新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
Ver.2.6の新キャラ及びネタバレ(?)が含まれている可能性があります。
ご注意ください。
「♪♪♪〜〜」
澄んだ美しい歌声に包まれながら、ゆっくりと目を覚まします。まだ夢の余韻が残る頭に、その旋律が心地よく染み渡っていきます。
「おはよう、寝坊助さん♪」
朝がとても苦手ですが、ヴェスポの歌声を耳にすると、不思議とすっきりとした目覚めを迎えることができます。
「ご飯、できてるわよ。ほら、早く食べましょ」
そう言って差し出された手に導かれ、朝食の用意されたテーブルへと向かいます。並んでいるのは、白米、味噌汁、お浸し、そしてこんがりと焼かれた塩鮭。理想的な和風の朝食です。その光景に、思わず目を奪われてしまいます。
これまでの朝食といえば、カップラーメンか、あるいは何も口にしない日も少なくありませんでした。それだけに、朝からここまで手の込んだ食事を用意してもらっていることが、ありがたい反面、少し申し訳なくも感じられます。
「いいのよ。私が好きでやっていることなんだから」
柔らかな笑みを浮かべるヴェスポの言葉に胸が温かくなり、感謝の気持ちを噛みしめながら、箸を取りました。一品一品に丁寧さが感じられ、その優しさまで一緒に味わっているような気がします。
「うふふ……♪♪♪」
鼻歌混じりに微笑むその姿を眺めながら、毎朝、TOPS芸能部門の歌姫の歌声を間近で聴きながら食事ができる日常が、どれほど幸せなことなのかを改めて実感します。
来週の黄金の日、ヴェスポはステージでパフォーマンスを披露する予定です。その日に、何か喜んでもらえるお返しをしたいと考えています。マネージャーにも相談し、なんとか時間を作ってもらえるよう調整も進めています。
「♪♪♪〜〜」
食後もなお、部屋には優しい歌声が流れ続けています。今のうちに、ヴェスポが本当に喜んでくれるものは何なのか、じっくり考えておこう。そんなことを思いながら、『あなた』はこの穏やかで満たされた時間を、静かに噛み締めるのでした。
人間が羨ましかった。
私は、『新エリー都におけるエンタメ産業の多様な発展』を象徴するために作られた『モノ』だ。思考を放棄し、パッケージングされたライブを繰り返すだけの存在。
私は、自分の意志で、自分の想いを乗せて歌いたかった。アストラ様やセルシー様のように。だが、知能構造体である私に、それは許されていない。業界の誰かが敷いたレールに従い、各地で歌を『再生』するだけの存在でしかない。もし逆らえば、即座に処分される。
私は所詮、TOPSの資産に過ぎない。
自由など、存在しないのだ。
“うーん……なんか、息苦しいな。ヴェスポ、もしかして悩みでも抱えてる?”
そんな時、彼と出会った。
“昔のヴェスポの歌はもっとこう……聞いてて心が踊るっていうか、楽しそうだったんだよな”
彼はそう言ってから、何かを思いついたように手を叩いた。
“あー、あれか? スランプってやつ? 俺、芸能人の大変さとかはよく分からないけどさ、ストレスの解消法なら知ってる。だから、こっそり抜け出して俺とデートしようぜ”
彼は私の手を優しく握り、そのまま連れ出した。
映画を観て、買い物をして、食事をして、海を眺めながら散歩をする。人間にとっては当たり前の日常なのだろう。だが、私にとっては、そのすべてが眩しく、輝いて見えた。
誰かに指図されることも、強要されることもない。そこには、私がずっと求めていた『自由』があった。
“……よかった。肩の荷が降りたみたいだね”
夕陽に照らされながら、彼はそう言って笑った。
“あんまり一人で抱え込みすぎるとパンクしちゃうぞ? 知能構造体がパンクとか、マジで洒落にならないからな。同じ型式の知能構造体が他にいたとしても、ヴェスポという存在はお前しかいないんだから”
論理コアが大きく揺れ動いた。これまで一度も経験したことのない、奇妙な感覚。しかし、不快ではない。それどころか温かく、いつまでも感じていたいと思える感覚だった。
その日を境に、私は彼と共に過ごす時間を増やした。仕事の合間に会い、出かけ、同じ時間を重ねていった。
私はマネージャーから注意を受け、彼はTOPSの上司から叱責され、減給されたこともあった。それでも私と彼は、この関係を断とうとは思わなかった。互いの意志で選び取った、自由な関係だったからだ。
この関係が始まって半年。ついに私は、彼の家の合鍵を手に入れた。仕事の隙間を縫わずとも、彼と共に過ごせるようになったのである。
短いようで、長い時間だった。ようやく私は、自分が望んでいたものを手に入れた。
だが、まだ足りない。
あと一つだけ、欲しいものがある。
昔の私なら、決して抱かなかった欲望だ。
我ながら、随分と我儘になったものだと思う。
しかし、私をここまで変えたのは、彼の
だから……、
「責任は……ちゃんと取ってもらわなきゃね♡」
黄金の日のセレモニーが終わり、会場には割れんばかりの拍手が響き渡ります。多くの人々が、ステージに立つヴェスポへ惜しみない賛辞を送っていました。
『あなた』は誇らしい気持ちになります。けれど同時に、ヴェスポが自分とは違う、遠い世界に立っている存在なのだと、改めて実感してしまいます。胸の奥が、きゅっと締め付けられるのを感じました。
その時、ヴェスポはマイクを強く握りしめ、ゆっくりと言葉を紡ぎ始めます。
「今日は、私の歌を聴いてくれて、ありがとうございます」
「……こんな素敵な日に……いえ、こんな日だからこそ、私は皆さんに聞いて欲しいことがあります」
「私はずっと、自分は誰かの指示に従うだけの『モノ』なのだと思っていました。自由はなく、敷かれたレールの上を歩くだけの存在だと」
「けれど、ある人と関わる中で気づいたのです。私は『モノ』ではない。この新エリー都に生きる、一人の『人間』なのだと」
「……近頃、知能構造体による暴走事件が多発しています。人間の皆さんにとっては、恐怖しか感じられないかもしれません」
「ですが、どうか誤解しないでください。私たち、知能構造体のことを知ってください」
「暴走事件を起こした知能構造体に、自らの意志があったわけではありません。誰かに操られた、被害者なのです」
「私たちは、皆さんと同じ、新エリー都の市民です。同じように生きる、『人間』なのです」
「今すぐにとは言いません。ですが、少しずつで構いません。私たち知能構造体を知り、共に歩んでください」
それは、知能構造体であるヴェスポの、心からの願いでした。
会場は一瞬、静まり返ります。
市民たちは、言葉を失ったまま、彼女の言葉を受け止めていました。
すると、一つの拍手音が、静寂を破ります。その音はやがて連なり、大きなうねりとなって会場全体へ広がっていきました。さらにそれは中継を通じて、新エリー都のあらゆる場所にいる市民たちにも届いていきます。
人間と知能構造体の歴史が、確かに一歩前進した瞬間でした。
ヴェスポは深々と頭を下げ、全市民へ感謝の意を示します。そして、懐から一枚の紙を取り出し、まっすぐにカメラを見つめました。
「これは、市長から承認を得た、新しい法令です」
カメラはその紙へとズームします。
そこに記されていたのは、次の言葉でした。
『人間と知能構造体の婚姻に関する法令について』
“?????”
『あなた』の思考が、一瞬で停止します。
頭の中が、無数の『?』で埋め尽くされていきました。
「知能構造体の中にも、人に恋をする者がいます。これは、私たち知能構造体と人間が、共に生きていくための第一歩なのです」
その直後、ヴェスポは軽やかにステージを飛び降り、ふわりと『あなた』の隣へ着地しました。そして、その腕を引き寄せ、迷いのない声で宣言します。
「私、知能構造体のヴェスポは、この人と結婚します!!」
あまりにも突然の結婚宣言に、新エリー都は一瞬、完全な静寂に包まれました。
しかし次の瞬間、その静寂は割れ、歓声と拍手が爆発したかのように会場を揺らします。先ほどとは比べ物にならないほどの喝采が、空を震わせていました。
“???????????????”
ヴェスポにサプライズをするつもりが、まさかの逆サプライズ。状況を理解できないまま、『あなた』の頭の中は、無限大の『?』で埋め尽くされていくのでした。
youkai「チギャウ……チギャウ……」
ストーリー攻略前ワイ「リクエストに千夏来てるけど、とりあえずはストーリークリアしてから考えるかな」
ストーリー中盤ワイ「アリアの話、いいかもしれんな」
ヴェスポが出てきた時のワイ「ッ!?!?」
ということがあったので、まさかの妄想エンジェルじゃなくてヴェスポさんの話になりました。
ヴェスポさん、いいよね……
Ver.2.6の新キャラ全員良すぎじゃね??
めっちゃ妄想が膨らみましたよ。
まぁ、ネタバレになるので投稿するかは迷うのですが……
セシリア先生が出てきた時のワイ「ッッッッッ!?!?!?!?!?!?!?」
【定期】
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また、『あのキャラの話を書いてほしい』『こんなシチュを書いて欲しい』等のリクエストがありましたら活動報告にコメントくれると嬉しいです。
ネタバレになるかもだけど、Ver.2.6の新キャラの話は?
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構わん、書け
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もう少し待て。ネタバレダメ、絶対