新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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ライカンと同じ世界線の話ダヨ



ヒューゴ・ヴラド ①

 

 

 世の中には、ただ生きているだけで苦しみを撒き散らすような人間がいる。息をするだけで、周囲の誰かを不幸にする存在だ。だから、この世界に公平をもたらすために、時には殺すことが救いになるのだ。

 

 父親とは名ばかりの男と再会した時、俺はそう決意した。過去に置き去りにしてきた感情が、胸の奥で再び蠢き出した。だが、俺が行動を起こすよりも先に、『あいつ』は先手を打っていた。

 

 昔から『あいつ』はそうだった。俺とライカンが言い争いをする時は、いつも平等の立場に立ち、どちらかに肩入れすることなく、その問題を終わらせてしまう。

 

 そして、決まって最後には、俺たちに手を差し伸べていた。

 

 悪ガキだった俺には、正義や善を象徴とする右手を。正義感ゆえに頭が硬いライカンには、悪や罪を象徴する左手を。

 

 正反対の俺たちの関係が壊れないように、『あいつ』は常に、その真ん中に立っていた。

 

 俺は、いつも先回りして行動する『あいつ』を疎ましく思うと同時に、誰よりも信頼していた。

 

 今思えば、『あいつ』は俺の表情を見て理解したのだろう。俺がこれから何をしようとしているのかを。

 

 俺が屋敷に着いた時、レイヴンロック家の者たちが救急車で運ばれているところだった。屋敷の床や壁には血の跡が生々しく残っており、運ばれている者たちは、誰の目にも重傷と分かる有様だった。だが、命に別状はなかった。

 

 そして、次に視界に入ったのは、『あいつ』が既に拘束され、連行されている姿だった。

 

 俺は衝動的に、『あいつ』を連行する治安官に殴りかかろうとした。だが、後から駆けつけたライカンがそれを止めた。苦虫を噛み潰したような表情で、俺の肩を強く掴みながら。

 

 その時、『あいつ』の右手から血が流れていることに気がついた。

 

『あいつ』自身の血ではない。レイヴンロック家の者を殴った時についた、返り血だった。

 

 俺に差し伸べられていた、正義の手。いつも俺に進むべき道を示してくれたその右手が、今は真っ赤に染まっていた。

 

 『あいつ』が護送車に押し込まれる直前、ふと、俺と目が合った。

 

 『あいつ』は俺とライカンを見て、いつものように笑い、口を動かした。

 声は聞こえなかった。だが、その言葉だけは、はっきりと分かった。

 

 

“ばーか”

 

 

 護送車の扉が閉まり、エンジン音が遠ざかっていく。

 

 俺は、遠ざかる『あいつ』を、何もできずに、ただ見送ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あいつ』の釈放日。俺は刑務所の前で、一人、『あいつ』の出所を待っていた。ライカンは急用の仕事でこの場にはいないが、このあとすぐにやってきた。

 

 『あいつ』のおかげで、俺は道を踏み外さずに済んだ。だが、俺のせいで、『あいつ』の右手は汚れてしまった。感謝と罪悪感に押し潰されそうになりながらも、それでも、また会えることが何よりも嬉しかった。

 

 最初に、何を言うべきか。感謝を伝えるのは、気恥ずかしい。かと言って、謝罪から始めるのも違う気がした。ならば、いつものように、軽口を叩いて迎えてやればいい。

 

 そう思っていた。

 

 

“……ん? よう、久しぶりだな”

 

 

 そこには、いつもと変わらない様子の『あいつ』が立っていた。

 何事もなかったかのように、当たり前の顔で。

 

 『あいつ』は腹が減っただの、ラーメンが食べたいだのと相変わらずだったが、その言葉は、俺の耳にはほとんど入ってこなかった。

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 一瞬、理解が追いつかなかった。

 視線が何度も、そこに吸い寄せられる。

 

 『あいつ』の服の右袖が、風に揺れてふわりと靡くたび、俺の鼓動は、やけに大きな音を立て始めた。

 

 何故。

 どうして、『あいつ』の右腕が無くなっている?

 

 思考がぐるぐると空回りする中、一つの答えだけが、嫌なほど鮮明に浮かび上がった。

 

———レイヴンロック家。

 

 胸の奥で、再び火が灯る。

 冷え切ったはずの復讐心が、黒い熱を帯びて蘇っていく。

 

 すると、『あいつ』は()()()()()で俺の背中を軽く叩き、いつも通りの笑顔で、こう言った。

 

 

“出所祝いに何か奢れや”

 

 

 『あいつ』は何事もなかったかのように、前を歩き始める。

 

 その背中が、ひどく眩しかった。

 

 同時に、俺は自分の感情を抑えられなかった。

 

 『あいつ』の右腕を奪ったレイヴンロック家が。

 

 そして、それを招いた自分自身が。

 

 どうしようもなく、憎い。

 

 俺は、あいつが正してくれたにも関わらず、結局、道を踏み外すこととなった。

 





激重モッキンバードwith『あなた』(『あなた』の過失10割)
なお、

ヒューゴ「俺のせいで『あいつ』の右腕が……ッ!!」

ライカン「俺のせいで『あいつ』の左腕が……ッ!!」

『あなた』「クッソ戦い辛いから、いっそのことサイコガンに改造しようかな〜。なんなら、ファンネルみたいに遠隔操作できるようにしようかな〜」

くらいの温度感です。
どうします? ついでに両足もいっときます??
ビビアンかパエトーン兄妹を助けた時の代償的な感じで。

あ、冗談っすよ(笑)
いやぁ〜、そんな酷いことできるわけないじゃないですかぁ〜(笑)

キャタピラ装備して『みてみてガンタンク〜(笑)』とか言いながら全方位を曇らせたり、四肢欠損状態の『あなた』と青衣が一緒にメンテナンスを受ける話なんて考えてないですって(笑)



【定期】

感想・高評価・お気に入り登録お待ちしております。
モチベーションに繋がります。

また、『あのキャラの話を書いてほしい』『こんなシチュを書いて欲しい』等のリクエストがありましたら活動報告にコメントくれると嬉しいです。

ネタバレになるかもだけど、Ver.2.6の新キャラの話は?

  • 構わん、書け
  • もう少し待て。ネタバレダメ、絶対
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