新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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リクエストの11号です。
難産でした。
めちゃくちゃ妄想が膨らんじゃって。



11号 ①

 

 

 冷たい夜風を受けながら、『あなた』と11号はホロウの外で待機していました。

 最近ホロウの活動が活発化しており、『あなた』と11号は、その監視およびホロウ内に出現するエーテリアスの殲滅任務の真っ最中です。

 

 腕を組み、何時間もホロウを見張り続けている11号の横で、『あなた』は隠し持っていた音楽プレイヤーを取り出しました。

 

 それは、音楽をダウンロードして再生するような今どきのデジタルプレイヤーではなく、カセットテープを挿入して使用するレトロな音楽プレイヤーです。

 『あなた』はお気に入りのカセットテープを差し込み、電源ボタンを押しました。

 ガガガ、と内部でテープが回転する音とともに、小さなノイズが鳴り始めます。

 やがて、ポップでロックな、心地よいシンセサイザーの音色が夜の静寂に溶け込んでいきました。

 

 

 

 

The visions dancing in my mind

The early dawn, the shades of time

Twilight crawling through my windowpane

 

 

 

 

 

 『あなた』は目を閉じ、音楽に身を委ねるように、静かにリズムを刻み始めます。

 その様子を見ていた11号が、不満そうに口を開きました。

 

 

「優秀な兵士足る者、いついかなる時も即座に行動できるよう身構えておく必要があるわ。それなのに、またそんなものを取り出して。兵士としての自覚はないのかしら」

 

 

 『あなた』と11号は同期であり、パートナーです。

 どのような任務であっても、二人は必ずペアを組まされ、休暇時を除いて離れることはほとんどありません。

 

 11号は兵士であることに誇りを持ち、軍に忠誠を誓っています。

一方で、『あなた』はそのような高尚な志を持ち合わせておらず、気分と勢いで軍に所属しました。

 本来はホロウレイダーとして生計を立てるつもりでしたが、不安定な収入で日々を過ごすよりも、軍に所属して安定した報酬を得る方が安心だと判断したためです。

 

 しかし、実際の軍隊生活は『あなた』の想像をはるかに超えて厳しく、アウトロー気質な『あなた』は次第に嫌気が差していました。

 そんな『あなた』のストレスを和らげてくれる存在が、この音楽プレイヤーだったのです。

 

 

「それに、どうしてそんなに古いものを使っているのか、理解できないわ」

 

 

 11号の言葉に対し、『あなた』は態度で反論します。

 この古さこそが良いのだと、全身で示すように。

 

 

「聞いている曲も?」

 

 

 当然だと言わんばかりの様子に、11号は初めて会った頃から変わらない『あなた』の態度を思い出し、諦めたように小さくため息をつきました。

 

 

 

「……いいわ。好きにしなさい。ただし、いつでも出撃できる準備だけはしておくこと。いいわね、()()()()()()()()()()()

 

 

 

 ミスター・ブルースカイ。

 それは11号が『あなた』につけたコードネームであり、同時に『あなた』が愛してやまない曲の名前でもありました。

 

 勝手にしろと言いながらも、流れる音楽に合わせ、腕を組んだ隙間から指先をわずかに動かしている11号の姿に、『あなた』は思わず笑みをこぼします。

 そして再び音楽の世界へ意識を沈めようとした、その瞬間、無線が鳴り響きました。

 

 

『ホロウ内にてエーテリアスが大量発生。待機中の兵士は直ちにホロウへ突入し、エーテリアスの殲滅に向かってください』

 

 

 

「行くわよ、ミスター・ブルースカイ」

 

 

 『あなた』は億劫そうに立ち上がり、ブースター付きブーツが正常に稼働していることを確認します。

 そして、ナノテクヘルメットを装着し、二丁のエーテルガンを手に取ると、先行する11号の背を追うように、ホロウの中へと駆け出していきました。

 

 

 

Twilight

I only meant to stay awhile

Twilight

I gave you time to steal my mind away from me

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 辺りはエーテリアスで溢れかえったホロウの中心。

 その只中で、11号は静かに目を閉じていた。

 

 エーテリアスたちは距離を保ちつつ、獲物を品定めするように彼女を取り囲んでいる。

 不用意に踏み込めば斬られる。その直感が、彼らの動きを縛っていた。

 

 11号の手が、わずかに動く。

 それは攻撃の合図でも、防御の構えでもない、ほんの些細な動作だった。

 だが、その一瞬を見逃すほど、エーテリアスたちは鈍くはない。

 空気が張り詰め、幾つもの視線が彼女の動きを追った。

 

 しかし、彼女の手が伸びた先は剣ではなかった。

 腰に下げられた、年季の入った音楽プレイヤー。

 それは、11号のパートナー()()()者が愛用していた物と同じ音楽プレイヤーだった、

 戦場にはあまりにも不釣り合いなそれに、エーテリアスたちの動きが一瞬だけ鈍る。

 

 スイッチが押される。

 ガガガ、とテープが回転する音。

 続いて、かすかなノイズが空間に染み込み、張り詰めていた沈黙を切り裂いた。

 

 11号はふぅ、と短く息を吐く。

 それは緊張を解くためではなく、気持ちを切り替えるための合図だった。

 

 11号は音楽に身を任せながら、ゆっくりと剣を抜く。

 刃が空気を裂く乾いた音が響き、彼女の意識は完全に戦闘へと切り替わった。

 

 切っ先が、正確にエーテリアスへと向けられる。

 

 

 

11号(トワイライト)、出るわ」

 

 

 

 

Morning! Today's forecast calls for blue skies

 

 





参考にした曲は『Electric Light Orchestra』の『Twilight』と『Mr. Blue Sky』です。
昔やっていたドラマ『電車男』とMarvel映画『Guardians of the Galaxy』のオープニングテーマですね。

そして、『あなた』のモデルは『Guardians of the Galaxy』のの主人公『ピーター・クイル/スター・ロード』です。

めっちゃ好きな曲なのでぜひ聴いて欲しいですし、その和訳も調べていただければと。
それを参考にしてこの話を書いたので。

次の投稿でこの話の解説。
というか、膨らみまくった妄想をまとめて投稿します。
ただの自己満蔵で興味ない方がほとんどだと思いますが、許してちょ。



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