新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
皆さま、たくさんのリクエストありがとうございます!!
ハーメルンの仕様で一人一人に返信することができずモヤモヤしていますが、皆さまのリクエストもといシチュもとい性癖は全て拝見させていただいております!!
『夜守りの一族』。
彼女たちは、祖先が戦ったエーテリアス『夜魔』の呪いにより、夜に眠ることができない。日中に睡眠を取り、夜になるとホロウへ入り生態観察やスケッチに勤しんでいる。
リュシアもまた、夜守りの一族の一人だった。
彼女は無類のエーテリアス好きで、自らホロウの内部へと足を踏み入れ、時にはエーテリアスと交流しながら、その特徴をノートに書き留めるほどである。
新エリー都の住民だけでなく、一族の中でさえ、彼女を変人扱いする者は多かった。だが、彼女の真の信念を知る者は、ほんのわずかしかいなかった。
エーテリアスには、ホロウがゼロから生み出した存在と、そうではない命がホロウによって姿を変え、「生き続けている」ものが存在している。
ホロウが鏡となって人々を映し出したもの。あるいは、すでにこの世には存在しない家族や友人が変化したもの。そうした存在の総称が、エーテリアスなのである。
そこで彼女は考えた。
エーテリアス化した人物の意識は、本当に消えてしまっているのだろうか。
もし、その謎を解き明かすことができたなら。失われた家族や友人は、再び戻ってくるのではないか。
たとえ戻らなかったとしても、「ホロウを恐れなくてもいい世界」へ、進んでいけるのではないか、と。
彼女の信念を知る者は、少ない。
その数少ない理解者である『あなた』は、リュシアに帰る場所を与えた。
夜守りの一族は、新エリー都にその存在を正式に認められていない。リュシアも市民カードを持っておらず、彼女たちは身分上、郊外の人間に近い扱いを受けていた。
一族から離れ、ひとり孤独に生きてきたリュシアと『あなた』の出会いは、偶然だった。
怪啖屋のコミュニティで顔を合わせた二人は、何気ない会話を交わす中で、リュシアのエーテリアスに対する想いに『あなた』が興味を抱いたことをきっかけに、次第に距離を縮めていった。
やがて『あなた』は彼女の信念を知り、彼女の力になりたいと思うようになった。
『あなた』はエーテル耐性を持っていなかった。長時間ホロウに滞在すれば、身体はすぐにエーテルに侵蝕されてしまう。そのため、実際にエーテリアスを目にしたことはなかった。
だからこそ、リュシアに惹かれたのだろう。
そして、リュシアもまた『あなた』に惹かれていた。
これまで変人扱いされ続けてきた彼女にとって、真剣に話を聞き、意見を交わし、共感してくれる存在が現れたのは初めてだった。
それが、『あなた』だった。
リュシアに恋愛感情があるのかどうかは、彼女自身にも分からない。
ただ、リュシアには帰る場所がある。
自分を待ってくれる人がいる。
その事実が、無意識のうちに孤独を抱えていた彼女の心を、静かに支えていた。
ホロウでの探索を終えたリュシアは、疲労の溜まった身体を引きずるようにして、『あなた』の家へと向かっていた。
以前の彼女は、疲れを知らなかった。いや、感じないようにしていたのだ。
だが、『あなた』という存在が、彼女に安心と安らぎを与え、常人と同じように疲労を自覚できるようにしていた。
それがホロウ探索に悪影響を及ぼしているのかと問われれば、答えは出ない。
それでも、『あなた』が待っている現実が、彼女にとって何よりも嬉しかった。
「はぁ、疲れたー。でも今日は、すごく面白いエーテリアスを見つけたから……早く教えてあげなきゃ!」
リュシアは小走りで駆け出した。
今日の出来事を、早く『あなた』と共有するために。
『あなた』と過ごす時間を、早く味わうために。
やがて、視界の先に『あなた』の姿が映る。
その瞬間、リュシアの瞳は輝き、『あなた』のもとへと一気に駆け出した。
「あっ!! おーい!!」
手を振りながら近づいていくリュシア。しかし、『あなた』と会話をしていた人物の言葉が、彼女の足を止めた。
「聞いてよ! 今日ね?」
「お前も大変だよな。あんなやつと一緒に暮らしてて」
「……えっ?」
『あなた』と話していたのは、『あなた』と交流のあるTOPSの社員だった。
「お前、本当は朝型人間なんだろ? 雰囲気で分かるよ。それなのに、あいつに合わせて夜まで起きてなきゃいけないなんて。迷惑もいいところだよな」
TOPSの社員は、憐れむような視線で言葉を重ねていく。
『あなた』は特に反応を示さなかったが、リュシアはそれに気づく余裕もなかった。
「……私が、迷惑……?」
呆然と立ち尽くすリュシアをよそに、TOPSの社員は愚痴のように言葉を吐き続ける。
「それにさ、エーテリアス好きとかいう理解不能な趣味もあるんだろ? 俺だったら耐えられないね。あんなやつ、さっさと追い出したほうが身のためだぜ。じゃないと、お前の身が持たない」
「……っ!!」
胸を締めつけられるような痛みに耐えきれず、リュシアはその場を離れた。
ぐちゃぐちゃに絡まった感情を抱えたまま———。
『テメェに彼女の何が分かるってんだ失せろこのウスラトンカチがいや今すぐ俺がぶっ殺してやる歯ァ食いしばれやッッッ!!!!』
TOPSの社員に向けて、この世の全ての罵詈雑言を叩きつけるように言い放ち、雲嶽山の修行者に止められるまで暴力を振るった『あなた』は、自宅へ戻りリュシアの帰りを待っていました。
本来であれば、彼女はとっくに帰宅しているはずの時間です。しかし、玄関の扉は開かれる気配もなく、部屋の中には静寂だけが満ちていました。
何かあったのではないか。
そう考えるたびに、不安が胸の内で膨らんでいきます。
けれど、『あなた』にはホロウへ入ることができません。探しに行きたくても、その手段すら持っていない現実が、ひどく歯がゆく感じられました。
心配が限界に達し、『あなた』はスマートフォンを手に取ります。友人であるパエトーンに連絡を取り、力を借りるしかない。そう判断しました。
そして、通話ボタンに指を伸ばした、その瞬間でした。
玄関の扉が、静かに開く音が聞こえました。
『あなた』は反射的に立ち上がり、玄関へと向かいます。
そこにいたのは、俯いたまま動かないリュシアでした。
無事に帰ってきてくれたことに、まず安堵します。しかし、その様子がいつもと違うことに、『あなた』はすぐ気づきました。
声をかけ、部屋の中へ入れようとした、その時です。
リュシアは何も言わず、突然『あなた』を押し倒しました。
予想外の力に体勢を崩し、『あなた』は廊下に倒れ込みます。背中に鈍い痛みが走りましたが、それよりも、彼女の異変のほうが気がかりでした。
何があったのかを尋ねようとした『あなた』でしたが、その前に、リュシアは『あなた』の手を自身の胸へと強く押し当てました。
その手は、ひどく冷たく、震えていました。
違和感を覚えた『あなた』は、リュシアの顔を覗き込みます。
そして、その瞬間、背筋が凍りつきました。
彼女の瞳には、いつもの光が宿っていなかったのです。
「『あなた』になら、いいよ……」
か細く、今にも消えてしまいそうな声でした。
「私ね、『あなた』になら何をされてもいい。『あなた』が望むことなら何でもしてあげる」
「だから……ね……」とリシュアは『あなた』へ縋りつくように懇願します。
「私を……独りにしないで……っ」
次の瞬間、温かいものが『あなた』の頬に落ちました。
リュシアの涙でした。
『あなた』は、彼女を突き放すことも、安易に受け入れることもできません。
すると、リュシアは自身の唇を、『あなた』の唇へと重ねました。
『あなた』のファーストキスの味は、孤独を含んだ冷たく歪んだものとなるのでした。
依存する女の子、良いよね。
リクエストの中にもたくさんの依存癖が書かれており、いろんなキャラに依存されたいというオーラをひしひしと感じました。
でもさ、俺がゼンゼロのキャラで1番依存して欲しい子はリュシアなんすわ……!!!!
あ、もちろん、皆様のリクエスト通りの話も考えさせていただいておりますのでご安心を。
全てを文字起こしできるかは分かりませんが、期待せずに期待してお待ちいただければと思います。
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