虹ヶ咲学園の恥晒し   作:種子島

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 お気に入りと評価ありがとうございます!!
 ジワジワ伸びてるのを見るとモチベになります!!

 ニジガクは終わらねぇ!





かわいい後輩の前では威厳を保て

 

「ふぅ、ギリセーフだったぜ」

 

「おかえり零士くん。服脱ぎっぱなしにしたらダメだよ?」

 

「ソーリーソーリー、って……歩夢なんか顔赤くねぇか?」

 

「えっ!? ちょ、ちょっと暑いからかなぁ」

 

 

 トイレから戻ると歩夢が綺麗に畳まれた俺のブレザーを手渡してくれた。というか歩夢の顔が少し赤くて息も切れているが何かあったんだろうか。

 

 

「さて! それじゃあかすみんによるかすみんのための新生スクールアイドル同好会の活動を始めますよー!」

 

 

 無理やり空気を入れ替えるようにカッスが手を叩いて大きな声を出す。歩夢と侑はゆっくりとカッスの方へと歩み寄り、俺は少し離れた所から様子を伺う。

 

 

「まずは新たな同好会の新たな部員を募集します! そして手っ取り早く部員を集めるならこれでしょ!」

 

 

 そう言うとカッスはスマホを取り出して録画モードを起動する。そしてソレを自身の顔の方へと向けて動かないように固定した。

 

 そして一度大きく息を吸って吐くと、得意技の可愛らしい満面の笑みと甘ったるい猫撫で声を同時に発動させる。

 

 

 

「やっほー! 皆のアイドル、かすみんだよー! かすみん〜、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長になったんだけど〜! そんな大役が務まるかとっても不安〜! でもぉ〜、応援してくれる皆のために日本一かわいいスクールアイドル目指して頑張るよっ!」

 

 

 

「……は?」

 

 

 歩夢さん、そのリアクションやめたげて……

 

 

 俺にとっては割と見慣れてきたカッスのぶりぶりぶりっ子だが、初めて見る歩夢にとっては脳の理解が追いつかなかったようで、呆けた表情を浮かべていつもより低い声が漏れ出した。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!! スクールアイドルの自己紹介初めて生で見たー!!」

 

「うぇへへ〜! 侑先輩分かってますねぇ〜! これを動画サイトにアップして部員募集をします」

 

 

 

 歩夢とは対照的に侑は興奮気味に叫ぶ。まるでメイがトトロを見つけた時くらい嬉しそうな表情を浮かべている。

 というか侑のやつ、いつからそんなスクールアイドルが好きになったんじゃい。

 

 

「零士せんぱぁ〜い! かすみんの自己紹介どうでした〜?」

 

「ん? あぁ、そうだな。やっぱりカレーライスは中辛が1番丁度いいよな」

 

「ムッキー!! 誰もそんな話はしてないんですよ! あとかすみんは甘口が1番いいと思います!」

 

 

 ほぉ、甘口派閥か。まだまだお子ちゃまだな。かくいう俺も辛口よりは甘口の方がいい。そもそもカレーにおいてもっとも重要なのは辛さではなくその芳醇な香りが醸し出す……

 

 

 

 

「さっ、なんか面倒くさい事を考えてそうな零士先輩は放っておいて、次は歩夢先輩の番ですよ?」

 

「えぇ〜!? むっ、無理無理無理ぃ! 恥ずかしいよ〜!」

 

「大丈夫です! かすみん程じゃありませんけど、歩夢先輩も可愛いので!」

 

 

 俺がカレーについて深く語っていたらいつの間にか歩夢の自己紹介動画撮影が開始されていた。カッスに端末を向けられた歩夢は顔を真っ赤にしてゆっくりと声を出す。

 

 

 

 しかし……

 

 

 

「不合格ですね」

 

「い、いきなりは難しいよ〜!」

 

 

 厳しい評価のように見えるが、まぁぶっちゃけカッスの言う通り不合格だろう。

 カメラの方に向かない視線、風の音にも掻き消されそうな小さな声、かと思えば急にデカくなりすぎたり……とにかく緊張してます感がレンズ越しでも伝わってくる。

 

 まぁ一部需要はありそうだけどな。初々しい反応と時折助けを求めるように上目遣いでこちらを見てくる表情は実にGoodだった。

 

 

「うぅ……」

 

「そう落ち込まないで歩夢」

 

「やれやれ、ここは俺の出番だな」

 

「え、零士先輩?」

 

「カッス、スマホ貸してくれ」

 

「カッスじゃなくてかすみんです! どうぞ!」

 

 

「サンキュ、ほらいくぞ歩夢〜」

 

「えっ? あっ、うん」

 

 

 ブチギレながら手を差し出すカッスからスマホを受け取る。そして俺はソレを歩夢の方へと向けて録画を起動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 えー、こんにちは。緊張してる?

 

 

「えっ? あっ、はい」

 

 

 リラックスしていいよ笑 じゃあいくつか質問するけど、今日はどこから来たの?

 

「お、お台場…?」

 

 

 へーシティガールなんだ。結構進んでそうだね笑

 

「す、進む…?」

 

 

 あれ? もしかして結構ウブなんだ笑 じゃあ何で今日は撮影に出ようと思ったの?

 

「それは……大切な人がきっかけで、でも私も少しやってみたくなって」

 

 

 へ〜、好奇心が旺盛なんだ笑 じゃあ身長と体重を教えてくれるかな?

 

「身長は159で体重は……ひ、秘密です」

 

 

 キリンの赤ちゃんくらいのサイズだね笑

 

「そ、そうなの? ふふっ、知らなかった」

 

 

 あれ? 緊張解けてきた? 笑顔可愛いね笑

 

「かっ、かわっ!? きゅ、急にそんな事言われるとビックリしちゃうよ……」

 

 

 自分に自信持ちなよ笑 ほら、じゃあそこのベンチに座ってゆっくり足を開いてみて?

 

「こ、こう…?」

 

 

 あー、いいねいいね。 じゃあ次はもうちょっと大胆なポーズしてみちゃったり笑

 

「こう……かな…?」

 

 

 いいよー、可愛いねぇ笑 積極的だねぇ笑 あれ? もしかして撮られてドキドキしちゃってる? トキメキが止まらなくなっちゃってる?

 

「ん……」

 

 

 じゃあ次の質問は初めてのオn

 

 

 

 

 

「歩夢から離れろこのド腐れ変態畜生男ーーッッ!!!」

 

「あひぃんっっ!!!!!」

 

 

 歩夢にカメラを向ける俺の背後から突っ込んできた侑ちゃん(幼馴染)セコムが俺の股間を蹴り上げた。

 

 

「歩夢〜っ! ダメだからね! あんな怪しい人に声かけられてもホイホイ質問に答えたりしたら!」ギュッ

 

「きゃっ! ゆ、侑ちゃん……こんな所で……!」

 

「歩夢は私が守るんだぁ〜!」ギュゥゥゥ

 

「もぅ……侑ちゃんったら」

 

 

 

 

 

「ぐ ぁ◎△$♪ぅ×¥●&%#〜〜〜っ!!!」

 

「自業自得ですよ、先輩」

 

 

 し、死ぬッ…! やばい、潰れた…!? 潰れたよね今…!? ある? 俺のちゃんとある…!? 女の子になっちゃってないよね…!?

 

 

 

「はぁ〜、全く先輩方はダメダメですね。歩夢先輩、今からかすみんの言う通りにしてください」

 

「え?」

 

「……かすみちゃんもそこで果ててる変態みたいに歩夢に変な事させないよね?」ジー

 

「すっ、する訳ないじゃないですか!? コレと一緒にするのはかすみんへの誹謗中傷ですよ侑先輩っ!」

 

 

 

 ククク……酷い言われようだな。まぁ事実だからしょうがないけど。

 

 

 

「いきますよ? まずは頭を両手の上に、語尾にぴょんをつけてみましょう」

 

「うさぴょん!」

 

「えぇっ!?」

 

「さぁ! さぁさぁ!」

 

 

 

「ぁ……歩夢だぴょん

 

「声が小さぁい!」

 

あ、歩夢だぴょん!!

 

「もっとうさぴょんになりきって! もっと気持ちを込めて!」

 

 

「ぴょーーーーーーーーーんんっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、これはこれで」

 

「うわぁっ! もう復活したんですか!?」

 

「あぁ、俺は痛みを快楽へと変換してダメージ量を軽減する能力があるんだ」

 

「えっ、気持ち悪」

 

 

 おい…! 言葉を慎めよ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 あれからしばらく時間は経ち、夕暮れが地上を照らす時間帯になり温かく心地良い風が頬を撫でる。

 そんな中、結局最後まで合格をもらえなかった歩夢はかわいいノイローゼになったようで、下を向いてうわごとの様にかわいいとは何かと問い続けていた。

 

 

「あはは、可愛いって大変なんだね」

 

「アイドルの基本ですからね」

 

 

 何気なく呟いた侑の言葉にカッスが頷いて同意をする。

 

 

「可愛いはアイドルの基本……つまり可愛い俺もアイドルってことか」

 

「先輩はまっっったく可愛くないですよ。自己評価おかしくないですか?」

 

「おいおい、嫉妬か? 可愛くないぞっ!」

 

「むかっ…! 侑せんぱぁ〜い! かすみんと零士先輩どっちが可愛いですか!」

 

「かすみちゃん」

 

「うぇへへ〜! 流石は侑先輩〜!」

 

 

 可愛いと言われてご満悦のカッスは侑に擦り擦りと頬擦りする。コイツ可愛いって言われたら誰にでも靡くんじゃねぇかぁ?

 

 

「でもせつ菜ちゃんは可愛いっていうよりはカッコいいって感じだったなぁ」

 

「せつ菜先輩を知ってるんですか?」

 

「遠くから見ただけなんだけどね」

 

 

 後に聞いた話では、侑は歩夢と一緒にたまたまライブをするせつ菜を見かけてスクールアイドルにハマったのだとか。

 中学に上がるまでの幼馴染と、中学に上がってからの腐れ縁のヤツがこんな繋がりを見せるだなんて世界は狭いぜ。

 

 

「そういえば、同好会ってなんで廃部になったの?」

 

「……元はと言えばせつ菜先輩がいけないんです」

 

 

 何気ない侑の問いに対し、カッスは子どもが少しだけ拗ねた時のような表情で廃部になった経緯を語り出す。まぁ俺はさっき聞いたから特に驚きは何もないが。

 

 

「お披露目ライブの目標が決まった辺りからピリピリしだして……こんなパフォーマンスじゃ、ファンのみんなに大好きな気持ちは届きませんよ〜って! だからかすみんもムキ〜ってなっちゃって!」

 

 

 お披露目ライブの目標? ナニソレボクシラナイ。俺が補習に囚われてる時の話だよね? 俺が普段から蚊帳の外にさせられてる訳じゃないよね!? そうだと言ってよバーニィ!

 

 てかコイツちょっとせつ菜のマネ上手いの面白いな。

 

 

 

「それで……結局……活動、休止に……」

 

 

 後悔や後ろめたさがあるからなのか、最終的にカッスの声は尻すぼみに消えていった。そんな様子を見て侑は微笑みながら声をかける。

 

 

「かすみちゃんもせつ菜ちゃんもファンに届けたいモノがあったんだね」

 

「当たり前ですよ! スクールアイドルにとって応援してくれるみんなは1番大切な存在なんですから!」

 

「えっ、じゃあエマ先輩や彼方先輩にとって俺は1番大切な存在……ってコト!? ちょっと大好きを伝えなくちゃ(使命感)」

 

「零士くん、今真面目なパートだから静かにしててね」

 

 

 怒られた。俺はいつだって真面目なのに。

 

 

「だから! より一層かわいいスクールアイドルでいるために……」

 

「うぅ、かわいいって難しい……かわいいって何? かわいいってなんなの……」

 

「振り向かないことさ」

 

「それは若さでしょ」

 

 

 カッスのスパルタかわいい教育によってかわいいノイローゼになりつつある歩夢。かわいいがゲシュタルト崩壊してらっしゃる……お労しや。

 

 

「もぉ〜、そんなんじゃファンのみんなにかわいいは届きませんよ〜……あっ」

 

「かすみちゃん?」

 

 

 その時、カッスに衝撃が走るッ…!

 

 いや本当急に下向いて黙りこくってどうしたんだい? 普通に心配になっちゃうんだが? おぅ?

 

 

 

「もしかして……かすみん、同じことしてる…?」

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 結局昨日はカッスに衝撃が走ってそのまま流れで解散になったんだが、翌日になって偶然顔を合わせた侑と歩いていると、1人座って昨日と同じように悩ましげな様子のカッスがいた。

 

 

「どうしたらいいんですかぁ〜! かすみん困っちゃいますぅ〜!」

 

「困ってるの?」

 

「お、お前……独り言デカすぎだろ」

 

「わ゛ぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 突然声を上げて自分の頭を叩き出すという奇行を始めたカッスに俺と侑が声をかけると、リアクション芸人顔負けの素晴らしいリアクションを見せる。

 

 

「なんか様子ヘンだったから声かけちゃった」

 

「おいおい侑、コイツの様子はいつも変だぞ」

 

「零士先輩だけには言われたくないんですけど!!」

 

「俺のどこが変なんだ! 言ってみろ!!」

 

「存在!」

 

 

 へ、ヘイトスピーチ……

 

 

「うわぁぁぁん! 侑せんぱい〜!」

 

「きゃっ」

 

 

 あら〜^

 

 

 ぐすぐすと泣きじゃくるカッスは隣に腰掛けた侑を押し倒した。べ、別に全然羨ましくなんかないんだからねっ!

 

 

「かすみんどうすればいいんですかぁ〜!」

 

「お、落ち着いてかすみちゃん…!」

 

「かすみんは歩夢先輩に自分のやりたいことを押し付けてしまってましたぁ〜! そんなことしたかった訳じゃないのにぃ〜!」

 

 

 どうにも話が見えてこないが……昨日の歩夢へのスパルタかわいい教育のことを言っているんだろうか。

 そしてその後泣きじゃくるカッスを侑が宥め、ゆっくりと事情を聞くとさっきの言葉の意味が理解できた。

 

 

 要は、カッスはせつ菜にされて嫌だったことを歩夢にしてしまっていたことに気付き、自己嫌悪に陥っていたみたいだ。

 人に自分のやりたいことを押し付けるのは嫌。それなのに歩夢に自身の信じるかわいい像を押し付けていたことを悔いている。

 

 

 

「……お前意外と繊細だったんだな」

 

「先輩とは違うんですよ」

 

「バカ言え、俺はめちゃくちゃ繊細だぞ。枕が変わると寝られない」

 

 

 いつもなら食いついてくる軽口にもリアクションは薄い。どうやらこのぶりっ子後輩は割と本気で参っているらしい。

 

 

「こんなの……全然かわいくないですよぉ」

 

「悩んでるかすみんも可愛いよ」

 

「んぅ〜! 侑せんぱい〜! 揶揄わないでくださいよぉ〜!」

 

 

 なんだこの幼馴染。あそこでサラッと口説くようなこと言ってのけるか普通。そうくるか、女誑しめ…!

 

 

「零士くんだってかすみちゃんのこと可愛いと思うよね?」

 

「そこで俺に振る!?」

 

「……先輩、かすみんかわいいですか…?」ウルウル

 

「ぐっ」

 

 

 なんて目で見てきやがるコイツ…! そんな縋るような目で見られたら流石の零士くんも無碍にはし難いぞ。

 

 ……だが、俺の好みはエマ先輩や彼方先輩のような包容力とバブみを持ち合わせた年上の女性だ…!

 カッスとは全然違うというか、普段生意気なコイツに素直に可愛いと言うのはなんとなく気恥ずかしい…!(童貞特有の繊細さ)

 

 

「お、俺の好みはもっと大人びた────」

 

「うぅ」グスン

 

「げっ」

 

「零士くん?」

 

 

 ぐぅ…! 侑が『今はそんな強がって見栄張るとこじゃないよね?』って視線で訴えてくる…!

 

 

 あーくそ…! 女の涙に弱い男がいるってのは聞いたことはあったが、まさか自分がそうだとは思わなかったぜちくしょう!!

 

 

 

 

 

「あ、あー、これはあくまで1人の男子高校生から見ての一般論だが……その、なんだ……お前はちゃんと……か、可愛いから安心しろって。なんつって」

 

 

「「……」」

 

 

 おい、お前ら2人して黙るなや。めちゃくちゃ恥ずいんだが? 学校の先生を間違えてオカン呼ばわりした時くらい恥ずかしいんだが?

 

 

「先輩」

 

「……あんだよ」

 

 

 

「ぷーっ! 零士先輩女の子褒めるの下手すぎませんかーっ!? くすくす〜っ!」

 

「こっ、コイツ…!」

 

 

 さっきまで人生のドン底みてぇな顔してやがったくせに、一転して呼吸ができないほどに笑い転げてやがる。悲しくて出てた涙が笑いを堪えた時に出る涙に変わっている。

 

 このメスガキ…! 人がせっかく励ましてやろうとしたものを…! わからせてやりてぇ…!

 

 

 

「零士くん、いつも年上の女の人にはクサいセリフ言ってるのに今更照れるんだ」

 

「もしかしてかすみんのこと好きなんですかぁ〜?」クスクス

 

「んなわけねぇだろ! バーカバーカ! せっかく気を遣って慰めてやったのによぉ!?」

 

「いつも零士先輩が言ってることじゃないですかぁ〜? 俺のこと好きなのか!?って」

 

「それは間違いじゃないからな! 俺がお前のこと好きってのは完全なるお前の勘違いだ!」

 

「先輩のだって勘違いですよ〜!」

 

「なにを〜!?」

 

「なんです〜!?」

 

 

 

「あはは、かすみちゃんちょっと元気が戻ったね。零士くんの下手くそな励ましのおかげかな?」

 

 

 まずい、今は形勢が悪い。コイツら徒党を組んで俺のことを弄ろうとしてやがる。徒党を組んだ女子と相対したらどうするか、それは逃げ一択だ。

 

 

「は〜!心配して損したぜ! 俺はエマ先輩と彼方先輩に呼ばれてるからもう行くぞ!」

 

「そんな照れくさいからって嘘ついてまでどっか行こうとしなくていいのに」

 

「クソ生意気な後輩は元気を取り戻したみたいだからな! もう慰めなんて必要ねーだろ」

 

「でもそんな生意気なかすみんのこと、いつも可愛いって思ってたんですよね〜?」

 

「……」

 

「どうなの?零士くん。もしかしてさっきの可愛いってのは嘘だったの?」ニヤニヤ

 

 

 

 

 

「……嘘じゃねーけど」

 

「えへへ、ありがとうございますっ、零士先輩。初めて先輩にちゃんとかわいいって言われ気がします」

 

 

 

 は〜! 背中が痒いわぁ〜! やっぱ人を慰めるとか俺に向いてねーわ。

 後のカッスのメンタルケアは我らがギャルゲー主人公の侑ちゃんに任せるとしよう。

 

 

 

「さてと」

 

 

 日が沈み始めた時間帯、俺はスマホに届いたメッセージに示されていた場所へと足を運んだ。そして少し待っていると、向こうから見覚えのあるメンツが小走りで近寄ってくるのが見えた。

 

 

「あっ、零士くん久しぶり〜!」

 

「エマ先輩〜! 彼方先輩〜! 相変わらずお美しいです〜!」

 

「あの、私もいますよ先輩」

 

「おう、しずく。リボンちょっとデカくなったか?」

 

「変わってません!」

 

 

 約1週間ぶりに再会した同好会メンバーは何も変わっていない。なんだかんだで安定感のあるメンバーだ。

 

 

「ごめんね、急に呼び出しちゃって」

 

「エマ先輩からの呼び出しなら手術中だったとしても駆けつけますよ」

 

「死ぬぜ〜?」

 

 

 本望ですよ、彼方先輩。

 

 そう、何を隠そう、俺をこの場に呼び出したのはエマ先輩だ。どうだアホの高咲とアホの中須、俺がエマ先輩に呼び出されたってのは嘘じゃなかっただろばーかばーか。

 

 

「あの、先輩……同好会のことなんですけど」

 

「事情は聞いたよ。まぁ、なんだ……大変だったな」

 

「は、はい……それで、かすみさんは?」

 

「さっきまで一緒にいたけど、今は俺の顔見知りと一緒にいる。あとアイツはもう大丈夫……だと思うぞ」

 

 

 我らが侑たそのカウンセリングにかかればカッスの悩みも楽々解消だろう。あんだけ爆笑できんなら時間の問題だ。

 

 

「じゃ、あとの問題はせつ菜ちゃんってことだね〜」

 

「アイツとはまだちゃんと話せてなくて」

 

「心配だよね…」

 

「そりゃあ……まぁ、中学ん時からの付き合いなんで」

 

 

 

 

 

「やっぱり、貴方は優木せつ菜とは昔からの顔見知りだったのね」

 

「何奴っ!?」

 

 

 突然後ろから声をかけられたので振り返ると、そこには余裕な笑みを浮かべて俺のことを見ている激マブのチャンネーが立っていた。

 

 

 

「セクシーパイセン!?」

 

「誰よそれ」

 

 

 俺の背後から現れたのは、セクシーパイセン改め朝香果林先輩だ。赤点の補習で知り合った3年生でエロい。←ココ重要

 

 

「果林ちゃん、零士くんと知り合いだったんだ」

 

「えぇ、まぁね」

 

「彼方先輩、それは嫉妬ですか!?」

 

「零士先輩、真面目な話ですよ」

 

 

 しずくがいつにもなく真面目な顔で俺のことを見ている。というかしずくだけじゃない、他のみんなもやけに真剣な表情だ。

 

 

「てか、果林先輩がなんで同好会の皆と一緒にいるんすか?」

 

「親友が困っていたからね。少し手助けをしたのよ。コレを見てちょうだい」

 

 

 ん、なぁにこれ?

 

 果林先輩から渡された黒い表紙のファイルのような物には、ハッキリと生徒名簿と記されていた。

 

 

「優木せつ菜。スクールアイドル同好会を貴方と2人で創設した人物」

 

「まぁ俺は殆どなんもしてないっすけどね。手続きとかは全部アイツがやってたんで」

 

「あらそうなの? まぁ大事なのはソコじゃないわ。その名簿にはね、優木せつ菜の名前が何処にも載ってないのよ」

 

 

 ……まぁ、そりゃ優木せつ菜は中川菜々だし。

 

 ん?てかコレって……マズい?

 

 

 

「貴方はさっきハッキリと言ったわよね。優木せつ菜とは中学の頃からの知り合いだって。今更シラを切るなんてさせないわよ?」

 

「……」

 

「教えてちょうだい。優木せつ菜とは、一体誰なのかしら?」

 

 

 

 この時俺は、ドラマとかでよく見る警察や探偵に質問攻めされてジワジワと落とされる犯人の気持ちが初めて分かった。

 

 

 

 コレなんて答えるのが正解なのぉ!?

 

 

 





おま◯け

かすみ「零士先輩ってあんな感じしてグイグイ攻められると案外弱いんですかね?」

侑「んー、昔っから女好きなのは変わんないかなぁ。でもさっきのは本気で恥ずかしい時のリアクションだったよ。零士くん本気で照れてる時は後頭部を手でガシガシする癖あるから」

かすみ「先輩も結構かわいいトコあるんですね〜! いひひ、次会ったらまた揶揄っちゃいましょうかねぇ〜? かすみんのこと好きなんですかぁ〜って」

歩夢「かすみちゃん、その話、クワシクキカセテ」ハイライトオフ

侑かす「「あっ」」


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