虹ヶ咲学園の恥晒し 作:種子島
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ニジガクのライブはいいぞ
前回のラブライブ!
補習地獄から解放されて約1週間ぶりにスクールアイドル同好会の部室に来たらワンダーフォーゲル部になってたぜ!!
いやマジでどういうことなのだよ。
「と、とりあえず菜々に連絡を……」
スマホを使って菜々に電話をかける。無機質なコール音が数秒間なり続くと、プツッという音と共にいつもより低い菜々の声が聞こえた。
『……はい』
「あ、おい菜々! やべぇぞ! 俺らの部室が乗っ取られた! ワンダーフォーゲル部に侵略されてんだよ! 早く取り戻そうぜ! カチコミじゃカチコミ!!」
『……』
「な、菜々? おーい、聞こえてるかー?」
いつもならデカい声でツッコミを入れてくるところなのに、何故か電話の向こうの菜々は押し黙る。
『……スクールアイドル同好会は廃部になりました』
「んぉ? はっはっは、お前でも冗談とか言うんだな。でも流石にそれは唐突がすぎるぞ」
『冗談ではありません。言葉の通りです。スクールアイドル同好会は廃部になったんです』
「……おい、何があったのかちゃんと説明し」
『すみません、全部私のせいなんです……っ』
その言葉を残して通話は切断された。その後何回かかけ直してみたものの、菜々からの応答はない。
「廃部って……まるで意味が分からんぜ」
菜々へ電話することを諦めて、エマ先輩や彼方先輩ら他のメンバーに事情を確認しようと電話をかけるが誰にも繋がらない。
「……ひゃだ、もしかして俺嫌われてる…?」
ば、馬鹿なッ…! そんな訳ない…! きっと何か忙しいとか理由があるに違いない…!
だって、だって、エマ先輩と彼方先輩に嫌われたら俺は…!
「もう生きていけないよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「ちょっ、急に物騒なこと言ってどうしたの? キミ、大丈夫?」
最悪の展開を想像して絶望する俺の頭上から声がかけられる。顔を上げると金髪のポニテギャルが心配そうな表情で俺のことを見下ろしていた。
あっ、パンツ見えた。
黒ね……ふーん、えっちじゃん。
「おーい、大丈夫〜?」
「大丈夫だ、問題ない。今はただ君に感謝を」
「え、愛さんまだ何もしてないけど……まぁ元気出たならいっか!」
優しいギャルじゃん……
マジで存在したんだな。喜べ男子諸君、我々にとっての桃源郷はここにあったぞ。
「アタシ
「俺は松本零士だ。普通科の2年で好みのタイプは今ギャルになった」
「そんなすぐ変わるもんなの!? キミ面白いね〜!」
宮下は快活に笑いながら俺の脇腹を肘でグイグイと小突いてくる。ふわりと香る柑橘系の匂いが鼻をくすぐる。
……コイツ、俺のこと好きなのか…?
初対面でこの距離の近さとスキンシップ、間違いない。俺にほの字だ。
「ってアレ? キミ有名人くんじゃん! やっば! 全然気が付かなかった!」
「え、まぁ確かに俺はミスターコンテストのグランプリだから有名人だけど」
「いやそれは知らんし!」
ガハハと豪快に笑いながら宮下は俺の背中をバシバシと叩く。この積極的なスキンシップ、やはり俺に惚れている。
「変な呼び名付けられてるからどんな人かと思ってたけど、なんか面白い人じゃん!」
「面白いイケメンで有名だからな」
「あはは! まぁ確かに結構かっこいいよね! 愛さん割と
はい確定。絶対俺のこと好きじゃん。
「そういえば、零さんはさっきは何を騒いでたの?」
「零さん?」
「うん、零士だから零さん!」
「おいおい、いきなりあだ名なんて失
「……」
お゛ッ…! ヤッベ! 滑った?
ダジャレ好きなのかと思ったけど読みが外れたか。
「あははははは!!!! いーね! 零さん本当に面白い! 愛さん気に入っちゃったよ!」
俺の心配も杞憂のようで、宮下はその場で腹を抱えて大声で笑い始めた。正直適当に口から出ただけのダジャレだったんだが、どうやらコイツは相当笑いのツボが浅いみたいですぜ兄貴。
「ふー笑った笑った。それで? 本当のところは何があったの?」
「あー、実は人を探してるんだが、電話が繋がらなくて困ってたんですわ」
「ふーん、どんな人?」
「女神」
「人間じゃないの!?」
「級に可愛い」
「なんじゃそりゃ」
事実なんだから仕方ない。あの2人は地上に舞い降りた女神なんだ。俺の救いなんだ。メシアなんだ。
「他に特徴とかないの?」
「ふむ……1人は何処でも寝る人だな。そんで可愛い」
「えー、なんか心配になるなぁその人。でも見てないかなぁ多分」
「他の人だと……めっちゃおっぱいが大きい人もいる。そんで可愛い」
「おっ!? い、いきなり何言ってんの!?」
おっ、どうしました?(煽り)
おっぱいって単語だけで顔を真っ赤にするなんてウブなギャルですわね。まぁギャルが実は優しいとか実はウブみたいなのは鉄板だからな!
「宮下が一般的な巨乳だとすれば、俺の探し人は爆乳なんだ」
「愛さん今すっごいナチュラルにセクハラされてるよね? って、そんなばっ、爆乳 の人も見てないよ〜!」
「他は……声のデカい暑苦しいヤツと、ぶりっ子と、クソデカリボンをつけてるヤツ……あと全員可愛い」
「う〜ん、ごめんだけど全員分かんないや」
宮下は申し訳なさそうに両手を胸の前で合わせる。まぁこっちもそう都合よく見つかるとは思ってなかったから全く気にしてないんだが。
「てかさっきから探してる子全員可愛いって……どんな集まりなの?」
「スクールアイドル同好会なんだよソイツら。俺はそのマネージャー」
「スクールアイドル……あっ!」
何かを思い出したといった様子で宮下は勢いよく手を叩くいた。そして校舎の外の方へと指を向けて笑顔を浮かべる。
「さっきスクールアイドルがどうこうって言ってる子たちが学校の外の公園に向かってたよ」
「マジか! サンキュー宮下! このお礼は今度きっちりさせてもらうぜ!身体でな!」
「いやいらんし。普通にジュースとか奢ってよ〜」
「後悔しても知らんぞーーっ!!!」
ヒラヒラと手を振る宮下に手を振りかえし、スクールアイドルがどうのこうのと言ってた女がいるという場所へと全力で駆けていく。
そして現場に到着すると、見覚えのあるシルエットが3つほど視界に入ってきた。
「おーい! カッス……と、歩夢と侑? 何やってんだお前ら3人で」
「「零士くん?」」
「あっ! 零士せんぱぁ〜い!!」
カッスは俺を見つけると涙ぐみながら腕に飛びかかってくる。咄嗟に細い体を受け止めると、女子らしい甘ったるい香りが俺を襲う。
「なっ、なんだお前!? 俺のこと好きなのか!?」
「そんな冗談は今はどうでもいいんですぅ! かすみん大変だったんですよ〜! うわ〜ん!」
「お、おぉ……」
俺が補習で果林さんとよろしくやってる間にマジで何があったんだ。それを聞こうにもカッスはわんわんと泣き喚きながら頭をグリグリと押し付けてくる。己は犬か。
……つかコイツめっちゃいい匂いする。
いや落ち着け落ち着けおちケツ。相手はカッスだ、子犬と戯れているようなもんじゃあないか。ビークールにいこう。ぼっ、ぼぼぼぼぼ僕はこの程度で同様したりしないぞっ!!
「れ、零士くん? かすみちゃんと知り合いなの?」
「あーまぁそうだな」
「……また、女の子に手を出してるんだね」
侑の疑問に答えると、その隣にいる歩夢が蛆虫を見る目つきで睨んでくる。
いやっ、コレはカッスの方から飛びついてきたのであって…! つーか歩夢のヤツ何で俺が女子にちょっかいかけてると闇ぽむになるんだよ!
「おいカッス、このままだと俺が歩夢に殺されるからそろそろ離れろ」
「うぅ〜」
「色々と聞きてぇことはあるが、とりあえず何でお前ら3人が一緒にいるのか教えてくれ。そんでスクールアイドル同好会に何があったんだ?」
顔を上げて涙を拭ったカッスは、怒りやら困惑やら後悔やら様々な感情が入り乱れた様子でコソコソと俺にだけ聞こえるように耳元で事情を語り出した。
「つまり要約するとこうか?」
「零士くん要約なんて言葉知ってんだ」
「シャラップ侑。ちなみに要約の使い方今のであってる?」
「あっ、やっぱりアホだ」
うるせぇやい。
気を取り直して要約するぜ。 俺が補習でいない間もせつ菜考案の厳しい練習に勤しんでいた同好会メンバーだったが、方針をめぐってせつ菜とカッスが衝突して同好会は自然消滅状態。
そんでカッスは自分で新たに同好会を立ち上げようとして目をつけたのが歩夢と侑ってことか。中々にして目の付け所がいいじゃないか。
「まっ、単なる喧嘩で良かったわ」
「何ですかその投げやりな態度! かすみんにとっては一大事だったんです!」
いやまぁそりゃ一大事ではあるがな。喧嘩ならそのうち仲直りできるだろ。別に元から仲悪いとかじゃないし、今は頭に血が昇ってるだけで2人とも時間をかけて頭を冷やせばへーきへーき。
「そんで、チミたちはスクールアイドルやんの?」
「私? 私はやんないよ。歩夢のサポート」
「ほーん」
そりゃ勿体無い。侑なら普通に人気出そうなもんだけどな。あっ、でもコイツ不器用だからダンスとか要領よくこなせなさそうだな。ぎこちない動きとかしかできなさそうだし。
「……不器用な子」グスン
「何か一方的に同情されてすっごい腹立つんだけど」
「つーか歩夢はやんのかよ。正直言って驚きだわ」
「ふふっ、ちょっと頑張ってみようかなって。すけこまし零士くん」
「松本な、俺の苗字そんな長くねぇから」
……やっぱり怒ってるぜぇコイツゥ〜。
入学式の日以来ずっとこうだ。普段はまぁそれなりに普通に話せるのに、なんかスイッチが入ると闇ぽむが出てきやがる。まぁ俺が何も言わずに引っ越ししたのをまだ怒ってるんだろうけど。
「ていうか私たちの方こそ驚きだよ。零士くんがスクールアイドル同好会のマネージャーやってたなんて」
「あー、まぁ確かに俺がスクールアイドル同好会にいるって聞いたら、裏方の方じゃなくてアイドルの方だと思うよな」
「言ってないし、ナルシストやめい」
「ふふっ、かすみちゃんみたいな可愛い女の子たちに囲まれて楽しかったんだろうね。松本・プレイボーイ・零士くん」
「ミドルネームみたいに言うなよ? こちとら正真正銘の日本男児でい」
いやまぁそりゃ女子に囲まれて邪な思いが無いかと問われれば速攻否定するけどな。俺だってそれなりに真面目に……真面目に……あれ、よく考えたら俺マネージャーらしいこと大してしてねぇや。
「……た、タオル配ったり、な! 俺ちゃんと真面目にやってるよな!カッス!」
「え〜、いっつもエマ先輩と彼方先輩にへこへこして鼻の下伸ばしてるじゃないですか〜」
「誰も腰ヘコヘコなんかしてねぇよ!」
「腰とは言ってません! あーっ! 最近会ってなかったから忘れてたけど零士先輩こういう人でした〜!」
「零士くんさぁ」
「ヘコヘコしたいんだ……」
おいそんな虫ケラを見るような目で俺を見るなよ。そんな目で見られたら流石の俺も凹むぜ? ヘコヘコだけに、なんつって。おい笑えよ宮下。
「はい! かすみんからも質問! 零士先輩とお二人は知り合いなんですよね?」
「あーまぁ、許嫁ってやつだな」
「へあっ!?」
「ちょっ! いつものホラだからねかすみちゃん! ただの幼馴染だから! ねっ、歩夢!」
「い、許嫁だなんて……そんな、急すぎるよ……でも零士くんがそうなりたいっていうなら……」モジモジ
「歩夢〜ッ! さっきまで闇ぽむ状態だったじゃん〜ッ! ちょろすぎるぞ〜ッ!」
まぁ、何はともあれこれで事情を整理することができた。とりあえずは2人と他のメンバーが冷静なるまで見守るとしよう。べ、別に働くのがめんどくさいとかじゃないんだからねッ!
「はうっ!」
「突然奇妙な声出してどうしたんです?」
「突然の尿意!」
「はぇっ!? ちょっ、先輩!?」
我慢できないレベルの尿意が突如として俺の体を襲った。もはや1分1秒も無駄にできないと悟った俺はブレザーをその場に脱ぎ捨ててトイレへとlet's goーッ!!!
………
「ぶはっ! ちょっと先輩〜! 可愛いかすみんのお顔に服を脱ぎ捨てるなんてどういう了見ですか〜!」
嵐のようにこの場から立ち去った零士くんの脱ぎ捨てたブレザーがかすみちゃんに被さり、そのせいでかすみちゃんはぷりぷりと怒っている。
「もぅ、零士くんってば本当に落ち着きがないよね。服も脱ぎ散らかしたり、そういうとこ昔っから全然変わってないよ。本当にだらしないんだから」
かすみちゃんの頭に被さっている零士くんのブレザーを手に取った歩夢は愚痴るように呟く。さっきまでの歩夢との雰囲気の違いに疑問を感じ取ったのか、かすみちゃんは私の方に近付いてきて耳元で小さく呟く。
「あの……歩夢先輩って零士先輩のこと嫌いなんですか…? 歩夢先輩優しそうなのに、零士先輩のことになると毒っ気が出ますよね」ヒソヒソ
「あー、いや〜それはねぇ……」
「?」
私の煮え切らない態度を疑問に思ったのか、かすみちゃんは首を傾げて怪訝そうにしている。
「なんというか、複雑なんだよね。好きだけど嫌い。嫌いだけど好きみたいな」
「何ですかそれ」
「ほら」
歩夢の方へと視線を誘導すると、ソレを見たかすみちゃんはギョッとした表情を浮かべた。
「もぅ…♥ 本当に…♥ 仕方ないなぁ…♥ 零士くんったら…♥」スーハースーハー
零士くんのブレザーを大事そうに抱える歩夢は、恍惚とした表情を浮かべたままソレに鼻を埋めて何度も何度もその匂いを確かめるように吸引を繰り返していた。
「ゆ、侑先輩……あれは……」
「……複雑な感情なんだよ」
「かすみん、見なかったことにします」
「そうしてあげて」
私とかすみちゃんは歩夢の痴態から目を逸らして零士くんの帰りを待つことにした。
ぽむには湿度が似合う
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