新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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ゼンゼロで私が2番目に好きなキャラがイドリーです。
そのため、少し、というかかなり私の願望が反映されている話となってしまいましたがご了承ください。

ちなみに、1番好きなキャラはトリガーです。



イドリー・マーフィー ①

 

 肌が吸い取られるような感覚に、『あなた』は目を覚ましました。寝ぼけた頭で自分の身体を確認すると、大きな触手がいくつも絡みついています。

 

 『あなた』はチューチューと音を立てて吸い付く触手を優しく引き剥がし、布団から出ようとしました。しかし、剥がしても触手は再び身体に吸い付き、離れようとしません。『あなた』は仕方なく、『あなた』の真横で眠っている、金髪に黒のメッシュが入った女性へ声をかけます。

 

 

「う、うーん……なぁに……?」

 

 

 もう朝だよ、とイドリーに告げます。しかし、彼女はまだ眠たいようで、触手に包まれた身体からちょこんと顔を出し、むにゃむにゃと寝言をこぼしています。

 

 いつもならこのまま一緒に眠ってしまうところですが、今日は怪啖屋のみんなとの予定があります。幸い、ベッド横の時計は約束の時間より二時間ほど早い時刻を示していました。

 

 『あなた』は再び眠りについたイドリーに、そっとキスをします。にゅふふ、と笑う彼女を横目に、身体にまとわりつく触手をキュポン、キュポンと音を立てながら外していきました。

 

 身体のあちこちに吸盤の跡が残っていますが、これはいつものことです。しかし、身体の跡は服を着れば隠せますが、顔についた跡だけはどうにもなりません。

 

 『あなた』が洗面台の前で顔をなぞりながら悩んでいると、突然インターホンが鳴りました。宅配便かと思い、スマホで時間を確認すると、すでに待ち合わせの時刻を過ぎていることに気がつきました。そして、ベッド横の時計がズレていたことに気づき、『あなた』は血の気が引くのを感じました。

 

 

「おーい、イドちーん! 〇〇くーん! 起きてるー?」

 

 

「もう約束の時間、とっくに過ぎてんぞー」

 

 

 玄関の向こうから聞こえてくるのは、怪啖屋のリュシアと狛野真斗の声でした。他にも人の気配があるので、柚葉やアリスも一緒なのでしょう。

 

 すると、目を覚ましたイドリーは、彼らに返事をしながら玄関へと歩いていきます。

 ———生まれたままの姿で。

 

 

「はぁ〜い、今出るわ〜」

 

 

 ちょ、ちょっと待ったー!! と、『あなた』は慌ててイドリーを止めました。

 

 

「えぇ? 何で止めるの? リュシアちゃんたちが待ってるのに……え? 裸……? あら、私ったら。お洋服、着てくるわ〜」

 

 

 部屋の奥へ戻るイドリーを見送り、『あなた』は覚悟を決めて玄関へ向かいます。

 

 

「あ、やっと出た……って、うわ!? 何その顔!?」

 

 

「顔中、吸盤の跡だらけじゃねぇか!」

 

 

 開幕早々、二人の驚きの声が飛びました。『あなた』は、寝ているイドリーを起こそうとしたら触手に襲われた、という苦しい言い訳をします。

 

 

「あぁ、なるほど。イドリーさん、寝てる時は触手で身を守ってるもんな」

 

 

「そういえば、私も前に襲われたよ。大変だねぇ〜彼氏さんは」

 

 

 冷や汗をかきつつ、なんとか誤魔化すことに成功した『あなた』は、もう少し待ってほしいと頭を下げました。やがて怪啖屋の面々は、外で時間を潰すことにして歩き出します。

 

 

「私、飲茶仙の肉まん食べたい! 真斗くん奢って!」

 

 

「はぁ!? また俺かよ!」

 

 

 リュシアと真斗が先に歩き出しましたが、柚葉とアリスは玄関前で顔を赤くして小声で話していました。

 

 

「……アリス。首のところ、見た……?」

 

 

「あ、あれって……も、ももも、もしかしなくてもキスマーク……ってやつなのだわ……!?」

 

 

 『あなた』は吸盤の跡にばかり気を取られ、首裏の跡には気づいていませんでした。その跡は、吸盤よりも強く濃くつけられており、実は首以外にもたくさんつけられていました。

 

 ですが、吸盤の跡が上手くキスマークを隠しており、『あなた』はそれに気がつくことはありません。

 

 しかし、『あなた』の首裏だけは、はっきりと跡が残っています。それも、『あなた』自身は注意して見なければ気が付かないところに。その跡は、イドリーから『あなた』への愛情表現に加え、第三者への警告でもありました。

 

 これは私の物だ、と。

 

 

「おい、置いてくぞー!」

 

 

「早くしないと全部食べちゃうからねー!」

 

 

 二人は顔を赤く染めたまま、飲茶仙へと向かいました。

 この事実は、怪談話よりもよほどゾクゾクする。

 ———そう、柚葉とアリスは思うのでした。

 





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