新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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青衣 ① 続

 

 

 

一目惚れだった。

 

 助けに来てくれた隊員さんたちが死んで、友達が死んで、家族が死んで、ひとりぼっちだった。

 

 エーテルが活性化していき、エーテリアスが大量に現れて、もうダメだと思った。あの鋭い刃に切り裂かれるのか、あの巨大な腕で吹き飛ばされるのか、それともこのまま見つからず、ひとり孤独に死を迎えるのか。

 

 恐怖だけが、俺を支配していた。

 

 そんな時、閃光が走った。閃光は次々にエーテリアスたちを貫いていく。

 周囲のエーテリアスが消滅した時、彼女は現れた。

 

 

「お主、大丈夫か?」

 

 

 優しい声だった。

 俺と変わらないくらいの背丈の彼女は、三節棍をしまい、俺の手をそっと握った。

 

 

「安心するが良い。我がお主を安全なところまで連れて行く。だから、泣くでない。男であろう?」

 

 

 その顔を、その声を聞くだけで、俺を縛りつけていた恐怖が、嘘のようにほどけていく。

 

 

「さて……行くぞ」

 

 

 彼女は次々にエーテリアスを倒していった。体が傷つき、腕がもがれても、決して立ち止まることはなかった。

 

 俺に一切の怪我を負わせることなく、ホロウの外へと逃がしてくれた。名前を聞くことはできなかった。けれど、彼女が最後に向けてくれた笑顔は、幼い俺の心に強く焼きついた。

 

 そして、俺は決意した。

 

 彼女みたいな人間になりたいと。

 彼女のそばに立てる存在になりたいと。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 奇妙な男であった。

 

 自分が傷つくことを省みず、他者を助けることに命を捧げている、実に奇妙な男。最初のうちは、危なっかしくて見ていられず、無意識のうちに男を追っていた。だが、男と接しているうちに、それは我の意思へと変わっていった。

 

 男が向いている方向。

 男の仕草。

 男の声。

 

 気づけば、男のすべてが気になるようになっていた。

 

 不思議な感覚だった。

 

 

 

 

 

“それに、そうすればパイセンとずっと一緒にいられますもんね!”

 

 

 

 

 

 トクン、と胸部装甲の奥で音が鳴った。

 

 機械であるこの我が。

 

 ときめいてしまった。

 

 我が、この男に好意を抱いている……?

 

 ありえない。

 だが、否定すればするほど、その感情は輪郭を持ち、鮮明になっていく。

 

 

「そうか……これが、恋というものか」

 

 

 一度認めてしまえば、もう止まらなかった。

 想いは抑えきれず、奴へと静かに溢れ出していく。

 

 

「……ふ、ふふっ」

 

 

 奴はホロウレイダー。

 我は治安官。

 

 本来、決して交わることのない関係。

 

 それでも。

 

 奴は我のメンテナンス日を正確に把握している。

 我の日程に合わせ、必ず姿を現すのだ。

 

 だが、それだけでは足りない。

 

 もっと奴と触れ合いたい。

 もっと長く、同じ時間を過ごしたい。

 

 いっそのこと、治安官の立場を利用して、奴を逮捕(独占)してしまおうか。

 

 だが、それには障害が多すぎる。奴にただならぬ感情を抱く者が、多すぎるのだ。そして、その者たちがいるからこそ、奴は今日も傷ついていく。

 

 ならば、いっそ———

 

 邪悪な思考が脳裏をよぎる。だが、それをすれば、奴は悲しむ。我は、奴が悲しむ顔を見たくはない。

 

 

 

 

“…………ここに、いるっす”

 

 

 

 

 

 奴は我を好いている。それは、確かな事実だ。ならば、生き急ぐ必要はない。待つこともまた、生きる上で大切な時間である。

 

 我は、そう奴に言った。

 だから今は、この関係を噛みしめるとしよう。

 

 だがもし。

 

 もしも、奴を傷つける存在が現れた時は———

 





ライカンの話を書いた当初、ここまで深く考えてなかったんすけどね……
なんか続いちゃった



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ネタバレになるかもだけど、Ver.2.6の新キャラの話は?

  • 構わん、書け
  • もう少し待て。ネタバレダメ、絶対
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