新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
リクエストにあったアリスを少し改造した話です。
名家だとか上流階級だとかマジでめんどくせぇな〜。
金だけ残して滅びねぇかなぁ〜。
いっそのこと俺も妹みたいに家を抜け出そうかなぁ〜。
そんなことを思いながら、『あなた』は気だるそうな表情でルミナスクエアを歩いていました。その隣には、顔を俯かせ、『あなた』の袖をちょこんと掴みながら歩くアリスの姿がありました。
『あなた』は今、本人の了承なしに決められた許嫁であるアリスと外出中です。
アリスとは、『あなた』の妹を通じて知り合いました。それがいつの間にか、『あなた』の親とタイムフィールド家との間で話が進められ、気づけばアリスは『あなた』の許嫁という立場になっていたのです。
正直なところ、親が勝手に決めたことですし、アリスのことも妹分のように思っているため、『あなた』はこの状況にまったく乗り気ではありませんでした。
アリスのことが好きか嫌いかと問われれば、好きな部類に入るでしょう。しかし、こちらの意見も聞かれないまま物事が決められてしまうことに、『あなた』は強い不満を抱いています。きっと、アリスも同じ気持ちなのだろうと感じていました。
だから妹に逃げられるのだ、と心の中で父親に悪態をつきながら、『あなた』はアリスの方を見ました。アリスの耳はピコピコと動き、「絶対に離れない」と言わんばかりに、袖をちょこんと、けれど強く掴んだまま俯いています。表情は見えませんが、おそらくアリスも嫌々『あなた』について来ているのでしょう。
とはいえ、『あなた』とアリスが許嫁であることは、すでに多くの人に知れ渡っています。ここでアリスを突き放すような行動を取れば、自分の家はともかく、タイムフィールド家に悪い評判が立ってしまいます。
『あなた』は深くため息をつきました。
そして、袖を掴んでいるアリスの手をそっと引き、そのまま手を握りました。
「ぴえっ!?!?」
アリスは思わず奇声を上げましたが、『あなた』は気にすることなく、優しくその手を握り続けます。いわゆる恋人繋ぎというものです。
アリスの耳のピコピコはさらに速度を増し、可愛らしい尻尾まで動き始めました。『あなた』は、周囲への体裁のためだと、小声で伝えます。悪いが我慢してほしい、という意味を込めて。するとアリスは、何かを決心したように、ぽつりと声を漏らしました。
「そ、そうなのだわ……私たちは恋人同士……い、いえ、ふ、ふ、ふふふふふ、夫婦なのだわ……っ!!」
そう言うなり、アリスは『あなた』の腕をぎゅっと抱きしめました。それも、がっちりと。
これでは逆に怪しまれてしまうだろう。そう思い、『あなた』は再びため息をつきました。しかし、顔を真っ赤に染め、頭から湯気でも出そうなほど動揺しているアリスの様子を見て、何も言えなくなってしまいます。
腕に柔らかな感触が当たっているのも、役得だろう。そんな能天気なことを考えながら、『あなた』とアリスは再びルミナスクエアを歩いていくのでした。
「ルーシー!! あの方の好きなものを教えてほしいのだわ!!」
郊外に置かれたソファに座るルーシーに向かって、アリスは机を叩き、大声で問いかけた。
「なんですの、いきなり……」
「貴女のお兄様のことなのだわ!! つ、つつつつ、妻として、お、おおおっ、夫の好みを把握しておくのは当然のことなのだわっ!!」
「誰と誰が妻と夫ですの、このあんぽんたん」
一人で興奮しているアリスを横目に、ルーシーは不貞腐れたように頬杖をつき、ため息を吐いた。
「それに、お兄さm……バカ兄貴は、貴女が愛してやまないシンメトリーとは、かけ離れた存在ですのよ?」
「でも、この間、シンメトリーなパンケーキをご馳走してくれたのだわ」
「それは、さぞ努力したのでしょうね。貴女の好みに合わせて」
「っ!? 私のことを想って……!?」
「……それに、髪の分け方だって左右バラバラですし、着ている服だって、シンメトリーとは言えませんのよ」
「それもまた、シンメトリー(?)なのだわっ!」
「はぁ……馬鹿に与える薬はねぇですわ」
深いため息を吐きながら頭を抱えるルーシー。その様子を見て、アリスは不意に問いかけた。
「どうしてルーシーは、私たちのことを認めてくれないの? ……あ、もしかして、大好きなお兄様を取られるのが……」
「は、はぁ!?!? そ、そそそそそ、そんなことあるわけねぇですの!?!? 何をふざけたことを言っているのですか、この年中発情ウサギはっ!?!?」
「ねっ、年中発情ウサギっ!?!?」
二人は周囲の目など気にも留めず、ギャーギャーと騒ぎ立てた。
そして、しばらくしてから、ふとアリスが思い出したように口を開いた。
「そういえば、ライトさんの姿が見えないのだけれど……どこかへお出かけかしら?」
「ライト? ライトなら、おたくの狛野さんと、バカ兄貴の三人で海に遊びに行っていますわ」
「う、海っ!?」
「うわっ!? 急に大きな声を出さないでほしいですわ!」
「海ということは……つまり、あの方は水着を着ているということなのだわ……?」
「海ですもの。当然でしょう」
すると、アリスの両鼻から、たらりと鼻血が垂れ落ちた。
「あの方の……水着……えへっ」
「ああもうっ!! 鼻血が出ていますわっ!!」
「水着……素肌……筋肉……えへへへへっ」
「勢いが増していますわっ!? しかも、ものすごくシンメトリーな鼻血ですのっ!! 本当に年中発情ウサギになって、どうするつもりですのこのお馬鹿っ!!!!」
だらだらとシンメトリーな鼻血を垂れ流すアリスを、ルーシーは必死に介抱するのだった。
このDSKBDKPIウサギがよォ
かわいいね♡
【定期】
感想・高評価・お気に入り登録お待ちしております。
モチベーションに繋がります。
また、『あのキャラの話を書いてほしい』『こんなシチュを書いて欲しい』等のリクエストがありましたら活動報告にコメントくれると嬉しいです。
話の好みは?
-
ギャグ
-
恋愛
-
悲恋
-
曇らせ