新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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エレン・ジョー ①

 

 

 文化祭。

 

 それは、学生行事の中でも特に大事なイベントです。その出し物を決めるため、クラス全員が意見を出し合い、最高の思い出を作ろうと必死に考えていました。

 

 もちろん、『あなた』もそのうちの一人です。具体的に何がやりたいというわけではありませんが、黒板に次々と書かれていく出し物の案を見て、ワクワクが止まりませんでした。

 

 

「はぁ、めんど」

 

 

 そんな『あなた』とは対照的に、隣の席のエレン・ジョーは、気だるそうに飴を咥えながら呟きました。

 

 高校生活でたった三回。このメンバーで迎える文化祭は、これが最初で最後です。ならば思い出に残るように楽しまなければ、と『あなた』はエレンに言いますが、その言葉はエレンにはあまり響きませんでした。

 

 

「大半の人は、大人になったら関わりなくなるでしょ? なら、わざわざ仲良くする必要ないじゃん」

 

「ルビーたちがいれば別にいい。……それに、あんたも

 

 

 エレンはボソリと、『あなた』にだけ聞こえるくらいの声で呟きました。『あなた』とエレンは恋人同士です…しかし、他人にバレると面倒だという理由で、クラスどころか親友のルビーたちにもそのことを話していません…もっとも、ルビーたちはすでに『あなた』たちが付き合っていることを知っているのですが。

 

 

「それより、今日の唐揚げ美味しかったから、明日も入れて。それと、今日の晩ご飯はオムライスがいい。あと、今週の土曜にケーキ作って。それから……」

 

 

 『あなた』はエレンの要望に頷きながら、メモを取ります。エレンの前の席の生徒は、そのやりとりを聞かないふりをしつつ、噛み締めるように耳を傾けていました。

 

 

「じゃ、あたし寝るから。出し物決まったら起こして」

 

 

 そう言うと、エレンは机に顔を伏せました。『あなた』は仕方のないやつだと呆れながらも、メモを財布にしまい、正面を向きます。

 

 サッ、と目の前の生徒が前を向きました。このやりとりを聞かれていて、「付き合っていません」と言い張るのは無理があるだろうと思いながら、『あなた』は文化祭の出し物について考え始めます。

 

 すると、ルビーが何かを思いついたのか、ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、勢いよく手を上げました。

 

 

「はいはーい! 執事喫茶が良いと思いまーす!」

 

 

 それに便乗するように、モナと凛が続きます。

 

 

「執事長は、もちろんキミね」

 

 

「いいじゃん、似合いそう」

 

 

 その瞬間、エレンの肩がピクッと震えました。

 

 ルビーたちの意図を察したクラスメイトたちは、次々と執事喫茶に賛成の声を上げていきます。

 

 

「こいつ、意外とかっこいいから絶対似合うって!」

 

 

「私も『あなた』の執事姿、見たーい!」

 

 

 ピクピクッ。

 

 クラスメイトたちの口元に笑みが浮かびます。

 

 

「どうする? 『あなた』がとっても人気になっちゃったら?」

 

 

「学校中の女子が虜になっちゃうかもね!」

 

 

「……は?」

 

 

 『あなた』は冷や汗を流しながら、なんとかクラスメイトを止めようとします。

 しかし、悪ノリは止まる気配がありません。

 

 

「実は私、『あなた』のことかっこいいって思ってたり……」

 

 

「隣のクラスのやつも言ってたぞ。彼氏にするなら、コイツみたいな人がいいって!」

 

 

「おっ? 意外と人気ボーイじゃん」

 

 

「………………」

 

 

 もう、そこらで……と『あなた』が立ち上がろうとした、その瞬間。

 エレンが勢いよく立ち上がり、『あなた』を自分の胸に引き寄せました。

 

 

 

 

 

「コイツは、あたしのだから……!!」

 

 

 

 

 

 静寂が教室を包み込みます。やがて、クラスメイトたちはニヤニヤと笑みを浮かべ始め、それとは対照的に、エレンの顔はみるみる赤く染まっていきました。

 

 

「ッッッ!?!?」

 

 

 エレンは『あなた』を勢いよく突き飛ばし、再び机に顔を伏せます。表情は見えませんが、耳が真っ赤になっているあたり、顔も同じように赤いのでしょう。

 

 『あなた』は後頭部を掻きながら、ヒューヒューと囃し立てるクラスメイトたちを制止しました。そして、エレンのそばに寄って声をかけます。

 

 

「ばか。あほ。どじ。まぬけ。きらい」

 

 

 エレンの罵声が、『あなた』に次々と降りかかります。

 

 

「うっさい。ほっといて」

 

 

 『あなた』は、エレンの頭を優しく撫でました。

 

 

「えっち。へんたい。いつもむねみすぎ、さわりすぎ」

 

「けだもの。とうへんぼく。ぼくねんじん。おんなのてき」

 

「やさしくしないで……やっぱ、やさしくして」

 

 

 『あなた』は無言でエレンの罵倒(?)を聞きながら、頭を撫で続けます。

 

 

「ごめん。うそ。きらいじゃない」

 

「すき」

 

 

 そこで、『あなた』はふと気づきました。

 周囲が異常なほど静まり返っていることに。

 

 背後を振り返り、教室を見渡すと———

 

 

“し、死んでる……!?”

 

 

 黒板に背を預けて立っている先生を除き、クラスメイト全員が幸せそうな顔で昇天していました。

 

 先ほどまで黒板に書かれていた文化祭の出し物も、いつの間にか消えており、代わりにデカデカと『尊死』と書かれています。すると、先生が『あなた』に声をかけました。

 

 

「別に『不純異性交遊がー!』とか言うつもりはないけど、避妊だけはしとけよ?」

 

 

 その言葉でエレンは正気に戻り、先ほどまで自分が口にしていた言葉を思い出しました。

 

 さらに顔を赤くし、ついに限界を迎えます。エレンはガバッと立ち上がり、そのまま教室から逃げ出していきました。しばしの沈黙の後、『あなた』は先生に問いかけます。

 

 

“……結局、文化祭の出し物はどうするんですか?”

 

 

「お前らが教室でずっとイチャイチャしてればいいんじゃね? 客寄せパンダみたいに、ゾロゾロ人が集まってくるだろ」

 





そろそろ男エージェントの話を書きたくなってきたゾ。


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ネタバレになるかもだけど、Ver.2.6の新キャラの話は?

  • 構わん、書け
  • もう少し待て。ネタバレダメ、絶対
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