだ名が受け取れぬと言うか? 我儘なヤツよ。

 

 

「あ、あれ? ていうか先輩は一体……もしかしてスクールアイドルなんですか?」

 

「そうだよぉ〜〜? れいじんはぁ〜、み〜んなのアイドルなの〜♡ ファンのみんなの心を独り占めしちゃうよぉぉ」

 

「……もしかしてソレ、かすみんのマネしてます?」

 

「似てるだろ」

 

「ムキー! ぜんぜんっ! 似てないです〜!」

 

 

 いやムキーて貴方。今どきそんなの口にする奴いるんだな。お前のちょいイタキャラじゃないと許されないぞ。

 

 

「す、すみませんカッスさん! この人は……えーっと、ちょっとアレなんです! 頭が良くなくて…!だから許してあげてくださいカッスさん!」

 

「もしかして煽ってます? 2人揃ってかすみんのこと煽ってます!?」

 

「え〜〜? 煽ってなんかないよ〜〜? きゃぴっ♫」

 

「ソレやめてください〜〜〜!!!!」

 

 

 頬をぷく〜と膨らませて胸をトントンと叩いてくるカッス。あざとさレベルMAXだが、どこか憎めない奴だ。反応もいい。

 

 

「あの、そちらの方は…?」

 

「わ、私ですか?」

 

「ほらほらしず子〜! ちゃんと自己紹介しないと〜」

 

 

桜坂(おうさか)しずくです。私もスクールアイドル同好会に入部したいと考えています」

 

 

 桜坂しずくと名乗った女の子は背筋を綺麗に伸ばしたまま完璧なお辞儀を披露した。少し見ただけで育ちの良さが感じられる。

 

 

「桜坂さん! もちろん歓迎しますよ!」

 

「ありがとうございます! でも、実は私演劇部にも所属していて……兼部になってしまうんですけど大丈夫ですか…?」

 

「はい!大事なのは桜坂さんにスクールアイドルをやりたいっていう気持ちがあるかですから!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

 桜坂はそう言ってもう一度お辞儀をした。

 

 カッスと桜坂、そしてエマ先輩に彼方先輩にせつ菜。なんだかんだで5人メンバーが集まったが、普通にレベル高くねーか? ダンスとか歌は知らんが全員ビジュアルは文句なしだ。

 

 

「せんぱぁ〜い、今度は先輩たちのお名前聞かせてくださ〜い!」

 

「ふっ、名乗るほどの者じゃない」

 

「あ、じゃあ先輩はいいです」

 

「おい、そんな邪険にされると泣くぞ」

 

「物凄くめんどくさい人ですね。先輩」

 

 

 めんどくささで言ったらカッスも割と同じレベルだろと思ったが口にはしない。口にしたらそれこそめんどくさい事になりそうだ。

 

 

「私は優木せつ菜です! 大好きを伝えるためにスクールアイドルになりました!」

 

「そして俺は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のエースで不動のセンター、松本零士だ。今日からアタイたちはライバルだよ。アンタらみたいな小娘には負けないんだからねっ!」

 

「よろしくお願いしま〜す! せつ菜先輩!」

 

「よろしくお願いします。せつ菜先輩、零士先輩」

 

 

 おいカッス、俺のことスルーしたの気づいてるからな? 邪険にされると泣くって言ったばかりなのによ。

 

 

「こっちのアホなひとは同好会のマネージャーですので、さっきの自己紹介は気にしないでください」

 

「アホ言うな」

 

 

 いつも通りのやり取りをせつ菜と繰り広げていると、桜坂が何か言いたげな様子で俺のことをチラチラと見ていた。

 

 ……こ、コイツ…! まさか俺のことがっ…!

 

 

「零士さんの考えてるようなことではない事は確かですよ」

 

「お前エスパーかよ、せつ菜」

 

「顔で何考えてるか分かりますよ。それより桜坂さん、零士さんに何か言いたいことでも?」

 

「あ、はい。あの……松本先輩って、学園内で噂になってるあの松本先輩ですよね…?」

 

 

 なるほどその話か。

 

 

「あぁ、虹ヶ咲学園にいる1000人に1人のイケメン男子生徒の噂だろ? そりゃ確かに俺だ」

 

「えっ!? あ、いやその話はご存知ないんですけど」

 

「この話を知らない生徒がいるなんてな……まだ1年生だから仕方ないか」

 

「誰1人として知らないですよそんな話」

 

 

 おいせつ菜、お前最近冷たいぞ。マジで泣くぞ。

 

 

「桜坂さん、噂というのは虹ヶ咲学園の恥晒しですよね?」

 

「あ、はい」

 

「まぁ……確かに零士さんはどうしようもなく頭が悪くてアレな人ですが、悪い人ではない事は私が保証しますよ」

 

「そう……なんですか」

 

 

 おいおい、冷たくした後に優しくされると泣きそうになるじゃねぇかせつ菜さん。

 

 せつ菜と回答に安心した様子を見せる桜坂。そしてカッスは俺の方へと近づいてきて肘で腹の辺りを小突いてくる。

 

 

「え〜零士せんぱぁ〜い、そんな呼び名が付けられてるんですかぁ〜? ぷーくすくす」

 

「ガキが……」

 

 

 舐めてると舐めるぞ……

 

 

「まぁ零士先輩がおバカさんだけど悪い人じゃなさそなのはなんとなく分かります。これからはかすみん専属のマネージャーとして頑張ってくださいねっ!」

 

「専属じゃねーし、専属でやるなら彼方先輩かエマ先輩がいい」

 

「だ、誰ですかその女! かすみんという最強に可愛い後輩がいながら!」

 

「ふっ、最強に美しく最強にえっちで最強に最高な先輩たちだ」

 

「ぐぬぬぬぬ…! か、かすみんだって…!」

 

「ピピピピピ、えっち力5……フッ、ゴミめ」

 

「ムキー! 流石にもうちょっとありますー!」

 

 

 ほーっほっほ。ちなみに先輩たちのえっち力は53万です。そしてまだ3回もえっち変身を残している……この意味分かりますね?

 

 

 

「か、かすみさん…! 先輩に対してそんな…!」

 

「大丈夫ですよ桜坂さん。零士さんそういうの気にしないので」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「はい! なので桜坂さんも先輩だと思わず、小学生男子だと思って接してくださいね!」ペカー

 

「えぇ……」

 

 

 

 何はともあれ、これで同好会のメンバーが5人揃った。5人もいれば小隊も組めるし人数的にも充分だろと思ったのだが、それはせつ菜も同じだったようだ。

 

 

「それじゃあ一旦メンバーも程よく集まったことですし、顔合わせといきましょうか!」

 

「優木先輩、5人でメンバーは締め切るんですか?」

 

「そんな事はありません! もちろん勧誘のチラシは出したままにしておきます! ですが5人いれば同好会としての活動は開始できますし、練習を始めるのに早いに越したことはないですからね!」

 

 

 それはそうだろう。スクールアイドル同好会を立ち上げたからといって今すぐステージに立てる訳ではない。ダンスや歌の練習はもちろん、衣装や曲だって……あれ?てか曲とかどうすんだ?

 

 

 まぁせつ菜なら何かしら考えてるか!

 

 

「あ、それとお二人とも、今後私のことはせつ菜で構いませんよ!」

 

「そ、それじゃあ……せつ菜先輩」

 

「はい! せつ菜です!」ペカー

 

「ふふっ、私たちのことも名前で呼んで欲しいです。いいよね?かすみさん」

 

「もちろんです! よろしくお願いしますね、せつ菜先輩〜♫」

 

「よろしくお願いします! しずくさん!かすみさん!」

 

 

「諸君、俺のことは零士様、もしくはあなた♡ ダーリンなどと呼んでくれ」

 

 

 

 

「うおー! はりきっていきますよー!」

「せつ菜先輩〜!そんなに走ったら転んじゃいますよ〜!」

「かすみさんも気をつけなきゃダメだよ?」

 

 

 

「………」

 

 

 

 ────少し、泣く。

 

 

 

 

 俺への雑な扱いは気に食わないが、こーして虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が始動したのでした。

 

 

 俺たちのスクールアイドルはこれからだ!

 

 

 

 





 


(まぁせつ菜も普通に乳デカいけど…)




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